そんなに都会が良いのか!?   作:goldMg

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それって弊社で無くても良いですよね?

 夏、最も探索者と冒険者の活動が激しい季節だ。

 それゆえにギルドはいつでも人でごった返していて、とても暑苦しい。

 探索者と冒険者の違いは、遺跡を探索するか、周辺のモンスターを相手に戦うかの違いだ。

 なんで建物を分けないんだとは思うけど、管理の手間の問題らしい。分けた方が儲かるけど、分けると管理に手間がかかるし、そこまでの人員はいないよ、って事だとジンさんが言っていた。

 

「っしゃあ行くぞ!」

 

「「「おう!」」」

 

 今また、冒険者がモンスター退治に向かった。彼らは遺跡では見ないタイプの装備をしている。

 探索者が遺跡で手に入れた装備で身を固めるのに対して

 冒険者は倒したモンスターの素材から作ったりするため、強くないとやっていけないんだとか。探索者も大変だけど冒険者も大変だなあ。

 どっちが夢があるかというと、一攫千金なのは探索者だけど、安定して高収入を得られるのは冒険者だ。

 異物の中にはそれを売り払うだけで一生遊んで暮らせるだけの金を手に入れられるような物もある、一方で、基本的には遺跡のガラクタ漁りのため、地道な活動をしないと収入は大きくならない。

 冒険者は危険なモンスターと戦う機会が多い為、必然として報酬も高くなってくるが、発生するリスクも探索者より高くなってくる。

 どちらの職業も高ランクになるほど結局埒外の怪物と戦うのは同じだけど、個人的には探索者の方が規模が大きくて楽しいのでオススメする。

 しかし、ギルドにやってくる若者の多くは冒険者を目指してやってくる。やっぱり強大なモンスターと戦うってのはわかりやすく羨望の的になるらしい。

 チプタ村は本来ならど田舎になるはずの場所だが、色々重なって国で2番目に大きな人口密集地帯だ。周辺の村々から夢見る若者が流れてくる。

 そんな彼らは根拠の無い自信に満ち溢れており、既存の有力パーティにいきなり取り入ろうとする輩もいる。まあ、パーティとしても本当に有望な人材なら入れる事も吝かでは無いんだろうけど、なんせ無学の輩達だ。そんな希少な人材なんかほぼいない。

 だから、この時期はギルドの片隅で面接モドキが行われている事も多い。

 まさに今も、四人テーブルを一つ占領して入団面接が行われていた。

 

 今回は既存パーティのリーダーに対して新人2名が臨んでいるようだ。

 確かあのパーティはドラゴンネストとか言ったはずだ。伝説上のドラゴンというモンスターを狩る事を目標としており、ギルド内でも評価は高い。

 対する新人は勝ち気な笑みを浮かべた男女二人組だ。例のごとく自信に溢れているらしい。

 いつものごとくお祈りされておしまいか? 

 

「出身はどこだっけ?」

 

「セネカ村」

 

「あー、確かセネカ鉱山が近くにあったよね」

 

「そう、俺たちは二人ともそこから来た」

 

「なんかこう、これまでの実績みたいなのある?」

 

「レオはスニークベアーを一人で狩ったのよ!」

 

「ふっ……」

 

 レオ君は背中に背負っている大剣をこれ見よがしにアピールしている。あれを使って立ちまわるのは相当難しそうだけど、それをこなしているのなら逸材なのかもしれない。

 

「なるほど……確かに素人がスニークベアーを狩るのはそう容易な事じゃない。素質はありそうだね、他には?」

 

「……鉱山近くの村出身だから鉱石の見分けは得意だ」

 

「なるほど、武器を作る上で鉱石の見分けが出来るのは有利だね」

 

「そうよ、レオはすごいのよ!」

 

「それで、君は?」

 

「え?」

 

「いや、君の実績は? まさか寄生しているわけじゃないよね?」

 

「私は……えーっと、モンスターの解体とか罠の設置とか、あと依頼者との折衝なんかをやってたわ! あと、レオが戦う時はスペルで援護したりしているわ!」

 

「な、なるほど、補助技能を鍛えているんだね」

 

「そうよ、だからモンスターとの直接的な戦闘はできないけど、それ以外なら何でもやらせて!」

 

「ほうほう……スペルではどんなふうに援護しているんだい? スペル持ちは中々いないから詳しい事を知らなくてね」

 

「えーっと……筋力強化、視覚強化、武器強化、今はこれしか使えない、かな」

 

「そ、そう……ところでどんな目的でドラゴンネストに入りたいと思ってもらえたのかな?」

 

「レオが入りたいって言ってたからよ!」

 

 なんだあのハイスペック女子……複数スペルなんて王都でも使えるやつ少ないだろ……

 

「おうおう、今年は有望なやつがいるみてえだなあ」

 

「ジンさん」

 

「お前はいっつもなんか食ってんな」

 

 だって、なんか頼まないとここに座ってちゃダメって言われてんだよ……一時期、朝から晩までここでずーっと拾った石を磨いてたのがよくなかったのかもしれない。

 

「お前ってマジでバカだよな」

 

「うるせー、そんな事よりジンさんは勧誘とかそういうやつ無いんですか?」

 

「勧誘? しねえよそんなの。田舎から出てきたばっかの素人とか俺のところで何の役に立つんだよ」

 

 荷物持ちとか色々あるっしょ多分。

 

「余波で死ぬだろ」

 

 まあ確かに? 

 でもジンさんが勧誘しなくても、向こうから入りたいとか言ってくるんじゃないですか? 

 

「よっぽどしつこいやつは一度だけ俺に同行させてやる事にしている。大体は田舎に帰っちまうけどな」

 

 へー……

 

「いやお前も連れてっただろ」

 

 そうだったっけ。

 

「ほらあの……ピラミッドだよ」

 

 あー! あのなんかクソでかい三角形のやつか! 

 

「あそこなら何もせず俺に着いてくれば赤ちゃんでも生きて帰れる。でも戦闘に参加すれば痛い目にあうからな。ちょうど良いんだわ」

 

 それってギルド的にどうなの? 

 

「まあ良い顔はしねえが、俺と何処の馬の骨とも知れんやつを天秤に掛けたら、って感じだ」

 

「ふーん……」

 

「お前も一応それなりの貢献はしてるだろ。まあ年齢がアレだからランクもそこまでだが……勧誘とか来たりしないのか?」

 

「何でですかねえ……」

 

 マジで俺結構頑張ってるはずなのに、全然そういう話来ないんだよなあ。ドラゴンネストにそれとなーく聞いてみた時も愛想笑いで誤魔化されたし……俺ってもしかして腫れ物? 

 

「まあ奇行が酷すぎるからな、子供二人を抱えて街中走り回ってるやつをパーティに入れたいと思うか? ただでさえお前は同ランクだと最年少で周りからすれば腰が引けるのに」

 

「そこはお茶目さで中和というかなんというか……まあ別に困ってないし良いか」

 

「そのドライさが見抜かれてるんだろうなあ」

 

「そもそもパーティ組む必要あったらジンさん組んでくれるじゃないですか。偶に連れてってくれるし」

 

「まあ、俺が固定パーティを作らない理由もそういう事だ」

 

「何でも良いですけど、例のヤツが見つかったら頼みますよ」

 

「わかってるよ」

 

 そうして話しているうちにドラゴンネストと新人二人の話は終わったらしく、次は実地で試験をやるようだ。

 

「あの二人どう思うよ」

 

「えー……まあ、ドラゴンネストが求めるレベルには達してるんでしょうけど、3人から5人っていろいろ大丈夫? って感じしますよね」

 

「意外とちゃんと見てたんだな」

 

「いや、普通わかりますよね」

 

「まあなー、最近伸び悩んでたっぽいし、新しい風が必要だったんだろうな」

 

「そうなると、あの二人組がちょっと可哀想な気もしますけどね」

 

 レオの方はそこそこやる剣士になりそうな感じだったけど、女の子の方はトップにまで行けるだろアレ。

 

「ああ、ドラゴンネストは良い人材を手に入れられそうだな……あれ、あの子こっちに来て……」

 

「あのっ!」

 

 だらだら上から目線で語っていた所に、元気な声が響く。

 声の主は赤い髪の若い女の子だった。

 

「あなたがジンさんですかっ!?」

 

「そうだけど」

 

「私をあなたのパーティに入れてください!」

 

「なんで?」

 

「今すぐお金が必要なんです!」

 

 オイオイ、こんな直截に寄生宣言する? 

 面白いモンが見れそうだな。

 

「知るかよ、金持ちのおじさんにでも援助してもらえよ」

 

「えっ……な、なんて事を言うんですか!」

 

 ジンさんの言ってることを理解した途端に顔を真っ赤にして怒ってるぞ。

 まあでもジンさんの言い分は当然だな。

 

「困っている人がいたら助けるものなんじゃないんですか!?」

 

「はんっ、くだらねえ」

 

 ジンさんが絵に描いたようなヒール役をしているのが面白くて爆笑していたら女の子がこっちをギラリと睨み付けた。

 

「なに笑ってんのよ!」

 

 その後もギャーギャーやかましく騒いでて、あまりにもお決まりの展開過ぎて腹が痛くなってきたあたりでジンさんがそもそも、と呟く。

 

「お前誰なんだよ」

 

「……詳しくは言えないけど、マリーよ。これで満足!?」

 

「いやなにが?」

 

「これで入れてくれるの!?」

 

「入れないけど」

 

「こんな子供は入れてるのに!?」

 

「入れてないしそもそも俺はパーティ作って無いけど」

 

「じゃあ誰なのよこの子供!」

 

 誰なのよって言われても……

 

「マックと申します」

 

「誰よ!」

 

 マックだっつってんだろ。

 

「あのさあ……」

 

 ジンさんがまた口を開く。

 

「もういいからさ、出来ることとか教えてよ」

 

「ようやくその気になったのね! ええと、私が出来ること……」

 

 俺が座っている長椅子に無理矢理座ってこようとするので奥に行かなきゃならなくなった。

 なんで一番最初に飯食ってた俺が一番虐げられてるんだよ。

 

「裁縫、詩、お花のお世話、ダンス──」

 

「ストップストップ、スト──ップ」

 

 こ れ は ひ ど い

 どう考えてもどっかのお嬢様じゃん……

 

「え、何しに来たの? もしかして俺に嫁入りしようとしてる?」

 

「そんなわけ無いでしょう! すぐにお金がいるからここに来たのよ!」

 

「いやいやいやいや、嘘だろ。お前今さっき自分で言ったこと思い出せよ! 何一つとして探索者に活かせることが無いだろ!」

 

「そ、それは……疲れた時に歌を歌って癒したり……」

 

「ジンさん、コレはアレですよ。どっかの名家が借金で潰れそうになってってパターンか、家の決めた結婚相手に反発したら期日までにこれだけの金を稼げれば許してやるって言われたパターンですよ」

 

「あ、あなた、私の事知っているの!?」

 

「知りませんけども」

 

「うわダル……関わる気がますます失せたぞ」

 

「な、なんでですか!」

 

「もう良いや、お前に任せるわ」

 

「俺も嫌ですよ! 行かないでください! そして大人しく紆余曲折経てこの人と結婚しろ!」

 

 めんどくさくなったジンさんが俺に押し付けて逃げようとしたのでひっついて阻止する。

 

「ざけんな! 俺は結婚しねえって言ってんだろ! ……クソが! 離せ!」

 

「俺から逃げられるわけないだろ」

 

「別に俺じゃ無くても良いだろうが!」

 

「お父様は、チプタのギルドで最も稼ぐ力があるのはジンという男だと言ってましたよ?」

 

「そうだそうだー、俺がご飯を食べ終わるまではここにいろー」

 

「……そうだ! ……良いだろう、この後、遺跡に連れて行ってやる」

 

 おっ、ピラミッド行く気か。

 

「その代わりマック、お前も着いてこい」

 

「別に良いですけど……俺行く意味あります?」

 

「いいから行くんだよ!」

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