爆豪勝己のサイドキックは元CP0   作:規律式足

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第3話

 

 ヒーローとは何か。

 ヒーロー溢れる世界だからこそ私はそれを考えてしまうのだろう。

 私にとってヒーローとは不自由な職業に見える。

 あそこまで規制が多く割に合わない仕事はないのではないだろうか?

 収入という点では魅力がある。

 トップヒーローの年収、特にアメリカのヒーローなどはまさしくセレブだ。

 その豪勢な生活は庶民の憧れだろう。

 天竜人には大分劣るモノだろうが。

 だが日本だとそれは当てはまらない。

 収入という点では劣らない、だがなんというかこの国の国民はヒーローに理想を押し付け過ぎなような気がする。

 清貧を尊ぶ気質なのか、ヒーローが羽目を外した行動などの、いわゆるヒーローらしからぬ行動に対する当たりが世界でも類を見ない程に厳しいのだ。

 日本を代表するナンバーワンヒーローであるオールマイトが多額の寄付を行う篤志家であることも理由の一つかも知れない。

 ヒーロー育成機関の最大手である雄英高校を主席で卒業した新人ヒーローが、得た収入で最新スポーツカーを購入した時などテレビに取り上げられる程に大炎上したものだ。

 前世の海軍とてそこまでは厳しくはないだろう、もっとも何よりも強くあることが第一である彼らに王侯貴族のような生活を望む者は極少数だったが、いやあれは地位が上がる程に見えてしまう天竜人の振る舞いに嫌悪を抱いていただけかもしれないな。

 相手を生きたまま捕縛せねばならず、周囲に叩かれるような行動言動ができず、犠牲者などを出してはいけない、好きなように生活できない、なんとも不便な職業だと思う。警察という極めて優れた手本があってもこれは厳しい。

 とはいえソレを目指すのは確定事項。

 私は自らの誓いとして我がヒーローである爆豪勝己のサイドキックとなろう。

 しかしクレープ生地とハバネロソースの相性は絶妙、あえてソースのみにしたが柔らかく甘い薄皮と刺激的な辛味と旨味の醸し出すハーモニーが素晴らしい、ボスの分以外も買って正解だったな。

 購入したクレープに舌鼓を打ち満足していると、夕暮れの町並みに騒ぎが起きる。

 

 BOM!!

 

 爆発音、ボスの個性か?

 この世界は便利である反面火事や爆発など起こす要因に溢れている。ささいなことで起きる火花、容易く引火するガス、利便性の追求が身近に危険を散りばめている。さらに個性、さらにヴィランがその起爆剤となれば容易く被害は拡大する。

 

「行くか」

 

 野次馬は危険を伴い奨励されてない。

 だが行かねばならぬと勘が告げていた。

 

 

「ボスッ!!」

 

「遅えぞ来久っ!!」

 

 騒ぎの中心、そこにはヘドロ状のナニカに纏わりつかれた同級生がいた。確か隣のクラスの火炎の個性の使い手だったか?兄がいれば詳細が分かるのだが。そしてその周りに壊れた商店に手をこまねくヒーロー達、後ろの人達を庇うように立つボスの姿があった。

 

「ドロドロの実の能力者か?物理攻撃が効かないとは厄介な」

 

 ロギアに近いパラミシアだが攻撃性能という欠点があるな。

 

「前世と混同するなアホ、んでどう対処したソレは?」

 

 つい前世知識から引っ張りだしてしまう。そして参考にするつもりなのかその時のやり方を聞かれるが。

 

「海に吹き飛ばして溺死させました」

 

「出来るかっ!!」

 

 いやだって自分暗殺者で、相手海賊で、能力者で、周りが海で、その方が楽だったわけですし。

 

「ボス、ヒーローがいますし、個性も救出向けではありません。下がるべきかと」

 

 瓦礫を払うぐらいなら許されるだろうがこれ以上の介入は問題になる。

 

「うるせえ、誰かを助けるのに資格なんて知るかっ!!できるからやって、できないからやらないなんてヒーローじゃねえっ!!ただの合理主義者だろうがっ!!」

 

 全くこの人は。

 いやだからこそか。

 それでこそ爆豪勝己だ。

 

「手を貸せ来久、人助けだ」

 

「お供いたします、マイヒーロー」

 

 そうボスと共にヘドロヴィランに纏わりつかれた人に向かおうとすると、

 

「うあああっ!!」

 

 と情けない声を上げてヴィランに荷物をぶちまける兄がいた。

 

「兄さんっ!!」

 

「あの馬鹿っ!!」

 

 ヴィランの注意を引けたのは一瞬、すぐさま炎が兄に向けて襲いかかる。

 

 BOM!!

 

 それを爆破で防ぐのが我がボスで、鉄塊にて破片を防ぐのが私だ。

 

「何してんだボケデクッ!!止まってんじゃねえっ!!」

 

「?!」

 

 ボスの怒声に怯む兄だが、サイドキックとしてすかさず言葉足らずなボスをフォローする。

 

「一歩踏み出したら止まるな、その勇気のまま駆け抜けろっ!!とボスは言ってますよ兄さん」

 

「言ってねえだろっ!!」

 

 全くボスは照れ屋だ。

 

「その衝動のまま突き進んでください兄さん。未来のナンバー1ヒーローとそのサイドキックが露払いを引き受けます」

 

「うんっ!!」

 

 背を押された兄は駆け出す、その姿は正しくヒーローに見えた。

 

「ケッ、余計なことを」

 

「親友が踏み出せたことを喜んでいますよねボス」

 

「チッ」

 

 素直ではないボスを見ながら兄のフォローを二人でする、兄のヒーローとしての道を。

 すると先程から群衆から感じていた視線の気配が突如強まった、まるで増大するかのように。

 視線を送り誰だか確認すれば納得した。

 なるほどアレが。

 

「ボスの踏み台ですか」

 

 現ナンバー1 平和の象徴 オールマイト。

 

「んな風に言うのはお前だけだ」

 

 しかし予想程の実力ではないな。

 感覚的に億超え海賊以上の実力だが、ロックス海賊団の幹部格程ではない。

 弱体化しているのか?原因は加齢に怪我か?

 膨れ上がった肉体にてヘドロヴィランを吹き飛ばし、兄たちを助け出し、天候すら変えたヒーローを見ながら私はそう思った。

 

 その後のことだが、ヘドロヴィランの残骸はヒーロー達に回収された、こういったこともヒーローの役目ならボスと共に工事現場のバイトをすべきかな?

 私達の無謀な行動に説教されるかと思ったら、一人ずつデステゴロに拳骨を落とされそれですんだ、私達の行動は間違いだが誰よりもヒーローだったと。

 ボスと私に至っては称賛されヒーローからサイドキックにとスカウトされるが、

 

「テメェらの下にはつかねえよ」

 

 と喧嘩を売るように返す、全くボスは。

 

「皆様方を乗り越えるべき先達として見ています、ゆえに高い壁として其処にあってくださいと、ボスは言っています」

 

「「「言ってないよっ!!」」」

  

 さてボスにクレープを一つ渡して、私は兄を追う。

 礼こそ言われたがまだ消沈しているかもしれない。

 追いかけるとそこには、兄から走り去っていくヘドロヴィランに纏わりつかれた同級生。思い出した彼は個性こそ優秀だが学力面で雄英高校を断念せざる得なかったんだ、だからこそ無個性なのに学力で受かれそうな兄に絡んでいたのか。

 そんなことを考えていたら、兄は兄でオールマイトととんでも話を始めていた。いやオールマイトの秘密知ってしまったのですが。

 

「あの、お二人さん?」

 

「誰だいっ?!」

 

「来久っ?!」

 

 振り返る二人に諭すように告げる。

 

「水を差して悪いですが、そういった話は天下の往来ではなく、人気のないとこでしません?」

 

「「ハッ?!」」

 

 今気づいたんですね。

 

「あの来久、このことは……」

 

「誰かに話すつもりはありません。けど知った以上は兄さんに協力しますよ。一人で抱え込むことは辛いでしょうし、それと」

 

 秘密は守る、けどそれに身内が潰れて欲しくはないのだ。

 

「ヒーローでしたよ兄さん。ボスには負けますがね」

 

 そう言って私は去ったのだった。

 

 

 

 

「んでどうだったよデク」

 

 心配してくれることは嬉しいがオールマイトの件は話せないな、かといって嘘はバレるし。

 

「骨みたいな男性に声をかけられてました」

 

「助けるかヒーローを呼んでやれ」

 

「兄さんも嬉しそうでした」

 

「今後の付き合い方を悩む情報だなオイ」

 

「クレープを渡したので二人で食べるそうです」

 

「仲良くデートか?」

 

「むしろ密会かと」

 

「弟なんだ、今後は優しくしてやれよ」

 

 嘘をつかずに真実だけで誤魔化したけどなんかやらかしたような。

 

 

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