転生したら転剣の世界でした   作:氷月ユキナ

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51 ■■■は最悪でした

「……ん……ここは……?」

 

 目が覚めると、なんか知らない真っ白の場所に居た。

 いや、何処だよ。

 

 ……意味不明すぎて逆に冷静になってるな、僕。

 

『やぁ、ようやく起きたかい?』

「……誰?」

 

 声がした方に顔を向けると、知らない女性がいた。

 

 腰まで伸びている長い髪は銀色、眼は金色の美少女だ。

 

「……マジで誰?」

『そうだね。一言で言えば、ボクは君を転生させた存在だ』

 

 …………はぁッ!?

 

「え、えぇ!? お前……貴女が僕を!?」

 

 んん!?!? ぇ、これって普通の転生じゃなくて神様転生だったってこと!?

 ってか普通の転生ってなんだ!?

 

 待て待て、混乱してるぞ僕。さっきまでの冷静さは何処行った。

 

「…………」

『うん? 急に黙ってどうしたんだい? 何か聞きたいことでもあるなら教えてあげるよ?』

 

 爆弾発言した人(?)が何言ってんだ。

 

「……貴女は……神様、ですか?」

 

 疑問に思ったことを聞いてみる。

 

『……フフッ、そうだよ。ただし、この世界ではなく君の元居た地球の神様だ』

「え、それって……っ!」

『ああ、この世界の原典……"転生したら剣でした"という作品も知っているよ。なにせ、そもそもあの作品は……いや、これ以上はネタバレだね。やめておこう』

「ネタバレって……」

『先に全てを言ってしまったら、面白くなくなってしまうだろう?』

 

 ……この自称神様は、僕の元の世界を知ってると。

 

 性格が悪いみたいだけど……。

 

 なら、次だ。

 

「……僕のスキルの《言語理解》、あれは貴女の仕業ですか?」

『正解だよ。あのスキルはボクが世界に干渉して君に与えたものだ。ボクの力の一部と言ってもいいね。効果はまだ言えないが、一つ……いや、二つだけ教えてあげよう』

「……その、効果って……?」

『一つ目は、認識阻害だ』

「認識阻害……?」

『ああ。具体的に言うと、君が他人に"転生したら剣でした"について言おうとしたらそれが発動して、伝えるのを阻害する』

「なんでぇ!?」

 

 え、嫌がらせ!? 嫌がらせなの!?

 

『落ち着きなよ、■■。いや、前の名前じゃなくてルビーの方が良いかな』

「……ルビーで。それで何で、んな事してるんですか」

『それは、この世界の神に君が排除されない為だよ』

 

 ……ぇぁ? は、排除……?

 

「それって、どういう……」

『君は未来のことを知っているという事の重大さが分かっていないみたいだね』

「…………」

 

 自称神様は、僕に自分の笑顔を近づける。

 

『未来に起きる出来事──つまり運命を見通す力が神にはあるだなんて言われてるけど、そんなことはない。この世に運命なんてものはない。だからこそ、限定的だとはいえ未来の事を知っているルビーという存在があれば、神々は君を危険分子として神罰なんかで排除するだろうね』

 

 ──マジ、かよ。

 

 神罰とか、そんなレベルの話なの? 嘘だろ?

 

「……そう、ですか。ありがとうございます……?」

『どういたしまして、だね。さて、ニつ目の効果だが……それは、目が覚めてからステータスを見てご覧。見えるようにしておいた』

「……はい」

『ついでだが、君のエクストラスキル《簒奪》も、ボクが魔改造を施したスキルだ。といっても、クールタイムを頑張って一時間にしたのが大半だけどね』

「やりすぎじゃないですか?」

『やりすぎじゃないよ。……他には?』

 

 それじゃ、転生してからの謎の一つを聞いてみよう。

 

「なんで僕、TSして女の子になってるんです?」

『特に理由はないけど……敢えて言うならば趣味さ』

「は? 趣味?」

『そうさ。元男なのに、女になってしまうというのがなかなか面白い』

「どこが?」

 

 ふざけてんのかこの神。

 

「そもそも、元から女のやつを転生させればいいでしょうが。今は楽しいし感謝するけど!」

『それじゃあ意味がないじゃないか。女になってしまったことにより、男女のギャップで苦しみ、羞恥心で悶えて、大混乱して慌てているのを必死に隠そうとしている姿を見るのがとても面白いというのに』

「お前……性格クソだな」

 

 ふざけてんのかこの神(二回目)。

 

「《閃剣》使っていい?」

『……そろそろ、この時間も終わりだね。バイバイ、君と話せて楽しかったよ』

「おい待て、誤魔化すな」

 

 自称神様は僕から離れて、手を左右に振ってくる。

 

「……最後に一つだけ、良い?」

『うん? 何だい?』

「なんで、僕を転生させた?」

 

 それは、もう一つの転生直後から疑問に思っていたこと。

 

 どうして、自分が転生したのか。

 

 他にも大勢の人が居たのに。

 

『……ふっふっふ、それはね……秘密だよ☆』

「イラッ☆」

 

 何だこの自称神様。ウゼェ……。

 

『それじゃあ、おやすみだね──』

 

 その言葉と同時に、僕の意識は深い眠りに落ちていった。




タイトルは『自称神は最悪でした』、です。
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