私がなにかの手違いで転生してしまったことに気づいて約5年の月日がすぎた。
え、この呪い強くね?
言語障害と、感情障害があまりにも強すぎた。おかしいよこいつら...(震え)。だってよろしくお願いします!って言おうと思っても勝手に口が
「人と関わるつもりはないが...ふん、よろしくしといてやる」
ってなるんだよ!?あまりに理不尽だ!!感情で笑顔浮かべることも出来ないから修正できないし...初対面絶対殺すマンみたいになっちゃった。ちなみに無理やり笑顔を浮かべようとしたら、悪役のニィって感じにしかならないし、ほかの表情は蔑みか無表情しかできない。
辛すぎる....
虚弱体質や味覚障害も地味にめんどくさいし怠い...。まぁどんだけ愚痴っても変わらないもんは変わらない。じゃあここで、この数年でわかったことを伝えよう。
ここは、地球という世界の日本ってとこで、現在2080年の生まれたての星らしい。しかしこの星は歳の割に発達している。そしてなんと驚きの事実が発覚した。
人間と動物しかいないのだ。
魔族もエルフも吸血鬼もなにもかもいないのだ。竜が空を飛んでいないし、吸血鬼による事件も起きていない。そしてなにより、ヒューマンがいない。
ヒューマンという種族と人間という種族は元の種族は同じで、容姿さえ似ているが別の種族である。ヒューマンとはスキルという独自の技術を駆使し、戦ってきた種族であるのに対し、人間は戦うことを恐れ、少数で群れを作りあまり表に出てこない脆弱な種族であった。
しかしこの世界ではヒューマンが1人も見当たらないどころか、約170億程もいるらしい!
いや増えすぎだろ...これには元神として生物の管理などもしたこともある初瀬はドン引きであった。いったいここの神はなにをしているのやら...
そして何よりこの世界では、2040年頃に魔法という技術が急激に進歩したという。おとぎ話だとして笑われていた物はいつの間にか日常となり、活躍してきた。そこで2059年に人類はやっとスキルという技術を手に入れたらしい。つまり、事実上ヒューマンになったということだ。亜種のようなものだが。今じゃ魔法とスキル、科学が入り乱れる状態になったらしい。
そして人類は急激に進歩した。
これが主なこの世界の歴史だ。今じゃスキルと魔法が使えるやつが優遇される世界らしい。
ここらで私の視点に戻ろう。私の前には子供の前でイチャつく美男美女がいる。さすがにこいつらイチャイチャしすぎだろ、さっさと仕事しろと思う、がなんと私の家は凄い名家らしい。へーごいす。
日本の中でもスキル・魔法合同分野で100位に入るらしい。
いやそこは5本指くらいに入っとけよとは思うが、文句は言えないだろう。
しかしそんな我が家にも誇れる?ものがある。それは、スキルや魔法に頼らない暗殺技術だ。我が家、初瀬家はもともと国のために暗殺業を営んでいた。スキルや魔法に頼らない純粋な暗殺技術では我々初瀬家が一強だったらしい。しかし、スキル・魔法がこの世に台頭するようになってからはその力も落ち、没落すると思われていた。が、初瀬家も負けじとスキル・魔法を身につけていき、時代に適応していった。
そして初瀬家は日本一の暗殺家に返り咲いた。
.....え、怖。純粋に夜見は自分の親が暗殺業を嗜んでいると聞いて恐怖した。絶対に自分はそんな職継ぎたくないな...日本一も今代で終了か...そういえばあともうちょっとで誕生日だな!なにがあるかな!この親は自分にとことん甘いため、毎年の誕生日プレゼントは楽しみにしているのだ。
ーーーー
Side初瀬祇園(ハツセギオン)
我が娘はつくづく化け物だな...と俺は夜見を見つめた。歳不相応の知恵、理解、何より底の見えない潜在能力...夜見が天才、という括りでは収まらない才能をギオンは持っているのを知っていた。
それは2年前に遡る...
我が家はその生業上、様々なところで恨みをかっているのは知っていた。ある日、俺らが外出中に自宅に侵入者が出たと報告を受け、俺と妻は全速力で家へ駆け込んだ。
しかし報告から既に20分以上はたっている。厳重な我が家に侵入を許すようなやり手が家の者を皆殺しにするには十分な時間だった。
妻は涙ぐみ、俺は悲しみをうちの中にしまい込み、家の扉を開けた。
その時、俺は見た。
背中からおとぎ話の竜のような翼が生え、死体の上に座り込む娘の姿を。
結局その後、娘は何も無かったかのようにいつもの無機質な表情、声でおかえりと告げた。俺たちは一瞬の沈黙の後、ただ、いまと告げることが精一杯だった。
それから3年後...
「夜見、お前には暗殺業を継いでもらう。」
俺は娘に1番言いたくないことを告げていた。確かに俺たちは暗殺を生業としてきた一族だ。しかし、俺らは人間だ。人を殺せば苦しいし、仕事がとても怖い。辞めてしまおうと何度も思った。
要するにそんなことを娘にさせたくないのだ。
俺らはまだまだ続けられるから、お前は1人の人間として幸せになってくれ、そう伝えるつもりだった。
しかし娘の力を見てからはその考えは変わった。人は、大きな力を恐れるものだ。自分の娘が強大な力を持つことを政府が知ったら、あいつらはきっと殺しにくるだろう。従わないのなら殺すと。だから...
「こんなことを頼みたくは無いのだ!夜見、暗殺者になって政府の犬になってくれ!そうしないと、あいつらはお前を殺しにくるだろう。でもきっと夜見はそいつらを返り討ちにできる。けど....誰かから追われる生活なんて苦しいだけだ。お前には幸せに生きて欲しいんだ!誰かに縛られる偽りの幸せだったとしても!だから.....父の最後のお願いだ...暗殺者になってくれ。」
気づいたら涙が溢れていた。なんて情けない父親だろうか。娘を運命から助けられないだなんて。
ーーーーー
Side夜見
え、なんで泣いてるんだ父...。私別に継ぐと面倒くさそうだし、できればやりたくなな〜くらいだったんだけど...そんなやれって言われたら普通にやるけど。
てか父そんなに大事だったんだ私の事。たしか数年前に龍のスキル使ったの見られて化け物だというのはバレてたはずなのに。
まあ、大切だと言われて悪い気になるわけもなく、夜見は口を開き
「やるよ、暗殺者。幸せというものはよく分からないけど、縛られたってのが実にいい。そして別に期待していなかったもの。」
おい!!!どうなってんだ私の口!
お父さん!私のこと大切に思ってくれてありがとう。幸せってのは分からないけど、きっとこのことだと思う。だからやらせて!
だろ、おバカ!
ほら、お父さんめっちゃ顔俯いてんじゃん!もう最悪だよ...。
慰めるの面倒くさそう...と他人事のように思っていると、お父さんは懐から何やら高級そうな箱を取り出した。
「誕生日おめでとう...夜見。こんな形で申し訳ないが受け取ってはくれないか?」
来たァァ!!!やっぱお父さん最高!まじで好き!前回はロールケーキだったから今回はなんだろ?とワクワクしながら開けたその箱の中には....
金と銀の対になっている少し大きめのクナイが置かれていた。
..................は?
いや、え?さっきまで泣いてたのなんだったの?絶対暗殺者なるの確定で持ってきたじゃん。
あーあ、甘いもの期待してたのに。残念だよお父さん。
まぁせっかく貰ったからには使うけどさ、さすがにセンスってもんが...ないわー。ま、このクナイもよく見ればあの親友と幼なじみを思い出すような色をしてていいな...うん、気に入った(手のひら返し)
「ありがとう...ございます、父さん」
意外と綺麗だね〜などと思いながら器用にクナイを回す夜見だった。
お気に入り、感想お待ちしております