99社落ちた俺が酔った勢いで妹の部屋に乱入した結果、自分以外全員美少女なvtuber事務所に所属する事になった件〜頭のおかしい奴らを添えて〜   作:なべたべたい

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27話 シキル杯チーム主人公その2

練習試合も3日目に入り、本番まで今日を含めると、あと2日に迫っていた。

 

1日目はダメダメだった、カンナとアタルはどう言う事か、2日目からは見違える様に二人の息はぴったりになっており、順位を着実に一歩ずつだが伸ばしていった。

 

そして、そんな順調なチームで一人誰にも言えずに、悩んでいる者が一人いた。

 

それはこのチームの柱的な存在な、渋田利ナカヨその人だった。

 

元々ナカヨはEPEXがあまり得意ではないのだが、カンナとアタルの両方と仲が良くて、ある程度EPEXができる人物が、ナカヨしかいなかった為、呼ばれたに過ぎなかったのだ。

 

そのせいで、二人よりも圧倒的に技量は足りないのに、何故か二人はその事を指摘しない為、ナカヨは少し疎外感を感じていたが、それも二人なりの優しさだと思い、今までは二人の仲を取り持つ役を買って出ており、その事で少しでも二人に貢献できていると感じていたのだが、今やその二人は長年背中を預けて来たパートナーの様になっており、ナカヨは自分がこのチームに必要なのか分からずにいた。

 

「あー!クソッまた負けた!」

「どうしても一桁台に乗らないわね。ナカヨはどう思う?」

 

少し悩んでいたナカヨは、二人が話しかけて来ているのに気づくのが遅れ、二人に体調などを心配されたが、これ以上二人の足を引っ張りたくないナカヨは、その場では何でもない様に振る舞い、その日の練習試合の最高記録は10位で、二人の言う通り一桁台に乗る事なくそのまま終えた。

 

試合が終わってから、試合中にナカヨがあまり元気がなかった事を心配した二人に、気が晴れるかもしれないからと一緒に練習するかと誘われたが、二人の邪魔をしたくなかったナカヨは、自分がこの二人の間に挟まる事で、前の様に険悪なムードになるのではと考え、二人に謝って通話を抜けた。

 

数年だがvtuberをしているおかげで、自分の状態管理が行き届いているナカヨは、自分が今万全の状態ではなく、すごくネガティヴになっている事に気づき、最近は大会の練習の為あまり外に出ていなかった事を思い出したナカヨは、気分転換も踏まえて外に出る事にした。

 

だが外に出たところで、どこにいけばいいのか分からなかったナカヨは、自然とよく行く事務所の近くに来ていた。

 

そこでよく同期がストレス解消の為には、美味しいものをお腹いっぱい食べたり、買い物が良いと言っていた事を思い出し、適当に近くにあったドーナツ屋さんで、体重のことを気にして食べる時も1日一個と決めているのを一気に5つも食べ、その後に洋服屋に可愛らしい服を何着か買いに行ったはいいものの、その最中もカンナとアタルが一生懸命練習している中、一番足手まといな自分が呑気に外で遊んでいる事に罪悪感を感じ、うまく楽しめずにいた。

 

本当にどうしたらいいか分からず、ナカヨが俯きながら道を歩いていると、水晶の代わりにサッカーボールを持っており、服装も三角帽子以外は白のTシャツとジーパンに、どこで買ったのか分からない金色でNo1と形取られた、ネックレスをかけた占い師もどきが話しかけて来た。

 

「少しいいか?そこの俯きながら歩いている女。今ならこの俺が特別に、お前のその心の病を解消してやろうか?」

 

口の悪いアタルですら、初対面の時はできるだけ失礼のない様に話していたのに対して、まさか初対面と言うか、まだ対面もしていない相手を女と呼ぶ非常識な人間がいた事に驚き、間違って返事をしてしまった。

 

そのせいで相手はそれを了承と受け取り、若干嫌がるナカヨを無理やり椅子に座らせ、その目の前にサッカーボールを置くと、何の意味があるのか分からないサッカーボールを撫でる様に手を動かしながら質問して来た。

 

「それで女お前は何を悩んでいたんだ?」

「あの、占い師ってそう言うのを、1から占うものじゃないんですか?」

「いや、ああいうのは占いでも何でもなくて、コールドリーディングだったか、そう言う技術で自分を信頼させてから、相手の情報を盗んでいるだけだから。それに俺は自分が占い師なんて一言も言ってないぞ?」

 

そう言われてみればそうだ、このエセ占い師の様な格好をする非常識な男は、歩いている私にいきなり心の病を治してやると言って来ただけの、ただの不審者だった。

 

「正直俺そう言うまどろっこしいのあんまり好かんし、もし占いとかして見当違いな話されても、それはただの時間の無駄だろ?それだったら相手に何を悩んでるかを直接聞くのが、1番合理的だと思うのだが、女はどう思う?」

「それは、まぁ……そうかもしれないですけど。」

「だろ?ならさっさと、困ってること話してくれねぇか?今から海外から来る知り合いを迎えに行かなきゃならんからさ」

「それなら私なんて、放っておいてもいいんじゃないんですか?」

 

いきなり引き止められた挙句、なぜかこちらが悪いかの様に言うその男に、少し苛立ちを覚え少し怒気をはらみながら、声を少し大きくして言うと、男はやれやれと、なぜかこちらが我儘を言っている様な反応をし始めた。

 

「あのなぁ、女お前は何かを悩んでいて、どうせその荷物を見るにストレス解消に、買い物でも来たたちだろ?それも今着ている服と比べると少し派手で、普段なら買わない様なものを買ってしまうほど、心労が溜まっているんだろ?そして俺はその海外からくる知り合いに、占いをしてやるって約束をしたから、その練習をちょうどしたかったんだ。ほらな、win-winだろ?」

 

正直どこがwin-winなのかは分からなかったが、その男が言ったナカヨについての事は全て当たっていた為、いつもの正常なナカヨなら絶対に言わないが、何故だかこの見知らぬ男なら自分の悩みを解消してくれるのではと思い、所々ぼかしながら説明した。

 

「ふーん。そのFPSって銃を使うゲームで、他のメンバーの足手まといになっていて、それが気になっていると……、それ一般人の俺に聞くことか?」

「それはそうですよね……」

 

男の言う通りこれは、男に聞く様な話ではなかった。それもFPSについてもあまりよくわかっていなさそうな男には、特にだ。

男に謝って席を離れようかと、少し手に力を入れた時だった。

その男が話し始めた。

 

「まぁ、そのFPSってのがどんなのかは分からんが、女はその二人の役に立ちたいんだろ?それなら簡単に解決できるぞ?流石にゲームの腕前を上げてくれとか、そう言う系は無理だけどな」

「本当ですか!」

 

正直半信半疑だったが、藁にもすがる思いのナカヨは勢いよく席を立ち、鼻息を荒くして男に近づいた。

 

「ああ、もちろんだ。お前から聞いた話だとその2人は、銃を打つのが上手いんだろ?」

「はい」

「そしてお前は上手くないと。そしてその2人は元々はすごく仲が悪くて、お前がその仲裁をしていたんだろ?」

「は、はい。それがどうしたんですか?」

「まぁ、これを聞く限りその2人はお前の事は凄く信頼している様だ。だってそうだろ?お前はその2人の喧嘩を力を使わず、少し宥めただけで止めたのだから」

「そうなんですかね?」

「ああ、その通りだ。女お前はその2人によく信頼されている。そしてそのチームの指揮は、その2人が何となくでやっているんだろ?女お前に一つ質問だ。お前は皆から信頼されている指揮官と、戦の得意な2人の戦士が指揮官をするのだと、どっちがいいと思う?」

「……それは流石に1人の指揮官の方かと」

「なら、もう答えは出たな。お前が今からやる事は、その2人の指揮官をやる事だ。その方がその2人も直近の戦闘の事を考えれると思うぞ?」

 

男はそう言うと、サッカーボールを子供達に、帽子をトイレから帰って来た、ここで本来占いをしていただろう人物に返すと、駅のある方へと走って行ってしまった。

 

「私が指揮官……」

 

家に帰ったらナカヨは、色々なEPEXの配信動画などを見て、どこでどんなふうに人を動かせばいいのかや、作戦の立て方に、初動の動き方などを勉強した。

 

そして練習試合4日目、すなわち大会本番の前日である。

ナカヨはそこで、2人に指揮官役をやらせてほしいと頼み込んだ。

 

カンナ達は昨日からあまり調子が良くなかったナカヨを心配しながらも、指揮官については了承した。

 

渋田利ナカヨが、大手vtuber事務所に入れたのは、そのほんわかとした話し方と、圧倒的な事前準備だ。審査用の動画を作る時も、参考書を読み込んだりと凄まじい集中力がある。

 

そんなナカヨは幾つものパソコンの画面に動画を開き、動画を出している参加者の動きなどを見ては、それをノートに書き写すなどして、何となくだがどこのチームがどんな動きをするかを、頭の中に叩き込んだおかげで、4日目の練習試合では、カンナ達が勝てない相手がいたら、2人が突っ込もうとするのを止めて、そのチームが他のチームと戦い弱ったところを襲うなどして、順調に勝ち進めていった結果。

 

カンナ達のチームは練習試合最終日の最後の試合では、運が良かったとはいえ全員無事な状態で、チャンピオンを取る事ができたのだった。

 

チャンピオンを取ることのできた三人は、大会本番で優勝したかの様な喜びを見せた。

 

「おっしゃあああ!!」

「やったあぁぁぁ!!」

「やりましたね!」

 

その場に犯人が揃っていたら、あまりの嬉しさにハイタッチやハグをしてしまうほど喜んでいた。

 

「と言うかちょっと待って、ナカヨさぁ、指揮官役うますぎね?」

「アタルの言う通り、私達が敵に突っ込もうとした時も、冷静にダメって言ってくれて、あの時はすごく助かったし、ナカヨ凄いじゃん!」

「そ、そうかな?」

「「そうだよ!」」

 

自分がチームの一員になれた事がわかったナカヨは、あの本当に誰なのかも分からない、占い師もどきの男に心の中で感謝を伝えた。

 

「それじゃあ本番も、ナカヨが私たちの指揮をするって事で大丈夫?」

「ああ、俺は何の問題もない」

「私も大丈夫……いや、私にやらせて!」

 

自分の決意を固める為にナカヨが言い直すと、それを聞いていたアタルは画面の前で、ニヤリと笑った。

 

「それじゃあ、カンナちゃんにアタルちゃん。私達三人で明日の大会絶対優勝しましょう!」

「「おおー!!」」




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