転生したら転剣の世界でした   作:氷月ユキナ

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なんで、僕は助けられなかったんだろう。
近づけた筈なのに、どうして僕の手は届かなかったんだろう。

……また、会いたいな。


76 何かみんな寝てました

「……なんか、悪夢見すぎじゃね?」

 

 夢から醒めた僕は、呆れたように呟く。

 

「フランは……ん?」

 

 僕の横に目を向けると、がっちりと僕を抱きしめているフランの姿が。

 

 ……夢でフィーを抱きしめた時の感覚って、フランだったのかな。

 

 ジャンさんは……僕から少し離れたところで寝ていた。

 

 みんな眠かったの……?

 

「師匠ぉー、《偽装霊》はどうしたのー?」

『……ああ、起きたのか。《偽装霊》ならもう倒したぞ?』

「別に起こしてくれてもよかったのに……」

『いや……幸せそうな顔で魘されてたから、これどうしようって話になってな?』

 

 魘されてるなら起こしてよ……。

 

『そしたらフランがルビーに抱き着けば癒せるとか言って……結果はこうなった』

「んでフランが寝たと……ジャンさんは?」

『読んでる本が区切りのいい場所まで行ったし二人とも寝てるから、自分も寝るって』

「え、見張り役は?」

『俺』

「ああ……なら安心だわ」

 

 よし……そろそろ二人を起こすか。

 

 僕は動こうとして……止まった。

 

「…………」

『……どした?』

「いや、なんか……起こすの悪いなって」

『ああ』

「もう一つは、フランにがっちり抱かれてて動けない」

『ああ……』

 

 …………どうしよう?

 

 少し体を揺さぶってみるが、全くフランが離れる気配がしない。

 

「起こす?」

『う~ん……少し時間見て、それでも起きなかったら俺たちで起こそうぜ? ずっとここに居るわけにはいかないし』

「それもそうだね」

 

 僕は天井を見上げ、次に道の先を見据える。

 

 ずっとここに居たら攻略なんてできやしない……まだ、長いんだから。

 

「ふぅ…………」

『……ルビー』

「んー?」

『二度寝するなよ、面倒だから』

「眠気覚めたからしないよ!?」

 

 僕は手を振りながら否定する。

 

 まったくもう……。

 

『……辛いなら、話してもいいんだぞ』

「え……」

『今日の朝とか今とか……同じように魘されてたらわかるさ』

「あははっ……お見通しかー」

 

 まぁ、少しは察しが付くよね。

 

「けど……大丈夫なんだよ。これは僕の問題だから」

『ルビー……』

「大丈夫だから……大丈夫じゃないと」

 

 本当にこれは、僕の問題だ。

 

 ただ、アレを乗り越えられてないだけで。

 

 ……でも。それでも。

 

 アレを乗り越えて成長するのは嫌だと思う自分もいて……。

 

「……あー、ホント。何やってるんだろうなぁ、僕は」

 

 ふと、フランの顔を覗き込む。

 

 その顔は幸せそうで……僕は思わず、起こさないようにそっと頭を撫でた。

 

「……僕が死なせないよ、フラン」

 

 あの時と違って、生物を殺すことをためらったりなんてしない。

 

 《簒奪》も駆使してきた。

 

 もう僕は、繰り返さない。繰り返してたまるかよ……っ。

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