99社落ちた俺が酔った勢いで妹の部屋に乱入した結果、自分以外全員美少女なvtuber事務所に所属する事になった件〜頭のおかしい奴らを添えて〜   作:なべたべたい

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4話 食虫配信

UPライブの本社に出向いてから数日後、美咲さんから2ヶ月後にデビューが決まったと連絡が来た。それまでは、デビューの事は内緒にしてほしいとのことだったが、それ以外は特に何かをしろと言う事もなく、リリィの配信に出てもいいとのことだった。

 

その事を小雪に説明すると、小雪はいつものように流石はお兄様です!とはしゃいでいた。

 

そして今日は、小雪の頼みで二回目になるリリィとのコラボの日だ。

 

という事で、また今日も配信の為小雪の部屋へと向かった。

 

「お兄様!お兄様!」

「どうしたんだ?」

「これを見てください」

 

そう言って見せられたものはタッパーに入った虫達だった。

 

「うわっ!なんだこれ?虫?」

「はい、これは食べられる虫でして、今日の配信はこれを一緒に食べたいと思っているのですが」

「何故虫なんだ?いや、俺は勿論食べれるが、小雪はこう言うの苦手なんじゃ?」

「はい……どちらかと言うと、虫は苦手な部類なのですが、UPライブの先輩が食べた配信が物凄く盛り上がったらしく、それで今月中には食べる配信をする様にって、その先輩から渡されまして。それで届いた量が思っていたよりも多くて、これを1人で食べるのは厳しいかなと思っていたので、是非お兄様にお手伝いして欲しいと考えていたところです」

「あー、まぁそう言う事なら仕方ない?……仕方ないな」

 

という訳で、俺の二回目の配信内容はリリィの先輩の誰かのせいで、人生初の虫を食う配信になってしまった。

 

配信の入りは前回と同様、リリィがオープニングトークをして、それからすぐに阿久津が紹介された。

 

「という訳で今日の配信内容は、送られて来た虫を食べる配信になります。お兄様は虫って食べたことありますか?」

「いや、残念ながら無いな。だがまぁ俺なら余裕だろうな」

「私は虫が得意という訳でも無いので、少し不安です。でもお兄様と一緒なのでなんとかなりそうです」

「お、おう」

 

そんな事を話しながら、机に乗った虫どもをチラリと覗く、そこにはワームやイナゴに蜘蛛といろんな種類の虫達が入れられており、額から嫌な汗が流れる。

 

「それではお兄様、まずは何から食べますか?」

「そ、そうだな」

 

どれだ!どれがマシだ?まず蜘蛛はダメだ、これは他に比べてデカいし、それに加えて俺は蜘蛛が苦手だ。ワームはどうだ?釣りで魚の餌になってるし食べれるのでは?

そう思いワームを見るが、ダメだ形状が気持ち悪い。

やはりここはイナゴだな、イナゴの佃煮があるのは知ってるし、多分普通に美味いのだろう。

 

「なら、俺はイナゴでも貰おうかな」

「はい、イナゴですね」

 

そう言うとリリィが箸を取り、ぱっと見で一番デカそうなイナゴを掴み、あーんと言いながらイナゴを阿久津の口元へと運んだ。

 

その様子を聞いていたリスナー達は、リリィにあーんされる事を羨ましがる声と、それを踏まえてもやはり虫を食べさせられる、阿久津に同情する二つの派閥で争っていた。

 

「ああ、ありがとうリリィ。いただくとするよ」

 

嫌な気持ちを我慢して、俺はその物体を口に含んだ。

意外にも口に含んだだけでは特に味はなく、意を決してイナゴを噛むと、食感はサクサクとしており、ほんのり海老の様な味がした。がそれでもマジぃ!今すぐにでもこの異物を吐き出したい!がそんな気持ちを我慢しながらイナゴを飲み込んだ。

 

「どうでしたかお兄様?」

「…………あー何というか海老の味がしたな、勘違いかもしれんが」

「そうなんですね」

 

そう言うとリリィはなんの躊躇もせずに、イナゴを口の中に含んだ。

 

「本当ですね、お兄様の言う通り微かに海老の風味を感じますね」

「躊躇なくいったなリリィ」

「お兄様が食べたものですものですので当然です」

「そうか……」

 

俺が食べたものなら食うってどう言う事だ?と言うか小雪とリリィって結構違う感じがするな。今まではそんなにでも無かったが、リリィになった途端なんだか結構グイグイ来るな。

 

「それでは次はこれなんてどうですか?」

 

そう言ってリリィは蜘蛛を差し出してきた。

 

いやぁ!無理無理無理無理無理無理絶対に無理だ。食える訳がない

 

「ちょっと待てリリィ、蜘蛛はなんというかアレじゃないか?」

「アレ?」

「そう……蜘蛛は何というか、締めじゃないか?」

「締め……なるほど、そうだったんですね。では次はこのワームですねお兄様」

「あ、ああそうだな」

 

っセーフ!蜘蛛を食うぐらいならまだワームの方がマシだ。

 

という訳でワームを食べた訳だが……

 

「これ案外いけるな」

 

食べた感じが、ほぼほぼナッツの様で普通に美味しかった。

イナゴも不味いという訳では無かったが、そこまで美味しいと感じなかったが、こちらのワームは見た目の割には普通に美味しかったので、追加で何個か摘んで食べていると、それを見たリリィもワームを食べて、これまた同様に口からポロリと美味しいと溢した。

 

「本当ですね、これ意外と美味しいですね」

「だよな、見た目の割に美味いよな」

 

そうやって阿久津は、出来るだけワームの話題を引き伸ばし蜘蛛を食べさせられるまでの時間を稼いだ。

だが、阿久津の努力はほぼほぼ無駄に終わり、リリィはある程度の時間が過ぎると、ワームの話題をぶった斬り蜘蛛を阿久津の前へと運んだ。

 

「ワームも意外に美味しかったのですから、もしかしたらこれも美味しいかもしれませんよ?」

「そ、そうか?」

「はい、ここまで虫を食べた感じ美味しいかは置いといて、不味いものは一つもありませんでしたので」

「そ、それもそうだな」

 

そう言った声はわずかに震えていた。

 

「さぁ、それではお兄様。どうぞ」

 

リリィは満面の笑みで蜘蛛を差し出してくる。リリィは外見的にも優れている為、その笑顔は天使の様な微笑みなのだが、今の阿久津にとっては悪魔の笑みに感じる事であろう。

 

結局のところ、阿久津は差し出された蜘蛛を食べることにした。息を止めながら、その物体を口に入れる。

そしてそれは、これまでの虫同様口に含んだだけでは時に何の味もしない。その事に少し安堵しながら、口の中にあるそれを噛んだ瞬間口いっぱいに、言い知れない程の苦味が広がり、それと同時に自分の苦手とするものを今食している事をアリアリと感じ、その嫌悪感から阿久津は盛大にゲロを吐いた。

 

「オゥェェェェェ ゲホッ ゲホッ んぐっ! オェッ」

 

リリィがいつも配信している机に、阿久津の吐瀉物が広がり、そこから腐卵臭の様な腐った匂いが広がった。

 

そんな生々しい音を聞いたリスナー達は、皆が一様に阿久津への同情を示すコメントを送ったのだが、その張本人はそんな事にも気づかず、今もなおゲロを吐いていた。

 

「大丈夫ですかお兄様?」

 

目の前で兄がゲロを吐いたのに、何故か一切動揺せずにリリィは自分の兄の心配をした。

 

「ここは私がどうにかしておきますので、お兄様は台所でお水でも飲んできてはどうですか?」

 

目の前でゲロを吐いた兄に対して、まだ尊敬の念を持っており、尚且つ自分の私物に吐瀉物がかかった事より兄を第一に心配する姿を見て、阿久津は何か満たされる様な感じがした。

 

阿久津は、リリィの言う通りに部屋を出て口の中を洗浄する為にも、水を求めて台所へと向かった。

 

そして、リリィの部屋には阿久津の吐瀉物とリリィだけが残った。

 

「それでは、少し事故が起こってしまったので今日の配信はここまでにしたいと思います。また明日も配信をしますので、時間がありましたら是非見に来てくださいね」

 

そう可愛く言って、リリィは自分の配信を閉じた。

 

配信を終えたリリィは天王寺小雪へと戻り、マジマジと自分の兄の吐瀉物へと視線を向けると、少し高揚し頬を赤く染め、それに自分の指を突っ込むと、指に付けたそれを美味しそうに食べ始めた。

 

「お兄様が食べたものですので、私がきっちり責任を持って食べなければ」

 

そんな事を言いながら、小雪は次々にそれを自分の口へと運んでいった。

 

 

口を濯いだり、水を飲んだりして少し落ち着いた頃に、小雪が自分の元へとやってきた。

 

「さっきはすまなかったな小雪」

「いえ、私こそお兄様が気分が悪い事に気付かずに無理をさせてしまった様で、申し訳ありませんでした」

 

何と小雪は、あの惨状を見て阿久津が蜘蛛が苦手だったと気づいたのではなく、ただたまたま兄の体調が悪い時に無理をさせてしまったのだと解釈した様だ。

 

「ああ、その辺りは気にしなくても大丈夫だ」

「お兄様にそう言ってもらい私は大変嬉しく思います」

「そうか?」

 

そんな事を小雪と話していると、ふと気になることがあった。

それは小雪の口元に、何かをすりつぶした様なものがついていたのだ。

 

「おい、小雪口元に何かついてるぞ。取ってやるからこっちに来い」

 

いつもなら少し嬉しそうに、ちょこちょことこちらに歩み寄るはずの小雪が、この時は何かが違ったのか、そのカスを自分の手で取り、少し顔を赤らめた末にそれを自分の口へと含んだ。

 

その様子を見た阿久津は、小雪が食べカスを口につけていた事に照れているんだなと、見当違いな事を考えていた。

 

「じゃあそろそろいっぱい休んだ事だし、片付けに行くか」

「はい、そうですねお兄様!」




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