伝説を塗り替える為に   作:syunin

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 ハルクの変身が観れると言ってた人、ごめん。
 今回も説明回なんです。
 アベンジャーズって見直すと結構会話の場面が多いんですよね。
 前知識ない人向けなのかな。
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自分

 

 「数値はセルヴィグが調べた四次元キューブの値と一致している。だが演算に何週間もかかるぞ」

 

 「メインフレームすっ飛ばしてクラスタに直結すれば、スピードアップできるだろう、っと。やあお帰りユースケ。最新機器での検査の具合は?」

 

 「ケツの穴の皺まで調べるのがアメリカ流か?最悪の気分だよ」

 

 空飛ぶ空母、その研究室に俺とスタークとバナー博士は居た。

 

 「もしかしたらケツの穴の皺の数と張り巡らされた(・・・・・・・)神経(・・)に類似点があるかもしれないぞ。バナー博士、データを送るよ」

 

 「有難う、それでは……これは、なんとも」

 

 スタークとバナー博士と一緒に、検査結果を見る。

 

 「僕は検査の直前に聞かされたが、こりゃすごいな。いったいどうすればこうなるんだ?」

 

 「腹部の物体から全身に神経が伸びている。これが例の?」

 

 「ああ、霊石アマダムと戦闘神経だ」

 

 霊石アマダム(天飛)

 アークルと言う古代リント族が開発した戦闘用強化装具は、西暦2000年のあの時、俺の体内に吸収された時から変わらずあり続けている。

 いや、変わらず、と言うわけではないか。

 

 「前回の検査の時より、少し伸びているな……それに神経との同化も進んでいる」

 

 「断言しよう。ユースケ、これを外すのは現代科学では無理だ」

 

 バナー博士の言葉に、解り切っていたとはいえ少し落胆する。

 

 「だよな……なあスターク、これを取り外す発明とかできないのか?」

 

 「我がスターク社の手にかかれば……と言いたい所だが、少し難しいな」

 

 「それじゃあ、異星の技術にでも賭けてみるかね」

 

 「おいおい、スターク社の技術力を舐めるなよ。いや、もう僕自ら数年後には……いや数十年……」

 

 「そうかい。じゃあ期待して待っているよ」

 

 スタークの言葉に笑いながら俺が答えた。

 まあ、数十年も俺がもっているとは思えないが。

 

 「やれやれ、すぐに帰れると思ったが、これは厳しそうだ」

 

 「それなら、ロキの件が片付いたら二人でスタークタワーを見に来てくれ。上10階は、全部ラボだ」

 

 バナー博士の言葉にスタークが返す。

 

 「夢の国だ、そこなら紫の騎士くんについてももっと詳しく調べられる」

 

 「有難う。でもこの前ニューヨークへ行った時はちょっとハーレムを……壊しちゃって」

 

 「なら、ストレスのない環境を、約束するよ。ドッキリもなし」

 

 バチリ

 

 「ぐわぁ!?」

 

 「おい!」

 

 スタークがバナー博士を何か金属の棒でつつき、小さな雷撃音と共にバナー博士が呻く。

 それとロジャースが入室してきたのは同時だった。

 

 「変化なし?」

 

 「気は確かか!」

 

 スタークのおどけるような言葉に、ロジャースは声を荒げる。

 

 「どうかな。すごいねぇ、怒りを抑える秘訣は?メロウジャズ?ボンゴ?クスリ?」

 

 「なんでもジョークにするのか」

 

 「おもしろきゃね」

 

 軽薄に見えるスタークの態度に、ロジャースは少し怒気を上げる。

 

 「皆の命を危険にさらして何が面白い!」

 

 「ロジャース?」

 

 たまらず俺が声を上げた。

 本人の目の前ではよしてあげて欲しいと思う。

 

 「……失礼、博士」

 

 「良いんだ、つつかれたぐらい平気だ……じゃなきゃ、ここには来ないよ」

 

 「そうびくびくしないで、ゆったり構えろ」

 

 「いいから君は自分の仕事をしてろ」

 

 「してるさ」

 

 スタークはこの期に及んでおちゃらけている様子を隠さない……(いな)だ。

 

 この男は道化(・・・・・・)を演じている(・・・・・・)

 

 「ユースケ、君もだ。……いやまて、どうして君は研究室に?」

 

 「ああ、それについてなんだが……」

 

 「そうだ」

 

 俺が説明する前に、スタークが答える。

 

 「そもそも何故ユースケが、いやなぜ今、我々を呼んだ?」

 

 やはり、か。

 スタークはS.H.I.E.L.D.に探りを入れている。

 

 「何を企んでいる?情報がそろわなきゃ答えがでない」

 

 「何か隠してると?」

 

 「奴はスパイだ、秘密諜報員だぞ。何か裏がある」

 

 そう言い、スタークはバナー博士に目を向ける。

 

 「彼も不安になっている」

 

 「あー……僕はただ、仕事を終わらせたいだけで……」

 

 「博士?」

 

 歯切れの悪いバナー博士に、ロジャースが問いかける。

 少しの沈黙の後に、バナー博士は口を開いた。

 

 「……全人類を照らし温めるって、キューブの使い方を馬鹿にしてたが」

 

 「ロキがな」

 

 「あれは君の事だね」

 

 そう言って、スタークの方を見るバナー博士。

 うまく話をそらしたな……不和を生まないために、か?

 

 「ロキはタワーの事を知ってたんだろう、ニュースでも大騒ぎだったから」

 

 「スタークタワーか、あの品のない……」

 

 ロジャースの言葉に眉を顰めるスターク。

 ロジャースは正直者だな、そこが長所であり短所なのだろう。

 

 「ニューヨークのビルか」

 

 「あのビルは、アークリアクターが動力源なんだろ。あれでどのくらい持つ、一年か?」

 

 アークリアクター。

 プラズマ技術を用いた半永久発電装置。

 開発されたのは昔にニュースで見たが、実用化されていたのか。

 

 「まだ試作段階。クリーンエネルギーを開発してるんだよ、うちが最先端」

 

 「なのにS.H.I.E.L.D.は、彼をキューブのプロジェクトに入れなかった。そもそも何故S.H.I.E.L.D.がエネルギービジネスを?」

 

 「その辺調べてみたいね。S.H.I.E.L.D.の機密データを上手くハッキングできたらだが」

 

 「今なんて……」

 

 「実はジャーヴィスがずっと探ってるんだ。後数時間で、S.H.I.E.L.D.の企みが明らかになる」

 

 食うか?とスタークが差し出す菓子袋に目もくれずにロジャースは言う。

 

 「だからS.H.I.E.L.D.は君を敬遠するのか」

 

 「高い知能を煙たがる組織なんて歴史的にみても、碌なものじゃない」

 

 「ロキは我々を煽ってるんだ、戦争を前にこちらが仲間割れをすれば思う壺だぞ」

 

 ロジャースとスタークの口論がヒートアップしていく。

 

 「我々は使命を、全うすべきだ」

 

 「僕のスタイルじゃない」

 

 スタークの言葉を、ロジャースは鼻で笑った。

 

 「自分のスタイルが大事か」

 

 「この際、スタークのスタイルは置いておくとして、だ」

 

 これ以上口論が熱くなる前に、一つ釘を刺しておきたい事がある。

 

 「先程も述べたが、俺達に与えられた情報に差異があるのはロジャースもわかっているだろう」

 

 「勿論だ。だがそれは」

 

 「問題は然るべき相手に情報がない事(・・・・・・・・・・・)だと俺は考えている」

 

 俺の言葉に、ロジャースは黙り込む。

 

 「なあ、バナー博士。あんたは俺の身体の事(・・・・・・)を最初から聞かされていただろう」

 

 バナー博士は静かに頷く。

 

 「折角だ、ロジャースも覚えておいて欲しい。俺への報酬はこの身体中に張り巡らされた神経、そして腹の石ころを取り除いてもらう事だ」

 

 そう言いながら、俺は自分の身体の調査資料をロジャースに渡した。

 

 「これは……こんな身体で君は戦っていたのか!?」

 

 「違う。戦ったからこんな(・・・・・・・・)身体になったんだ(・・・・・・・・)

 

 そう吐き捨てる俺に、ロジャースは言葉が出ない様子だった。

 

 「ここで疑問点が一つ。スタークはこれ(・・)について知っていたのか?」

 

 「いや、何も聞かされていなかった」

 

 「スタークもロジャースも聞かされてないなら、これを知っているのは招集された中ではバナー博士だけの可能性が高い」

 

 それならば。

 

 「なぜ俺の報酬にバナー博士が選ばれた?バナー博士の専門は熱核物理学だ。いくら博士とはいえ最先端の研究をした医者には及ばないだろう」

 

 「抑止力、か」

 

 俺の問いに、バナー博士は静かに答えた。

 

 「僕がハルクになった時、君が止めるんだろう」

 

 「俺は半分正解だと思う」

 

 バナー博士の言葉に、俺が答える。

 

 「ハルクにとってはクウガが、そしてその神経が完全に定着し、生物兵器として完成したクウガへの抑止力としてハルクが選ばれた、と俺は推測した」

 

 俺の言葉に、ロジャースは息を呑む。

 

 「お互い、面倒な立場だな」

 

 「だね……やはり、僕も情報が必要だと思う」

 

 俺がそう言うと、バナー博士は少しうんざりした様子で言った。

 だが、それでもロジャースの意思は変わらないのは、彼の顔を見れば明らかだった。

 

 「だが、それでも……」

 

 「クイズ。この中で、ダサい服なのは誰でしょう、役立たずは誰でしょう」

 

 「そのコスチュームがダサいかは置いといてだ、彼等はしっかり働いているだろう?だが不信があるのは確かだ。ならそれを晴らせば、結果的に結束に繋がると俺は思うんだが」

 

 スタークの戯けた言葉に、俺がそう締め括った。

 

 「…………キューブを見つけろ」

 

 言外に"邪魔"と言われたロジャースは、ただそう言って研究室を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あれは探しに行ったな」

 

 「何を?」

 

 「何かをだよ(・・・・・)。物的証拠が有れば納得すると思ったのか、それとも自分の正義感からか」

 

 「成程、そういう風に誘導したのか?ユースケ」

 

 「別に?ただまあ、彼ならそうするかなって」

 

 「少し話しただけでもう理解者面か。騎士をやる前は何をやっていたんだ、占い師か?」

 

 「……こう見えて新米教師だったんだ」

 

 「君の授業は受けたくないね、なんか全て見透かされそうだ」

 

 スタークの言葉に思わず笑ってしまう。

 まあ誘導と言うには、彼は単純すぎた。

 

 「あいつ、うちの親父が探してたらしいんだ。氷漬けにしときゃよかったのに」

 

 「純粋なんだよ。如何にも兵士だな」

 

 スタークと俺の応酬に、バナー博士は苦笑いを浮かべた。

 

 「でも、彼の言う通りロキは、煽ってるんだ」

 

 「あんな奴自分で自分の爆弾にやられるのがオチさ。その時は見物したいね」

 

 「楽しんでくれ」

 

 「その時はゴウラムを貸してやるよ。……あいつ固定してないよな、寝相悪いんだよ」

 

 「あの大きなクワガタムシか?言われた通りに置いてあるよ。……寝相?」

 

 俺の言葉にスタークが首を傾げる。

 ゴウラムはああ見えて少し寝相が悪い。

 前も保管室で微妙に角度が変わったりしていた。

 固定されると満足に休ませられないかもしれないからな。

 

 「ところでバナー博士も、スーツ着て戦えば?」

 

 「知ってるだろ、僕はアーマーは着ない。剥き出しになるんだ…………まるで、悪夢だよ」

 

 その言葉に、スタークは端末を操作しながら、穏やかに言葉を返した。

 

 「実は、僕の身体には爆弾の破片があって、心臓に近づいてる。それを、止めてるのが」

 

 スタークが胸を指で叩くと、コツコツとやけに硬い音がなる。

 

 「このリアクターだ、僕の一部さ。アーマーじゃない……こっちも、命懸けでやってるんだ」

 

 「君はコントロールできるだろ」

 

 「訓練したからね」

 

 「僕は無理だ」

 

 スタークの言葉を、バナー博士はにべもなく切り捨てる。

 

 「なあ、君の事故の記事は読んだ。普通ならガンマ線で、死んでいただろう」

 

 「こう言いたいのか?ハルクは…………僕の命を救ったんだと。うまいね、感動的だ。……何の為に、救った?」

 

 「それを見つけろ」

 

 そう言うスタークだが、バナー博士は変わらない。

 

 「ろくな事じゃないかも」

 

 「さあな、ユースケはどう思う?」

 

 「俺に聞かれてもな。まあでも、少なくともハルクはバナー博士の事は守ってくれるんじゃないか?」

 

 「どうしてそう思う?」

 

 バナー博士がそう問いかけてくる。

 

 「どういう生まれ方をしたのかわからないが、ハルクはバナー博士の中にいるんだろう?少なくとも、自分の身体を壊しはしないだろう」

 

 「どうかな」

 

 「それに、まだ対話の余地はあるだろ?自分が自分でなくなる、怒りに呑まれる気持ちは俺にも分かる。だがバナー博士はバナー博士のままだ、そう悲観する事はない。地道にやっていけばいいさ」

 

 俺がそう返すと、バナー博士は少し考えた素振りを見せ、今度は俺に質問を投げかけてきた。

 

 「今度は、君の身体の事、聞いてもいいかい?」

 

 「それ僕も気になってた。日本人は自分の事を言いたがらないな、少しは自主的に会話に参加しろよ」

 

 「それ必要か?」

 

 「情報は大事だろ?自分の背中を任せるかもしれない人の事は、少しぐらい知っておきたいもんだ」

 

 そんなスタークの言葉に俺は少し考えたが、ここで俺の情報を開示しないのはフェアじゃないだろう。

 そう思って、素直に口を開いた。

 

 「元は俺も普通の人間だったよ。ただある日、奴等が現れた」

 

 「未確認生命体か」

 

 「遺跡を発掘した時らしくてね。どうやら厄介なモノを封印から解き放ってしまったみたいだった」

 

 「成程。…………遺跡発掘はよしといた方がいいのかな、ペッパーに相談してみるよ」

 

 「余程の不運がない限りああ(・・)はならないだろう」

 

 スタークの言葉に、苦笑しながら答えた。

 

 「解き放たれた奴らは、ゲゲル……ゲームとして、人を殺して回っていた」

 

 「典型的なサイコパスだね」

 

 「精神的なものもあるだろうが、奴らのそれはまるで儀式みたいだったって、知り合いの考古学者が言ってたよ」

 

 そう言って、俺は腹に手を当てる。

 

 「そいつらと同じ所で出土した、ベルト状の石の装飾物をはめた結果がこれさ。奴らと同じになって、後は君達の資料にあるだろう」 

 

 「ああ。……壮絶な戦いだったみたいだね」

 

 「まあな。そうして俺は最後の一体…………いや、最後の一人(・・・・・)を殺して、お仕舞いだ」

 

 俺の言葉へ、驚いた事にバナー博士は少し羨望の混じった目を向ける。

 

 「君は強いんだね」

 

 「ハルク程じゃないと思うぞ」

 

 「そうじゃない。…………君は、ちゃんと自分の行った事を罪として向き合っているんだ」

 

 バナー博士が言う。

 

 「僕は、全てをハルクの所為にし過ぎてたのかもしれないな」

 

 「あまり背負いこみすぎるのもどうかと思うぞ」

 

 バナー博士の言葉に、スタークが返す。

 

 「だが、僕も…………オバディアを、イワン・ヴァンコを殺した。その事から目を背けてたのかもしれない。彼等は悪人だった。だが、人だ。僕もしっかりと向き合っていかなきゃ、インセンに怒られるな」

 

 「あまり気負いすぎても潰れるぞ、俺も未だに夢に見る。……白い雪が、自分と、相手の血で染まる様を。死者と向き合うのもいいが、あまり入れ込むと死者に引っ張られる」

 

 スタークの言葉に、俺はそう返した。

 

 「さて、作業を進めるか。バナー博士、進捗は?」

 

 「ああ、今確認するよ」

 

 「ところで俺は何すればいいんだ?」

 

 「僕の対抗手段なのかもしれないのなら、この研究室にいればいいさ」

 

 「それに外に出ても外様は居辛いだろ?僕達なら、君の尻の皺まで知っている。ここでくつろいでてくれ」

 

 「そうか。…………有難う」

 

 バナー博士とスタークの言葉に甘えて、暫くは研究室でゆっくりすることにする。

 彼等も不器用ながら、俺の事を仲間として見てくれてるのだろうか。

 だとしたら、こんなに嬉しい事はない。

 

 

 

 

 

 だからこそ、少し心苦しい。

 俺の報酬が実現できないと分かった時の次善策(・・・)は、彼等が担う事になるのだから。

 





 次回、変身。
 クウガが、ハルクか、それとも。

 BLACK SUN全話視聴しました。
 ともかく、戦闘に文句のつけどころはないと思います。
 あと単純にブラックサンもシャドームーンもカッコ良すぎる。
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