転生したら転剣の世界でした 作:氷月ユキナ
フラン「待ってて、ルビー」
アマンダ「ちょっとフランちゃん! 私放置!?」
剣『……あ、アマンダのこと忘れてたわ』
■□■
ルビー「……なんか、アマンダさんが可哀想な目にあっている気がするんだけど」
「ヒィ……」
「こ……ッ、子蜘、蛛が……!」
「うらぁっ!」
僕はアホ二人組に近付く子蜘蛛を片っ端から、敏捷に物言わせて蹴り殺していく。
「もうっ、面倒だなぁ!」
さっきから何体も殺してるけど、うじゃうじゃ無限に湧いてくる。
猛毒消しは大量に持っていたが、もうそろそろ無くなりそうだ。
残りは師匠の《次元収納》に入ってるからなぁ。
「それに……ッ!」
それに、トリックスター・スパイダーがさっきから絶妙なタイミングで攻撃してきてウザい。ウザすぎる。
今も足で蹴られそうになったし……。
「はぁ……よし。そろそろ、かな?」
そう呟いた時──
────ドオオォォオオンッッ!
「ルゥビーィィィィイイイイ────ッ!」
……ああ、来た。フランの声を聴きながら、僕は内心歓喜した。
「師匠、足場にッ! フランは武器を!」
「ん!」
『おう!』
僕は途中で奪ったスキル《跳躍》でトリックスター・スパイダーへ向かって跳ぶ。
それでもトリックスター・スパイダーには届かないが、僕の前に師匠が来てくれる。
「ルビーっ!」
「サンキュッ!」
フランが投げてくれた武器を受け取りながら師匠を踏んで二度目の《跳躍》。
それにより、トリックスター・スパイダーの上を取った。
「はぁあっ!」
僕は「幻輝石の魔剣」を持ち、トリックスター・スパイダーに大振りで切りつける。
だが──
「キャハ♪」
高く跳びすぎた僕の剣筋は見切られてしまい、避けられる。
「なぁっ……ッ!?」
驚いて体勢を崩した僕の無防備な体の心臓部分が、トリックスター・スパイダーの腕で刺される。
トリックスター・スパイダーによって僕の胸から大量の血が溢れ出し、そのまま地面へ堕ちていく。
────という幻を、トリックスター・スパイダーは見ていた。
「ぎゃあ”ッ……ッ!」
「……スキル、《幻影撃》。幻を見せられる、この「幻輝石の魔剣」のたった一つのスキル」
トリックスター・スパイダーが我に返ると、自分の胸には僕の右手により一本の短剣が刺されていた。
「そっちは「王蛇蝎の短剣」って言ってね? 君の《猛毒牙》よりも強い《王毒牙》が使えるんだ~♪ ふふっ、君って毒系の攻撃使うのに《毒耐性》持ってないからね、通じると思ったよ」
トリックスター・スパイダーは、地面に着地した己の敵である白髪紅眼の少女へ攻撃しようと試みるが、毒のせいで体が上手く動かせない。
「残念、相手が悪かったね」
僕がそう言うのと同時にトリックスター・スパイダーは、その場に倒れた。
〈簒奪が発動します。スキルに再生3が追加されます〉
〈再生3が再生1に統合されました〉
〈再生がLV4に上昇しました〉
そんな、アナウンスさんの声を兼ねて。
「……はぁぁ、上手くいって良かったぁ……」
「ルビー!」
「はいはーい、僕は無事だよ」
僕が嬉しそうにしているフランに近づこうとしたとき、あの音が鳴った。
──ピンッ、と。
「………………え?」
……気付いた時、僕の腹に毒針が何本も刺さっていた。
「──カハッ」
ドサ──。
僕は血を吐きながら、地面に倒れる。
「ルビー!?」
『……なるほどな。もう一体、居たのかよッ!』
……え? 師匠、今、なんて──?
もう一体? トリックスター・スパイダーが……?
…………なんでだよぉ、もぅ。