転生したら転剣の世界でした   作:氷月ユキナ

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54 絡んできたのはクラッドでした

「で、何か用ですか?」

 

 僕は一応、敬語でクラッドとやらに質問する。

 

「本当、意味わかんねーぜ……ランクEが受ける試験にランクAのババアと、ギルマスお気に入りの自称ランクDのガキどもが一緒なんてよォ!」

 

 アマンダさんのことをババアって……っつーか、誰が自称ランクDだよ。

 

 ムカつくなぁ……よし、嫌がらせしよう。

 

「君さあ、礼儀ってものがわかってないんじゃないの? 僕はさ、最初に何か用ですか?って質問したと思うんだよね。どうして質問したかっていうと、それが君と会話をする上で一番大事なことだと思ったから。用件を聞かないと、僕もどうすればいいのか理解できるはずがないでしょ? 僕はできるだけ相手の心に傷をつけないように、穏便に事を済ませたいと思って行動してるわけ。もちろん、恩着せがましいそんなことを最初から誰にでもずけずけと明かすわけじゃないさ。でも、そういった意味合いがあって質問したんだってことを、ある程度の年齢になるまで過ごしてきたなら察してほしいんだよね。っていうか察せるでしょ。それとも君、初対面の相手とはただ一方的に自分の言いたいことのみを言うというのが当たり前の生活してきたの? だとしたらそれってちょっと僕の常識感と文化が違うよね。それなら互いの感覚のすり合わせは必要だと思うけど、それならそれで誤解を生まないように前もって断っておくべきじゃないかな。そういった心遣いの一つもしないで当たり前みたいに相手の優しさに甘えるのって、ちょっと違くない? というより、それはもはや失礼に値するよね。失礼そのものだよね。礼を失するってことは、相手に対してその程度の価値しか見てないってことだよね。それにさ、話しかけられてんだから、相槌の一つぐらい打つのが聞く姿勢ってもんなんじゃないの? 人として当たり前のことがどうしてできないわけ? そうやって日々、無自覚に無意識に無分別に、他人の心を些細に傷付け続けてるってどうして自覚できないの? ちょっとの傷でも傷は傷だろ? そこから悪いものが入って、命を脅かす病気にかかるかもしれない。体も心も一緒だ。自分が、無自覚に他人の命を脅かしてることに、理解が足りない連中が本当に嫌いだ。頭、おかしいんじゃないの? 人間的に欠陥があるのに、それを自覚できないのはダメでしょ。それで当たり前の分別を持つ人間が負担を負わされるのも間違ってるでしょ。大多数の人間が意識しなくても常識を守るから、世界が緩やかにうまく回ってるってどうしてわからないの? 意識しなくてもできる人間の思いやりを踏み躙る前に、歪で欠落した自分の間違った在り方を意識して変えなきゃ、心を土足で踏み荒らし続けるだけじゃないかなぁ? これだけ言っても、まだ無視して「さっきからうるせぇよ!! 黙れねぇのか!?」……人が気持ちよく喋ってるのを邪魔するなんて、どんな教育を受けたの? 僕が喋ってるわけ。喋ってたでしょ? それを邪魔するっていうのはさ、ちょっと違うんじゃないかな。間違ってると思わない? 喋る権利が、だなんてものを主張したくはないけどさぁ、それでも喋っていたらそれを邪魔しないなんてことは一種の暗黙の了解ってものじゃない。それを真剣に聞くか聞かないかはそっちの自由だから文句は言わないけど、言わせないって判断するのはどうなのかなぁ。……今度はダンマリ、それもどうなのかなぁ。聞いてるじゃん。聞いたわけじゃん。質問したじゃない。されたら答えるでしょ、そういうものでしょ。それもしない。したくない。ああ、自由さ。それは君の自由だとも。君からすれば話しかけられた僕は勝手に喋って無視されて、そういう風に見えるわけだ。それが君たちの自由の使い方なわけだ。いいよ、そうしなよ。でもさ、その考えってつまりこういうことだよね? それは僕の権利を――数少ない私産を、蔑ろにするってこ「はい、ルビーちゃんストップ!」えぇ……」

 

 リ●ロのレグ●スみたいなこと言ってたらアマンダに止められた……これ意外と楽しいのに。

 

 うん? 僕を止めたアマンダさんが《剛力》でクラッドとかいうやつの頭握ってる……僕より酷くない?

 

 血も出始めてるよ?

 

『ルビー……何やってんだ?』

「あれ? 元ネタ分からない?」

『いや、分かるが……』

「……ただの嫌がらせだよ。意外と楽しかった」

 

 まぁもうやらないだろうけど。

 

「………………チッ」

 

 フッ……撃退完了!

 

「アマンダ様は特別参加の立会人にすぎない。緊急時などにフォローをしてもらう手筈になっている。彼女が本格的に参加したら瞬く間に踏破してしまい、君たちの試験になりえない」

 

 ……アマンダさんは今回の重要な助っ人だけどね。

 居なかったら難易度がルナティックまで上がる。

 

「では、改めて説明をしよう。依頼の内容は、アレッサの冒険者ギルドが管理している、攻略済み迷宮(ダンジョン)『蜘蛛の巣』の調査だ。また、同時に迷宮核部屋(ダンジョンコアルーム)で生成されている魔鉱石の回収……道中遭遇した魔獣も倒し間引く」

「八ッ、脅威度Fの魔獣だろ? 余裕で殲滅しちまうかもしれねーな」

迷宮(ダンジョン)は魔獣から魔力を少しずつ貰って動力源となっている。殲滅は避けてくれ。まあ6層まである迷宮(ダンジョン)だ……簡単にはいかないだろうがね。それでは、これでするべき話は以上だ……ここから『蜘蛛の巣』までは半日はかかる。早速出発しよう!」

 

 おー! ……歩きながら、これからのことを整理しようか。

 

 原作知識からすると、最初は普通の迷宮(ダンジョン)攻略だった。

 

 だが、実はレイドス王国によって魔獣が進化させられていて、危険すぎる罠もいっぱい。

 

 その中で、強制的に武器を解除させて別の場所に転移する罠に引っ掛かり、フランと師匠のつながりが消えて共有スキルがなくなり大ピンチ。

 

 アマンダさんとウルシ(まだ居ない)のお陰でギリギリのところで生きてたけど……。

 

 ……絶対信用しない方がいいよね。原作ちょくちょく壊れてるし。

 

 原作で助かってたからって放っておいたら死にました、なんて全く笑えない。

 

 はぁ……頑張るか。




※ネタ紹介
・「君さあ、礼儀ってものが(以下略)」
 ⇒Re:ゼロから始める異世界生活のレグルス・コルニアスのセリフ
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