・地下牢の見張りを吹き飛ばした
当クオーラ王国の貴族は基本的に魔法使いである。
つまり投獄した罪人には魔封じの道具が使われるのだ。
何故かつけられなかったわけだが。
その理由を高らかに教えてきたのが王城の出入口で立ちふさがっているシルヴィアーナの兄ことゴルディアスであった。
元々ゴルディアスとシルヴィアーナは仲が悪く、婚約が決まったことで王妃教育が忙しい間は好都合だとお互いに思っていたが……
【令息ゴルディアス】
「無様な姿になったなぁシルヴィアーナ!」
「王子殿下の不興を買った挙げ句に貴族としての価値もない淫売が!」
「お前の名前はもうドラグホーン家から消えてるのだ」
「だからもうお前は俺の妹なんかじゃない!」
【令嬢シルヴィアーナ】
「そうですわね、わたくしも貴方の顔を見るのも嫌で嫌でせいせいしてますわ」
「ちょっと気になったのですけど、一つだけ質問してもよろしいかしら?」
【令息ゴルディアス】
「嫌だね!!!……と言いたいところだが最後の慈悲だ」
「聞くだけ聞いてやろう。何が聞きたい?」
【令嬢シルヴィアーナ】
「どうしてわたくしは魔封じされておりませんの?」
「ここまで来るのなんて簡単でしたわ」
【令息ゴルディアス】
「愚問だな。そんなことも気付かなかったのか」
「それとも気付かない振りか?」
「まあいい。答えてやるぞ淫売」
「もしお前が暴れたら我がドラグホーン家はどうなってたと思う?」
「当然取り潰しだ」
「だからこそお前は抵抗しなかったのだろう」
「だが、何故かお前は今暴れている」
「まあもっともお前が投獄された時点で我が家からは縁が切れていたのだがな」
そう。シルヴィアーナが告発された時点でドラグホーン家は守る気がなかったのだろう。
分かっている。このまま暴れたら全力で鎮圧されて完全に国が敵に回るだろう。
【令息ゴルディアス】
「大人しく降参したほうが身のためだぞ?」
「ここで暴れるようなら魔物化した悪魔として駆除しなきゃいけなくなるからなぁ」
「俺に手間を掛けさすなよ?」
仮にも妹だとしても全裸の女。
普通の男なら問答無用で組み伏せてもおかしくないが……。
【令息ゴルディアス】
「こんな汚いお前なんか抱くわけないだろ」
「かわいいアニータと比べるのも失礼だ」
何故王太子が気にかけていたアニータの名前がここに出るのだろう。
まさか……
【令息ゴルディアス】
「本人が誘ってきたんだ。それくらいいいだろ」
「お前が気にすることじゃない」
向こうの方がよっぽど淫売してる気がするが大丈夫なのだろうか……
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