激闘の最終試験から翌日、ハンター証を各自受け取った合格者達は講堂に集まっていた。
「ゴンはまだ寝てるの?」
「ああ、3時間以上も拷問まがいな物を受けたら疲労も半端じゃ無いだろう。あれだと一日以上眠るのも当然だな」
「骨もハンゾーが綺麗に折ってたみたいでな。早く回復するそうだ」
「そう、よかった」
適当に座り、ポンズ達と話しながら待っていると、ネテロを始めとする試験官達が入室してきた。
「おはよう諸君。良き朝を迎えられたかの? では、これよりハンター証などについて改めて説明を行う」
「それでは不肖ながら私、ビーンズが説明させていただきます」
その時、部屋の後方のバタン!と扉が勢いよく開く。
全員が目を向けると、現れたのは真剣な顔をしたゴンだった。ゴンは注目されていることなどお構いなく歩き出し、ギタラクルの元へと向かう。
「ゴン」
レオリオが声を掛けるが、ゴンは無視をしてギタラクルの横で止まる。そして、ギタラクルを鋭く睨みつけて
「キルアに謝れ!」
「謝る? 何を?」
「……そんなことも分からないの?」
「うん」
「お前に兄貴の資格はないよ」
「?兄弟に資格がいるのかな?」
その瞬間、ゴンはギタラクルの右腕を右手で掴み、片腕でギタラクルを振り上げた。ゴンの力に見ていた者達は僅かに目を見開く。
「(へぇ……多分ゴンは【強化系】に属してるかもな)」
リュウマはゴンの力に感心し、ギタラクルは緩やかに着地するも、その顔は僅かに驚きに染められていた。
「友達になるのにだって資格なんていらない!!」
ゴンはギタラクルの腕を握り締めながら言い放つ。すると、ゴンが後ろを振り返り
「キルアの元へ行くんだ。もう謝らなくたっていいよ。案内だけしてくれればいい」
「そして、どうする?」
「決まってんじゃん。キルアを連れ戻す」
「まるで誘拐されたような口ぶりだね」
「俺の命を人質にされて無理矢理従わされたんだから、誘拐されたも同然だ!」
ゴンは怒りを隠す事はせず、ギタラクルに向かって言う。どうやら誰かから話を聞いたようだった。
ゴンの怒りも正当で邪魔する者もいない。
「もしも今まで望んでないキルアに、無理矢理人殺しをさせていたのなら、お前を許さない」
「……許さないか。で、どうする?」
「どうもしない。お前達からキルアを連れ戻して、もう会わせないようにするだけだ」
ギタラクルが左手をゴンに向ける。ギタラクルのオーラが僅かに強まった瞬間、ゴンは手を放して跳び下がる。
「(へぇ…見えはしないが何か感じ取ったみたいだな)」
オーラを躱したことに感心するリュウマ、僅かにしか出していないオーラを感じたりゴンはギタラクルに警戒し近づく気配はなかった。
そこにネテロが声を掛ける。
「さて諸君、よろしいかな? とりあえず、キルアの所に行くにしても、まずは説明をしっかりと聞いた方が良いぞ」
その言葉を聞いたゴンは苦い表情を浮かべるも、大人しく席に座り、ギタラクルも大人しく席に座り、説明会が再開する。
「それでは改めて。皆さんにお渡ししたカードがハンター証です。カード自体は見た目は地味ですが、偽造防止のためあらゆる最高技術が施されている以外は他のものと変わりません。ただし、効力は絶大! まず、このカードで民間人が入国禁止の国の約90%と立ち入り禁止区域の75%まで入ることが出来ます」
「(それは師父から聞いてたから知ってる…多分最初辺りは問題はないな)」
リュウマはハンター証についてどう言う効果があるのか知っている。
「公的施設は95%が無料。銀行からの融資も一流企業並みに受けられます。売れば人生7回くらい遊んで過ごせますし、持ってるだけでも一生何不自由なく生きていくことが出来ます。それだけに紛失・盗難には気を付けてください。再発行は致しません。我々の統計ではハンターに合格した者の5人に1人が1年以内に何らかの形でカードを失っております。プロになられたあなた方の最初の試練は『カードを守ること』と言っていいでしょう!次に協会の規約についてですが、十か条というものが定められています」
その1・ハンターたるもの何かを狩らなければいけない。
その2・ハンターたるもの最低限の武の心得が必要である。
その3・一度ハンターの証を得た者はどのような事情があろうと取り消されることはない。ただし、再発行はどのような事情があろうとも行われない。
その4・ハンターたるもの同胞を標的にしてはならない。ただし、甚だ悪質な犯罪行為に及んだ者に対してはその限りではない。
その5・特定の分野に於いて華々しい業績を残した者には星が1つ与えられる。
その6・5を満たし、かつ上官職に就き育成に携わった後輩ハンターが星を1つ得たとき、その先輩ハンターには星が2つ与えられる。
その7・6を満たし、かつ複数の分野に於いて華々しい業績を残したハンターには星が3つ与えられる。
その8・ハンターの最高責任者たるもの最低限の信任がなければ、その資格を有することができない。最低限とは全同胞の過半数である。
会長の座が空白になったとき、直ちに次期会長の選出を行い、決定するまでの会長代行は副たる者に与えられる。
その9・新たに加入する同胞を選抜する方法の決定権は会長にある。ただし、従来の方法を大幅に変更する場合は、全同胞の過半数の信任が必要である。
その10・ここにない事柄の一切は会長とその副たる者参謀諸氏とでの閣議で決定する。副たる者と参謀諸氏を選出する権利は会長が持つ。
これらを最低限憶えておけば、ハンターとして活動できるとのこと。
「さて、以上で説明を終わります。後はあなた方次第です。試練を乗り越えた自身の力を信じて、夢に向かって前進してください」
「ここにいる10名を新しくハンターと認定致します!!」
ビーンズは締めくくる様に告げ、説明会が終わる。
立ち上がるリュウマ達。すると、ゴンがさっきの続きとばかりにギタラクルに話しかける。
「キルアの居場所を教えてもらう」
「……止めといた方がいいと思うよ?」
「誰が止めるもんか!キルアは俺の友達だ!絶対に連れ戻す!」
「……後ろの4人も同じかい?」
ギタラクルの言葉にゴンは後ろを振り返る。そこにはリュウマとポンズ、レオリオとクラピカが立っていた。
「当然」
「うむ」
「当たり前」
「文句あるか?」
「…いいだろう、教えた所でどうせたどり着けないだろうし…キルは自宅に戻っているはずだ」
「自宅?」
ゴンが聞き返す
「ククルーマウンテン、そこに俺たち一族の住処がある」
「分かった、ありがとう」
そう言いながらゴンは振り返り歩き出す、リュウマ達もそれに続いた。
「ククルーマウンテンってどこだろ…クラピカ知ってる?」
「すまない、私は知らないな」
「俺が知ってる」
「え、本当!」
「ああ、知ってはいるが飛行船で行かないといけない。後でネットでチケットを予約しないとな」
ククルーマウンテンまでの行き方については調べないといけない。その為パソコンのある場所に移動するがハンゾーとポックルと会う。
その際ハンゾーやポックルと会話をしてアドレスを交換し、何かあった時の連絡先を確保する。
「もし俺の国に来ることがあったら言ってくれ。超穴場の観光スポットに案内してやる」
「機会があれば行くよ。前にレイリー師父と行ったことがあるが…また行きたいしな」
「おっ、そう言ってもらえるとこちらとしても嬉しいぜ、じゃあな!」
カラカラと笑いながら名刺を渡してその場を去るハンゾー。
「ポックルはこれからどうするんだ?」
「俺は情報を集めながら幻獣ハンターとして活動するつもりだ。ポンズ、君はこれからどうするつもりなんだ?」
「私はしばらくリュウマ達と一緒に行動するつもりよ。今の私じゃ…胸を張ってプロハンターとして活動できないし…」
「そうか。それとリュウマ…お前の強さには正直驚いたよ。あのヒソカとまともにやり合った…お前の力の源は一体何なんだ?それにあまり覚えてはないが、気絶してたらしいしな」
「うっ、気絶させた事については本当にすまない。まぁ…俺の師父から厳しく叩き込まれたからな。後、詳しい内容は教えられないが…いずれ知る事になる」
「?なんか意味ありげな言葉だな?まぁいい、また何かあれば連絡してくれ。これ、俺のメルアドだ」
「サンキュー」
互いにアドレス交換をし、ポックルもその場を去っていく。
「ちょっとあんた」
「ん?」
ハンゾーとポックルと挨拶をすませ、チケットを予約に行こうとしたら、メンチが声を掛けてきた。リュウマはクラピカ達を先に行かせて、話を聞くことにした。そこにはネテロやサトツ達もいた。
「どうしたんだ?会長と試験官2人して…」
「【念】のことについてよ」
「念?」
「さよう。実はハンター試験はまだ終わっておらんのじゃよ。お主とヒソカにギタラクル以外はの」
「裏ハンター試験の事か?」
「やはりレイリー殿の弟子とあってご存じのようですね。会長に聞いた時は驚きましたが、先ほどの説明されたハンター十か条【その2】は念の修得の事を指します」
「念はプロハンターが教えることになってるの」
「それで、俺にどうしろと?」
「もし話すのであれば、しっかりと教え込んでくれと言うことじゃ。中途半端に会得すれば、下手に死にかねんからの。もし教えたのであれば、一報を入れてほしいのじゃ」
「なるほど。ポンズはやる事を済ませたら教えるとして…ゴン達とはどうなるかわからんからな…その時に報告で構わないか?」
「それで構わん。では、念はお主がポンズに教える。確定でいいんじゃな?」
「ああ」
「うむ、了解した。話は以上じゃ、お主も達者でのぉ、レイリーに会ったらよろしくと伝えといてくれ」
「わかった。伝えておく」
「あ。ねぇあんた、今度私と仕事一緒にしない?」
「時間があれば構わないぞ。これ俺のアドレス」
「ありがとね。じゃあこっちも」
リュウマとメンチは連絡先を交換し講堂を出て、再びクラピカ達の元に向かう。クラピカ達はパソコンの前に集まっており、リュウマも顔を覗かせる。
「これから調べるところか?」
「おう」
「それで? 何調べてたんだ?ククルーマウンテンじゃなさそうだが」
「俺の親父の事だよ」
「ゴンの親父さん?」
「うん。ジン・フリークスって言うんだ。何も分からなかったんだ」
「どれどれ?電脳ページの極秘会員? お前の親父さん、国家機密の大物みたいだな…」
「私もびっくりしたわよ。ゴンのお父さんがとんでもない人物だなんて…」
「うん。ダブルハンターだってサトツさんが言ってた」
「マジ?うちの師父と同じランクじゃん」
「はぁ⁉︎お前の師匠もハンターなのかよ⁉︎」
「ああ、そうだが。そういえばポンズ以外には言ってなかったか?」
「ああ、我々は初耳だ」
「そうか。とりあえず、俺の師父よりククルーマウンテンについて調べるのが先だろ?」
取り敢えず一同は先にククルーマウンテンについて調べることにした。
ククルーマウンテンはパドギア共和国、デントラ地区にある標高3722メートルの山となり、そことどこかにキルアがいるらしい。
「リュウマの言う通り、飛行船の移動となる。3日と言ったところか…出発はいつにする?」
「今日!今すぐ!」
「ああ!異議なしだ!!」
「私も同じく」
「問題ない」
「わかった!チケットを予約しよう!」
全員今日中の出発を決めてチケットを予約し、一同はタクシーで空港に行く事にしたが、途中渋滞にハマってしまい、全く進む気配がない。
「車の量がすごいな…」
「なんだよぉ…ちっとも進まねぇじゃねぇか」
「まずいな…これでは飛行船の時間まで間に合わない」
「それにここ一本道よ…この渋滞じゃ、下手したら数時間もかかるわよ」
「マジか⁉︎オッチャン、なんとかならねぇのかよ⁉︎」
「そんなこと言われましても…この渋滞ですし」
するとゴンが顎に手を当て考え込み、何か閃いたのか笑顔で
「それじゃあ!」
「「「「?」」」」
4人はゴンの発言に首を傾げる。そしてゴンのアイディアはタクシーから降りて空港まで走って行くことだった。
「ヤッホー!」
「おい!ゴン!空港までどれくらいあると思ってるんだよ!」
「確かに渋滞にハマって待つよりはマシかもしれないけど!」
「俺、1分でも1秒でも早くキルアを連れ戻したいんだ!」
ゴンの言葉に4人は一度互いの顔を見てから頷き、ペースを上げる。
「ったく!しょーがねーな!」
「こうして走っていると、ハンター試験を思い出すな!」
「そうね。本当、色々とあったわね!」
「だな…ほんっと、色々あったよ。今回の試験でいい出会いがあったしな!」
クラピカの言葉を聞くと、様々な試験と出会いが思い出される…
「こんなのハンター試験と比べたら屁でもないよ!」
「ははっ!確かに、ゴンの言う通りだな!」
「ちげぇねえ!」
「そうね。目的地のわからない中で、薄暗いトンネルと霧の濃い上猛獣に襲われながら湿原を走るよりは断然マシね!」
一同はゴンの言葉に同意する。ハンター試験と比べればリュウマは除き、4人からしたらかなり精神的に違いがあるのだ。
「よーし、空港まで競争だ!」
「おっ?言ったなゴン。生憎負けるつもりはないぞ?」
「俺だって負けないよ!よーい…ドーン!」
5人は競争をしながら空港まで向かった。
リュウマ、ポンズ、ゴン、クラピカ、レオリオは無事プロハンターとなり、キルアに会う為、パドギア共和国へと向かう。
しかしリュウマ以外はまだ知らなかった。本当のハンター試験がこれからだと言う事を…
ポンズの念の系統について、情報がないのでこの三つの中にします
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具現化系
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操作系
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特質系