覇気使いのハンター   作:狼ルプス

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トンネルから森へ

 

スタート地点から4時間半、キルアとゴンもまだ涼し気な顔で走っているが、クラピカは僅かに汗ばんでおり、レオリオは汗だくだった。その中でかなり息も上がっており、徐々に遅れてきている。そして、レオリオの手からトランクが落ちて、遂に足が止まる。

 

「レオリオ!」

 

ゴンも足を止めて呼びかける。

 

「おい、ほっとけよ。早く行こうぜ」

 

 キルアが冷たく言い放つが、ゴンは真っ直ぐな目でレオリオをみている。

 

 

「ざけんなよ……絶対にハンターになったるんじゃ! くそったれーー!!」

 

レオリオは吹っ切ったように猛烈な勢いで走り出す。2人の横を通り過ぎて、さらに前へと進む。

 

「うおおおおお!!」

 

レオリオが通り過ぎるのを見送りゴンは後ろを振り向くと釣り竿でトランクを回収していた。

 

「おお、かっこいい!俺にも後でやらせろよ」

 

「いいよ、スケボーかしてくれたらね」

 

「ふぅ……追いついたみたいだな」

 

2人は再度走り出し、後を追うが、隣にはポンズを背負っているリュウマの姿があった。

 

「あ!リュウマ!」

 

「うおっ⁉︎おま、いつの間に隣に…」

 

「驚かせて悪い。どうやらお前らが最後尾の様だな」

 

「うん!ところでリュウマが背負ってるお姉さんはどうしたの?」

 

「……あ、わ、私?」

 

ようやく正気に戻ったポンズはなんとかゴンの言葉に反応する。

 

「他の受験生から妨害にあって足怪我してるんだ…色々あって背負ってここまで走ってきた」

 

「そうなんだ。俺はゴンっていうんだ。お姉さんは?」

 

「ポンズよ」

 

「キルア」

 

 

軽く自己紹介をする。続いて他の面々も名乗りを始めた。一次試験開始から約6時間経過。走行距離は約80km、スピードを上げていたリュウマ達はもちろん知る由もない。

 

「か、階段……!?」

 

 目の前に現れたのは先が見えない階段。かなりの勾配があり、段差も決して低くない。それが果てしなく続いていた。

 

 

「さて、ちょっとペースを上げますよ」

 

 サトツは歩くような感じのまま2段飛ばしで登っていく。それに受験者達は愕然としながらも必死に食らいついて行く。

 

リュウマと背負われているポンズ。ゴン、キルアと並びながら登り、徐々に先頭に近づいてきていた。

 

「おそらくこの階段で結構脱落するな」

 

「そうなの?」

 

「ああ、足を上げるのも辛くなっとった奴には、この階段は地獄。しかも試験官もスピードを上げて一瞬でも力が抜けたら終わり。それに階段に入ってから道が狭くなってる。精神的にも結構くるはずだ」

 

「へぇー」

 

ゴンは声を上げる。ゴンとキルアの2人は余裕のある様子で階段を駆け上る。

 

「クラピカとレオリオは大丈夫かな?」

 

「クラピカもレオリオも大丈夫のはずだ。階段上がっているうちに合流するはずだしな…レオリオは多分クラピカに挑発されて感化されているんじゃないか?」

 

3人は階段を駆け上がりながら会話を交えながら登っていく。3人に追い越された受験者も唖然とした表情で視線を向けていた。

 

「ねぇリュウマ、あなた大丈夫なの?ずっと私の事背負って走ってるけど…」

 

「ん?全然問題ないが…重りをつけてるとはいえむしろポンズが軽いんだよ」

 

「はっ⁉︎今お前重りつけてるって言ったか?」

 

「ああ、大体200キロの重りをつけていてな。まぁ鍛練みたいなものだ」

 

「に、200キロォ⁉︎」

 

「ほ、本当なのそれ!」

 

三人が驚きの声をあげリュウマに問うが彼は平然とキルアの言葉に応える。

 

「そう言えばポンズ、そのバッグに何が入ってるんだ?薬品の匂いがするが…」

 

「……リュウマの言う通り、このバッグに入ってるのは薬品よ。結構色んな薬とかが入ってるわ」

 

「へぇ…トラップ関係も含まれてそうだな」

 

「よく分かったわね。私はあなたが持ってる武器も気になるわ」

 

「これか?まぁ普通はあまり見ないタイプだよな、一振りは俺の師匠から譲り受けた物なんだけど…もう一振りは母さんの形見の刀なんだ」

 

「リュウマのお母さんの?」

 

「ああ、見てみるか?」

 

「ねぇリュウマ、俺も見ていい!」

 

「俺も」

 

 

ゴンとキルアもリュウマの刀に興味を持ち、ポンズを背負いながらも器用に腰に差していた一振りの刀を鞘ごと抜きポンズ達に見せる。

 

「…意外と重いんだね」

 

「鍛えれば重さは気にはならないものだ。その刀の名前は秋水…大業物と言われる刀さ…」

 

ポンズは秋水をじっと見つめ、少しだけ刀身が見えるように抜く。

 

「黒い……刀身?」

 

ポンズ達が普段見慣れている銀色の刃ではなく、漆黒の刀身だった。

 

「漆黒の刃?」

 

「すごい。真っ黒だ」

 

「詳しくは今は言えないが、見た目は元々普通の銀色の刀身と変わりはなかった。師父と修行してる内にいつの間にか黒くなってな」

 

「いつの間にか黒くなってた?どう言う意味だよ…」

 

「そのうち教えるさ」

 

そして途中クラピカとレオリオと合流し問題ないことを確認して、そんなこんなしている間に3人と背負われているポンズはサトツの真後ろに来てしまった。

 

「いつの間にか一番前に来ちゃったね」

 

「うん。だってペース遅いんだもん。こんなんじゃ逆に疲れちゃうよな~」

 

「わかる」

 

「…(こいつら一体何者なのよ!)」

 

ポンズはリュウマ、キルアが未だに汗を掻くどころか息すら乱れてないことに気づき、内心で突っ込む。

 

「結構ハンター試験も楽勝かもな」

 

「俺とキルアは身体面においてプロハンターと大差ないはずだ。俺を鍛えてくれた師匠も滅多なことがない限りは余裕で合格できるって言ってたしな」

 

「あ、やっぱり?てかリュウマ師匠いるんだ」

 

「まぁ幼い頃から一緒にいるからな、そういうことは基本ハンター証ゲットしてから学ぶ奴が多いらしい。キルアみたいな感じな人だったらそりゃつまらないよな」

 

「だよなぁ」

 

「師父曰く、試験はハンターの基礎能力を試すものらしくて楽しくなるのはハンターになった後だと思うぞ」

 

「けどそう言われてもやりたいことなんてあんまないんだよなぁ。面白そうだから受けただけだし」

 

 

 

キルアとリュウマは雑談しながら走る。その会話はゴンとポンズはもちろん、サトツも聞いていた。

 

「(ふむ。今年の新人は中々面白いですね。まぁ、370番の方は新人とは言い難いですが…)」

 

試験管のサトツもリュウマの【纏】を見抜いている。

 

「(……下手したら私でも勝てないかもしれませんねぇ。あの刀も普通の刀ではなさそうです…)」

 

 いい意味で評価するが、サトツはリュウマの持つ刀から異様な気配を感じ取った。その後も数時間走り続ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「(もうすぐ半日は経つぞ…)」

 

リュウマの体力はまだ余裕はあるが、いくら試験とはいえ一晩地下で走り続けるのは少し予想外だった。その時、

 

「あ! 明かりだ!」

 

ゴンが先を指差す。ようやく太陽の明かりを目にして、まだ走り続けている受験生達は流石にホッとした。

 

「ふぅ。ようやく薄暗い地下からおさらばだぜ」

 

 

坊主頭の忍が気持ちを切り替えるように言うと、ゴン、キルア、リュウマはペースを上げる。

 

 

「「ゴール!!」」

 

「到着だ!」

 

同時に先頭にいたリュウマ、ゴンとキルア、背負われているポンズはサトツに続いて外に出る。

 

「お~」

 

「うわ~」

 

「……サトツさん…もしかして二次試験会場じゃない?」

 

「ええ、まだまだ先ですよ」

 

「今度は森&湿原か…」

 

リュウマ達の目の前に広がるのは、広大過ぎる森と湿原だった。しばらく休憩をとる事になり、数分後にクラピカとレオリオも無事に階段をのぼりきった。

 

「ヌメーレ湿原、通称詐欺師の塒。二次試験会場はここを通って行かねばなりません。この湿原にしかいない珍奇な動物達。その多くが人間をも欺いて食料にしようとする狡猾で貪欲な生き物です。十分注意して付いてきてください。騙されると……死にますよ」

 

サトツの言葉が言い終わると同時に、背後の出口が閉じていった。

 

「ああ……ま、待ってくれ……!」

 

出口前でようやく登り切り倒れていた男が手を伸ばすが誰も助けないし、シャッターも止まらない。シャッターは完全に閉じた。

 

「それでは参ります。騙されることのないように、しっかりと付いてきてください」

 

「けっ!ふざけた話だ。騙されるのが分かってて騙されるわけねぇだろ」

 

 

「嘘だ! そいつは嘘をついている!」

 

『!?』

 

レオリオが強気に言い返した時、出口の陰から突如ボロボロの男が何かを引きずりながら現れる。そして、男はサトツを指差す。

 

「そいつは偽物だ!! 試験官じゃない! 俺が本物の試験官だ!」

 

 男の言葉に受験生達はサトツと男を交互に見て困惑の表情を浮かべる。

 

「偽物!?どういうことだ!?」

 

「じゃあ、こいつは一体……!?」

 

 レオリオと忍は完全に困惑している。クラピカは冷静に男とサトツを交互に見て、真偽を見極めようとしている。

 

「これを見ろ!」

 

 男が引きずっていたものを前に出す。それはサトツにそっくりな顔をした細身の猿だった。猿の顔を見た受験者達は衝撃を受けて、サトツを見る。サトツは変わらず涼しい顔をして立っている。

 

「こいつはヌメーレ湿原にいる人面猿!こいつは新鮮な人肉を好む。しかし、手足が細く非常に力が弱い。そこで自ら人に扮し、言葉巧みに人間を湿原に連れ込み、他の生き物と連携して獲物を生け捕りにするんだ!」

 

リュウマは男の話を呆れながら聞いていた。

 

「阿呆が……突っ込み所しかないな」

 

「リュウマはどっちが本物か分かったの?」

 

「まぁな……」

 

ポンズは隣にいるリュウマに訪ねる。具体的にはサトツは【纏】しているが男はしていない。しかし理由は他にもあった。

 

「もしサトツさんが偽物なら、そもそもここに来るまで待っていたのは明らかにおかしい、それに試験官はプロハンター、試験会場に選ばれた場所の危険性を知った上で騙されてたらどっちにしろ試験官失格。まっ、既に何人か騙されてる連中がいるがな…それと、あの男と猿をよく見てみろ」

 

「…ああ、そう言う事…」

 

ポンズも正体を見破ったその時、トランプが空を切り、男の顔にサクっと数枚突き刺さる。男は目を見開いて、そのまま仰向けに倒れる。

 

『!!?』

 

「くっく♦なるほどなるほど♣これで決定♦そっちが本物だね♠我々が目指すハンターの端くれとあろうものがあの程度の攻撃防げないわけないからね」

 

「誉め言葉として受け取りましょう。しかし、次から私への攻撃は試験官への反逆行為とみなし、即失格とします。よろしいですね?」

 

「はいはい♦」

 

 ヒソカは肩を竦める。サトツは小さく頷いて、クルリと反転する。

 

 

その言葉で受験生達の顔が再び引き締まる。サトツが歩くように走り始め、受験生達もそれに続く。ポンズは休憩の際に痛み止めを飲み、なんとか走れるようになり、ゴン達とポンズと共にスタートした。

 

「ここから先、霧もまだ晴れていないからはぐれない様に気をつけましょう」

 

「あぁ。それとキツくなったら言えよ?いくら薬で痛みは抑えられてるとは言え無理は禁物だ」

 

「えぇ、もちろんよ」

 

「ならいい……ッ!」

 

一瞬殺気を感じ殺気の主だけに向けて威圧を放つ。視線の先にいたのはヒソカだった。彼は少し目を見開き少なからず驚いていた。

 

「?どーしたのリュウマ」

 

「いや、なんでもない(嫌な予感がするな)」

 

リュウマは視線を前に戻し、サトツを見失わない様に気を引き締める。

 

 

 

 

「ククク(イイ、実にイイよ♥僕に対してあの目で威圧を放つなんて♣最高じゃないかぁ…)」

 

 

しかしその様子を見ながら奇術師ヒソカは笑っていた。




一応今作は覇気と念能力は別物です

主人公の持つ刀アンケート(二刀流で行きますが一本は決めています)

  • 閻魔
  • 天羽々斬
  • 二代鬼徹
  • 三代鬼徹
  • 雪走
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