爆豪勝己のサイドキックは元CP0   作:規律式足

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第17話

 

 雄英高校の臨時休校があけて翌日。

 ややどんよりした雰囲気のクラスメート達の様子に首を傾げたり、ヴィラン襲撃事件があったにも関わらずに雄英高校体育祭を開催すると相澤先生が告げたり、昼休みに麗日さんがうららかではない表情になったり、麗日さんのヒーロー志望の理由に飯田君がブラーボーしたり、兄さんがオールマイトと二人きりでお昼ご飯を食べに何故か仮眠室に向かったりしたりしてるうちに時間は過ぎて放課後になりました。

 教室から出ようとすると何故か廊下がいつもより人通りが多く、何人かはチラチラとこちらを伺っているようです。

 

「やはり学食で食べ過ぎましたかね?」

 

 おいしいからと食べまくると周囲から注目されてしまいますよね。

 

「そっちじゃねえよ、大方ヴィラン襲撃事件の方だろ」

 

 ボスが私の疑問に答えてくれました。

 それで様子を見に来た生徒達で人通りが多いのですね、まあ一応ニュースにはなりましたし、雄英高校という知名度と逮捕されたヴィランの数で話題になりましたから。流れている情報としては施設に損壊は無く怪我人もいないため表向きは教師陣がなんとかしたことになってます。そのためA組にしても運が無かったと同情されている感じですね、なにせ希少なワープ個性を用いての襲撃なんてまず防げませんから。ちなみにB組の方はボスと一緒に対策を練っていた物間君が教師陣から話を聞かれたため詳しい内容まで知れ渡っています。

 

「教師陣がなんとかした(扱い)とはいえヴィラン襲撃を経験したんだ、気になるんだろ」

 

「敵情視察というわけですね」

 

 競争形式なら顔を知るだけで有益ですし、個性の発動条件かもしれません。

 

「ヒーロー科は職場体験にインターン、他科はヒーロー科への転属のチャンスだからな。入試の形式だと相性悪い個性もあったからな」

 

「葉隠さんも個性が戦闘向けではないにも関わらず強いですからね」

 

 彼女、自身が透明なだけの個性だからかきちんと肉体を鍛えていて、格闘技の授業で峰田君、上鳴君、常闇君、瀬呂君に勝ってました。個性無しの肉弾戦ならクラスでも上位の実力でしょうね。

 

「あと運もあるしな」

 

 確かに班分け次第で結果は左右されますか。 

 

「なんにしても体育祭優勝は絶対目標だ、あと二週間遊んでる時間はねえぞ」

 

「はい、全霊を尽くします」

 

 

 

 

「あーヴィランてそんな感じなんだね」

 

 穏やかな夕日の照らす放課後、訓練のために借りた演習場にて死屍累々とばかりに倒れ伏すB組男子達を眺めながら現在小休止中。

 入学してから頻繁に利用しているのですが、ためになるからとB組のメンバーも参加しています。

 訓練とはいってもあくまで自己練習、私とボスが彼らを教えたり導いたりすることはなく、せいぜい組手の相手を務めたりする程度です。

 今の話相手はB組の姉御こと拳藤一佳さん、訓練の合間に反省点や気付いたことの議論などをしていますが、今日は先日のヴィランについてでした。リーダー格の手男とモヤ男に切り札であった脳みそむき出しについては危険性が高いため話さないよう気をつけて、遭遇したヴィランの話をしました。

 

「そういえば今日は物間はどうしたんだ?最近は指銃と剃の体得に熱中してたよな」

 

 図書室から借りてきた『最新建築一覧』を閉じてボスが気になっていたことを拳藤さんに聞きました。頭のキレる物間君とはよく話されますからね。

 B組の皆さん、指銃をやろうとして突き指量産してリカバリーガールに説教されてましたね(鉄哲除く)

 物間君は相手に触れなきゃいけない個性だから機動力を上げられる剃にも興味津々でした。

  

「物間はセメントス先生の手伝いだよ」

 

「セメントス先生?授業の用意ですか?」

 

 現代文の受け持ちだったような。

 

「いや施設の改装するみたい。ワープ個性で侵入されたからその出現ポイントを埋めたり、盛り上げたり、オブジェ置いたりするみたい」

 

 なるほど転移先が塞がれたらもう飛べません。個性が発動しないか最悪壁の中に埋め込まれてしまいます。色々パターンはあるようですが、ワープ系個性は飛んだ先の把握が必須なんですよね。

 

「物間の個性の連続使用もその都度触れれば良いから近場に入れば人手が増えて助かるんだって」

 

 施設の破損粉砕がデフォな雄英高校だと修復担当のセメントス先生は過労死候補とか言われてるくらいですから、大雑把でもやってもらえると助かるのでしょうね。物間君にしても個性の鍛錬になりますし。

 

「そうか」

 

「爆豪にしてもなんで建築の本を読んでるのさ」

 

 確か昼休みの麗日さんの話を聞いたら借りてきましたよね、将来の事務所でも考えるのでしょうか。

 

「ヒーローは防衛するにしても、救助するにしても、侵入するにしても建物の構造やらを知っているに越したことないなと気づけてな。セメントス先生にも学びに行くつもりだが基礎知識くらいは身に付けねえと」

 

 瓦礫にしても支点力点が適当だと危ないですね、なるほど麗日さん家が建築会社と聞いたからですか。

 彼女の実家で仕事がないなら、そういった建築関係の講義とかをヒーロー達やヒーロー育成高校に売り込むのも有りですね。ヒーローは市街地戦闘が多いため壊した建物の弁償や補償もあるので、建築のプロから聞いておくべきことは多そうです。

 

「本当に熱心だね、そんなトコも差を感じるよ」

 

「時間は有限なんだよ、目標は遥か先で影すら見えねえしな」

 

 やれること全てを打ち込んでも届かないかもしれない頂き、それでも近づくにはやれることをやるしかないのでしょうね。

 

「うし、呼吸も落ち着いた。もう一戦だ来久」

 

 立ち上がり戦意を滾らすボス。

 残りの使用時間的に後一回はやれそうですね。

 

「ところでなんで同じクラスの子は誘わないの?仲悪いわけじゃないよね?」

 

「お前らだって誘ってねえだろ。

 こういうのは自分から動くべきなんだよ」

 

 皆でやることに意義はあります。けど痛みの伴う強さに関しては本人の意欲がないと辛いだけですからね。

 まあ、入口でチラチラと伺っている人達がいるので明日から人員が増えそうですが。

 

「いくぞ来久」

 

「オーケー、ボス」

 

「「「せめて一矢報いたらあっ!!」」」

 

 ボスの爆炎と復活したB組メンバーの様々な個性をいなしながら、今日こそは帰りマックに寄ろうと心に決めました(空腹)

 

 雄英高校体育祭までの期間はこのように過ぎて行きました。

 ナンバー1ヒーローを目指すボス。

 オールマイトに託された兄。

 未だにクラスに溶け込めない轟君。

 ヒーロー科を目指す生徒達。

 そして疑惑ある青山君。

 そんな数多の思いを散りばめながら。

 

 




おまけ B組男子一同

「「「指銃」」」

 ボキッ

「「「ギャアアアッ!!」」」

「だから止めとけと言ったろ(小学生時代にやらかした爆豪君)」

「そもそも人体撃ち抜く技ですから、硬いのには撃たないですよ」
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