転生したら転剣の世界でした 作:氷月ユキナ
フラン「……このゾンビ、どうする?」
剣『ゾンビじゃないぞ、一応な』
ルビー(……殺してステータス奪いたい)
アレッサギルド。
僕とフランは、ギルマスの精霊に呼び出された。
「フランさんを探しにやったこれ……水の精霊なんです。可愛いでしょう?」
「えぇ……まぁ、はい」
「なんか、変なの。スライムみたい。もっと人間ぽいかと思った」
「なッ……スライムと一緒にしないでもらいたい!! こっちの方が全然可愛いですし!! 人に近い形をとれるのはもっと上位の精霊なんです! この子は中級精霊なんです! それに戦闘時でもなければそんな上位精霊を呼び出すものじゃありませんよ!!」
こ、拗らせてるなぁ……転剣の高ランク冒険者は変人しかいないし、その中ではこのギルマスはまともの方なんだけど……。
「何の用?」
「こ、コホン。そんな事より、オーギュスト・アルサンドの件でしたね。彼はうちのギルドの冒険者がオルメス伯のお屋敷へ届けたはずです。実はお父上のオルメス伯から『息子を内密に探し出し、発見しだい拘束してくれ』、とギルドに依頼があったのですよ。王族に無礼を働いて軟禁されていたのですが、隙を見てかなりの額の金子を持ち出し脱走していたとか」
『ルビーとフランに仕返しした後は、その金で高飛びでもしようとしたのかね』
「そうかもね」
「処分なさるのか、一生地下牢に閉じ込められるのか分かりませんが、取り敢えず一件落着といったところでしょうか」
しょ、処分かぁ……怖いことさらっと言うなぁ。
「依頼、ってことは報酬?」
「……え? これで報酬貰うの?」
正直、僕はあのギュランとジレンの装備だけで満足なんですけど。
「あ、ああ! もちろん、お二人さんにもボーナス付きでお支払いします」
『マジ!?』
「ん。当然」
「え、当然なの?」
うう……ギルマスすまん。僕のいるせいで原作の二倍払う羽目になってるし……。
「ただ、この依頼の件は他言無用でお願いしますよ。あなた達も大貴族のごたごたに巻き込まれたくはないでしょう?」
「ん、口は堅い」
「はい、貴族のアレコレに巻き込まれたらメンドそうですし……」
「では、帰りにネル君から報酬を受け取ってください」
「おっけー」
バタン……
……ん? バタン? まだフランはドアを開けてな──
「帰ったわよ!!」
「ぐふっ……!」
ど、ドアに思いっ切り吹っ飛ばされた……ぇ? アマンダさん?
え、登場って今日だっけ? 何日か後だと思ってたんだけど……。
……転生してから何年もたってるし原作知識もあやふやだな。
それに──
「私があなたのママよぉ!!」
「むぎゅぅ……!」
アマンダさんにぎゅ~っとフランと一緒に抱きしめられた!?
いや、僕関係なくない!? フランは分かるけどさぁ!?
「……あ、あのぉーー……」
「……少し間違えたようね。私をママと呼んでいいのよぉ~♡」
「少しじゃないッ! 最初から最後まで何もかも間違ってるよッッ!」
「……いや」
『なっ……何が、起こっているんだ……!?』
知らん。僕が聞きたいよ師匠。
「……ああん、もう~つれない子たちねぇ。いいのよ、遠慮しなくて。はぁぁ~♡ 可愛い~」
「ハナセハナセハナセハナセハナセ──」
「……無駄な抵抗はやめて、おとなしくこのままでいた方がいいよ。フラン」
だってこの人──
名称:アマンダ 年齢:58歳
種族:ハーフエルフ
職業:嵐闘士
ステータス レベル:70
生命:646 魔力:825 腕力:327 敏捷:451
スキル
威圧7、詠唱短縮6、隠密8、解体8、風魔術10、剛力5、瞬歩7、状態異常耐性7、全方位察知6、属性剣7、投擲8、鞭技10、鞭聖技5、鞭術10、鞭聖術6、暴風魔術4、魔術耐性6、魔力感知6、気力操作、ドラゴンキラー、暴風強化、魔力操作
ユニークスキル
精霊の寵愛
称号
子供の守護者、ダンジョン攻略者、ドラゴンキラー、風術師、魔獣の殲滅者、ランクA冒険者
「……ランクA冒険者だし」
『え、マジすか。このエルフの姉ちゃんが……ランクA!』
「あら、あなたは私のことを知ってるのね?」
「……有名ですから」
それにしても……敏捷:451か……よし! 2だけだけど上だ!
けどそれだけだし……流石ランクA冒険者、勝てる気しない。
「ほらほらアマンダ君……いくら子供好きでもその辺にしておきなさい」
「ちぇ、分かったわよ。ごめんなさいね、ついはしゃいじゃった。あなたたちは……確かフランちゃんとルビーちゃんね」
「……! なんで名前……?」
……だから、なんで僕も……?
「そりゃ……まぁロビーで噂になってたもの。ゴブリンダンジョンを制覇した新人の黒猫ちゃん……ってね。よろしくね♡」
「……ん……」
「アッハイ」
「彼女は何人かの冒険者とともに異変のあった「魔狼の平原」の調査に行ってもらっていたのです」
「魔狼の平原」……師匠のせいだな。僕も師匠と同じ立場だったら同じようにやらかしてたと思うし、仕方ないとは思うけど……。
「そういうわけで、ちょー面倒だけど報告をしなきゃいけないのよぉ……」
「こらこら」
「悪いけどまたね、フランちゃんとルビーちゃん!」
「悪くない。……ばいばい」
「えーっとぉ……失礼しました!」
フランと一緒にそそくさと部屋の外に出て、僕は一息ついた。
「ふう……」
「……なんか、濃い人だったね」
『あー……いきなりママは凄かったな』
「凄くない」
「……あ、そうだ。僕用事あるから先帰ってて」
『ん? 俺たちもついていこうか?』
「だいじょーぶ。ただ
『そうか? なら、先に宿戻ってるぞー』
「ん、また後で」
「うん、またねー」
さーて、今の僕に合った