まずは何話かかけて、日常や戦闘などの状況をひと通り描写していく予定。
たぶん5話ぐらい。
ガリオンヌ地方の中心、ラーグ公爵の居城であるイグーロス城。
その城下の一角を男が一人歩いていた。
ベントのあるローブを身に纏い、腰には幅広の剣を佩いている金髪碧眼の男だ。
彼が向かう先にあるのは鳥舎。
鳥の臭いに包まれたその場所に近づいていく。
(ギュス、久しぶり。もっと構え。)
男が鳥舎に入ると、一羽の黒い大鳥が魔獣語で話しかけた。
魔獣語とは言っても、純粋に言語だとは言い難い。鳴き声だけでなく動作なども重要な要素となるし、当然種族による差もある。
「別れてから一刻も経ってないだろう。落ち着け。」
男がその要求を退けると鳥は不満そうに低く鳴いていたが、羽毛に覆われた首を撫でられると、気持ち良さそうに目を細めた。
「私は忙しいんだよ。今からまた行くところもあるしな。」
言いながら、鳥に頭絡や手綱といった装具を取り付けはじめる。
その鳥は騎乗用としても用いられるチョコボ類の一種で、黒チョコボという品種だ。
騎乗用というだけあって、チョコボ類の鳥は大きくて脚力が強い。
多くの騎士は圧倒的な戦闘能力を有する赤チョコボに憧れるものだが、私はこの黒チョコボを気に入っている。
黒チョコボは走力の高いチョコボ類の内でも唯一飛行能力を併せ持ち、走りにくい地形や障害物を全て飛び越えることが可能だ。
その機動力は騎獣のうちで最高といえる。
フリンと名付けたこの個体は幼少の頃より共に過ごした仲だ。
その頃は野生のチョコボを手懐けようとして必死に魔獣語を覚えたのが懐かしい。
黒チョコボは人間に慣れ過ぎると飛ばなくなるという話も聞いたことがあるけれど、フリンは最近でも問題無く飛び回っているから個体によって差があるのだろう。
(行く、一緒?)
「一緒だ。またフリンと二人旅だな。」
鞍まで装備し終えると、そのまま外へ連れ出した。
「行き先はゼラモニアだ。ゼラモニア。わかるか?」
(多分わかる……?あっち、遠い。)
フリンは頭を傾けて東の空を見上げた。
艶やかな黒羽の反射光はその動きに合わせて、麦畑が一陣の風を映すかのように駆けて行く。
陽光を受けた目が僅かに赤く染まる。フリンは黒い目をしているが、明るいところでは赤味掛かって見える。
他のチョコボ類の場合は青っぽい目が多く、赤といえば大抵は黒チョコボだ。
「そうそう。合ってる。」
背に乗りながら言う。
大雑把に東を指したフリンが言うとおり、ゼラモニアは東方、ゼルテニアを越えた先にある地域だ。
フリンはゼラモニアとゼルテニアを覚え難いらしくて混同することがある。
それらの地名はチョコボの感覚を以てしても似ているように感じるらしい。
フリンがどちらのつもりで答えたのかはわからないが、どちらも東にあるしゼルテニアを通ってゼラモニアへ行くのだから、どちらでも大差は無い。
それ以上は何も訊かずに肯定しておいた。
首を撫でて褒めると、フリンは得意げに羽ばたいた。
(出発?出発?)
「ああ、行こう。」
(出発!)
フリンは一鳴きすると、前進の合図と共に力強く地面を蹴って走りだした。
世は戦乱の時代。
隣国オルダリーアの王位継承問題を契機に、血縁関係のあるイヴァリース王デナムンダ二世が宣戦布告。
100年程前にオルダリーアに占領されたゼラモニア地域を奪取することが目的であったと言われている。
開戦から約35年が経った今、イヴァリース軍はゼラモニアを制圧し首都ブラにまで進撃したものの、デナムンダ二世の崩御と隣国ロマンダからの挟撃によりゼラモニアまで後退した。
幸いロマンダはわずか3年で撤退したものの、一時は国土の一部をロマンダに占領されていたこともあり国内の治安は悪化している。
そしてそんな中で、私はテンプレが云々というわけで今に至る。
……アレだよ、ほら、チート転生。
まあ、もう少し詳しく説明しとこうか。
私はイヴァリースのガリオンヌ地方の貴族の家に生まれ、ギュスターヴと名付けられた。
私には前世の記憶があって、その中にはこの世界に関する情報、所謂原作知識というやつもあった。
前世で好きだったとあるゲームの主人公の名も同じギュスターヴであったことに思い至って嬉しかったりもしたけど、そのゲームの舞台はこの世界とは関係無いし、別人だし境遇もだいぶ違うし、まあ結局のところ関係無い。
それでも名を呼ばれるとその人物を思い出すことがよくあるわけで、たまにそれを意識した行動をとったりもする。
例えばその人物と関わりが深い者の名前をチョコボにつけたりとか。
ちなみにゲームとかの創作物じゃない現実でもギュスターヴという同名の画家が居た気がするが、そっちは特に思い入れは無い。
それからチートに関しては、先程挙げたのと同じゲームに登場したクヴェルというアイテム、簡単に言えば魔法の道具がある。
チートについては転生後に決定しようっていうことになっていたから、ギュスターヴって名前からいろいろ連想して、その中から有用そうなクヴェルを選んだ。
ギュスターヴといえば鋼の剣という印象が強いけれど、剣だけあってもあんまりチートっぽい感じがしないから選ばなかった。
クヴェルにも多数の種類があるけど、ゲーム中に登場したものは全て在るみたいだ。
その中にはイベントに登場しただけの、主人公達が入手できなかったものまで在る。
例えば魔除けのクヴェルとか海皇の宝玉とかラスボスとか。
なんかおかしいのがあるのはきっと気のせい。
あとはゲーム中で装備回収屋(パーティ外のキャラクターの装備品を回収する)が使っていたと思わしき、アイテムを召喚できるクヴェルもあった。名前が無いと不便なので、とりあえず召喚器と呼んでいる。
最初は召喚器だけを持っていて、他のクヴェルは必要に応じて召喚してる。どこから来るのかはわからない。
元あった場所に送り返すことはできないから、たまに面倒臭いこともある。
子供の頃はこの世界の学問や剣術を学んだり、クヴェルを扱う練習をしたり、そんな毎日。
ある程度成長してガリランドの王立士官アカデミーに入ったら、同期生にダイスダーグ=ベオルブやベストラルダ=ラーグが居たりもした。
ベストラルダは未来の公爵だけど、その時点での身分はただの公爵子息だ。
ベストラルダの父がまだ現役の公爵だからな。
ダイスダーグは後にベストラルダの側近となる人物で、薬学や魔法学に熱心だった。
この頃から薬学やってたのか。
アカデミーを出た後は、ベストラルダのコネもあってラーグ公の近衛騎士団に入団。
相棒フリンの高い移動力から、通常の護衛任務の他に伝令や使者といった役目を任されてる。
私の経歴はまあこんなところだ。
とりあえず今後の最優先目標としては戦死などせずに生き残ること。これはまあ当然だな。
第二目標はこの戦争に勝つことだけど、原作知識から言えばこれは負け戦だし、チート付きとはいえ人間1人の力は戦局を大きく変えるほどのものでは無いと思っているのでこれは半ば諦めている。
それに負けたら原作通りの流れになる可能性があるし、それはそれでアドバンテージになる。
次いで第三目標としては、まぁ適当に力をつけることか。
戦力はもとより、権力、財力、人脈とか、いろいろとな。
五十年戦争の35年目ぐらいなので、原作の物語より15〜20年ぐらい前ですかね。
いろいろあって最終的にイヴァリースは負けます。
終戦後に国内が荒れて内戦まで起こって主要貴族が全滅していつの間にか平民出身の人物が王になってる、というあたりが原作の時代ですね。
ところでその王は金色の鎧を装備してたり英雄王って呼ばれたりするんですけどギルg(ry
原作以前の事は調べても詳しくはわからなかったので、細かいところは都合が良いように解釈していきます。
ガンガンでっちあげていきましょうねー。
え?鋼の剣じゃなくてクヴェルを選んだ理由?
まあ攻撃力53もあるギュスターヴの剣はFFTだと驚異的ですよね。
FFTの最強の武器が40ですし。
(別のゲームなので同じ基準で考えるべきでは無いけれど)
でもただの鋼の剣とか地味すぎるので却下。
え?いっそアイテム全種にしたらいいって?
不要なアイテム多すぎるので却下。
え?ラスボス?
アルミだかステンレスだかのトングで掴んで鋼鉄の金庫にぶちこみましただけど何か?