伝説を塗り替える為に   作:syunin

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 遅れてすまん。
 そしてあまり話進まんでもっとすまん。
 評価お気に入りそして誤字報告圧倒的感謝。
 私の尻拭いをさせて大変申し訳ないですが、助かります。



変身

 

 「何をしてるんだ、スターク」

 

 「ああ、あんたにもその質問をしたかったとこだ」

 

 俺があまり二人の邪魔にならない様に研究室を物色している所に、フューリー長官が入室して来た。

 

 「四次元キューブの追跡はどうなった?」

 

 「ああやってますよ。今ガンマ線のサーチをかけているとこで、誤差800mまで絞り込める」

 

 「そうそう、だから慌てない。騒がない」

 

 長官の言葉に、バナー博士とスタークがそれぞれ返す。

 すると、突然スタークが大きな声を上げた。

 

 「試作モデルって何?」

 

 「おっ、見つかったのか」

 

 その声に俺が返すと、がしゃりと大きな音とが聞こえる。

 そこには、テーブルに何か大きなものを置いたロジャースがいた。

 

 「それはキューブの力を利用した兵器だ。悪いね、コンピューターが鈍くて」

 

 「我々はあらゆる面からデータを取っていただけだ。必ずしも軍事目的で」

 

 「ちょっと待ったニック」

 

 ロジャースの追及に先んじて答える長官に、スタークの声がかぶさる。

 

 「これはなんだ」

 

 そういって見せたパネルには、何かミサイルの様なものが映っていた。

 

 「小火器からミサイルまで……流石アメリカ」

 

 「世界は変わってない、昔と同じだな」

 

 俺の言葉に、ロジャースが続けた。

 

 「君は知っていたのか?」

 

 「ねぇ、ここから離れたほうがいいんじゃない?」

 

 バナー博士の言葉に、入室してきたロマノフが語り掛ける。

 

 隣にはソーもいた。

 

 「インドにいればこうはならなかったよな」

 

 「ロキに利用されるわよ」

 

 「君達はしないとでも?」

 

 ロマノフの言葉に、バナー博士は鼻で笑いながら答える。

 

 「私に誘われたから来たわけじゃないんでしょ?」

 

 「君がピリピリしたからって出ていく気はない。聞かせてくれ、何故S.H.I.E.L.D.はキューブを使って大量破壊兵器を作ろうとしている」

 

 ロマノフの言葉を無視して問いかけるバナー博士に、一拍おいて答えたのはやはり長官だった。

 

 「……彼の所為だ」

 

 そう言って指さされたのはソーだった。

 

 「俺?」

 

 少し困惑した様子でソーが聞き返す。

 

 「去年別の星からお客が来た。そいつの招いた戦いで、町一つが破壊された____宇宙にいるのは我々だけじゃない。そして思い知らされた、我々は無力だ」

 

 「この星との友好を願っている」

 

 ソーの言葉は確かに真実だろうが、この宇宙にいるのはソーだけではない事は皆わかっていた。

 

 「宇宙には君らだけではない。脅威も、君らだけではない。地球の存在ですらコントロールできていない我々が、山程いる宇宙の存在をコントロールできるとは思えない」

 

 「それ俺に向かって言ってる?」

 

 この中でコントロール出来ないのは、ハルクと(クウガ)の二人だ。

 多分俺達の事を指してるんだろう、しょうがないとはいえ、流石にムッとくる。

 

 「そうだろうな。そしてキューブもコントロール出来ない」

 

 「キューブを研究した事で、ロキとその仲間を呼び寄せたんだ。お前達は地球が高い次元での戦争手段を得たんだと知らしめたんだぞ!」

 

 「高い次元で?」

 

 ソーが段々と声を荒げていく。

 

 「そうさせたのは君らだ。武器が必要……」

 

 「核と同じだな、それを抑止力にしようってのか。敢えてユースケの前で言うぞ、このままじゃヒロシマやナガサキの悲劇を繰り返すだけだ。なあユースケ」

 

 「まあな。それが宇宙にだけ向けられるなら良いんだが」

 

 長官の言葉を遮る様に言うスターク。

 何時だって人間の敵は人間だった。

 友好的じゃない外星人が現れたって、人間が皆一致団結とはいかないだろう。

 そんな想いを込めた俺の言葉に、長官は食い気味に応えた。

 

 「スターク、武器商人だった君がよく言うな。そしてユースケ、はっきり言わせてもらうが君には関係の無い話だ」

 

 「おい待て、何故僕の話に?それにユースケだって一緒に戦うんだろ。何故彼を省く」

 

 「俺がS.H.I.E.L.D.のメンバーじゃないからだろう」

 

 スタークの問いに答えるのは長官ではなく俺だ。

 

 「結局俺は外様な訳だ。必要な時だけ駆り出して肝心な情報には手出しさせない、流石は秘密工作員だな。…………お前俺の事を鉄砲玉だとでも思ってるのか?」

 

 俺の声のトーンも低くなる。

 

 「これはS.H.I.E.L.D.の話だ。君には関係ない」

 

 「既に戦闘に参加してるんだぞ?もうこの時点で俺も当事者だ。それとも俺が態々人里離れて隠居していた意味を知らずにここに呼んだのか?」

 

 段々ヒートアップしていく口論に、嘲りを含んだ声をあげるのはソーだった。

 

 「地球人はもっと知的なのかと思ったが、同じ地球人同士ですらこう(・・)なのか」

 

 「なんだと?なんなら君の星を吹っ飛ばしてやろうか」

 

 「守ってくれる者にその言い種か」

 

 「ほら見た事か。兵器を手に入れたら即座に恫喝、これが世界を守るって嘯くんだ。とんだ笑い話だろう」

 

 「ユースケ、黙っていろ。三度目は言いたくない」

 

 「我々はチームじゃなかったのか、ユースケも含めて」

 

 「なんで男って子供なの。S.H.I.E.L.D.は常に脅威を監視してる」

 

 「キャプテン・アメリカは監査役ってわけ?」

 

 「皆がそうよ」

 

 「俺は違うんじゃないのか?」

 

 「ソー、貴方にも関係無いだろう」

 

 「君も?____」

 

 「スターク!」

 

 長官が、ロジャースが、バナー博士が、スタークが、ロマノフが。

 そして俺も声を荒げ、口論になっている。

 その違和感(・・・)に、俺はまだ気づいていなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「輸送機6-6-Blabo、確認コードをお願いします。計画書にありません、積荷を申告してください。どうぞ」

 

 「武器と弾薬です。どうぞ」

 

 悪意は、もう既に迫っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「コントロールと言いつつ、戦争がしたいんだろ」

 

 「それが狙いだよ」

 

 ソーの嘲りに答えたのはバナー博士だ。

 

 「僕らがチームだって?とんでもない、薬品を無理矢理混ぜた様なもんだ。ある意味時限爆弾だ」

 

 「貴方は、引っ込んでいてくれ」

 

 バナー博士の言葉に長官が返すと、否を唱える者がいた。

 

 「なんでだよ、発散させてやれ」

 

 スタークの言葉だ。

 

 「なんでかわかってるだろ、黙っていろ」

 

 ロジャースがそう返す。

 

 「良いのか?そんな口聞いて」

 

 険悪なムードが深まっていく。

 

 「ああ、鎧を着た無敵の男。脱いだら何が残る」

 

 「天才金持ちプレイボーイ、博愛主義者」

 

 「君の十倍も価値がある人達を知っている。映像を見たが、君が本気で戦うのは自分の為だけだ」

 

 ロジャースの眉間に皺が寄る。

 

 「自分を犠牲にできる人間じゃない。仲間の為に鉄条網に身を投げられるか!」

 

 「僕なら鉄条網を切る」

 

 スタークの答えに、ロジャースは極めて真面目な顔で言う。

 

 「そうやって逃げる。君の様な奴がヒーローのフリをするのはやめた方がいい」

 

 「ヒーロー?君みたいな?君は実験室で生まれたんだ、その能力も何もかも他人が作った物だろ」

 

 「スーツを着ろ。勝負しようじゃないか」

 

 売り言葉に買い言葉、時限爆弾とは言わず、今すぐにでも起爆しそうな勢いだ。

 そして、明らかに見下した笑い声が響く。

 

 「ちっぽけな連中だな。……くだらない」

 

 ソーの言葉だった。

 

 「大したチームだよ」

 

 それは、バナー博士の口から溢れた言葉だ。

 

 「ロマノフ、バナー博士をお連れしろ、彼を____」

 

 「どこへ?部屋はロキに貸した。それともユースケの分もあるのか?」

 

 長官の言葉を、バナー博士が遮る様に言った。

 

 「いやあの檻は万が一……」

 

 「僕を殺す為のだろ、だが殺せない。自分でも試したんだ」

 

 それはバナー博士の悲痛の叫びの様だった。

 

 「落ち込んだ時、銃を口に咥え……」

 

 バナー博士が続ける。

 しかし、俺の耳には半分程度も入ってきていない。

 ここにきて、俺は漸く違和感に気づいたからだ。

 何故だ。

 何故俺はここにきて苛立っている。

 こんな簡単に怒りを露わにするなら、とっくに俺は成り果ててた(・・・・・・)はずだ。

 その疑問の答えは、即座に俺の頭の中を走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 黒い異形が戦っている。

 戦う相手の姿は見えない。

 だが、その異形は間違いなく何かと戦っていた。

 忘れもしない、その姿。

 だが一つ、俺にとっての最も大事な差異は。

 その異形の目が、黒く澱んでいる(・・・・・・・)事だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「バナー博士、その杖を置いて」

 

 ロジャースが穏やかに話す。

 俺が声を上げたのはその直後だった。

 

 「アークルのプロテクトかッ……!」

 

 気が付いたら、皆が俺を見ていた。

 

 「ユースケ、その腰のは何?」

 

 ロマノフが腰に下げた銃に手を置きながら答える。

 俺の腰には不可思議な文字____リントの古代文字____が記されたベルトが既に巻かれていた。

 機械音の様な、生体音の様な音が鳴り響いている。

 

 「このベルト、アークルの装着者が、すわその時に怒りに我を忘れない様……究極の闇(・・・・)をもたらさぬ為の警告が発せられる」

 

 俺の言葉に聞き入る面々。

 

 「発動条件は、怒りだ」

 

 その言葉にいち早く答えに至ったのは、長官だった。

 

 「…………マインドコントロールか」

 

 「何が原因か、そんな物わかりきっているだろう」

 

 「ロキの杖」

 

 俺の問いかけにロマノフが答えた。

 しかしそうなると、少しやばい状況じゃないか?

 俺が考えを巡らせていると、別の場所から電子音が鳴り響く。

 

 「ヒットした」

 

 その言葉に、バナー博士がデバイスに向かって歩き出す。

 

 「悪いね、僕の隠し芸はまた今度だ」

 

 バナー博士が語っていたのは、自分が平静を保つ秘訣だったか。

 是非ご教示願いたいが、ヒットした、と言うのは恐らく四次元キューブだろう。

 それにいち早く反応したのはソーだった。

 

 「キューブを見つけたのか」

 

 「僕が行くのが早い」

 

 すかさずスタークが声を上げる。

 

 「アスガルドの物だぞ、人間には扱えない」

 

 ソーが言った。

 四次元キューブってアスガルドの物だったのか。

 しかし、冷静に考えると非常に困るな。

 俺に与えられた情報が少な過ぎる。

 

 

 「一人では行かせないぞ」

 

 「止めるか?」

 

 「やる気か?こいよ!」

 

 「年寄りでも容赦しないぞ」

 

 「スーツを着ろッ……!」

 

 この期に及んで喧嘩を続ける二人。

 スタークとロジャースに至ってはもう話を聞いてないだろう。

 この場を諌める方法を考えていると、不意にバナー博士の呟きが耳に入る。

 

 「……これは拙い」

 

 どうやら嫌な予感は当たった様だ。

 瞬間、轟音と衝撃。

 俺の視界を炎が遮った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「長官、怪我は」

 

 「問題ない……助かった。君は」

 

 「ここでやられる様なら2000年にとっくに死んでる」

 

 「ならよかった。……ヒル!」

 

 寸前で、俺は長官をかばっていた。

 まあかばわなくても大きな傷には至らなかっただろうが、流石にこの状況で頭を失いたくない。

 

 「スターク、外の修理を!コールソン、安全のため独房を閉鎖。その後武器庫から兵器を取って来い!」

 

 長官が次々に指示を出す。

 

 「ロマノフ!」

 

 「どうだ、様子は」

 

 「大丈夫だと思うが……ユースケ!これを」

 

 そう言って渡してきたのは、とても小さな通信機だ。

 

 「元々これを渡すためでもあったのだからな。……ユースケ、許可する(・・・・)

 

 「いいんだな(・・・・・)

 

 「頼む」

 

 「了解」

 

 長官の言葉に、俺は精神を集中させる。

 すでに発現しているアークル、その中央に装着されている霊石アマダムに。

 

 

 

 

 「HENSHIN」

 

 

 

 

 

 「方向転換!方位110、南へ!着水させるんだ!」

 

 「ナビシステム調整中のため方角が不明です」

 

 「太陽は登ってるだろう!」

 

 管制にて長官が檄を飛ばす。

 

 「それで、その……後ろの赤いの(・・・)は?」

 

 「ユースケだ。いやクウガだったか、まあいい。クウガ!君は侵入者の撃退を頼む!」

 

 俺は一応長官の護衛としてついてきていた。

 全員に俺の資料が渡っているわけではないらしい、何名か不審と恐怖が顔に出ている。

 

 「了解と言いたいところだが、俺はここの構造を知らないぞ」

 

 「そこの通路から左の壁に沿って行け!細かい指示は通信機で伝える!」

 

 「分かった」

 

 長官の言葉にそう返し、俺はそのまま通路に入り走っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そのまま通路から出ていったクウガ……ユースケを見届けると、ヒルが声をかけてきた。

 

 「あの赤い異形、信用できるのですか?長官」

 

 「ああ、信用できるだろう。精神面も、戦闘能力もだ」

 

 彼女はS.H.I.E.L.D.の副長官だ、心配するのも当然だろう。

 

 「長官も、彼に与える情報を制限していたのではありませんか」

 

 「それは日本から(・・・・)の要請だ」

 

 ____彼に、あまり首を突っ込ませないでほしい。きっと、彼は放っておけないから____

 

 "クウガ"の協力を要請するために日本へコンタクトを取った際、彼と深い関わりのある(・・・・・・・・)と言った警官がそう言っていた。

 今度こそ、彼は壊れてしまうかもしれない。

 そう言った警官の表情は、苦渋に満ちたものだった。

 その気持ちはよくわかる。

 だが、それでも彼は欲しい(・・・)

 何故なら。

 

 「まあ、それにだ。彼ほど人間を超えた存在との戦闘経験を有しているのは、恐らく存在しないだろう」

 

 46体の化け物を殺害した経歴は、異形との戦闘経験が乏しい我々S.H.I.E.L.D.にとっては喉から手が出るほど欲しい存在なのだから。

 





 実は人を超えた存在に対する戦闘経験じゃ1番なクウガさん。
 そりゃ欲しがるんですわ。
 感想、全部読ませて頂いてます。
 返信は敢えてしてません、ご了承ください。
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