転生したら転剣の世界でした   作:氷月ユキナ

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88 新たな冒険へ旅立ちました

「えー、『もしかして、この日記を読むのは、ジャン・ドゥービーと二人の少女なのだろうか? だとしたら一つだけ言いたい。あなた達が生き残って良かった』……ねぇ? 日記にこんなこと書いちゃってー、君も生き残っちゃったけど、ねぇねぇどんな気持ち?」

『……心の底から恥ずかしい』

 

 迷宮(ダンジョン)を脱出した僕たちは、ジャンの研究所で死霊の王(リッチ)……もとい、リーチェルの前で日記を朗読していた。

 

『あの……そろそろやめて、恥ずかしいよぉ……』

迷宮(ダンジョン)の時の迫力は何処に行ったのさ。正直ここまでいじれるとは思ってなかったよ僕」

『……それとさ、今のぼくの状態って生き残ったって言えるの?』

 

 リーチェルの声が、僕の横にある剣から聞こえてくる。

 

 ……彼は、知性ある武器(インテリジェンスウェポン)となったからだ。

 

「それは……何か、ゴメンね? 他にやり方思いつかなくてさー」

『あ、単純に疑問に思っただけだよ!? ……ぼくは本当は、あそこで死んじゃうはずだったんだし、むしろぼくがきみにお礼を言わないと』

「全然良いって。こんなの、僕のただのエゴなんだしさ」

 

 リーチェルが書いたという日記をぱたりと閉じて、顔を上げる。

 

『おーい、ルビー! リーチェル! そろそろ出るぞー!』

「はーい!」

 

 師匠の《念話》が聞こえた僕はリーチェルを急造の鞘に入れて、ジャンさんの家の外に出る。

 

 そこには、師匠、フラン、ウルシ、ジャンさんの四人が待っていた。

 

『そうだ、ルビー! ジャンから50万ゴルド以上貰ったぞ!』

「へぇ、そうな……え、多くね?」

「構わんよ。君達には……特にルビー君には、ステファンが世話になったようであるからな」

『…………っ』

(リーチェルは悪くないよ)

『そうなの、かな……』

 

 不安そうな声を出すリーチェルを励まして、僕はジャンさんに向き直る。

 

「ルビー君。……ステファンは最後、笑っていたか?」

「ええ。……本当に幸せそうに、笑っていましたよ」

「……そうか、なら良い。死霊(アンデッド)にとって、笑っていけるのは最良なことである……」

「そうなんですね……」

 

 あの時のステファンの笑顔を思い出し、僕は少しうつむいてしまう。

 

『あー……し、しかし、後始末色々任せちまっていいのか?』

「む? ああ……」

 

 僕の雰囲気を感じ取ったからか、師匠は場の空気を変えようと声を出した。

 

「あれだけ大ごとになってしまっては、ギルドに報告せぬわけにはいくまい。そうなれば専門職でランクBの我の方が話も通りやすいであるからな」

『そうか』

 

 それだけ聞くと、ウルシが「ワォン!」と鳴いた。まるで、早く乗れというように。

 

「じゃあ、いく」

「そうだねー、後ろ失礼」

 

 フランと僕の二人がウルシの上に乗り、ジャンさんを見下ろす構図になる。

 

「うむ。目的地は、港町ダーズであったか?」

「ん」

「そうなりますねー」

『そこからバルボラ行って、ウルムットかな。遠回りだけどね……』

 

 そうして、僕たちの乗っているウルシは風のように駆け出した。

 

「気を付けて行くがよい」

「またね」

「ありがとうございましたー!」

 

 ジャンさんに手を振った僕たちは、ウルシから落ちないようにぎゅっとしがみつく。

 

「んっ……ルビー、もっと抱き着いて」

「え……? いや、これ以上やったら痛いと思うよ」

「それでも、ルビーなら良い」

「待って。……なんか変な扉開いてない?」

「くんくん。ルビー、いい匂い」

「ふぁあ! ちょっ、くすぐったいってばぁ!」

『……何やってんだ?』

『師匠さん、二人って恋人同士なんですか?』

『違ったと思うんだけどなぁ……』

 

 そうして、ウルシに乗って僕たちは走っていく。

 

 まだ見たことのない、冒険に向かって。




英検が終わったので投稿します。
そして突然なのですが、この作品をリメイクしたいと思ってます。
理由なんですが、久々に一話を見直してみたら大分酷かったので……
ここをもっとこうした方が良かったなと思った点も多々あったので、書き直すことにしました。
続きを待っていた人に申し訳ないですが、ちゃっちゃとここまで進められるように頑張るので応援してください!

長々と書いてしまいましたが、最後に。
リメイクするからには、このまま続けるよりも面白い展開を用意したいと思っているので、楽しみにしていてください!

リメイク版のURLはこれです↓
https://syosetu.org/novel/345925/
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