爆豪勝己のサイドキックは元CP0   作:規律式足

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第25話

 

『準決!サクサク行くぜ。

 緑谷来久対轟焦凍!!』

 

「お前は一号と違って何も言わねえのか?」

 

「君がそう思う時点で私の言葉は不要ですよ」

 

 轟君は既にきっかけを得ている。

 ならばこれ以上は無粋。

 私はただ全力で戦うのみ。

 

『START!!』

 

 私の速度を知る彼が取るべき手段は一つ。

 冷気にて動ける場所を奪うこと。

 ゆえに私が打つ手は、

 

『おおーっと轟のっけから瀬呂にぶつけた特大氷壁っ!!これは決まったか?!』

 

「嵐脚」

 

『だが何とっ!!両断されてるっ?!

 預言者モーセがごとく氷壁が真っ二つだぁっ!!』

 

『モーセは海だろ』

 

「?!」

 

「冷気も熱気も所詮は空気。風の刃で斬るのは容易いですよ」

 

 ワンフォーオールのパワーで散らせるなら私に対処できぬ訳がない。

 

「動揺してて良いのですか?道ができましたよ」

 

 嵐脚にて二つに別けられた氷壁を塞ごうとしてももう遅い。

 

「剃、そして指銃」

 

 直線に駆け抜けてすれ違い様に指銃で急所をついて気絶させればお終いです。

 飯田君とは違い個性のゼロ距離発動が攻撃になる轟君に降伏を促すのは無駄ですからね。

 ですが指がついた感触に違和感がありました、人体の感触ではなくこれは氷?

 

「一号の言ったとおりだな」

 

 驚く私に追撃の冷気。 

 剃で距離をとり轟君を見る。

 そこには私が突いた部位を氷の鎧で覆った姿がありました。

 

「お前は強い、だから相手が傷つかないように戦う。最低限の威力で急所を突いて気絶を狙うってな」

 

 兄さんの入れ知恵で私の攻撃が読まれてましたか。轟君は同世代の中では強個性であるにも関わらずに身体能力が高い。だからやりすぎないように仕留めるにはこの戦法が最適だったんですが。

 

「確かに不快だな、手加減されるってのは」

 

 自分のやったことを人にやられると不快ですよね、轟君と私はやる理由が違いますけど。

 

「全力でやるよう命令されてんだろ」

 

 仕方ないですね。

 相手を傷つけ過ぎないように全力で戦ってましたが、ここからは勝つために全力で戦いましょう。

 とはいえ、

 

「ミッドナイト、リカバリーガールに連絡を」

 

「え?」

 

「多分即死はしませんが、(こっちで)人に撃つのは初めてですので念の為に」

 

 嵐脚も加減しては氷の鎧を破壊しきれない、普通に打ったら真っ二つ。

 指銃もさっき以上は人体貫通してしまうし、獣厳は轟の個性に捕らえられる可能性がある。

 武装色の覇気は論外。

 というか実戦では脳無にしか使用したことないし、ボスとの組手もお披露目程度。

 となればあとは一つだけ。

 全く加減して勝てる相手じゃないと殺しかねないとか、もしかして私って致命的にヒーローに向いてないのではないでしょうか?

 

「ねえ轟君」

 

「何だ?」

 

 氷の鎧のために炎は出せず、ですか。けどそれも手段としてはアリですね。

 炎の個性を活かすための冷気の個性ですが、ヒーローとしては逆の場合の方があらゆる方面で適している。

 

「死なないで、下さいね」

 

 返事は右の炎。

 放射された熱気が私に向かう。

 

「剃刀」

 

 その炎を私は斬り裂きながら宙を翔ける。

 月歩、剃、嵐脚、の三種の組み合わせである移動技は、触れたら焼ける炎を物ともしない。

 個性の炎はメラメラの実による体の延長である炎よりも自由に動かせない、ならば月歩による回避を警戒しての範囲攻撃も充分に対応できる。

 

「クッ」

 

 兄さんの入れ知恵による氷の鎧ですか、とっさにはる技量は見事ですがこの技の前に鎧も肉体強度も関係ない。

 全力の一つです、どうぞお受け取りを。

 

「六式奥義 六王銃」

 

「ガハッ」

 

 衝撃は肉体内部にて爆ぜる。

 六式の人体操作の極みたる内部破壊。

 生身一つで行える、外傷の残らぬ必殺技。

 まさしく闇の正義を司る、世界政府直轄の暗殺者に相応しい技ですね。

 こっちの世界では生物以外に使い道はなく、また人に撃つわけにはいかないから今まで使用したことがないのですが。

 

「中々効くでしょう?」

 

 口から血を吹き出し白目を剥きながら倒れ伏す轟君を見ながら私はこの試合の終わりを悟りました。

 思わぬ苦戦、でしたね。

 やはり兄さんが入れ知恵すると厄介ですね。

 途端に加減ができなくなる。

 

『轟意識不明で行動不能!緑谷来久またも無傷にて勝利!決勝に進出だ!』

 

 いや強いのか、雄英高校に通うクラスメート達が加減できない程に。

 覇気を使って戦う日もそう遠くはないですね。

 

 

 続いてボスと常闇君との戦い。

 無敵に近い個性とプレゼントマイクにすら言われる黒影も既にボスには分析されている。

 大きく展開する前には必ず体に戻すようにしているその動作、爆炎にて涙を流す黒影の表情、黒影は光が弱点であることは私にも分かる(というかモウイヤとか言ってたら普通に分かりますよ)

 黒影の形状も脅威を下げてしまう、いかに大きさを変えれてもあくまで腕が二本なら尻尾のある尾白君の多彩な攻撃を破ったボスには通じない。

 せめて常闇君も同時に攻撃できるようにすべきでしたね。黒影の制御のためか彼は身体能力に難がある。

 個性の相性と体術の練度でボスの勝利です。

 さて、ここまで辿り着きましたねボス。

 

『よって決勝は緑谷対爆豪に決定だあ!!』

 

 大言壮語とすら言われた選手宣誓。

 実現できるまであと一つ。

 サイドキックである私が貴方の最後の壁となりましょう。

 




オマケ 兄の一言

「格好つけてるけど障子君いなかったら第一種目で落ちてたよね?」
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