とある田舎の町、ある青年が木刀を片手に素振りをしていた。
「おいリュウマ!」
「どうしたんですか
リュウマと呼ばれた青年は素振りをやめ、木刀を置くと、地面はめり込んでしまっていた。
「そろそろハンター試験受けてきたらどうだ?」
「ああ、そういえばそんな時期でしたか?」
「ああ。お前を鍛えて五年、もう私から教えることはない。ハンター試験は実力もわかるし、ハンターライセンスは色んな事で役に立つ。それでこそお前のやりたい事を見つけることが出来るかもしれないぞ?」
「……そうですね。わかりました。そろそろ俺もこの田舎から出たいと思ってた所です」
「そうか、お前ならおそらく滅多な事がない限り合格は出来るはずだ」
ハンター試験を受ける事になったリュウマは軽く荷造りをし出発の日を迎える。
「準備は出来たかリュウマ?」
「はい。では、行ってきます」
「ああ、リュウマ、少し待て…」
リュウマは首を傾げると師は一振りの刀をリュウマに渡す。
「これを持っていくといい」
「え!?いいんですか?これ、相当な業物ですよね?それにこの感じ…」
「やはり気づくか、だが、使われた方がその刀も本望だろう……」
俺は刀を受け取り、もう一振り差している刀と一緒に腰に差す。
「ありがとうございます!行ってきます、“レイリー”
リュウマ笑顔で師を背にハンター試験会場に向かって走り出し、その姿が見えなくなるまでレイリーは見送った。
「行ったか……あの笑顔は母親譲りの様だな…トウカ」
レイリーのその声は、誰にも聞こえることはなかった。
「ここか…」
故郷を出て数日、リュウマは大きくて立派な建物の横にある小さな定食屋の前に立っていた。リュウマは一先ず教えてもらった合言葉を確認しながら店内へ入る。
「いらっしゃい!」
「ステーキ定食を」
「……焼き方は?」
「弱火でじっくり」
「奥の部屋へどうぞ!」
リュウマは奥の部屋に入る。奥の部屋には鉄板が設置されたテーブルが置かれており、店員が焼けたステーキを持ってきてそれを美味しく食べる。食べ終えた青年はのんびりとしながら到着を待つ。5分ほど過ぎた所でポーン!と地下100階に到着したことを示す案内板が光る。
扉が開き、青年は足を進めると、巨大な地下に大勢の人が溢れていた。
「(へぇ……かなり雰囲気があるな。グダグダしていた連中とは違うらしい)」
一斉に近くにいた者達が青年を見定めるように目を向ける。それを涼しい顔で無視したリュウマは何処か座れる場所がないかと探し始める。
「ようこそ、ハンター試験へ。はい、これがあなたの番号札になります。無くさないように」
「おっと、ありがとう」
緑色の顔をした豆みたいな小柄な男から、番号が書かれた丸いプレートを受け取る。番号は『370』と書かれており、つまりリュウマは370人目ということである。
「よぉ、新顔だね」
リュウマは試験開始まで改めて腰を下ろせる場所を探していると茶髪で鼻が大きく小柄の中年男が声を掛けられた。
「誰だあんた?」
「俺はトンパ。よろしく」
「リュウマだ」
「俺、ハンター試験のベテランなんだ。よかったら、色々教えてやるよ」
「いや、気持ちは受け取るが遠慮しておく」
「そ、そうかい?まぁ、気が向いたら聞いてくれ。これ、お近づきの印だ。飲みなよ」
トンパと名乗った男は人受けがよさそうな笑みを浮かべながら缶ジュースを差し出したが、リュウマは缶をじっと見つめている。
「どうした? 遠慮しなくていいぜ」
「……薬品の匂い」
「!!」
自身も同じ銘柄のジュースを飲んでいる。発言に彼は一瞬目を見開いて、汗を流し始めながらも笑みに変わってるのが何よりの証拠ですね。
「そ、そんなわけないだろ?」
「なら、これ飲んでみたらどうだ?」
「い、いや! ひ、人にあげたものに手を付けるわけにはいかないさ」
「ほら…」
「うわっ!?」
徐に缶を開封し、トンパの顔目掛けて中の液体をぶちまけ、トンパは顔を、口周りを入念に拭いていた。それだけで何かが入っていたことは十分わかる。リュウマは移動しながら周囲を観察する。
「(少なからず念能力者が二人、【発】のみが扱えるのが確認できる限り二人か…)」
この中で桁外れの実力者は2人……他にも『発』だけなら扱えそうな方が2人。特にピエロみたいな雰囲気をしたやつはかなり強い。余り関わらない方が得策だがそうはいかないだろう。
「……くそ! また失敗かよ。今年の新人はどうなってやがんだ? まぁいいさ。試験が始まったら、嫌でも巻き込まれる瞬間が来る。覚えてやがれ!」
トンパは歪んだ笑みを浮かべたながらその場から離れていく。
「さて、始まるまで一眠りするか…」
そんな事気にせずちょうど良い場所を見つけ、壁に寄りかかる。リュウマは1分もしないうちに眠りに入った。
じりりりりりりりりりりりりりりりりりりりりり!!!
「んがっ…」
不快な金属音が鳴り響き、それと同時、俺は目を覚ました。ふと見れば、周囲には人の群れ。いったい何時の間にここまでの人数が集まったのかと。
「ふあ〜……どのくらい寝てた…」
携帯を見ると一日は寝ていたと事が確認できた。
「ん?メールが一件来てるな…」
メールを確認し、リュウマは内容を見る。当て主は師匠であるレイリーからだった。
「へぇ…」
リュウマは内容を見てレイリーからもらった刀に触れる。
「只今をもって、受付時間を終了いたします。それではこれより、ハンター試験を始めます」
妙に響き渡る紳士の声。試験開始の言葉に受験生のほぼ全員に緊張感が走る。
「さて、一応確認致しますが、ハンター試験は大変厳しいものもあり、運が悪かったり、実力が乏しかったりすると怪我したり、死んだりします。さらには先ほどのように受験生同士の争いで再起不能になることも多々あります。それでも構わない……という方のみ付いてきてください」
紳士は注意事項を伝え、今ならば棄権も可能だが、一名を除き誰も引き返す者はいない。
「承知しました。第一次試験405名、全員参加ですね。それでは参りましょう」
くるりと身を翻し、手足を大きく振り上げて歩き出す。それに受験生達も続く。
「当たり前だが誰も帰らねぇな。ちょっとだけ期待したんだけどな」
前に向かうとすぐそばで緊張を紛らわせるように言う男性、さらに近くの黒髪ツンツンの少年、金髪の民族衣装の青年がそれぞれ肩を竦めたり、苦笑するなど様々な反応だった。
「ん?」
「おかしいな」
「?」
サングラスの男以外の3人は変化を感じ取り、前の受験者が駆け足で進み始めましたね。
「おいおい、なんだ? やけに皆急いでねぇか?」
「ああ、だんだん速くなっている」
「前の方が走り出したんだ!」
完全に周囲は長距離走…それに対し案内人は未だにあるくように走っていた。
「(流石試験官に選ばれるだけのハンターだ。【纏】も洗練されてる。師父には及ばないけどな…)」
リュウマは自分の師を思い浮かべながら軽くペースを上げる。
「申し遅れました。私、一次試験担当官のサトツと申します。これより皆様を二次試験会場にご案内します」
「? 二次……?ってことは一次は?」
「もう始まっているのでございます。二次試験会場まで私に付いてくること。これが一次試験でございます」
「「「「!!」」」」
「場所や到着時間はお伝え出来ません。ただ私に付いてきていただきます」
試験管、サトツの言葉に試験の意味を理解したり、首を傾げたりなど受験生の反応は様々だ。
「なるほどな……」
「変なテストだね」
「さしずめ持久力試験ってことか。望むところだぜ! どこまでも付いて行ってやる!」
「ああ、どこまで走ればいいのか分からないのはかなりの精神的負荷となる。精神力も試されているな」
リュウマは今後どんな試験があるのを考えていた。すると横を銀髪の少年がスケボーに乗って通り過ぎる。それにサングラスをかけている男が噛みついた。
「おい、ガキ!汚ねぇぞ!そりゃ反則じゃねぇか!」
「なんで?」
「なんでって、こりゃ持久力のテストなんだぞ!?」
「違うよ。試験官はついて来いって言っただけだもんね」
「ゴン!!てめぇ、どっちの味方だ!?」
「どなるな、体力を消耗するぞ。それにうるさい。テストは原則持ち込み自由なのだよ」
「そうだぞ。むしろスケボーを持ってるそいつの事を褒めるべきだ」
「~~!!って、お前誰だ⁉︎」
「ども」
リュウマの存在に気づき突っ込むサングラスの男性、白髪の少年はサングラスの男性の興味を無くし、ゴンと呼ばれた少年と何故かリュウマの方を交互に見ている。
「ねぇ、君いくつ?」
「俺? もうすぐ12歳!」
「ふ~ん……。やっぱ俺も走ろ!」
突如少年はスケボーを蹴り上げて、ツンツン頭の少年の隣で走り出し、スケボーをキャッチして脇に抱える。
「俺、キルア」
「俺はゴン!」
「あんたは?」
「リュウマだ。そっちの金髪のお前は?」
「…クラピカだ」
「ゴンにリュウマね。おっさんは?」
「おっさんじゃねぇ!俺はまだ10代だ!!」
「「ウソォ!?」」
ゴンとキルアが目を見開いて驚く。クラピカも声を上げなかったが、目を大きく開いている。
「は!?10代!?あんたいくつだよ!?」
「19だ!!後俺はあんたじゃねぇレオリオだ!!」
「同い年!?マジか!?」
リュウマは心底驚いた。見た目からしてレオリオは20代後半辺りだと思っていた。もちろんクラピカも意外な年齢暴露にゴン達は混乱に陥った。
そのまま走り続けて、数時間が経過した。
「(大体四時間半くらいは走ってるな…)」
ここまで既に何人かは体力か尽きその場で足を止める受験者がいるが、リュウマは携帯で時間を確認し、そして、大体の距離を確認する。前方はまだまだ地下通路が続いており、分かれ道すらない。
「(最低今以上の距離は走る事になりそうだな…死ぬほど走った修行の時が懐かしい…)」
ちなみにリュウマは未だに汗を掻いていない。ゴン達とは少し話したのちに距離をとり走っている。まだゴール見えないな。とか考えていると
「痛ッ!」
と声が聞こえたので横を見ると。大きい帽子を被った女の子か転けていた。見ると近くにいた受験者が何かしら妨害したのが伺えた、と言うか表情ですぐに分かった。リュウマは走るのをやめて彼女に近づいた。
「おい、あんた大丈夫か?」
「え、えぇ。ありがとう…でも、足をやられたわ。これじゃあもう走れないわ」
そう呟きつつ彼女は顔を上げる。黄色いおおきな帽子を被り、明るい緑がかった髪が特徴的な娘だった。
「見せてみろ…」
「え、ちょっと…」
リュウマは足を捲ると足は内出血を起こしており、とても走れる状態ではなかった。
「妨害するだけでここまでとはな……確かにこれじゃ走るのは厳しい。歩けるか?」
緑髪の娘は立ち上がって歩いてみるが、表情が歪む。
「立つのも歩くのも厳しいか…悪いが一旦座ってくれ、手当てする」
「…ええ」
リュウマは持参している荷物から医療キットを取り出し、手当てしていく。
「よし、これで終わりだ。ただ、長時間走るのは無理だろうな…」
「ええ……今年は、諦めようと思う」
「(ここに置いていくのもなんか気がひけるな)ここであったのも何かの縁だ。おぶるよ」
「いいわよ。別に」
「ここにいると暫く出れない可能性が高い。1人おぶっていくくらい問題はない」
彼女は少し悩んでいたが。結局は
「……わかったわ。お言葉に甘えましょうか」
「よし、決まりだ」
俺は背中を向け、彼女はしっかりと俺につかまる
「行くぞ、準備はいいか?」
「ええ」
「そういえば名前は?俺はリュウマ」
「私はポンズよ。よろしくリュウマ」
互いに自己紹介をしリュウマは軽く息を吐き、動きに支障がない事を確認し前を見据える。
「少し飛ばしていく。しっかりつかまってろよ」
「え…って、うわァァァァァァァァッ!!?」
普通ではあり得ない速さで駆け出したリュウマにポンズは悲鳴を上げることしか出来なかった。
主人公の持つ刀アンケート(二刀流で行きますが一本は決めています)
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閻魔
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天羽々斬
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二代鬼徹
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三代鬼徹
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雪走