転生したら転剣の世界でした 作:氷月ユキナ
剣『おう』
フラン「ん」
ルビー(……剣の休みって何だろ? 精神的なやつかな?)
「……よし、準備はいいか? 五層調査開始だ。気を引き締めて行こう!」
休憩も終わった僕たちは、五層に突入することになった。
探索中はフリーオンさんの《精霊魔術》やアイザールさんの《罠感知》によりスムーズに事が進み、そのまま六層に入った。
さぁ、ここからだ、ルビー。乗り切るぞ!
■□■
「くそっ、雑魚蜘蛛のくせに!」
「精霊魔術で倒しきれない? まさか!」
……来ちゃったか。
名称:トリック・スパイダー
種族:妖蟲・魔獣 Lv:10
生命:88 魔力:36 腕力:39 敏捷:67
スキル
鋭敏聴覚4、再生1,跳躍1、毒噴射2、投げ縄3、罠感知4、罠作成3、混乱毒生成、混乱牙、赤外線視覚、脱皮、猛毒生成、猛毒牙
トラップ・スパイダーの上位種、トリック・スパイダー。
「く……ッ、《閃剣》!」
〈簒奪が発動します。スキルに再生1が追加されます〉
「よし、次は……ッ!?」
「クソ……毒消しが、効かねぇ……ッ。どう…なっ…て……」
「ゲンネル! しっかりしろ!」
ああっ、クソ! もう猛毒にやられた人が……ッ!
「これ、猛毒も消せる毒消しです! こっちもあんまり余裕ないので、早く使ってください!!」
僕はたくさん買っておいた毒消しの一つを懐から取り出し、ゲンネルさんに渡す。
「あ、ああ、すまねえ……だが…猛毒…だって……?」
「僕は《鑑定》持ってます! これはトラップ・スパイダーじゃなくてトリック・スパイダーらしいので注意してください!」
僕の声に、他の人たちが慌て始める。
「な、何故だ!? ギルド設定でトラップ・スパイダーしか定期召喚されないはずだぞ。攻略済み迷宮で普通はあり得ないが……まさか、進化したのか?」
「猛毒持ちがこの数……ランクEパーティには荷が重いですぜ!」
「クラッドとフーリオンのパーティは下がれ、そのまま五層まで引く! フランさんとルビーさん、それにアマンダ様も援護を頼む……!」
「ん、《剣技》
「りょうかーいッ! 《閃剣》×2!」
「は~い♡ よっ! 《鞭技》連獅子!」
ま、上位種と言っても僕にとってはそこまでの脅威じゃない。
僕やフランの活躍で、蜘蛛はほとんど死んでいった。
「雑魚と戦ってもつまらないのよね。ね?」
「ううん。楽しかった」
「僕も。一気にどばぁーって倒すの気持ちいよねー」
「あら、そうなの? 楽しかったのなら、良かったわ」
「一時退却だ……!」
クルスさんの掛け声で、全員が走り出す。
「五層まで戻れば奴らは追ってこれない筈だ! そこで陣形や作戦を練り直そう!」
……さて、ここで一つ問題がある。
あのフランと師匠を引き離した転移と武器解除の複合罠がどこにあるのか分からないという点だ。
原作で存在は知ってはいるが、具体的な場所なんてわかるわけない。
だから《罠感知》を蜘蛛から奪ったんだけど……ッ! 前に蜘蛛ぉッ!?
「うわぁぁ!! こっちにも蜘蛛が……! まっ、回り込まれた!」
「うわああああ!!!」
「はぁ!?」
蜘蛛が現れると、あのクラッドのパーティにいた二人組が変なところに飛び出した。
「……っ! あの二人……混乱毒をもらってるわね。待ちなさい!」
って、僕の《罠感知》が反応してる!?
「ちょ、待って!」
僕は急いで二人を追いかける。
「こっちの横道へ逃げろぉぉ!」
そして、その二人の行き先にフランが……あ、マジ?
二人がフランにぶつかり、奥の床に転がり込んだ。そう、ちょうどトラップの真上に。
「チィッ!」
僕は自分の敏捷を最大限に生かして追い付き、フランを無理矢理トラップの効果範囲外へ押し出した。
「ん!?」
『ちょ、ルビー!?』
フランと師匠が困惑した声を出すが、答えてる暇はない。
「フラン! 早く追いついて僕の剣を────」
僕の剣を持ってきて。そう言おうとしたが最後まで言えず、僕の目の前の景色が入れ替わる。
「…………うん、原作知識で分かってたけどさ?」
どうにもならないと分かっていながら、僕は口を開く。
「それでも、これは酷くない?」
僕の前には、一体の大きい蜘蛛がいた。
名称:トリックスター・スパイダー
種族:妖蟲・魔獣 Lv13
生命:196 魔力:110 腕力:71 敏捷:103
スキル
鋭敏聴覚5、再生3、跳躍1、毒噴射3、投げ縄4、罠改造7、罠感知6、罠作成6、混乱毒生成、混乱牙、甲殻強化、赤外線視覚、超脱皮、麻痺毒生成、麻痺牙、猛毒生成、猛毒牙
それは、あのトリック・スパイダーの
その相手に、こっちは武器ナシ。
……どんな無理ゲーだよ。