爆豪勝己のサイドキックは元CP0   作:規律式足

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第7話

 

 なるほど一見分かりにくいが体術に特化したヒーローですか。

 相澤消太と言う担任教師。無精髭の目立つくたびれた外見なれどその実力は高い。私を除いた生徒全てを相手取っても勝てる実力があるだろう。まあボスなら食い下がるたろうが。

 指示に従い体操服に着替えてグラウンドに出れば、個性把握テストを行うそうだ。行事より指導を優先するとは見た目によらず熱心な先生なのだろう。

 やることは中学でもやっていた体力テスト8種目、個性禁止で行われていたソレに自分の個性を用いてやれとのことだ。

 ソレ、私には関係ないですね。

 中学時代も六式と覇気を使ってないのに世界記録を連発してたのですが。

 当時のことを思い出したのかボスと兄も微妙な顔してこっち見てますけど。

 説明後に手本としてソフトボール投げをやるよう指示されたボス。なるほど爆破とボール投げは使い方として分かりやすい例ですね。

 死ねえ!!という掛け声と共に飛んでゆくボール。

 

「過去の在り方よ死んで新しく生まれ変われ、とボスは言っています」

 

「「「言ってないよね?」」」

 

「単なる掛け声だよ、かっちゃん口悪いし」

 

 派手な音と記録に盛り上がる生徒達。誰かが呟いた面白そうという言葉はそれだけ個性を自由に使えないことを示しているのだろう(そしてそのルールをきちんと守っていたことを)。私にはいまいち理解できない感覚なのだが、どうやらその言葉が相澤先生のナニカに響いてしまったようだ。

 

「トータル成績最下位の者には見込み無しと判断し除籍処分としよう」

 

 ずいぶんと厳しいいやそれだけ真摯なのだろうな、この先生は。ヒーローになる、その行為について。生徒達の一生を左右するものだと彼は理解しているのだろう。

 いや記録だすだけなら余裕なんですが。

 てっきり実技試験の件から私個人にルールでも設けられると推察していたが、そのようなことは一切無くテストは始まった。

 初日でしかも除籍なんて理不尽な話だ。

 だが自然災害、大事故、身勝手な敵、厄災もまたそれ以上に理不尽だ(天竜人よりはマシだが)そしてそれを乗り越えるのがヒーローであり、ここはそれらの育成機関、だからこそ雄英は苦難を与え続けると言う。ちなみに兄よ、苦難のくだりでジト目でこっちを見るのなんででしょうか?貴方にしたのは軽く乗り越えられる程度の苦難でしょうに。

 まあ苦難ではあるがボスと兄は心配ないだろう。ボスはもともと実力高く、ワンフォーオールを低出力で全身に巡らした兄の身体能力はかなりのもの。悪い記録にはならないだろう。だが、

 

「あの実技試験を突破し、学力も最高峰な生徒達をなぜ落とすのか?」

 

「どうしたんだい来久君?」

 

「相澤先生の見たいものが気になってね」

 

 実力十分なら、あとはその場に合わせる使い方の発想力か?

 いやもっと根本的なヒーローとしての思想かも知れないな。だとすれば私が一番ヤバいのだがな。

 五十メートル走を零秒近くでクリアしながも思考を続けてしまう。

 

「いや今一瞬だった?」

 

「ワープなのか?」

  

 剃を使うとこうなりますよね、視界に入る距離なら一瞬で移動できますし。

 素の身体能力でも十分でしょうが、やれることはやるとしましょうか。

 握力は素の力で上回り、立ち幅跳びは月歩、反復横跳びも素の力で技を使うと外れそうですから。このままだと最下位は峰田実君(ベリベリの実の能力者でしょうか?)ですね。そのなんというか個性応用関係無く、足の短さが記録にモロに影響でてますよ。せっかく反復横跳びで私の次の記録なのに。それでも個性の補正の得られない透明なだけの女生徒(スケスケの実の能力者のようですね)より下なので仕方ないでしょうが。

 

「あの身体能力増強がデクの個性か?」

 

 種目がボール投げになった辺りでボスからそう問われました。ワンフォーオールについては秘密にしてくれとオールマイトに頼まれているので、そうだと誤魔化します、あまりボスに嘘はつきたくないのですが。

 

「出力自体はまだ上がりますが、肉体が自壊しかねないのでアレくらいに抑えてます」

 

「本当、幼馴染がオッサンとベーコンレタスな密会ではなく個性修業してて一安心だよ」

 

 まだ疑ってたんですね、いやそういう風に聞こえてもおかしくなかった言い方でしたが。

 

「ヒーローの個人特訓など話題になってしまうので黙ってました、すいません」

 

「いいさ、発動に条件つきな個性なんてザラだ。発現に時間のかかる個性くらいあるだろうよ」

 

 悪魔の実なら感覚で扱えるようになるそうですが、中に宿っているらしい悪魔の力ですかね。

 ボスも兄の個性についても受け入れてくれたようでホッとしますね、それよりもベーコンレタスの方が重要だった気もしますが。

 

「暴走なり自壊するなら見込み無し扱いだろうが、使えるようになったばかりの筈がその様子もねえ。ならアイツは大丈夫だろうよ」

 

「他の方も問題あるようには見えませんが」

 

 とはいえ普通科との入れ替え制もあると聞く、除籍についてはありうることだろう。

 

「お前も鍛えてはいるしな」

 

「ナンバー1ヒーローのサイドキックが弱いわけにはいきませんから。ようやく前世の7割くらいにはなりましたよ」

 

 戦いこそしてはいないが六式と覇気の修練は気狂い扱いされる程に積んでいる、それで成長できているのは体質を受け継いでいるからだろう。最近では身体の中心に縦に一本傷、エドワード・ニューゲートの大薙刀での止めの一撃の痕が浮き出ているんですよね。本当に個性は謎だ、『前世』ではなく『転生』が正しいのかもしれないですね。

 さて種目が終わるほどに絶望かつ必死になる同級生に声もかけることができず、ただこなす。自分はトップだから声をかけても嫌味になってしまいますし。

 途中兄が異様に身体が柔らかいことに驚かれたので私が説明する。

 

「身体の柔らかさは運動において最重要です、だから兄さんにはそれを重点的にしました」

 

 硬いと激しい動きで負傷しやすいため、柔軟であればある程良い。紙絵を見せたらドン引かれましたが。

 

「そして兄はヒーローに触れたらぐにゃぐにゃになるほどのヒーロー好き、なので柔軟体操でヒーローに補助してもらえばたった十ヶ月であの通り」

 

 オールマイトとの密着柔軟、鼻血出しながらやってましたね兄さん。

 

「なあよお?」

 

 すると密着に反応した一人の漢。名を峰田実が鼻息荒く声をかけてきた。

 

「それは女だよな、女ヒーローだよなあ?」

 

 ああ女性にやられたら普通は喜ぶのですよね。というか貴方は現在最下位ですが大丈夫ですか?

 

「五十代の大ベテラン男性ヒーローです」

 

「ド変態かっ!!」

 

 いや貴方もかなりのもの。

 聞かれたら答えたのですが何故かクラスメート達に兄が引かれてますね、本人もなんでだろ反応ですし。

 そんなくだりもありつつ全種目終了。

 中には身体能力に反映されないタイプもいるのにかなりの結果、やはり基礎スペックも高いな皆さん。

 精神的な問題も特に見受けられないが、本当に除籍するのだろうか?

 

「ちなみに除籍は嘘な、君らの最大限を引き出す合理的虚偽」

 

 相澤先生の言葉に叫ぶ生徒達、というか飯田君は眼鏡割れてますよ。

 峰田君も崩れ落ちてますが、大丈夫でしょうか?

 

「ただな、緑谷弟。お前はトップだったからどうこうはしないが少しは本気でやれ」

 

「どれくらいで壊れるか分からないものでして」

 

 前世とは人間そのものの強度が違う、試してみるわけにはいかないためどうしてもな。覇気を使わない理由もソレですし。

 見聞色の覇気を前世より磨くべきかも知れない、未来は多少見れるが、極まれば物質の声すら聴こえるようになるという情報もあったし(もっともポーネグリフの存在ゆえ体得してたら始末されただろうが)

 

「サポート科に話を通してやるからそこで試せ。俺はお前の在り方を否定はしないが、教育者として勿体ないとは思っている」

 

 私自身がヒーローとして在れ、ですか。

 抵抗ありますね、海軍を知る身としては。

 

「以上解散だ」

 

 初日から濃かったですね。

 ただ結果はだせましたし、兄の成長も確認できました。良い始まりなのでしょう。

 終了後は兄と別れ、ボスと帰路につく。

 一緒でも良かったが、飯田君や麗日さんと良き友人関係になれそうで良かった。

 中学時代などボスが目を光らせていてもイジメにあって遠巻きにされてましたからね。

 

「相澤先生の言葉には一理ある」

 

 ボス?

 

「テメェの道があるならそうしていいんだぜ?」

 

 挑発するように笑っていますが、どう答えるか分かっているでしょうに。

 

「貴方の後ろを支えるのが私の道ですよ」

 

 これは依存かも知れない、けれど引かれた手を私は手放したくないのだから。

 

 未来のナンバー1ヒーローのサイドキック、それが進む道なのだ。

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