爆豪勝己のサイドキックは元CP0   作:規律式足

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第12話

 

「ま、せっかくB組全員と顔合わせたんだ名乗っておくか。俺の名は爆豪勝己、オールマイトを超えるナンバー1ヒーローになる男だ」

 

「流石ボス、名乗りからして格が違います」

 

「後ろの能力だけは高いポンコツが緑谷来久、俺のサイドキックだ」

 

「いやあ」

 

(((照れてるけど褒めてないよね)))

 

 ボスの紹介に照れていると何やら言いたげな様子のB組の皆さん。

 けれどボスの言葉は真実だ。

 前世もそうだったが私は指示待ち人間、感知能力が高く異常を察知できても、自分はなんとかなるからそれに対して反応できない。強いからこその反射能力の鈍化、それが私の数ある欠点の一つだ。

 危機感とは小動物が如き弱者だからこそ研ぎ澄まされるものなのだ。

 

「それでB組の皆さんも訓練ですか?私達は施設の確認後に軽く組手などの予定ですが」

 

 個性使用を許されたスポーツジムや国営の武道館や体育館はある(有事の際の避難所も兼ねて)、だが破損したら弁償だし使用にあたってはお金もかかるためそう頻繁には借りられなかった。廃ビルや廃工場などの人気のない場所での訓練もしたのだが、いかんせんボスの個性は目立つから最高火力の訓練などできなかった。地味とすら言われる身体能力増強タイプがヒーローとして活躍しているのも、訓練のしやすさという点がアドバンテージになっているからかも知れない。

 ぶっつけ本番に等しい個性をフルに使用した実技試験やら授業であそこまで動けるボスはやはり天才なのだろうなと思う。私との組手では火力を抑えた殴り合いだったのにだ。

 

「僕達の目的?僕達の目的、それはねえ、・・・・・・いや特にないけど」

 

 とにかく私達が訓練場を借りたから来たらしい、中心人物のその言葉に誘われたからとか流れでついてきたらしい人達はコントみたくズッコケていた。

 

「誰もが君達みたくヴィジョンがあると思うんじゃないっ!! 遊びもゲームも趣味も恋人作りも必死に我慢して勉強に費やした灰色の中学生生活っ!! それで受かった夢の雄英高校で舞い上がらない方がおかしいだろうっ!!」

 

 うちのクラスはそんな気分相澤先生インパクトで消し飛びましたけどね、たしかに合理的で効果的でした。あと趣味のくだりで吹出君と凡戸君と黒色君が顔を反らして、恋人のくだりで円場君と回原君と泡瀬君が崩れ落ちて、灰色のくだりで取陰さんと小森さんが胸を抑えていますよ、仲間の被害甚大じゃないですか物間君。

 

「いや泣くなよ」

 

 泣いて叫んでますねぇ。

 

「というか個性使用だって手探り段階でなんでそこまでやることを理解しているのさっ!!」

 

 私は前世の経験ですが、ボスは才能だからたちが悪いですよね。

 

「ま、まあなら見てるとかしたらどうだ?俺達も軽く流す予定だしな」

 

 本来市街地の機動戦闘なんて実戦じゃないと出来ないのに、ここの施設なら経験できますしね。

 ボスの物間君達の反応に引きながらの言葉に彼らは頷いた。今まであまり見る機会もないでしょうし。

 

「ところで君らの個性は何なんだい?それだけでも知らないと見てても分からかないしねぇ?」

 

 あ、これが本命で目的ですか。物間君が明らかに目の色と表情変わりました。さっきのやり取りも本心でありながらブラフとは、交渉役に向いてそうですね。

 

「俺は爆破、汗腺からでる起爆剤を操れる」

 

「私は前世、自分の前世を明確に覚えています」

 

 だからといって知られて困るわけではないですが。

 

「「「前世?」」」

 

 分かりやすいボスの個性はともかく、私の個性は予想外みたいですね。傍から見たら衝撃波や超身体能力だと思いますよね。

 

「なので皆さんより精神的には三十年くらい年上なんですよ」

 

 個性の利点による牽制は戦術の基本。

 私の言葉に皆さん顔が引き攣ってますね。

 

(((それ享年三十歳ってこと?)))

 

「ボケ」

 

「ア痛っ。痛いですボス」

 

 押し黙るB組に上手くいったと思ったボスに頭を叩かれました。

 

「お前の前世情報はそんなに流すな、どこを聞いても顔が引き攣る内容なんだよ」

 

「今のも駄目なんですか?」

 

 天竜人のくだりじゃないのに。

 

「お前がその判断ができねえから黙れってんだ。デクみたいな強心臓はそういねぇよ」

 

 兄さんに最近話した内容もボスの許可得てですしね、オールマイトや教師陣は大人でヒーローだから平気でしょうし。

 

「それとコイツの個性は死んだ瞬間もその時の痛みも明確に思い出す、物間の個性が個性に干渉するタイプなら気をつけろ。コイツにしても個性発現時に精神的ショックで廃人に成りかけたからな」

 

 個性の停止や封印ならともかく、模倣や使用に奪取なら精神的影響で最悪死にますからね。

 

「そ、そうなのかい気をつけるよ」

 

 怯えた様子の物間君に追加で伝えよう、うっかりで発動したら命に関わるのだし。

 

「死ぬという体験は死ぬほど痛かったですよ、大薙刀を体に刺されて震動波で爆裂四散されたのでものすごく」

 

 痛みよりも記憶の方が辛かったですけど。

 

「アウチッ」

 

「だ、か、ら、黙れと言ったよなポンコツ」

 

 痛いですボス。

 マシな情報だと思いましたがこれも駄目なんですか。

 

「き、君らに教えてもらってばかりじゃ駄目だよね。僕の個性はコピー、触れた者の個性を5分間使用できるのさ、モノに依るけどね」

 

「「死ぬトコだったな(でしたね)」」

 

 5分間もあれば記憶のフラッシュバックでショック死しますね。

 

「だが頼もしい個性だ」

 

「チーム組めば単純に戦力が二倍になりますね」

 

 似た個性は数あれど同一個性は血縁者でも発現しない、最適な連携も出来て、誰の代わりも務められる凄い個性ですね。

 

「ヒーローになれないってよく言われたけどね」

 

 過去を思い出し自嘲気味に笑う物間君。

 このヒーローらしいとかがよくわからない基準なんですよね、前世の海軍もコワモテばかりでしたが彼らは正しく正義の味方でしたし、エンデヴァーとか威圧的でヒーローっぽくないですよね?

 力は力なんだから使い方だと思いますけど、むしろ物間君のコピーはヒーロー活動以外だと使いみち無さそうですし。

 

「とにかく始めんぞ来久」

 

 時間も押してますからね。

 

「軽く流す組手で、市街地での機動戦ですね」

 

「使用時間終了までやるぞ」

 

「承知しました、マイヒーロー」

 

 なるべく壊さず迅速に。 

 ボスが市街地での戦闘に馴れるために。

 

 

「何あれ」

 

 こうして開始した組手。

 B組の誰かが思わず溢した言葉が彼らの本音。

 驚く彼らが見たのはあまりにも大きな実力差。

 爆破の個性にて爆音と軌跡を残しながら襲いかかるボスに、足場なき空中にて地面と同じようにステップを刻み踊るように回避する私。避けられぬ攻撃は鉄塊にて受け止め防ぐ。

 ボスの個性である爆破は強力だ。爆ぜる時の衝撃は人の意識を奪うには充分だし、発生する火炎は容易く人体を焼く。通常の生身なら身体を焼かれた痛みにまず耐えられないし、皮膚という守りのない重要な知覚器官である眼球は熱気を前に開けてはいられない。

 本来人に向けることすら躊躇うような威力なのだが、ボスは天性のカンで殺さない火力を悟っている。

 ゆえに爆豪勝己は強く、最難関な雄英高校を主席で合格するには足る実力者なのだ。

 だがそれを捌く私も等しく人外。

 というか前世でも何故か意識を失うような衝撃でも気合で耐えられたりできたんですよね。

 市街地を模した訓練施設で私達は猛攻と回避を繰り返し、ボスは戦い方を学ぶ。最善な火力、機動に必要な加減、最適な位置取り。昨今のヒーローは迅速さこそ求められていると聞くが、まさにボスはそれに適合したヒーローなのだろう。

 爆破纏う両手、遠心力を重ねた両足、ボスの攻撃を反らし捌き受け止めながら組手を続けた。

 

 

「足にも爆ぜるような機構を組み込むべきではないでしょうか?」

 

 爆破による機動のためか両手は塞がりがちなため、最近は足技主体に成りつつあるボスのスタイル。大きく弧を描き振るわれる両足は鉄塊を揺らす程に強力だ。そこに威力を増すような工夫をすれば機動と攻撃が両立できる。脚などただの飾り?ならば脚で攻撃すれば良い。

 

「考えておくが、温存する手札だな。当面は両手も両足も充分な威力がある」

 

 たしかに切り札や隠し札に成り得るか。

 私のような機動と防御を両立してる存在などそうはいないのだし。そうでなければあまりにも過剰な攻撃力だ。

 

「仮免取得には救助項目もあるだろう、市街地の機動は最優先だがそっちの勉強も怠れねえな」

 

「自分達での対処より救急隊への引き渡し、取り次ぎ手順を知るべきかもしれません。オールマイトも現場に駆けつけますが、治療より救助を優先してますし」

 

 現場でのヒーローの役割、実際どうしているかは現場で学ばないと分からないですね。

 

「体育祭で結果をだし、実戦に携われる事務所で職場体験を行う」

 

「となれば事件解決数最多のエンデヴァーが目標になりますが、轟君がいる以上は厳しいでしょうね」

 

「相澤先生の言うように放課後マックなんてしてる余裕ない」

 

「なんですとっ?!」

 

「絶望顔するなポンコツ、夕飯前だ我慢しろ」

 

「マックはオヤツなのです」

 

 私の嘆願を軽く流すボス。まさかこのあとにマックに寄らぬとは。

 

「フフフ、フハハハッ!!」

 

 なんです、このやけっぱちみたいな叫び声。

 

「これで勝ったと思わないでよねっ!!

 僕達だってまだまだこれからなんだっ!!

 今は君達が、実力知識情熱信念実績容姿に理想が僕達を上回っているだけなんだからねっ!!」

 

 いやそこまででは、私が上なのせいぜい戦闘能力くらいですって。

 

「これで勝ったと思うなよーーっ!!」

 

 と叫びながら物間君は走り去っていきました。

 組手を見て実力差を感じたのですかね。

 

「ま。あんなんだけどそう悪いヤツじゃないから。私達もまだ知り合って二日目だけど」

 

「反骨心とやる気があるヤツは嫌いじゃねえよ」

 

 と、すかさずフォローを入れてくる拳藤さんにボスはそう返します。

 私も彼の反応が面白いと思いますね。

 そう軽く話した後B組のメンバーと別れました。皆さんもA組と同じくらい良い人ばかりなのでクラスメイトを連れて交流したいなと思いました。

 

 




オマケ 中学時代のB組(勝手な)予想

物間  
個性が向いてないと言われつつも優秀だった組

拳藤 鉄哲 宍田 庄田 骨抜
周囲から受かって当然と思われてた組

黒色 吹出 凡戸 柳 鎌切
受験勉強しつつも趣味は堪能してた組

鱗 角取
忙しかった留学組

円場 回原 泡瀬
ヒーロー科に入れる実力あるけど雄英高校は厳しいから彼女作れないくらい頑張った組

塩崎 小大
性格天然組

取陰 小森
中学時代はガリ勉だったら萌える組

あくまで作者の妄想です。
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