転生したら転剣の世界でした 作:氷月ユキナ
「…………」
『こんな状態でよく本なんて読めるな』
どうも、ルビーです。
今僕たちは、アンディに乗って空の旅をしています。
『何読んでたんだ?』
「ああ。前回の探索で『死霊喰らい』が守っていた宝箱があったのだが、その中にあった書物を読み返していたのだ。『名無し』……という何者かの日記……らしいが」
「……『名無し』…………」
……ああ。
色々と救う方法も考えてみたけど、必ずどこかで壁にぶち当たっちゃうんだよね……。
『会ったころのフラン&ルビーのような奴隷か、それに準ずる何かか……?』
「そうだろうね。その『名無し』君が浮遊島で実験台にされて
「ルビー?」
「何でもない」
やっぱり伝えるのは無理か……ちくせう。
「例の浮遊島で何らかの実験が行われていた……という内容のようであるな」
『ふーん。それはともかく、羽がスカスカなのに飛べるんだな……フシギ……』
「物理法則とか知らないのかな?」
『それは魔法がある時点で無視されてないか?』
……それはそう。
「元々《飛行》スキルで飛ぶ魔獣であるからな。むッ!」
『なんか来たぞ、
「ん!
いや、こんな足場不安定なところでアレと戦ったら死ぬ! 原作知識で強さ知ってるんだからねこっちはっ!
「いや……今回は違うみたいであるな。
「おっけー」
「りょーかいですっ!」
さーて、強さはどんな感じだ……?
名称:
種族:死霊:魔獣 Lv3
生命:18 魔力:6 腕力:7 敏捷:16
スキル
威嚇1、嘴撃術1
名称:
種族:死霊:魔獣 Lv10
生命:108 魔力:50 腕力:87 敏捷:133
スキル
威嚇3、隠密2、再生3、毒無効
う~ん……まぁまぁ雑魚かな。《簒奪》はまだ使わなくてもいいや。
『数が多いな……』
「数の暴力で殴ってくるタイプなんじゃない?」
『だな』
「じゃ、師匠と手分けする」
そういってフランは《次元収納》から魔影鋼の長剣を取り出した。
幻輝石の魔剣は僕が使ってるから、必然的にそうなるのか。
『く……仕方ないな。ウルシも頼む!』
「オン! ウオオォォン!」
『行くぞおらー!』
「うん、《閃っ剣》っ!」
■□■
「……なんか、数多すぎない?」
『そうだな……俺は魔石食べ放題で定期的に魔力も吸収してウハウハだが、まともに相手してたらルビー達が消耗しちまう……』
──ズドーン……
「……不穏な音がしたような気がするけど、気のせい?」
「あ、とぶ虎が」
「嘘でしょ!?」
ほ、砲撃って……こんなんあったっけ。転剣好きな僕でも原作知識を微妙に忘れてる場所があるからな……。
「チッ、来たな。浮遊島からであるな!」
「おーう、マジか……ってか、当たってる当たってるッ!」
『アンディは大丈夫なのか!?』
「オォォ……ン!」
「駄目だな!
「駄目じゃん!?」
『ジャン! マジでどうするんだよ!』
「ええい! 少し待て! 今準備中である!」
ええと、ここでどうするんだっけ!?
あ、そうそう、スライム使ってた気がする!
「よし、準備ができたぞ。師匠君、ウルシ君! 戻りたまえ!」
『了解』
「オン!」
「フラン君とルビー君は、何があってもじっとしているのだ! いいか、我を信じるのだ!」
「ん!」
「お願いします!」
「ふはははは。良い返事であるな! それでは、一気に突っ込むのである!」
『で? どうするんだ?』
「こうするのだよ。
ジャンさんの持っている玉からスライムが飛び出して、アンディの身体に絡みつく。
『スライム系の
「酸の濃度を可能な限り薄めてある! ウーズと共に助骨の中に入り給え!」
『影に戻れ、ウルシ!』
「オン!」
「僕たちも行くよ、フラン!」
「う……」
「……気持ちは分かる。ちょっと嫌だよね、これ」
けど、手段を選んでいる暇はないのだ。
『クソっ、追撃が……ッ!』
「アンディ! ご苦労だったな」
「ゴオ!」
「見せ場だ! 頼むぞアンディ!」
「グォォォン!」
「え、なにこれ?」
「ふはははは! これがアンディの必殺、
アンディが浮遊島とは反対の方向を向いて
「ガガオオオオオォォォォォォォゥゥッ!」
「ふははははは! いいぞアンディ! 計画通りである!」
「速い速い!」
これなら、行ける!
「このまま突破するのだッ!」
『うぉぉぉ……!?』
その直後、何か透明な壁のようなものに僕たちはぶつかった。
『何だこりゃ!? 結界……!?』
「──壊せるよ、このくらい」
僕は魔力を込めて、放つ。
「──《閃剣》」
──パリィィイイン……ッ!
『ひゃっはーーゴリ押しィィ!!』
「このまま地面にぶつかるよッ!」
「舌噛むなよ! フラン君とルビー君!」
「がぼがぼ」
「フラン大丈夫!?」
そう言っている間にも地面は僕たちに近づいて来て──
──ドガガガガオォン!
「ぬうううう!」
「あう」
「うわぁ!?」
「キュウウゥゥン」
『おわぁっ!』
そして僕たちは、無事(?)着陸できた。
『ハッ……生きてるか!?』
「げほっげほっ……」
「……一応ね」
「…………アンディ……よくやった」
「ォ……ッ……」
アンディの方を見ると、とても悲惨な見た目だった。
体は粉々になり、頭がかろうじて残っているような状態だ。
「つかの間だが、お前との時間……楽しかったぞ。……ルビー君、少しいいかね?」
……え? 僕?
「何ですか?」
「アンディを介錯し、《簒奪》を使ってくれないか?」
「なんで、僕が……?」
「アンディの死に、意味を与えてほしいのだ。……ルビー君の中で眠らせてやってくれ」
……よく分からないけど、ここはジャンさんの言うとおりにした方がよさそうだな。
「……分かりました」
僕は幻輝石の魔剣をアンディに向けた。
「ありがとう、アンディ」
〈簒奪が発動します。ステータスに生命+1034が加算されます〉