猛き竜には武装をさせよ。〜最強+最強、武装とロマン全開竜種で往くVRMMO譚〜   作:レヴァ剣竜

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目に焼き付けろ、種族の利ってやつを!

ドラゴンにはなりたかったが、あまりにも制約が厳しくないか?

話せないし、飛べないし、二足じゃ立てないし。

あまりのないない尽くしに、思わずため息を吐く。

 

……ただ、こうして途方に暮れていても仕方がないだろう。

 

せめて、何かできることを探さねば、と慣れない四足を動かし、歩き出した時だった。

 

ガサッ!

 

背後の茂みから唐突に音が響いて、振り向くとそこにいたのは——緑色の皮膚をもち、肩に棍棒を担いだ、古今東西あらゆるゲームでよく見るタイプのモンスター——ゴブリンだった。

 

「ゴブッ!」

 

濁った鳴き声と、頭上に表示されたHPバーの縁は赤く染まっている。

こう言う時は確か……と、記憶をたぐっていた時。

 

突如、跳躍と共にゴブリンはこちらに向かい——棍棒を振るった。

 

「グワッ!?」

 

急なことに対応しきれず、咄嗟に身を捩り躱すも、攻撃が掠ってしまったためか、痺れと共にHPが削れる。

 

「グォォォォッ!?」

 

跳躍もできりゃ、武器も使える。

 

二足の卑怯さに咆哮を交えた抗議をしつつ、四肢をしっかりと地につけて衝撃を緩和し、相手を観察する。

 

身長は、周りの木々から推察するに、おおよそ80cmほどだろうか。高さで言えば四足つけているとはいえ、俺と同じくらいだ。

レベルである程度体も成長する、と事前の情報では聞いていたため、いつかは圧倒的な身長差でこいつを叩き潰せるのかもしれないが、今は少なくとも不可能だ。

また、武器は棍棒と尖った爪くらいのようだ。

相変わらずフットワークの軽い二足のアドバンテージは卑怯だが、削られたHP量から見るに、高レベルなモンスターには見えない。

こちらも十分に戦えるはず……ッ!

 

巧みにステップを踏んで、接近したのち振り下ろされる棍棒を、先ほどと同じく体を軽くよじることで最低限躱し、そのままガラ空きになった脇腹へと、爪を突き刺す。

 

「ゴブッ!?」

 

ズブリと物を貫くような感覚と共に、ゴブリンのHPバーが、確かに二割ほど減少し……これなら行けそうだ、と思わず安堵しそうになったのも束の間、攻撃直後で生まれた隙に付け入り爪を突き刺しているせいで避けれない俺の首筋にズドン、と。

 

ヤツは、棍棒を叩き込んだ。

 

「……ッ!」

 

痛みこそなくても、不快な痺れだ。

それに、HPも三割ほど減少している。

 

——ダメージレースで勝てない以上、このまま戦ったら不利!

 

慌てて爪を引き抜き、後ろ足で地面を蹴って、勢いのみを利用しその場から一時離脱する。

 

けれど、慣れない四足で戦っている分、結局こちらの方が動きは遅い。

体制を整えている間にも、ゴブリンは二足で巧みに接近し、棍棒は俺を襲う。

 

これが種族の利ってやつかよ、と。

二足と四足の差のデカさに、思わず歯軋りをした時、俺は一つ気がついた。

 

いや、待て。種族の利なら——

 

「ゴブッ!!」

 

——俺にもあるっ!

 

僅かに動かした肩甲骨。

現実なら何もないはずのその先にあった二枚の翼膜が目の前まで動き、すんでのところで棍棒を受け止める。

 

ゴン、と鈍い音が響くが、翼は十分堅固な盾となっていた。

 

HPの減りが先ほどよりは抑えられている上、さほど痺れもないことを確認したのち、攻撃の直後で隙が生まれたゴブリンの腹を狙うようにして一気に左足の爪を走らせる。

 

——肉を裂いた一撃目。

 

残りHPは六割くらいだが、まだこんなものじゃない。

 

——脇腹を貫いた二撃目。

 

突き刺した右足の爪、貫き裂けた肉から赤いポリゴン片が飛び散り、さらにHPは削られ残りは三割程度。

本来ならもうこの時点で身動きは取れなくなり、一撃もらっているところだ。

 

だが、()()()()武器はある。

 

「グォォォォッ!」

 

——最強の種族が何なのか、その目に焼き付けやがれ!

 

突き刺した爪を支点とし、僅かに接地した後ろ足と翼を用いて跳ね、爪を横に走らせると共にターン。

まだ感覚には慣れきっていなかったが、尾骶骨の先——そこには、確かに尾があった。

 

「ゴブッ!?」

 

打ち下ろされようとした棍棒を弾き飛ばし、尾は真っ直ぐにゴブリンへと迫り——頭部を捉える。

 

——尾による三撃目。

 

鈍い感触が全身を走り、一拍置いて、視界の端に見えていたゴブリンのHPが空になると共に、次の瞬間、破砕音が響き渡り——触れていた感触が失せると共に、視界の端でポリゴン片が飛散した。

 

「グオオオオオオオッ!」

 

特に意味を持たない勝利の咆哮を響かせ、ガッツポーズの代わりに接地させた四肢を強く握り締めた時だった。

 

《レベルが3、種族熟練度が1に上昇しました》

 

やたらと派手なファンファーレに近いBGMと共に、目の前に表示されたのはそんなアナウンスの記されたウィンドウだった。

いわゆるリザルトというやつだろうか。

 

取得アイテムには【ゴブリンの棍棒】と、武器アイコンを持つアイテムが記され、種族熟練度欄には、次に取れるスキルとして《300:健脚》と、記されていた。

スキルについての詳細を確認していなかったことに気づきTipsを開くと、曰くモンスターを倒した際に上昇する種族熟練度と、ステータスが要求値に達していれば取得できるものらしい。

 

取得すると常時バフがかかったり、戦闘中に使えたり、と。

相当に便利だな、とツリーを流し見してみると、300で取れるというスキルは他にもチラホラある。ただ、ある程度ステータスの振り方で取得できるものは分かれるようだ。

 

では、STRの要求値が高い《健脚》というのはどういうものなのかと詳細を開いてみて——

 

「グェッ!?」

 

——俺は、思わず頓狂な声と共に目を見開いた。

 

《健脚:逞しい脚によって、二足で行動できるようになります》

 

——二足で行動できる。

 

その文言が本当ならば……武器を持つという望みも、あながち叶わないものではないのかもしれない。

レベルによって、取得できるポイントが変わらないらしい種族熟練度を300まで上げるために必要なゴブリンの数はおよそ300。

決して少なくはない、というか多いことには違いない。

 

でも、丁度この体をもっと動かしたいと思っていたところだ。それに——

 

 

「グオオオオオオオオオオオオオオオオッッッ!」

 

 

——武器を振るうドラゴンに自分がなるためだったら、それぐらい余裕だよなぁ!?

 

 

プレイヤーらしき相手が誰もいないのを良いことに、先ほどよりも大きな言葉にならない咆哮を上げると、俺は狩りに勤しむことにした。

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