爆豪勝己のサイドキックは元CP0   作:規律式足

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第11話

 

 屋内での対人戦闘訓練。

 その最初の戦いはボスと飯田君の勝利です。

 ビルに警戒しながら侵入した兄さん達、だがそこには拠点を警備役として巡回していたボスがいた。二人と遭遇したボスは先ず麗日さんを落とし、ワンフォーオールにて全身強化した兄さんと激闘を繰り広げた。だが幼少時より私と組手をしていたボスは高速機動戦に慣れているが、兄さんは強化された身体能力を未だに持て余していた。迫る制限時間に焦り強化率を上げすぎてしまい、動きのバランスが崩れたところを討ち取られた。やはり経験の差、個性を用いた戦闘ができることと個性を使えるでは大きな差があったのだ(むしろ食い下がれた事実が異常だが)。

 終了後の講評、ボスによる単独戦闘で評価は良くないかと思われたがそうではない。ボスと飯田君は話し合いの段階でヴィランが交代で見回りしていると設定していた、だからボスが遭遇したから戦ったのであって飯田君もやる予定だったのだ、役割を果たしきったためボスチームは二人とも良い評価だ。

 そして兄さんチームだが、これも問題はない。訓練の設定で格上との戦闘は想定できたことだし、落とされた麗日さんに被害がいかないように戦った兄さんの立ち回りも悪くなかったからだ。

 雄英高校主席合格者、その実力をボスは皆に示すことができたのだった。

 

 さて私達の番になったのだが、私達は敵組で核兵器の防衛だ。ボスに倣い見聞色の覇気でヒーロー組二人を特定し狩りにいっても良いが私の実力を知るオールマイトは良い顔をしないだろう。

 だが八百万さんと峰田君では耳郎さんと上鳴君の戦闘に長けた個性を持つ二人相手では分が悪い。仮に拘束に成功してもあの二人のヤケクソな個性発動で道連れにされかねない。音波に電撃は適当にぶち撒けても人を気絶させるには充分だ。

 となると、

 

「二人とも作戦があるのですが」

 

 やるべきはロールプレイ、その知識をくれた兄さんに感謝ですね。

 

 

 

 

 

「で、どうするよ耳郎?」

 

「ウチが索敵、アンタが攻撃。相手は一年次席と推薦組に峰田だしね」

 

「峰田がオマケ感あるな」

 

「オマケじゃないよ、峰田は拘束向け個性なんだから油断しないでよね」

 

「ま、いくら強くとも電撃は防げないっしょ。余裕だって」

 

「爆豪と緑谷兄の同情の眼差しが無ければそう思えたんだけどね。狭いビル内ならウチらの個性が有利な筈なのに」

 

「耳郎は実技試験一緒じゃねえの?」

 

「0P敵を撃退したとは聞いたけど緑谷弟はよく分からないの。個性も不明だし」

 

「爆豪の手下じゃね?」

 

「それだけの大したことないヤツなら助かるけど、体力テストトップとかなんなんだろ?」

 

 この時上鳴と耳郎は警戒しつつも敵チームの戦力である緑谷来久を舐めていた。まだ二日目とはいえ爆豪に常に付き従う来久を強者とは事前情報があっても思うことができず。またどうしても自分らに有利な状況だったからだ。

 

「お待ちしておりました」

 

 だからこそ緑谷来久はそこを突く。

 

「本日調査のために来られたヒーローの方達ですね、どうぞこちらへ」

 

 そのヒーローらしからぬ背広姿を活かし、使用人あるいは社員を装う。

 その自然過ぎる、本物の社員としか思えない仕草により有無を言わさずに二人をノセる。

 自分らの有利な状況へと。

 

「お茶のご用意ができております」

 

「あ、はい」

 

 その歳不相応な動きに耳郎はノセられるが、

 

「とりあえず一人だし電撃いっとくか?」

 

 上鳴はノセられなかった。

 

「百お嬢様が着替えられてお待ちです」

 

「早く案内してくれ」

 

 作戦会議時の峰田の助言であるこの一言までは。

 ヒーロー役二人を連れていった先は、調度品も整えられた一室。八百万の個性にて創造されたそれらにより応接室として使用できる水準だ。

 他の試験にはなかった調度品に驚いている二人にソファを勧める。

 

「お嬢様とお坊ちゃまはまもなくおいでになります。申し訳ありません何分準備に手間取ってまして」

 

「準備?」

 

 首を傾げる耳郎に来久は告げる。

 

「都市内に咲く美しき破壊の華、それらをより彩る準備にですよ。そう、無力に打ちひしがれる若きヒーローという添え物を見せるためのね」

 

 トンっと完全に油断していた上鳴の首に手刀を振るい意識を奪う。油断させずともできただろうが、この状況下ならできてもおかしくはない。

 

「嵌めたね」

 

「はい、拠点を破損させたくないものでして。ああご安心ください、お二人の命は核爆弾が起動するまで保証いたしますので」

 

「ウチらの負けだけだから、言うけどさ」

 

「?」

 

「成り切り過ぎだよ緑谷弟」

 

「褒め言葉として受け取っておきます」

 

 

 

 

「いや講評なんだけどね、あのさ来久少年」

 

 気まずそうにオールマイトがちらちらこちらを見る、言うべきことを悩んでいるようですね。

 

「普通に敵の手口なんだけど、礼儀正しく招いて罠に嵌めるの」

 

「一番活かせる形がコレでしたので」

 

「うん、八百万少女が用意と核兵器の守り、峰田少年は取り逃がしを避けるために出口に配置、来久少年が先導と捕獲、役割はきっちりしてたね。ただね、ちょっとやり過ぎかな?最初の授業でやるレベルじゃないね」

 

 あまりにもヴィランだったか、それでこの気まずそうな反応なのか、しかし。

 

「この作戦は兄さんに借りた漫画をそのまま再現したんですよ」

 

 状況もまんま同じでしたし。

 

「あーっ!!見たことある光景だなと思ったら『鉄面ヒーロー アイアンマスク』の第三巻のエピソード『助けろっ!!囚われのヒーロー達』のプロローグシーンそのまんまだよっ!!」

 

「「「お前が元凶かい、ヒーローオタク」」」

 

 あまりにも状況が一緒だったので敵サイドでやってみました。途中で上鳴君が釣れないで攻撃してくる可能性があったので峰田君の助言は本当に助かりました。

 

「上鳴がカワイイ娘に反応しない筈がないってオイラ分かってたぜ(ドヤ顔)」

 

 まさに助平は助平を知るのですね。

 

「あ、漫画だったんだ。まあフィクションどおりにいくとは限らないからあまり参考にはしないようにね。今回は訓練で成り切ると想定したからノッてしまったのだろうしね」

 

「むしろ緑谷弟の社員感というか部下感が凄かったけど、同い年なのにバイトでもしてたの?」

 

「いやあ何かを演じることは得意でして、誰かを演じてる方がラクですし」

 

「あああうん、来久少年は個性が特殊だからねあまり追求しないようにね」

 

「誤魔化し下手かオールマイト」

 

 前世に多少触れてしまいますがコレもまずいのでしょうか、オールマイト先生が慌ててボスが突っ込んでますし。変装や成り代わりはCP0の仕事でもよくありましたからね。

 

「耳郎少女と上鳴少年も気を落とすことはない、今回は君らが索敵と制圧ができる実力者だから取られた作戦だ。ただわかりやすい強さは警戒されてこんな搦め手を用いられる。ヒーローになるに当たって頭に入れておいてくれ」

 

「「はいっ!!」」

 

 

 

 こうして全員分の訓練は終わり、初めてのヒーロー基礎学は終了した。

 クラスメートの実力の高さにその性格も大分理解できました。海軍の新兵達のように理想と目標がしっかりとあるようです。

 将来、ボスの事務所を設立するにあたってスカウトするべき人員をビックアップしておくべきですね。

 

「なあ緑谷弟」

 

「来久で良いですよ」

 

 コスチュームを更衣室で着替え教室に戻ると、放課後に残って皆でヒーロー基礎学の反省会をするそうです。それは有意義ですし、皆と親しくなる良い機会なのですが。教室を見渡すと既にボスは行ってしまいましたか。もとよりその予定でしたからね。

 

「すいません、今日は予定ありまして。また今度誘ってください」

 

「そっか、ならまた今度誘うわ」

 

「ただ兄さんの分析力は凄まじいので参考になるかと、皆さんを丸裸にする勢いで解析してくれますよ」

 

「「その話詳しく」」

 

「「セクハラだよ」」

 

「「変態かよ」」

 

「冤罪だよっ!!丸裸の意味違うからっ!!」

 

 楽しそうだから名残惜しいですがボスを待たせるわけにはいかないですし。確か職員室ですよね。

 

 

 

「どうした遅かったな」

 

「すいませんボス、ヒーロー基礎学の反省会に誘われてしまいまして」

 

 職員室前にて合流する、ボスは予定通り訓練室使用許可申請のプリントを持っていた。

 

「そっちも良いが、優先はこっちだ。埋まる前に借りとかねえとな」

 

 放課後の訓練室の使用。生徒手帳に記載されていた情報を私達はすぐさま活用する気でいた。施設に限りある以上は使用できる者にも限りはある。早く動くにこしたことはないのだ。

 

「トレーニングルームも通ってたジムより設備が良いし何よりリカバリーガールがいる。退会して土日もこっちだな」

 

「ですね、土日もプロヒーローの指導を受けれることは有意義です」

 

 そう時間は有限。ボスの野望、私の夢のためにはできる最善の手順で動く必要がある。

 

「まずは確認からだ、行くぞ」

 

「承知しました」

 

 

「ハーハッハハ、秘密特訓、バレてしまえばただの特訓だよねえっ!!」

 

 訓練室についたらそこにはB組の生徒達と腕を組んだポーズの物間君がいました。

 

「いや秘密じゃねえし」

 

「許可申請いるから隠せませんよ」

 

「だが、そんな抜け駆けは許さない。ブラドキング先生がA組の主席コンビがもう動いていると教えてくれたからモロバレなのさっ!!」

 

「聞けや」

 

「いや情報流すの良いんですかブラドキング先生」

 

 私達の言葉はそれでも物間君には届かない。

 

「ヒーロー基礎学をやった上でさらに訓練しようとするその精神、学ばせてもらうよっ!!」

 

「ああやる気ある良い漢達だ」

 

「いやどんなスタミナよ」

 

「焦り過ぎじゃないかしら」

 

 うーんB組の反応が感心半分、呆れとどん引きも半分くらいですね。まあ確かに先走りはしてますが。

 

「余裕なんてねえんだよ」

 

 ボス?

 

「雄英卒業したらプロヒーローに成り、トップに登りつめる。そのために時間を無駄にはできねえ」

 

 ええそうですね、見据えるのはヒーローになったその先です。

 

「先ずは実力をつける、そして体育祭で実績を作り、職場体験で伝手を結ぶ。そして夏の仮免試験でヒーロー資格を取得する」

 

 そうそれが入学前に決めた私達の予定。

 仮免許さえあれば学生の立場でも経験できることが一気に増える。 

 それがトップヒーローになる第一歩だ。

 

「一年で仮免なんて前代未聞だよ」

 

 震えながら物間君は言う、だけど。

 

「だからこそやる、そして学校に許される実績も作り上げる」

 

 平和の象徴を超えるのは生半可では無理なのだ。

 

「野望のために最大火力で爆ぜる。俺達はそのつもりで此処にいるんだよ」

 

 ボスの覇気を込められたような宣言にB組の生徒達はただ圧倒され呑まれた。そして私はボスの言葉に打ち震えていた。

 そうこれこそが私のヒーロー、私の主、爆豪勝己なのだと。

 

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