転生したら転剣の世界でした   作:氷月ユキナ

41 / 88
ルビー「さぁ、殺ろうか!」

 剣折れた。

ルビー(ですよねー)


41 迷宮(ダンジョン)攻略は成功でし……え?

「——《ファイア・アロー》!」

「はっ」

 

 僕の《ファイア・アロー》を、上位悪魔(グレーターデーモン)は影を利用した転移魔術で簡単に避ける。

 

「チッ、当たらないなぁ! ……これはマズいかも」

 

 口ではそう言ってるが、実は内心では余裕がある。

 

 何故なら……よし、そろそろ良いかな?

 

 僕は、再度《ファイア・アロー》の詠唱をする。

 

「——《ファイア・アロー》!」

 

 そして僕は《ファイア・アロー》を、()()()()()()()()()()()()()

 

「!!」

「クソっ、てめっ! 卑怯だぞ!」

「んなもん知るか!」

 

 すると上位悪魔(グレーターデーモン)は悪態をつきながら、わざわざ迷宮管理者(ダンジョンマスター)を《ファイア・アロー》から庇う。

 

『な、庇った!? あんなに殺す殺すって言ってたのに……!』

「師匠、ドナドロンドさんの話聞いてた?」

 

 迷宮(ダンジョン)に潜る前、ドナドロンドさんはこう言っていた。

 

『フム……迷宮管理者(ダンジョンマスター)が死んだ場合は迷宮核(ダンジョンコア)が休眠状態になり迷宮が活動を停止する。(コア)の破壊時と同じく迷宮に召喚された生きている魔獣は消滅するようだ…』

 

「そう、つまり迷宮管理者(ダンジョンマスター)を殺せば自動的に()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 原作では師匠が気付くのに時間がかかってたけど、こっちには原作知識があるんだよ。

 

「だから、迷宮管理者(ダンジョンマスター)を一斉攻撃するよフラン!」

「…そういえばだれか言ってた」

『ドナド可哀想…』

「……行こっか」

 

 フランのせいで気まずい空気になったが、んなもん気にしている余裕はあんまない。

 

「——《ファイア・アロー》!」

「——《ファイア・アロー》!」

『——《ファイア・シャベリン》!』

「——《ファイア・アロー》!」

「——《ファイア・アロー》!」

『——《フレア・ブラスト》!』

 

 ボン、バン、ボォン、ドゴァン!

 

 ……嵌めちゃえばいいだけだけど、このままじゃ僕たちの魔力が尽きるのが先だな。

 

「何だァ? マジかよ、《無詠唱》持ちか!?」

 

 残念、師匠がこっそり唱えているだけだよ!

 

「くっ」

「ギョホォォ! もっとちゃんと護るギョォ!!」

「この馬鹿野郎! だから、俺の戦闘場所は前の広場にしとけと言ったのに!」

「う、ううう、うるさいギョ! お前がいなかったら、この部屋の防衛戦力がなくなるギョォ!」

「このゴミ管理者(マスター)!! だったらせめて自衛スキルくらい持っとけやぁぁ!!」

「この『身代わりの腕輪』があれば復活できるとはいえ、死ぬのは勘弁ギョ!!」

「雑魚がそんなの千個持っても千回瞬殺だボケ!!」

 

 少し上位悪魔(グレーターデーモン)が可哀想になってきた……。

 

 けど、あと少し時間を稼げればフランが師匠をぶん投げて何とかしてくれるはず。

 

 悔しいけど、今の僕の強さじゃ上位悪魔(グレーターデーモン)には敵わないし。

 

『フラン、感じてるかもしれんがこのままでは悪魔(ヤツ)は倒せない…!! だからここで賭けに出る…!!』

「ん」

 

 よし、あとは僕はこのまま《火魔術》で気を引いていれば……。

 

『ルビーも協力してくれ』

「……んん?」

 

 え、僕も?

 

 

◇◆◇

 

 

「くやしいけど今の私じゃ、上位悪魔(あいつ)は倒せない…。だから、師匠、任せる!!」

『おう、いつでもいいぞ!! 任せろ!!』

「《ソニック・シューター》!!」

『ひゃっはー!』

 

 フランは《風魔術》のLv4の技、《ソニック・シューター》で、剣を迷宮管理者(ダンジョンマスター)に向かって投擲した。

 

「剣を投擲ィ!? とち狂ったかァ!?」

「行け…。行っけぇえぇぇぇぇ師匠ぉお!! 《ファイア・アロー》! 《ファイア・アロー》!」

 

 フランは迷宮管理者(ダンジョンマスター)を助けようとする上位悪魔(グレーターデーモン)に向かって《ファイア・アロー》を撃ち、邪魔できないようにする。

 

「!! そういう事かよ……!! 器用な真似を! 風魔術か? だが、させねェよ。《ダークネスブラスター》!!」

 

 だが、上位悪魔(グレーターデーモン)は魔術で師匠を撃った。

 

「ししょ…!」

「甘ぇ!! その程度じゃ俺の守りは抜けねェよ」

 

 この魔術で師匠は壊される……訳がない。

 

 師匠は《念動》で無理やり自身の軌道を変えて攻撃を避けきった。

 

「なにぃ!? 曲がっ…!?」

 

 師匠はそのまま上位悪魔(グレーターデーモン)へ……いや正確には()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「《気配遮断》と《隠密》……奪っておいて正解だったなぁ」

『ルビー!』

「分かってる」

 

 僕は飛び跳ね、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「馬…鹿な……! く…ぉ…お…俺…のッ……魔…力が…抜け……ガァァアあぁァァああ……――!!」

「……ふぅ」

 

〈簒奪が発動します。ステータスに魔力+2409が加算されます〉

〈ルビーのレベルが上昇しました――〉

〈ルビーのレベルが――〉

〈ルビーの――〉

〈ルビー――〉

 

 上位悪魔(グレーターデーモン)を倒した僕にアナウンスさんの声が聞こえた直後、なんかもう言葉で表せられないほどの上位悪魔(グレーターデーモン)の魔力が僕の中に流れ込んできた。

 

「ぅ……ぅえ……うぁ……」

 

 そこまでは僕の想定通りだったが、吐き気を覚えて……というか、平衡感覚すらおかしくなって立つことすらままならなくなってしまった僕は、その場で倒れてしまった。

 

『……は!? ちょ、おい! ルビー!?』

「ルビーぃい!!」

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 

 感覚が色々とぐちゃぐちゃで、一周回って吐き気とかの気持ち悪さを感じなくなってきたな。

 

 けど、頭もふわふわしてるし寝たい。

 

 そんなことを思って傍に駆けつけてくれたフランと師匠を見ていた僕は、大事なことに気が付いていなかった。

 

 

◇◆◇

 

 

「ギョホオォォォ~~!? 馬鹿な馬鹿なァギョホォ! グッ…上位悪魔(グレーターデーモン)があんな小娘に倒されるなんてギョォ…。そんな事が……」

 

 その時、迷宮管理者(ダンジョンマスター)であるレアゴブリンは、迷宮核(ダンジョンコア)を見てあることを思いついてしまった。

 

「まだ…まだゴブリン帝国は終わらんギョホ……。ちょうど溜まった混沌力(ゴッデスポイント)でまた……魔獣を抽選召喚してやるギョォォ!! つっ…次ギョ!! 次で上位悪魔(グレーターデーモン)以上の……いや、そこまでは言わないギョ! 何故か知らんが小娘の一人は倒れてるギョ! だから、そこそこ強い魔獣でも絶対勝てるギョォォ!! 運には自信があるギョホ!!」

 

 自分を鼓舞しながら、迷宮管理者(ダンジョンマスター)迷宮核(ダンジョンコア)へ歩いていく。

 

「ハァ……ハァ……。さぁ、混沌の魔獣よ、来るギョ!!」

 

 原作ではフランが止めていたが、そのフランはルビーのもとにいて迷宮管理者(ダンジョンマスター)には目もくれていない。

 

 だからこそ、成功してしまった。

 

「……ギョホホ、やったギョ…。上位悪魔(グレーターデーモン)には及ばない、だがそれでも強い下位悪魔(レッサーデーモン)を呼び出したギョォォオ……!」

 

 冒険は、まだ終わらない。




正直、上位悪魔(グレーターデーモン)を倒すのが簡単すぎたかなと思ったのでこうしました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。