爆豪勝己のサイドキックは元CP0   作:規律式足

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第29話

 

「オイラはマウントレディ!!」

 

 個性的にも噛み合わないから微妙では?

 峰田君の下心オンリーな職場体験先希望に呆れながら私はどうしようかと悩む。

 何しろ4000超え、ヒーローに詳しくない私は名簿確認だけでも大変だ。

 兄さんが学校から紹介されるヒーロー事務所名簿を見ながら持ち芸である思考のたれ流しをしていますが、指名の無い人は希望先がかぶっても良いのでしょうか。

 

「とりあえず自宅から通えるトコですかね」

 

 遠出とか泊まり込みは面倒です。

 

「適当な学校の決め方かっ!!」

 

「もっと真剣に選べよっ!!」

 

 いやそうなんですが、多過ぎて時間が。

 期限があと二日ですし。

 

「ボスはどうします?」

 

 同じトコは無理でも参考くらいには。

 

「ケッ、ネーミングセンスクソ雑魚ナメクジの俺に何を言えと?」

 

「「「拗ねてるーっ!!」」」

 

「ケロ、こんな爆豪ちゃんもアリね」

 

「確かにアリですね」

 

 やさぐれ感が新鮮で良いです。

 

「いや君等おかしいからね」

 

 拗ねてるボスに癒やされながら、即決した人達から話を聞いたりして候補を絞ります。

 ヒーロー達が体育祭で私を見て判断できることは体術に秀でて対人戦に長けていること。

 ヒーロー事務所としては扱いやすいでしょうね。

 やはりランキング上位から選ぶのが妥当かと思っていたら、独特の姿勢でオールマイトが現れて兄さんを連れて行きました。タイミング的に職場体験の件でしょうけど、なんであんなに焦っているのでしょうか?

 

 

 放課後いつものメンバー+新規加入者達を体育館でボコリ倒し、合間に職場体験の話をします。

 

「あー、最終種目まで残っても指名されないヤツもいんのな」

 

 鉄哲君が意外そうに話してくれます。

 実際彼は任侠ヒーロー フォースカインドの指名があったみたいで、他にも茨さんがシンリンカムイ、拳藤さんがウワバミからあったようです。ちなみに物間君はリカバリーガールに連れられてあちこち医療機関へ出向くらしいです。リカバリーガール程でなくとも治療や手術など医療に応用できる個性持ちは多数存在し活躍しています、そんな彼らの個性をコピーして学ぶそうです。

 

「聞けば普通科の心操君も指名あったらしいよ、彼は来期とかにガチで編入しそうだね」

 

 個性は強いけど問題は体力なんですよね、まあそこは本人次第ですか。

 

「それで爆豪君が拗ねているのは置いとくとして、来久君はどこにするんだい?」

 

 何気に兄さんレベルでヒーローと個性に詳しい物間君なら相談相手には打ってつけですね。

 

「正直現場を知れたらどこでも良いかなと。私はボスのサイドキック志望ですから過剰に付き合うつもりがないので」

 

「そして爆豪君はなんでもできるから補佐のために伸ばす能力も見当がつかない、か。これは難問だね」

 

 なんですよねえ。

 書類やら経理も多分ボスの方ができますし、戦闘に関しても実力は充分です。

 補う要素がないとか仕えるコチラも大変です。

 

「君自身の戦闘スタイルも完成されてるから、学ぶことも少ないみたいだしね」

 

 前世でも暗殺以外にも生け捕り任務とかの経験もわずかにありましたし。

 

「ならホークスにしたらどうだい?速すぎる男の異名があるし、18歳で事務所を立ち上げた実績もある。卒業したら即事務所を立ち上げる予定の君達には学ぶことがあるんじゃないかな?」

 

 あーこのヒーローですか。学校から特に勧められたヒーローで向こうも熱心らしいですね。常闇君と被りますが、現トップ3と私が指名された中だとランキングが一番上なんですよね。

 

「来久君なら空中移動も出来るから相性も良いだろうしね」

 

 そうなんですが、どうにものりきれないというか。

 なんかこの話、キナ臭い気がするんですよね。

 ホークス自身にも何故か謎な親近感ありますし。 

 

「ボスはどうします?ホークスからも指名ありましたよね?」

 

「俺はエンデヴァー事務所にする。ナンバー2ヒーローで事務所も国内最大規模だしな。

 事務所運営を学びてえし、エンデヴァーも俺の鼻っ柱をへし折りたいらしいからな」

 

 獣みたいな獰猛な笑みですね、梅雨ちゃんに取陰さんが見惚れてますよ。

 その情報は轟君からですかね。

 まあ個性婚やらかしたくらい向上心ある人なら、学生なのに生意気な体言吐いたボスにヤキを入れたくもなりますよね。

 それで折れるボスではないでしょうが。

 

「ならホークスにしますか」

 

 狙いが何か不明ですが、虎穴に入らずんば虎子を得ずってヤツです。

 一旦ここで話を切り上げ再び組手へ。

 ボスの覇気習得もあって私自身も鍛えないと。

 どっかに狩ってよい猛獣溢れる島とか修行に向きな場所ないもんですかね。

 こっちは便利な世界ですが、どうにも未知が少なく世界が狭く感じます。

 

 

 

 さて、訓練も終わり後は帰るだけですが、もう一つボスと物間君に相談したいことがあったんです。

 

「飯田君のこと?」

 

「はい、兄さんが気にしてまして」

 

「兄であるインゲニウムがヒーロー殺しに襲撃されたんだったか」

 

「ええ」

 

 慕う存在が襲撃されたにも関わらずいつもどおりな態度の飯田君。そこに違和感と危機感を感じて兄さんと麗日さんと共に気にしていたのですが、はぐらかされてばかりです。

 飯田君とは仲は良い方ですが、兄さん同様貼り付けた表情で何も言ってくれませんでした。

 

「指名先は多いのに大手ではないマニュアルを即決、個性的にも関連は無いか」

 

「事務所が兄が襲撃された保須市。確かヒーロー殺しは同じ地域で複数のヒーローを襲ってから場所を変えている」

 

「兄が居た場所を守りたいからならまだ良いけど」

 

「そうじゃねえなら捕まえてやろうとでも考えているのか?」

 

 兄の無念を晴らすことが目的ならありえますが。

 

「復讐とか?らしからぬ行動だと思うけど」

 

「完全上位互換な兄が負けた相手にか?正気じゃねえ判断だろ」

 

「でもありえない話ではないかと」

 

 貼り付けた表情に隠した激情。あの眼には前世にて覚えがあるのだ。

 多くの、それこそ数え切れない人々が天竜人に向けていた眼差し。

 

「いや轟君の件以上にどうにもできないよ」

 

 僕はリカバリーガールと北海道に行く予定だし、と申し訳なさそうに物間君は告げる。

 

「その場にいたらフォローもできるが、体育祭と違って全員バラバラだからな。マニュアルからは誰も指名ねえしよ」

 

 仮にあっても飯田君が拒みそうですよね。

 

「いっそ先生方に頼みますか?」

 

 今回の職場体験を見送ってもらえばなんとか。

 

「あくまで予想だから無理でしょ」

 

「まだ何もしてねえしな」

 

「なんですよね」

 

 先生方や指名先のヒーローであるマニュアルさんも気付いて気にしそうですしね。

 

「それに君は飯田君の何を止めたいのさ」

 

「やるかわからねえ復讐そのものか?復讐しようとして返り討ちにされる可能性か?復讐成功しちまった後のことか?」

 

 復讐を無理に止めたら彼の心は澱み。

 彼が復讐しようとしたら返り討ちで命を落とす可能性が高い。

 とはいえ私自身がステイン自体を知らないから被害からしか実力を測りようがない、雄英高校一年の中でも実力者である飯田君ならなんとかできるかもしれない。だがなんとかしても復讐で命を奪えば彼の人生はお終いになる。

 

「難しいですね。復讐しようとした人々を返り討ちにした記憶ばかりでどうしたら良いかまるでわからない」

 

「「そういやぁソッチ側だったよコイツ」」

 

「あえて望みを言うなら、職場体験後も飯田君と同じクラスで学びたいですかね」

 

 そうするためには、飯田君が復讐心に区切りをつけてヒーロー殺しが逮捕される必要がある。

 うん、無理ですね。

 飯田君がヒーロー殺しと遭遇したらあらゆる意味で終わってしまい、ヒーロー殺しが飯田君の居ない場所で捕まれば区切りをつけれない。

 都合よく駆けつけるヒーローがいないとそんなこと無理です、期待するにはあまりにもありえない可能性だ。

 その場に私は居れませんし。

 

「まあ気にかけておくさ」

 

「リカバリーガールにも保須市に行けるようお願いしとけば命さえあればなんとか」

 

 それぐらいしかできませんよね。

 全てが予想でしかありませんが、ヴィラン襲撃事件もあって不安ですね。

 話も終わり私達は帰路につきました。

 ただ私はこの後思い出すことになります。

 かつてどこかで聞いた、

 

『ありえないことはありえない』

 

 という言葉を。

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