転生したら転剣の世界でした 作:氷月ユキナ
ジャン「うむ。おっと、その前に……そろそろ喋ってはどうだね?『
ルビー(ジャンさん、結構すごい人なんだよなぁ……)
……確か、ユニークスキル《魂魄眼》だっけ? ジャンさんのやつ。
「スキル《念話》を持っているということは意思を伝える事が出来るはずだがね! 《鑑定遮断》で油断しまくりだったようだが、私の目は誤魔化せん。我が《魂魄眼》……魂に刻まれたスキルを直接見る眼の前には効かぬよ! ふははははは!」
『…………バレてたなら仕方ないな。ご察しの通り、俺はフランの剣だ』
「あ、話すんだ」
『バレてるみたいだし、隠しても意味がないと思ってな』
「おぉ……本当に喋るのだな! 愉快愉快! 貴重な体験であるな!」
『ああ、そう』
「そう……名前は『師匠』!! すーぱーすごい剣!」
「『師匠』? 魔剣にしては何ともエキセントリックな名前ではないか! ふはは!」
だよね……僕もそう思う。
僕は師匠に名付けて貰ってよかったなぁ。
『んで、依頼ってなんだ? フランとルビーの死体研究とか、俺をしばらく貸してくれ……なんてものは却下だぞ』
「ふふん。そんなことは言わんよ! 『
『え……そうなんだ……』
いや……何その複雑そうな声。
自分に興味をあんまり持たれないのが悔しいとかかな?
「なら、依頼の説明をさせていただこうか? くっくっく……まぁ、別段変わった頼みではない。冒険者にとってはな」
「……
「ご名答だ、ルビー君。
……ふぅ、良かった。ちゃんと原作通り。
『この付近に
「なーに言ってんの、師匠。
『……は?』
「やはり察しがいいな、ルビー君。そう……近いと言っても
「! ……ルビーは知ってた?」
「いーや、そこにある資料の紙切れに書いてあった」
「何!? ま、まさかこっそり見たというのか……ッ!?」
仕方ないじゃん……知らないはずの情報を言っても認識阻害みたいなもので伝わらないんだし。
「えー? 酷いですよじゃんさぁーん、たまたま見えちゃっただけですってー」
「ここまで来るとすがすがしいなルビー君……」
……そんな引いたような顔しないで欲しいな―、なんて。
「……話を戻そう。事の始まりは、十年程前に遡る……当時、この地一体で
「ほうほう」
「何故だと思うかね……?」
「ん……」
『ちょっと待った。まさかこの話長いか? 長いとフランが寝るので短めで頼む』
「ふはははは! 無理だな……!」
「無理なんですね……」
「師匠……私ももうランクD冒険者、依頼の話くらい聞ける」
「そーそー、もっとフランを信じてあげて、師匠」
『……そうか、すまん』
原作じゃ寝ちゃうけど、フランの瞳を見て分かった。
フランは本気でジャンさんの話を聞くつもりだ……なら、僕がフランを信じてあげなくてどうする。
「ジャンさん、続けてください」
「よかろう。あの頃……我ことジャン・ドゥービーは死霊術師としてさらに高みを目指していた。今もだがな! 関係ないがその頃ハマっていた魔道書は、死霊秘法というものだったがね……そういうわけで研究のため我はこの地に赴き、地道な研究を続けた。時に折れそうになる心を叱咤し、我は血のにじむ努力を続けたのだ!」
「おー」
「頑張ったんですね……」
『フラン、拍手なんてしなくていいから!』
師匠、それは酷くない……?
「その結果、我は大発見をした。妙な魔力溜まりを複数発見したのだ! ふははは!すごいであろう!」
『魔力溜まり?』
「うむ。自然界の魔力が様々な要素により一か所に溜まってしまう現象だ。そうやって、澱んだ魔力溜まりから魔獣が生まれるわけだな」
「ほう」
「ただ、我が発見した魔力溜まりには、最初から死霊魔術に似た属性が付加されていたのだ。無論、属性が偏った魔力溜まりと言うのは、無いわけではない。火山などの火属性が強い場所の魔力溜まりでは、火属性の魔獣が生まれやすいし、海では水属性が生まれやすい」
「じゃあ、この辺にある死霊属性が強い魔力溜まりからは、死霊が生まれる?」
「そういうことっぽいね」
『だから
「そうだ。だがな、それがそもそもおかしいのだ」
「……そういえば、さっき“かつて古戦場でも墓場でもないこんなところ”って言ってましたね」
「そう、ここは単なる平原なのだ。我も古代からの記録を調べたが、古戦場の跡と言う訳でも、地下墳墓がある訳でもない。地脈や植生を調べたが、死霊属性を強める様な要因は全くと言って良い程見当たらなかった。では、何故死霊属性の付加された魔力溜まりが発生する?」
「うーん?」
『ふむ?』
「……
「……勘が鋭いな、ルビー君……そうだ、この辺には時折浮遊島から落下物が降ってくる。浮遊島上部に生えている植物であったり、岩石であったり、その時々でいろいろだな」
まぁ、原作知識があるので……。
というか、なんかジャンさんのテンション下がっちゃったな……自分で言いたかったのかな。
『その言い方だと、その落下物がアンデッド発生の原因なのか?』
「その通りだ。死霊属性の魔力溜まりと、浮遊島からの落下物が落ちた位置が同じだったのだ。で、浮遊島が怪しいと感じたので行ってみたら、何やかんやで
『落下物に死霊属性が付いている理由は?』
「
「浮遊島が
「それは違うな。空中に生まれた
『ダンジョンコアって、大地の上だけじゃなくて、そんな場所にも発生するんだな。空中に生み出されたコアとか、落っこちて割れちゃわないのか? いくらコアが障壁に守られているとはいえ、高高度から落ちたら無事じゃ済まないだろう』
「そんな理由で
「それはないさ。ダンジョンコアは不思議な力が働いているらしく、特殊な理由がない限り、生み出された地点から動くことがない。空中であれば浮いたままだし、海中でも水に流されるようなことはないのだ」
「特殊な理由、ですか?」
「例えば、今回の様に移動する浮遊島にコアが存在する場合。大昔の記録だが、超巨大なゴーレムの内部にダンジョンコアが発生し、動くダンジョンと化したことがあるらしい。なぜそういう場合は例外となるのか、それは分からん」
なるほど……流石、混沌の女神様お手製の代物だ。
「どうフラン、話着いて行けてる?」
隣のフランに声をかけると──寝ていた。
「……えっ、マジ?」
さっきまでの感動シーンは何だったんだよッ!?
『ぐっすり寝てるな……』
「……後でまとめて説明してあげよっか。それより、ジャンさんはどうやって浮遊島に行ったんですか?」
『そういやそうだな。どうやって飛んで……』
「ふふふ、それは後で分かる。前の探索では途中で挫折してしまったからな。君たちを加えて今度こそ完全攻略……まぁ無理だとしても、とある強力な
『とある魔獣?』
「うむ。『死霊喰らい』という
『へー』
ステファンのことか……色々考えてみたけど、救う方法が全く思いつかないんだよね……どうしよう。
「もともと死霊草から作り上げた上級
『え? 冒険者だったのかジャン』
「うむ!」
ああ……ランクBだっけ?
「うに……それはびっくり……」
「あ、フランが起きた」
ジャンさんは懐から銀色のギルドカードを取り出して、こちらにポーズをとって見せてきた。
「これでもランクB冒険者である!」
『おお、スゲー。銀色カード……』
「かっこいい」
フランも将来はギルドカードが銀色になるのか。
「人は我を、『
『おいおい、物騒な異名だな……』
「全くである……我が本分は戦闘より探求であるというのに、全く失礼な奴だ……!」
レイドス王国との戦争で
「それはともかく、出発は明日だ。今晩は我が研究所に泊まってくれたまえ」
「分かりました、お世話になります」
「ん」
さて……しっかり寝て、明日に備えますか!