君影草の俺が頑張る話   作:ネコ耳パーカー

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うちに泊まるの!?


Stay at my house!?

「…リコリスが襲われてる?」

 

『そうだ。先月の二子玉川に続き、お台場、立川、品川で4件だ』

 

俺は今、朝から虎杖のおっさんからの電話に出ていた。

リコリスが4人も襲われている…それはかなりヤバい案件だ。

 

「その4人の共通点は?」

 

『不明だ。リコリスはモードSの厳戒態勢を敷いた。我々リリベルも、モードAの警戒態勢を敷く。お前も十分に用心しろ』

 

「へいよ、それじゃ」

 

そう言って俺は電話を切る。

…気をつけないとな、2人も。

俺は気を引き締めながらリビングに出ると、見事に食い散らかされたお菓子のゴミに、深いため息をつく。

 

「あ、お兄ちゃん、おはよう」

 

「おはよう、千束。さっさとあれ片付けろ」

 

「え〜…」

 

「ごー、よん、さーん、にー、いち…」

 

「やります!」

 

俺がカウントダウンを始めると、千束は大慌てで片付けを始めた。

昔からカウントダウンに弱いんだよな、こいつ。

なぜそうなのか不思議に思っていると、千束のスマホが鳴る。

…たきなか。

 

「もしもし、たきな?」

 

『あれ?一護ですか?千束のスマホのはず…』

 

「片付け中。それで?朝からどうした?リコリス襲撃の件か?」

 

俺がそういうと、たきながそうですと答えたのと同時に、チャイムが鳴る。

…まさか。

俺と千束が玄関に向かいと、そこにはデカいバックを持ったたきなが。

 

「夜は交代で睡眠をとりましょう!』

 

「「え?」」

 

電話越しと目の前から、同時に同じ言葉が聞こえる。

…いや、マジかたきな。

 

「安全が確保させるまで、24時間一緒にいます!」

 

「「…うちに泊まるの!?」」

 

こんなにトーンの違う同じ言葉は恐らく、俺たちが一番だろう。

 

 

「プロの部屋だ…!」

 

なぜか興奮したような口振りで、たきなが部屋を見渡す。

そんな部屋で生活出来るわけないだろう。

 

「たきな、こっちだ」

 

「え?…えぇ!?」

 

たきなが驚く理由…それは俺たちの部屋に、忍者屋敷みたいな仕掛けがあるからだ。

突き当たりの壁を押すと、下へと続く階段があり、俺たちはそこを降りていく。

 

「千束、たきなの荷物受け取ってくれ」

 

「は〜い。あ、たきな降りれる?」

 

「俺が抱えるからいい。よっと」

 

「ひゃあ!?」

 

唖然としているたきなを抱えて、俺は階段を飛び降りる。

 

「よっと、足は大丈夫か?たきな」

 

「え…あ…はい」

 

何故顔を真っ赤にしてる?

大丈夫か、本当に?

俺はゆっくりたきなを降ろして、そのままリビングまで案内する。

 

「あ、あの…一護?」

 

「うん?どうした?」

 

モジモジしたまま、たきなが何かを言おうとしてるのを、俺は静かに待つ。

一体どうしたんだ…?

 

「私…その…リコリスですので…」

 

「うん?うん」

 

「だから…その…結構鍛えてるというか…」

 

…ああ、そういうことか。

ウンウン、たきなも女の子らしくなってきたな。

来たばっかりの時は、どこか機械的だったというのに…あれ、なんだろう?

 

「ですので…い、一護?どうしましたか?」

 

「いや…なんでもねぇ…」

 

お兄さんは、たきなの成長が嬉しくて泣けてきたよ…。

それはともかく、何が言いたいかを悟った俺は、たきなの頭を撫でながら

 

「たきな。羽みたいに軽かったよ」

 

「〜っ!」

 

当たりかハズレか…。

よく分からないが、まあ嫌がられてなさそうでホッとした。

 

「…なぁにイチャついとるか」

 

「千束、お前は片付けたのか?」

 

「サラッとスルーすんな、このナンパ兄貴」

 

新たなジャンルを作るな、アホ妹。

それはそうと、いつまでも足を怪我してるたきなを、立ちっぱなしにはさせられないな。

 

「さてと、たきな。テキトーに座っていいぞ。アイスコーヒーでいいか?」

 

「は、はい!その…これは…?」

 

「私たちこの世界長いからね〜。特に私たち顔割れてるから、色々あるのよ」

 

「ここはセーフハウス一号。あと3つあるんだよ」

 

この職業柄、長生きしてようが後始末つけていれば、中々顔は割れないのだが、俺たちは不殺を心がけている。

それ故に、まあ恨みつらみを買ったまま、お礼参りやらなんやらが、たまにあるのだ。

まあそれはともかく…

 

「共同生活を進める上で、公平な家事分担です」

 

なんというか…流石はたきな、って感じ。

見事に綺麗に分担されているが…

 

「ええっと…たきな。洗濯はお兄ちゃんは外した方がいいかな?」

 

「え?どうしてですか?」

 

「だから…その…」

 

洗濯の項目に俺の名前があるのを、千束が指摘して、その理由を耳元で説明する。

みるみる顔を赤くさせたたきなは、小さい声で…

 

「…一護はなしで」

 

「はいよ」

 

流石に…ねぇ?

千束のなら、俺は気にしないが千束自身が気にする。

だが流石にたきなのは、俺も恥ずかしい。

たきな自身ならもっとそうだろう。

 

「さてと…改めて改訂版です!」

 

作り直したたきなだが

 

「つまんない」

 

千束がそんな理由で拒否。

 

「つまんない!?では…じゃんけん…とか?」

 

「え、おい…たきなそれは…!」

 

「いいねぇ!」

 

あちゃ〜…それはダメだわ、たきなさん。

千束相手にじゃんけんはダメ。

そして…

 

「ふんふふ〜ん♪」

 

「…は?」

 

見事に全敗したたきなは、千束の分を全て受け持つことになったのだった。

 

 

「おはよう!労働者諸君!」

 

「お前もだ、お前も。どんな映画に影響されやがった」

 

「おはようございます」

 

…なんだ、そのスイカの山は?

あぁ…あれか、この間先生が安いからって、大量仕入れしたあれか。

まだ暑いし、フローズンスイカジュースとか、スイカアイスにしちまえばいいのに。

 

「なんで律儀にそんな切り方してるだよ、ミズキ」

 

「これが夏の風物詩だろうが!それよりも…聞いたわよ、エラいことになってるわね」

 

「まあな。リリベルの方も、一応警戒するらしいよ」

 

「私たちDAじゃないから、関係ないよ」

 

「可能性はゼロじゃありません」

 

俺たちは奥に行こうとすると、ちょうど先生が誰かと話していた。

まあ、楠木さんだろうけど。

 

「司令は情報をくれそうですか?」

 

「極秘だとさ」

 

「DA様は秘密の多いこって」

 

「うちもダメだろうな」

 

「勝手に覗いちゃうからいいも〜ん!」

 

…あいつ、ハッキングする気満々だな。

そして案の定、ハッキングをして、情報をダウンロードしてから、ゆっくり調べるつもりだとか。

 

「はぁ…あいつすげぇな…」

 

などと言いながら、俺は仕事をこなしその日の夜。

今日は全部たきな当番の日だったので、洗い物を手伝っていた。

 

「おかしいです。統計的にどの手も3割のはず…」

 

「まあ、考えてみな。案外簡単な理由だぞ」

 

そう話していると、俺たちのスマホがアラーム音を鳴らした。

…おう、久しぶりだな。

 

「久しぶりに来たね〜チンピラ」

 

「さてと…食後の運動でもするかね」

 

俺たちは仕掛け扉に向かい、そっと中を伺う。

数は2人…銃を武装してるが、まあただのチンピラだな。

 

「…俺がやる。下がってろ2人とも」

 

「はいよ〜」

 

「大丈夫ですか…?」

 

「お兄ちゃんの戦いを、まともに見るのは初めてかな。見てな、たきな」

 

2人の声を聴きながら、俺は武装を確認する。

ゴム弾を装填したRuger-57と、特殊警棒。

…よし、これならいける。

俺は壁を軽く叩いた。

 

「っ!…おい、そっち行け」

 

「あ、あぁ…」

 

しめしめ…かかりやがって。

俺は銃を構えながら、飛び出してくるのを待つ。

 

「っ!な!?」

 

「ハァ〜イ」

 

俺は数発ゴム弾を当てて意識を奪う。

倒れそうになるやつの腕を掴み、引っ張りあげてから、もう1人に向かって蹴り飛ばす。

 

「おわ!?どけ!」

 

その隙にリロードしてっと。

どかして銃を向けてきた奴の銃を、逆に撃ち飛ばして、俺はまた数発、撃ち込む。

お、こいつは意識あるのか。

俺は窓を開けて、そのまま2人を向かいのゴミ捨て場に放り捨てた。

 

「お〜い。はよそいつ連れて逃げろよ〜」

 

「ヒ、ヒィィィィ!」

 

さてと、今回は特に部屋への被害なしで終わったな。

 

「お兄ちゃん、今日はスマートに終わらせたね。やるじゃん」

 

「お前がやると、毎回窓ガラス割るしな。業者呼ぶのダリィんだよ」

 

「…このためのセーフハウスですか」

 

やっと俺たちの事情を把握したたきなが、げんなりした顔で俺たちを見る。

まあ、そういうことだ。

 

「あんな連中ならいいんだけどね。昔はリリベルも来てたしな〜」

 

「リリベルも?味方のはずでは?」

 

「いや、リリベルは決して味方ではない。同じ目的意識を持ってるだけで、仲間っていうより協力関係?」

 

そのリリベルは楠木さんと先生の説得、そして俺がブチギレて部隊を叩き潰したこともあり、手を出さなくなった。

 

「普段リリベルって何してるの?」

 

「別にお前らと対して変わらねぇよ」

 

そう言って俺たちは、セーフハウスに戻る。

この時、既に魔の手が迫っていたのに、俺たちは気づいていなかった。




久しぶりの投稿です。
年内はこれが最後かな…。
それでは失礼します。
ありがとうございました。
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