ならやって見っかおら!
というノリで書いております。
あまりというか、過度な期待はしないでください。
ーーお兄ちゃん…!
これは夢だ…懐かしい夢。
まだ俺が●●●●で、双子の妹の●●●●と引き離される直前。
あの時、手を伸ばす妹に俺はなんと言ったんだっけ?
ーー●●。これをお前にあげる。いつかまた会えるさ。その約束だ。
ーー…うん!絶対だよ!お兄ちゃん!
とんだ嘘つきだな、俺は。
子供ながらに、もう出会えないことは分かっていた。
だと言うのに…。
…ちゃん、おきて!お兄ちゃん!」
「…んぁ…?」
「あ!やっと起きた!もう!先生が急ぎで来いって!」
…まさかマジで、再会できるとはな。
もう俺もこいつも本当の名前は忘れたが、恩人がくれた別の名前がある。
「…了解、先に下にいろ、千束」
「はーい!早めにね!お兄ちゃん!」
俺の名前は錦木一護。
この国の裏の諜報機関であるDAの一つ、リリベルの構成員にして、歴代最凶と名高いらしい俺は、同じくDAの一つ、リコリスの構成員にして、歴代最強と名高い錦木千束の兄だ。
■
「先生!何階だっけ!?」
『6階だ。急げ、リコリスが人質になっているぞ』
「6階!?いぃぃぃぃ!」
「チッ!現場リーダーは何してる…!」
俺たちはバイクで現場に急行して、外の階段を駆け上がっていた。
あと2階分…その時だった。
激しい銃撃音と共に、窓ガラスが吹き飛ぶ。
「うお!?」
「おおー!すごーい!」
んな感心してる場合か、おバカ。
確か商人は殺すなって話じゃなかったか?
『終了だ。直ぐに撤退しろ』
「人質のリコリスは?」
『無事だ。急げ、警察が来るぞ』
「了解。千束、退くぞ」
「ほいほーい!よろしく!お兄ちゃん!」
全く…元気いいやつ。
俺は小さく笑いながら、千束を後ろに乗せてバイクを走らせたのだった。
その数日後
「明日、リコリスが来る?」
「ああ、この間の件で左遷されてくるらしい」
「うちは流刑地か」
そう言いながら、先生に渡された資料を流し見る。
名前は井ノ上たきな…16歳、京都支部出身。
全体評価はB+で、射撃の成績はDAトップクラスか。
「移転組か…少し不安だな…」
あくまでリリベルの話だが、移転組にとって本部に行くのは、特別だと聞いたことがある。
おそらくリコリスでも同じなはずだ。
「まあ、お前たちなら何とかなるだろう」
丸投げか…?
まあ千束が勝手に構うだろう。
そう思いながら翌日。
「おお!でっかいイッヌ!狼みたい!」
「シベリアンハスキーな。というか早く開けてくれ。重い」
「はーい!あ、みんな大変!食べモグの口コミに、ここのホールの男女の顔が良すぎる!って、私たちのことだよ!」
「一護はともかく、あんたじゃなくて私のことだよ!」
「「冗談は顔だけにしろよ、酔っぱらい」」
…おや、見慣れない女の子が。
制服から見るに、セカンドリコリス…というか、噂のリコリスか。
「…あれ?リコリス?」
「バカ、昨日話したろ。お前の相棒だ、千束」
「「え!?」」
すごいな…同じ言葉でも内心のイメージが極端に違うのが、すごくよく分かる。
「井ノ上たきなです。よろしく…」
「よろしく相棒!千束でぇっす!たきなとは、初めましてだよね!」
「は、はい。去年京都から転属したばかりなので…」
「おぉ!転属組だ!優秀なのね!歳は!?」
「じ、16…」
「私たちの方が、歳上なんだ!でもさんはいらないよ!千束でいいからね!ち·さ·と♪」
「は、はぁ…」
…おい千束。
そんな勢いで言ったら…ほら、助けを求めるような顔で、俺を見てきたな。
仕方ない、手助けしてやるか。
「俺は錦木一護だ、よろしくな。こいつとは二卵性双生児の双子だ。後千束、仕事があるだろ、早く着替えてこい」
「あ、はい。よろしくお願いします。司令から伺ってます。歴代最凶の…リリベル?だと」
どうやら楠木司令から聞いていたらしい。
とはいえ、そもそもファーストリコリス以外は、リリベルの存在を知らないはずだから、リリベルという意味も知らないだろう。
ところで、そのガーゼはどうしたんだ?
「あれ?その顔の傷は?名誉の負傷?」
「いえこれは…」
部隊長に殴られたらしい。
その部隊長の名前は春川フキ…かつての千束の相棒だ。
「殴ることないでしょうよ!」
電話でフキと大喧嘩する千束。
やれやれ…この2人はどうしてこう…こうなんだ?
喧嘩するほど仲がいいとは言うが、限度がないか?
「当然!?司令司令って、ちょっとは自分で考えなさいよ!」
騒がしい千束は置いといて、俺は店長が入れたコーヒーを、たきなに渡す。
「はいどうぞ。先生のコーヒーは美味いぞ」
「ありがとうございます」
「…想像と違ったか?」
「いえ、そういう訳では…」
そりゃあれでも千束は、相当優秀なリコリスとして、有名人らしい。
そんな有名人が、あんな騒がしいやつだとは、夢にも思うまい。
「うっせぇアホ!」
切ってから言うなよ、意味ないだろ。
「よし!早速仕事に行こう、たきな!」
「はい!」
「あ、先生のコーヒー飲んでからでいいよ〜。すごく美味しいから!私着替えてくるね。ごゆっくり〜」
「はい」
どうやらクソ真面目らしい。
一々立って話を聞いている。
「あ〜!たきな!」
「はい!」
「リコリコへようこそ〜!うひひ!」
「千束、いい加減に着替えるぞ」
俺は千束を更衣室に押し込み、自分も赤の浴衣からリコリス制服を改造した、特注制服に着替える。
リリベルにはリコリスのような、街中に溶け込む服がない。
そのため、リコリス制服を自分で改造した、特注制服となっているのだ。
さてと、サッチェルバック風の戦闘用鞄をカスタマイズした、オリジナル鞄を背負って準備完了。
「おっまたせ〜!それじゃあ、行こうか!たきな」
「まあ、難しい依頼はないから、気楽に行こうぜ」
「はい!よろしくお願いします!」
だからそんなに肩肘はらんでもいいって…。
なんせうちの仕事は、かなりローカルなんだから。
■
「悪いやつじゃないんだけど、ああいう性格だから…あ、フキのことね」
「お知り合いなのですか?」
フキと千束は同期で、リコリス棟でも同じだったらしい。
フキよ、こんな破天荒な妹を押し付けて、すまなかったな。
「私もそうでした。昨日まで」
「お〜マジで?それはご愁傷さま。寝てる時の歯ぎしりすごいでしょ?夢でもキリキリしてるのよ」
「お前のせいじゃないか?」
「おぉ?どういうことだ?マイブラザー」
「あの…リリベルとは、なんなのですか?」
あ〜そうか…そこの説明からか。
さて…なんて言おうか…。
「そもそもDAには3つの下部組織がある。一つ目がお前たち彼岸花…リコリス。二つ目が花菱…読み方は忘れた。そして三つ目が俺たち君影草…リリベルだ。リコリスは女系暗殺部隊だが、リリベルは男系暗殺部隊だ。ま、違いはそんなものだ」
うちにも序列があり、ファースト·セカンド·サードと分かれており、俺と千束はそれぞれのファーストだ。
「お2人はどうしてDAにいないんですか?」
なかなかぶっ込んでくるな、この子。
「…私たちが問題児…だからかな?」
「おい、俺まで巻き込むな」
「いやいや、一番の問題児でしょ、お兄ちゃんは。リリベルの部隊を1人で壊滅させたのは、どこの誰だっけ?」
チッ…痛い所を衝く。
確かに千束にちょっかい掛けようとした連中を、懲らしめたことはあるがあの程度で問題児扱いは納得いかない。
「お2人は優秀だと」
「楠木さんがそう言ってたの!?」
「ええ。あれもお2人の仕事だと」
そう言ったたきなの視線の先には、10年前に折られた、旧電波塔だ。
…いや、まさか…一応言っておこう。
「…おい、言っておくが俺が折ったわけじゃねぇぞ」
「私もだからね!?」
「旧電波塔をたった2人で守った兄妹は、地方でも有名ですよ」
なんだその情報、流石に恥ずかしいんだが。
まあ何がともあれ、俺たちは自分が優秀だとは思わない。
「だが結局折れちまってるしなぁ」
「本当に優秀なのは、DAのリコリスやリリベルだと思います」
「…私も…そのはずでした」
ん〜…これは思ってたより引きずってんな。
俺や千束には、あまり理解出来ない感情…いや、千束は分からない訳ではないのか。
俺と違って最初の頃は、他のリコリスたちと同じくだったらしいし。
「でも結果的に仲間は救って、銃は押さえられたんでしょ?」
「いえ…なかったんです」
「「へ?」」
それは…かなりヤバいんじゃねぇか?
完走できるかな…?
それでは失礼します。
ありがとうございました。