爆豪勝己のサイドキックは元CP0   作:規律式足

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第24話

 

「これが心に届くってヤツなんですかね」

 

 第二回戦最初の組。

 緑谷出久対轟焦凍。

 兄さんは襲いかかる氷の壁を、ワンフォーオールを制御できる以上の出力を発動し手足を使い潰すようにすることで砕いている。

 もっとスマートに戦えるだろうに。

 月歩の完全体得はまだだが、空中を一步二歩踏み込むくらいのことは出来るようになっている筈です。

 接近しワンフォーオールで強化した肉体で殴れば場外に飛ばすなど造作もないだろうに。

 だがあえて正面からぶつかっている。轟君に無理をさせてその弱点を浮き彫りにさせるために。個性を完全に使えばこうはならないと示すために。

 まあ兄さんのことだから意図的ではない行動なんでしょうが。

 分析したり計算したりするくせに、行動は本能的な衝動ばかりだ。

 だからこそあんな無茶をして。

 だからこそその思いは、彼に届いた。

 

「全く、ボスには負けますがすっかりヒーローじゃないですか」

 

 轟君が炎を使い、兄さんが全力で拳を振るう。

 その衝撃は会場を揺るがし空に響いた。

 見聞色の覇気にて兄さんの敗北は分かってしまうが、そんなことは些事だ。

 負けた事実に涙を流しても、轟君に手を差し伸べたことに後悔はないだろうから。

 だから緑谷出久はそれでいい。

 

 さて、次は飯田君との戦いですか。

 彼もまた実力者。それでもまあ負ける気はしませんがね。

 

 飯田君との戦い。

 それは速度の戦い。

 いやそれ以上に速度以前、速度を出す前のモーションの戦い。

 個性である脚部のエンジンによる超加速。

 ボスの空中機動に似た動きは接近戦にて敵なしであるが、エンジンによる超加速であるがゆえにその予兆は読みやすい。というかどんな原理なんですかね?アレで加速するならローラースケートみたいに車輪があればわかりますが、エンジンで脚力アップしているのでしょうか?なんかブロロと音もしますし煙も出ますし、廃棄ガスでしょうが動力はオレンジジュースだとか言ってませんでした彼?

 まあだからエンジンを観察することでどう動くか予測できて、彼より早い速度で背後を取れば勝ちです。

 人差し指を拳銃のように飯田君の後頭部に押し当てる。それで勝敗が決したと彼なら理解できるでしょう。

 

「俺の負けです」

 

 先程の激戦に比べたら静かな決着。

 ヒーロー方には評価されないでしょうが別に構いませんしね。

 

「やはり強いな君は」

 

 無念そうな飯田君の表情に思うところはあります。

 自分はこの場にいるべきでないと疎外感に胸が痛くなり、彼らのために負けてやるべきでないかと誘惑にかられます。

 ですが、ボスに命じられたのです。

 全力でやれと。

 

 続いての芦戸さんと常闇君の戦い。

 雄英高校一年女子トップに君臨した事実を芦戸さんはもっとアピールしても良い気がしますが、彼女の性格上気付いてなさそうです。

 どうにも常闇君と戦う人は勘違いしがちですが、黒影は個性ですが武器に過ぎません。黒影も意思はあっても彼の損傷は常闇君には還らず、何をされても痛みがあるように見受けられません。

 常闇君のパートナーであり2対1の戦いと認識して、先ずは攻撃してくる黒影から対処することが間違いで、壊れない武器の破壊に集中するのではなく、烏のような容姿のため細身な本体を狙うべきなのです。

 結果は芦戸さんの敗北。

 彼女の体捌きと個性ならなら勝ち目はあったのに惜しいですね。黒影を溶かしきれる強酸を生み出すやり方もあったでしょうに。凍傷までいかないように冷気を制御している轟君もそうですが、その殺傷力が高いゆえにスペックを出しきれない個性は多くありますね。

 

 2回戦最終組。

 尾白猿夫対爆豪勝己。

 異形系個性でありながら当たりでありハズレとされる尾白君。

 それは障子君のように異形系個性に属しながらも、いわゆる発動系個性のように人型(いや前世に比べたら大差ない気がしますが)である点が当たり。そして異形系個性でありながら尻尾が生えているだけだから個性としてはその能力が微妙というハズレ。

 尻尾だけなら希少な例として個性発現以前の時代にもあった事例らしいですね。

 ゆえに彼は差別されるような境遇にはいないが、ヒーローを目指すには個性が微妙だという扱いだったらしいです。上の世代には例えば腕が4本なだけで立派な個性扱いでしたが、吹出君のようなぶっ壊れ個性が同世代にいるためその評価は良くて地味ぐらいです。

 そのため彼は自らを高めるため格闘技に傾倒し、修練の果てにその拳と尾は雄英高校のロボットを砕けるまでに至ったのです。

 純粋な格闘技の技量なら、尾白君と庄田君は一年のツートップでしょうね(私は除く)

 そんな彼の相手が我がボスである爆豪勝己。

 彼は武術が不要なレベルな才能の塊、稽古と修練で体に動きを刻みこんでようやくできることを初見でできてしまうのだ。

 そんな彼が私との模擬戦の日々で六式をベースとした独自のスタイルを身に着けているのだから最早手に負えないだろう。

 麗日さんとの戦いでは無重力を警戒して触れられることを避けたが尾白君にはその必要はない。

 爆破の火力に獣厳に匹敵する拳打、尾白君に強靭な尾に捕らわれることのみを警戒し、打ち倒すことを目標として戦う。

 尻尾を用いた飛び跳ねるような武闘と爆破を用いた三次元の攻防は会場を沸かせ、さながらコロッセオのように熱狂に包まれた。

 勝者はボス。

 爆破により三半規管が揺らされて動きが鈍った尾白君が打ち負かされた形だ。

 地味だとか影が薄いとか普通と言われた尾白君の意外な活躍に同級生達が驚いたのが印象的でした。

 

 こうして2回戦は終了。

 雄英高校ベスト4は決定された。

 次の相手は轟君。

 兄さんのように何かできるわけではありませんが、全力で戦いましょう。

 

 

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