転生したら転剣の世界でした   作:氷月ユキナ

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73 襲ってきたのは骸鳥(ボーン・バード)でした

「…………」

『こんな状態でよく本なんて読めるな』

 

 どうも、ルビーです。

 

 今僕たちは、アンディに乗って空の旅をしています。

 

『何読んでたんだ?』

「ああ。前回の探索で『死霊喰らい』が守っていた宝箱があったのだが、その中にあった書物を読み返していたのだ。『名無し』……という何者かの日記……らしいが」

「……『名無し』…………」

 

 ……ああ。死霊の王(リッチ)のもとになった子だったよな……。

 

 色々と救う方法も考えてみたけど、必ずどこかで壁にぶち当たっちゃうんだよね……。

 

『会ったころのフラン&ルビーのような奴隷か、それに準ずる何かか……?』

「そうだろうね。その『名無し』君が浮遊島で実験台にされて死霊の王(リッチ)になってたり……駄目か」

「ルビー?」

「何でもない」

 

 やっぱり伝えるのは無理か……ちくせう。

 

「例の浮遊島で何らかの実験が行われていた……という内容のようであるな」

『ふーん。それはともかく、羽がスカスカなのに飛べるんだな……フシギ……』

「物理法則とか知らないのかな?」

『それは魔法がある時点で無視されてないか?』

 

 ……それはそう。

 

「元々《飛行》スキルで飛ぶ魔獣であるからな。むッ!」

『なんか来たぞ、骸骨騎士(スケルトン)か!?』

「ん! 再戦(リベンジ)する!」

 

 いや、こんな足場不安定なところでアレと戦ったら死ぬ! 原作知識で強さ知ってるんだからねこっちはっ!

 

「いや……今回は違うみたいであるな。骸鳥(ボーン・バード)……それに下級骸飛竜(レッサ―ワイバーン・スケルトン)であるな。すでに我がしもべ骸翼虎(ウィングタイガー・スケルトン)たちが交戦中だ。フラン君、ルビー君、師匠君も迎撃を頼む」

「おっけー」

「りょーかいですっ!」

 

 さーて、強さはどんな感じだ……?

 

 

名称:骸鳥(ボーン・バード)

種族:死霊:魔獣 Lv3

生命:18 魔力:6 腕力:7 敏捷:16

スキル

威嚇1、嘴撃術1

 

名称:下級骸飛竜(レッサ―ワイバーン・スケルトン)

種族:死霊:魔獣 Lv10

生命:108 魔力:50 腕力:87 敏捷:133

スキル

威嚇3、隠密2、再生3、毒無効

 

 

 う~ん……まぁまぁ雑魚かな。《簒奪》はまだ使わなくてもいいや。

 

『数が多いな……』

「数の暴力で殴ってくるタイプなんじゃない?」

『だな』

「じゃ、師匠と手分けする」

 

 そういってフランは《次元収納》から魔影鋼の長剣を取り出した。

 

 幻輝石の魔剣は僕が使ってるから、必然的にそうなるのか。

 

『く……仕方ないな。ウルシも頼む!』

「オン! ウオオォォン!」

『行くぞおらー!』

「うん、《閃っ剣》っ!」

 

 

■□■

 

 

「……なんか、数多すぎない?」

『そうだな……俺は魔石食べ放題で定期的に魔力も吸収してウハウハだが、まともに相手してたらルビー達が消耗しちまう……』

 

 ──ズドーン……

 

「……不穏な音がしたような気がするけど、気のせい?」

「あ、とぶ虎が」

「嘘でしょ!?」

 

 ほ、砲撃って……こんなんあったっけ。転剣好きな僕でも原作知識を微妙に忘れてる場所があるからな……。

 

「チッ、来たな。浮遊島からであるな!

「おーう、マジか……ってか、当たってる当たってるッ!」

『アンディは大丈夫なのか!?』

「オォォ……ン!」

「駄目だな! 飛竜(ワイバーン)とはいえ、そう何発も耐えられん!」

「駄目じゃん!?」

『ジャン! マジでどうするんだよ!』

「ええい! 少し待て! 今準備中である!」

 

 ええと、ここでどうするんだっけ!?

 

 あ、そうそう、スライム使ってた気がする!

 

「よし、準備ができたぞ。師匠君、ウルシ君! 戻りたまえ!」

『了解』

「オン!」

「フラン君とルビー君は、何があってもじっとしているのだ! いいか、我を信じるのだ!」

「ん!」

「お願いします!」

「ふはははは。良い返事であるな! それでは、一気に突っ込むのである!」

『で? どうするんだ?』

「こうするのだよ。簡易召喚(インスタント・サモニング)──アンデッド・ウーズ!」

 

 ジャンさんの持っている玉からスライムが飛び出して、アンディの身体に絡みつく。

 

『スライム系の不死魔獣(アンデッド)?』

「酸の濃度を可能な限り薄めてある! ウーズと共に助骨の中に入り給え!」

『影に戻れ、ウルシ!』

「オン!」

「僕たちも行くよ、フラン!」

「う……」

「……気持ちは分かる。ちょっと嫌だよね、これ」

 

 けど、手段を選んでいる暇はないのだ。

 

『クソっ、追撃が……ッ!』

「アンディ! ご苦労だったな」

「ゴオ!」

「見せ場だ! 頼むぞアンディ!」

「グォォォン!」

「え、なにこれ?」

「ふはははは! これがアンディの必殺、究極逆噴射(ファイナルリバースブレス)であるッ!」

 

 アンディが浮遊島とは反対の方向を向いて光線(ブレス)を勢い良く吹くことで、推進力を加速させたのだ。

 

「ガガオオオオオォォォォォォォゥゥッ!」

「ふははははは! いいぞアンディ! 計画通りである!」

「速い速い!」

 

 これなら、行ける!

 

「このまま突破するのだッ!」

『うぉぉぉ……!?』

 

 その直後、何か透明な壁のようなものに僕たちはぶつかった。

 

『何だこりゃ!? 結界……!?』

「──壊せるよ、このくらい」

 

 僕は魔力を込めて、放つ。

 

 

「──《閃剣》」

 

 

 ──パリィィイイン……ッ!

 

『ひゃっはーーゴリ押しィィ!!』

「このまま地面にぶつかるよッ!」

「舌噛むなよ! フラン君とルビー君!」

「がぼがぼ」

「フラン大丈夫!?」

 

 そう言っている間にも地面は僕たちに近づいて来て──

 

 ──ドガガガガオォン!

 

「ぬうううう!」

「あう」

「うわぁ!?」

「キュウウゥゥン」

『おわぁっ!』

 

 そして僕たちは、無事(?)着陸できた。

 

『ハッ……生きてるか!?』

「げほっげほっ……」

「……一応ね」

「…………アンディ……よくやった」

「ォ……ッ……」

 

 アンディの方を見ると、とても悲惨な見た目だった。

 

 体は粉々になり、頭がかろうじて残っているような状態だ。

 

「つかの間だが、お前との時間……楽しかったぞ。……ルビー君、少しいいかね?」

 

 ……え? 僕?

 

「何ですか?」

「アンディを介錯し、《簒奪》を使ってくれないか?」

「なんで、僕が……?」

「アンディの死に、意味を与えてほしいのだ。……ルビー君の中で眠らせてやってくれ」

 

 ……よく分からないけど、ここはジャンさんの言うとおりにした方がよさそうだな。

 

「……分かりました」

 

 僕は幻輝石の魔剣をアンディに向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ありがとう、アンディ」

 

 

〈簒奪が発動します。ステータスに生命+1034が加算されます〉

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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