転生したら転剣の世界でした   作:氷月ユキナ

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71 見た夢は過去でした

■■月■■日

 

「…………はぁ」

 

 とある部屋に監禁?されている囚われの少女と化している僕は、ため息をついた。

 

 やっほー、名前すら与えられなかった白神子(アルビノ)ちゃんです。

 

 最近、10歳になりました。

 

「あーあーあー……やることないよー……」

 

 暇である。とてつもなく暇である。

 

 暇すぎてテンションがおかしくなるぐらいだ。

 

「……まぁ、今日も何もなく終わるんだろーなー」

 

 それが僕の日常だ。

 

 関わりたくないらしい親が小屋の扉の前にご飯を置きに来てくれるので、それを食べて眠くなったら寝るだけ。

 

 楽だけど、死ぬほど退屈だ。

 

 ……前世の受験勉強してる時よりはマシだな。あれは地獄。

 

「なーんか起きないかなー……はぁ」

 

 ──コンコン

 

「………………え?」

 

 扉を叩かれた僕は、なんか間抜けそうな声を出してしまった。

 

 いや、だって、しょうがなくない!?

 

 ここに来る人とか、怖いもの見たさのアホぐらいしかいないし!? ……強盗とか?

 

 盗るものとか何もないよ、ここ。

 

「…………敵、かな?」

 

 生憎と、今の僕は生き物を一匹も殺したことのないレベル1。もし本当に外にいるのが敵なら勝てる気しない。

 

 だけど、ただで負けるつもりは無い。

 

 僕はこっそり保管していた短剣を取り出す。

 

「……《鑑定》」

 

名称:錆びた鉄の短剣

攻撃力:21 保有魔力:0 耐久値:70

魔力伝導率・I+

スキル:なし

 

 外にこっそり行ったときに落ちていた、ボロボロの短剣だ。

 

 正直、使えるのかというレベルの武器だが無いよりはマシだ。

 

「はいは〜い、今行きまーす」

 

 外にいるであろう何者かを待たせないようにちゃっちゃと僕は扉へ急ぐ。

 

 ──バァン!

 

 扉を勢いよく開けると同時に人影の後ろに回り込み首に錆びた鉄の短剣を当てる。

 

「わわっ!? ちょっとちょっと、やめてー!」

 

 ……一瞬で気が抜けたが、敵の疑いが晴れないまま短剣を下ろすわけにはいかない。

 

 僕の目の前に立っていたのは、僕と同じ位の歳であろう顔の整った美少女だった。

 

 髪を短く切っている僕とは違う真っ白のロングヘアで、こちらに振り向いたその顔の眼も僕と同じ紅色だった。

 

「……正直に答えろ。お前は誰でなんでここに来た?」

「えぇっ? わ、私は悪者じゃないよ!」

「じゃ、何しに来たの?」

「んーと、私と()()ひとがいるって聞いたからなんだけど……」

 

 ……同じ、ねぇ。

 

 いや、見た目からなんとなく察した。

 

「白神子……だっけ? 私もそうなの! 名前はマレフィー、気軽にフィーって呼んでね! よろしく!」

 

 少女は何故かシュバッとポーズを決めて、名乗った。

 

 ………………あんまり、よろしくしたくないかなぁ。

 

 

■□■

 

 

「……夢、か」

 

 ああ、そうだ。ジャンさんの家に泊まったんだっけ……浮遊島の迷宮(ダンジョン)攻略のために。

 

 ……なんで、フィーの夢なんて見たんだろうか。

 

 彼女のことなんて、もう振り切ってる筈なのに……。

 

 ──ズズズッ……。

 

 ──……キィヤァァアアアアア──ッ!

 

「……この異音のせいじゃね?」

 

 僕は冷静にツッコんだ。

 

 いや、だって、san値が削れるような音がしてるんだけど……?

 

「くー……くー……」

 

 フランは寝てるか。師匠は──

 

『……ん? ああ、起きたかルビー』

「……師匠か」

『どうしたんだ……? なんだか、顔色悪いぞ……』

「…………大丈夫。もう、終わったことだから。それより、もう朝?」

『え? ……一応、日はもう出てるぞ。だが……』

 

 師匠に促されて、部屋の時計に目を向ける。

 

「地球で言う、5時ってとこかな」

『ああ、ちょっと早い。まだ少しは眠ってていいぞ』

「いや、寝なくていいや。……寝れる気分じゃない」

『……そうか』

 

 そんな気を使うような雰囲気出さなくていいって、なんて言おうとしたが、口からは何の言葉も出なかった。

 

 ……少し、静かに過ごしたかったからだろうか。

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