転生したら転剣の世界でした 作:氷月ユキナ
剣(“
スキルではなく大量の能力値を奪ったからか、僕は気持ち悪くなった。
具体的に言えば、こう……車酔いみたいな感じだった。この世界に車なんてないけど。
そこから少し、僕は戦闘に参加せず休ませてもらっていた。
出てくる敵は下級のゾンビや
『ジャン』
「うん? 何かね」
『報酬は少なめで構わないから、代わりに迷宮で倒した魔獣の魔石をもらえると嬉しいんだが……』
「構わんが……何に使うのかね」
『えぇと……』
フォローしたいけど、気持ち悪くて言うのがだるい……。
これでもアンディに《簒奪》使った直後と比べたら、結構治ってきてるのだ。
「……ぉぇ」
「ルビー、大丈夫」
「フラン……」
「私がいるから、ルビー」
フランは至近距離で見つめてくる。
ちょっ、近い近い!
「うん……でも、吐いちゃうかもしれないからあんまり近づかないで?」
「ルビーのなら大丈夫。存分に私に吐いて」
「絶対に嫌だよぉ!?」
何でフランに僕の吐瀉物をぶちまけなきゃならないんだ……汚いよ。汚物だよ。
「ふむ……魔石値、これか」
『!』
「魔石を喰らって力を得ている剣……と言ったところか」
『く……鋭いな』
なーにバレてんの師匠……まぁ、ジャンさんだし良いか。
「ルビー、お姫様抱っこする?」
「しなくていいッス」
「私がしたい」
「丁重にお断りいたします」
「むぅ……」
不満そうな顔してるけど、流石に勘弁してほしい……!
この歳でお姫様抱っことか恥ずかしすぎるよ!
それに、時間経過でだんだん気持ち悪さも抜けてきてるし……すでに吐きそうな気配もない。
「くく、面白くないかね」
『そりゃあな』
「ふむ。魔眼系が嫌なら、君たちにうってつけのスキルを持つ魔獣を前回見かけたがね……」
『え?』
「おっと! さぁ、着いた。ルビー君、そろそろ体調も回復してきたかね」
「……なんでわかるんですか」
「我が《魂魄眼》によってだ……前にも披露しただろう?」
いや、実際もうほとんど気持ち悪くないけどね。
「もう、大丈夫です。行きましょう」
「いいだろう! いざ潜ろうではないか、『浮遊島の
■□■
遺跡のような場所の奥、その中央に地下へ降りるための階段があった。
そここそが、
──浮遊島の
ジャンさんが《火魔術》トーチを使って光を創った。
『おい、ジャン。さっきの話……俺たちが欲しがりそうなスキルって?』
「ああ。地下二層に『擬態霊』という、壁に擬態する不定形な死霊魔獣がいてな……こいつらは《鑑定妨害》というスキルを持っているのだが……」
『んー、でも《鑑定遮断》持ってるしなぁ』
「まぁ聞くがよい。その中に
『《鑑定偽装》!?』
「鑑定されたときにスキル構成や能力値を偽装して見せる事が出来るスキルであるな」
『弱く見せたり強く見せたりできるって事か。でも魔眼系のスキルには結局……』
「いや、《鑑定偽装》ってユニークスキルなんだよね?」
僕はここで口を挟む。
ずっと会話の外なのは寂しいし……。
「ああ、その通りだ」
「なら、魔眼系のスキルがエクストラスキルでもない限り大丈夫だと思うよ」
『まじかジャン!?』
「我もルビー君と同じ考えだな」
『おお……!』
「やる気は出たかね」
『おう! 早く行こうぜ!』
師匠の声に従って駆けだ──そうとしたフランの方を僕は掴む。
「はーい、フラン、ストーォップ」
それと同時に、フランの目の前の床から槍が何本も出てきた。
「わー」
「わーって……反応薄いね」
『よくわかったなルビー……』
「こっちは《罠感知》持ってるからね。レベルは2だけど」
頼りにできるほどの効果じゃないんだよね……レベル低いから。
「というわけで、君たちに収納を頼んだアレの一番を出してくれるかね」
「ん、はい」
フランは次元収納から、よくわからん玉を取り出す。
確かスライムを呼び出した時もあんな感じのやつ使ってたよね。
「──
「ヴァ」
名称:セルカン(カスタム
種族:死霊・魔獣 Lv14
生命:69 魔力:165 腕力:33 敏捷:56
スキル
再生10、瞬間再生4、罠解除5、罠感知4、器用、再生強化
そのセルカンは《罠感知》、《罠解除》、《器用》を駆使して罠を解除し、解除できないものはわざと起動し《瞬間再生》でチャラにすることで攻略していく。
『めっちゃ優秀だな、セルカン』
「ふはははは! そうであろう!」
『いやー、順調だな』
「うむ、ここまではな」
『どういうことだよ?』
「広間には何かある?」
「モンスター部屋になっているな。そこからは中級の魔獣も出現するぞ」
「……まぁ、僕達なら余裕でしょ」
そうだ、こんな所で手こずっているわけにはいかない。
『そんな簡単に行けるか?』
「大丈夫だよ、師匠。だって僕達、最強だから」
フッ、決まった! 一度言ってみたかったんだよね、このセリフ!
『……呪術〇戦の五条悟?』
「あ、元ネタ知ってるんだ」