君影草の俺が頑張る話   作:ネコ耳パーカー

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お前の使命はなんだ?


What is your mission?

「地下鉄襲撃犯とリコリス襲撃犯は、例の銃を使ってるみたいだな」

 

「例の銃って?」

 

「取引の銃か?」

 

クルミの調べによると、どうやらあの取引で使われた銃を使用しているらしく、あの事件に繋がっていることが判明した。

 

「そういえは、あのハッキングって誰なんだ?」

 

「こいつらなんじゃない?ねぇ、クルミ」

 

「さ、さあな…?もう少し調べてみるよ」

 

不思議に思っていると、千束が不思議そうに呟いた。

 

「にしても、どうやってリコリスを識別してるのかな?」

 

「さあな。まだ分からんけど、その制服がバレてんじゃないか?」

 

「「…なるほど!」」

 

確かに都市迷彩として、制服というのは目立たないが、一度割れてしまえばそれを目印にされるという、デメリットもある。

スーツならば、どこを見ても似たような服な為分かりにくいが、制服は似たような形はあれど、色や形状、素材など意外に違いが浮き彫りになるものだ。

 

「上からなにか着るか」

 

「そうだね」

 

俺たちは組長への配達に向けて、制服の上にポンチョを羽織っていくことにしたのだった。

 

 

「う〜ん…」

 

「どったのあんた?」

 

悩むように唸るたきなに、ミズキが尋ねる。

 

「勝てないんですよ」

 

「へ?」

 

「家事の役割分担をじゃんけんで決めてるのですが、一護にならともかく、千束に勝てないんです。最近では一護にも負ける率が高くなっていて…」

 

ああ、なるほど。

ミズキはそう思いながら、ミカと目を合わせた。

 

「最初はグーで始めてるでしょ」

 

「それじゃ千束には勝てん」

 

「え?」

 

千束は服や相手の筋肉の動きで、次の行動を予測できる。

つまり最初はグーではじめると、次の手を読まれるのだ。

 

「そのまま変えないと分かれば、千束はパーを出す。変えると分かれば、チョキを出せば絶対に負けない」

 

「つまりあいこにできる可能性が3割。勝つ可能性はゼロだ」

 

「千束に勝つには、最初の勝負で決めなきゃダメ。あいこになれば勝てないし、ましてあいこから始めたら、一生勝てないよ〜」

 

…そんなのアリですか。

思わず言葉を失い、絶句するしかないたきな。

そんなたきなに、ミカが追い討ちをかける。

 

「一護の場合は、恐らく既にたきなの思考を読まれているのだろう。あくまで予測だから外すので勝てるだけだ。やればやるほどパターン化され、勝つ確率は低くなる」

 

「というか、これ。一護に教わらなかったの?」

 

「…自分で考えてみなって言われました」

 

半ば拗ねたように呟くたきなに、ミカとミズキは苦笑い。

そこへ千束と一護がやってくる。

 

「組長さんのところに、配達行ってくるわ〜!…何よ?」

 

「別に」

 

「なんだよ…?」

 

明らかに何かありそうなたきなの様子に、2人は困ったような顔をする。

 

「いいから行ってきな」

 

「すぐに支度します」

 

「いいよいいよ。俺らで行くし」

 

「それにリコリス制服がバレてるんじゃないかって、クルミが」

 

その言葉に、たきなは驚いたような顔をして、2人の服装を見て、どこか納得したような顔をする。

 

「だからそのポンチョですか」

 

「そそ。これなら〜絶対〜分かんな〜い♪」

 

突然下に制服を着ているため、問題ない。

一護たちを送り出した、リコリコのメンバーたち。

しかしそれからしばらくして

 

「あーーー!」

 

突然クルミが、押し入れから飛び出してきた。

 

「見てくれ!これは銃取引の時の、ドローン映像。殺されたのはその4人だ!これが漏洩していたんだ!」

 

その事に、一同が驚きつつも、ミズキが尋ねる。

 

「なんでそんなのが漏れてんのよ!」

 

「あの時のハッキングか」

 

「DAも、まだ特定出来ていないらしいです 」

 

「あんたの仲間じゃないの!?さっさと調べなさいよ!」

 

ハッキングの話になった途端、クルミはとても言いにくそうな顔をして、ぽつりと一言。

 

「…あの時のハッキングは僕だ」

 

「なぁ!?」

 

「はぁ!?」

 

「どういうことだ!?」

 

あまりの事実に、全員が身を乗り出し、クルミに詰めよる。

 

「依頼を受けてDAをハッキングした。依頼人に近付くには、仕方なかったんだ」

 

「ちょっと!あんたがテロリストに武器を流した、張本人ってわけ!?」

 

「それは違う!指定の時刻にDAのセキュリティ、攻撃を仕掛けただけだ!」

 

「そうですか!おかげで正体不明のテロリストが、山ほど銃を抱きしめて、たきなはクビになりました!」

 

「もういい!やめろ!ミズキ!」

 

激しい口論になるミズキとクルミを、ミカが強引に止める。

 

「映像はそれで全部ですか?」

 

「…千束はどうした?」

 

「先程配達に。一護も同じです」

 

「…全部じゃないんだ」

 

「い、いかんな…これは…」

 

そこに映っていたのは、千束だった。

 

 

「ん〜?」

 

「どうした?」

 

「先生から電話だ。もしもしもしもし〜?」

 

『千束!敵がお前を狙ってるぞ!』

 

千束のスマホから声が漏れ聞こえてきた瞬間、後ろから猛スピードでクルマが突っ込んできた。

 

「っ!?千束!」

 

「キャ!お兄ちゃん!」

 

俺は千束を突き飛ばしてから、すぐに銃を抜いて、タイヤに向けて引き金を引く。

上手くパンクさせてから、俺は逆に前に出て車の上を踏み避けながら躱した。

 

「千束!逃げろ!」

 

「で、でも!?」

 

「いいから行け!」

 

俺は後続のバンを確認すると、千束を強引に逃がして、俺は引きつけることに。

 

「おらこっちだ!ノロマども!」

 

「二手に別れろ!追え!」

 

「行かせるか…!」

 

俺はすぐに千束を追いかけようとしたやつらの足を撃って、動けないようにする。

クソ…少ししか削れなかったか…!

まああの程度なら、千束なら問題ない。

 

「クソ…こっちだな、問題は」

 

俺は実弾から非殺傷弾にリロードして、牽制しながら何とか逃げようと走り抜ける。

まだ追いかけてきやがる…しつこいな!

 

「今度こそぶっ飛ばしてやる!」

 

させるかよ…!

俺は振り返って、しっかり狙いを定める。

緑色の髪の男が俺に銃を向けてきた瞬間、俺は運転手を全弾発射して狙い撃つ。

 

「ガッ!?」

 

ハンドル操作がおぼつかなくなった車では、俺を狙うことが出来なかったか、あらぬ方へ飛んでいく弾。

すぐにリロードして、今度は男を狙い撃つ。

 

「ガハァ!?」

 

相変わらず狙いにくいな、この弾。

俺はリロードしながら、ゆっくりと男に近づく。

 

「…痛ぇじゃねぇか。ゴム弾か、こりゃ?」

 

うわ痛そう…自業自得ってことでひとつ。

俺は振り返った男の背後へ、ゆっくりと回ったのだが、突然腕を掴まれて血を吹きかけられた。

 

「うっ!?」

 

「アハハハハハ!」

 

グゥ…いってぇなおい。

やべぇ…見えねぇ。

 

「つぅ!」

 

「オラァ!」

 

「ゴホッ!…だらァ!」

 

捕まえた!

俺は腹を蹴り飛ばした足を掴んで、思いっきり脛に銃を叩きつけた。

そのまま引き金を引く。

 

「ギャァァァ!…てめぇ!」

 

「グフゥ!」

 

殴られたがそれでも俺は足を離さず、今度はその延長線上に引き金を引いた。

 

「ゴハァ!」

 

吹っ飛ぶ隙に俺は血を拭って、視界を確保する。

確保した先には、銃を向けてくる男が。

 

「…お前すげぇな。目潰されてたのに、よくわかったな」

 

「うるせぇよ。人をバカスカ殴りやがって…」

 

「…お前、リコリスじゃねぇのかァ?」

 

「さあな」

 

お互いふらつきながら、銃を向け合う。

うるさかった野次馬も、いつの間にか静かになっていた。

 

「…なぁ。お前の使命はなんだ?」

 

「何?」

 

「それ。噂のアラン機関だろ?アランの男リコリスか。面白いなァお前」

 

「…興味ねぇな、そんなもの」

 

どうやら殴られてる間に、外に出たらしい。

俺たちが引き金を同時に引こうとした瞬間、突然男の銃が弾かれた。

 

「「っ!?」」

 

そのまま次々と野次馬が倒れていく。

その精密射撃…たきなか!?

 

「ほっと」

 

軽い声と重い銃声が響いたと思えば、今度は千束が非殺傷弾でどんどん無力化していく。

 

「お兄ちゃん!」

 

「っ!」

 

「っ!?クソ!」

 

俺は千束に呼ばれて、すぐに発砲したがそれより一瞬早く動かれてしまい、躱される。

とにかく当たらなくてもいいから、ありったけ撃ち込む勢いで撃ち続ける。

 

「一護!乗れ!」

 

先生の声に振り向くと、リコリコのロゴの入った車が、そばまで来ていた。

 

「千束!退くぞ!たきな!タイヤを潰しながら後退!急げ!」

 

俺は実弾に変えて、タイヤをパンクさせながら、少しずつ車に近づき、2人を回収してから俺も乗り込む。

 

「…狭い」

 

「詰めてください」

 

「たきな、俺の顔蹴るな痛い」

 

「ミズキ!出せ!」

 

「ばっちこい!」

 

そのまま車を走らせたミズキ。

って前から車来てるし!?

遠隔操縦か!?

 

「ミズキ!前!」

 

「分かってるわよ!掴まってなさい!」

 

ミズキがギリギリでハンドルを操作して、何とか衝突は回避したが、また新たな問題発生。

 

『まずいのに狙われてるぞ』

 

よく見ると、RPGを構えるやつがいた。

おいおいマジかよ…!

 

「弾切れです!」

 

「やばいやばいやばい!」

 

「あ〜、悪い。流石に狙えんわ」

 

『仕方ないな〜』

 

クルミがドローンを突撃させて、RPGを持っているやつにぶつける。

しっかり引き金引いてるし…あ、緑髪の男が吹っ飛ばされた。

 

「たーまやー」

 

「かーぎやー」

 

「なんて汚い花火なんでしょうか」

 

「あんたたち、実は結構余裕だった…?」

 

「「「いや全然」」」

 

 

さて、無事にリコリコへ帰還した俺たちを待っていたのは

 

「…」

 

深々と土下座するクルミだった。

えぇっと…何事?

俺は先生と千束に、手当をしてもらいながら話を聞く。

 

「いつつ…なるほどな」

 

「つまり、全部こいつが原因だってこと」

 

慌てるクルミだが、残念ながら今回は戦犯だ。

言い逃れは不可能だろう。

 

「どうする〜たきな?やっちまうか」

 

「千束〜…」

 

「ま、クルミの年齢は分からんが、自分の尻拭いは自分でするこった」

 

「一護まで〜…たきな、ごめん!」

 

そんなたきなの答えは

 

「…あれは私の行動の結果です。クルミのせいじゃありません」

 

昔のたきなに比べたら、とてもいい方向に変わったと思えるような答えだった。

本当に…成長したな、たきな。

 

「でもあいつは捕まる。最後まで協力してもらいますよ、クルミ」

 

「っ!もちろんだ!早速だが、やつの名前が割れたぞ!」

 

クルミが嬉しそうに、タブレットを取りだした。

そこに映っていたのは、ドローン映像。

 

「ま〜じまさ〜ん!だって」

 

「真島…?」

 

どこかで聞いた名前だ…。

いや、そう珍しくもない名前だ。

たまたま耳にしただけかもしれない。

 

「一護、どうした?」

 

「お兄ちゃん?」

 

「一護?」

 

「…いや、なんでもない」

 

なのに、この胸のざわめきは一体なんなんだ…?

翌日俺はDAお抱えの医者、山岸先生から手当を受けていた。

 

「はいよ、終わりよ。怪我するなんてよ、珍しいじゃない」

 

「なるほど、弱点は目ですか」

 

「いや誰でもそうだろ」

 

たきなの若干ズレた発言に、千束がツッコミ、俺は小さく笑う。

そんな様子を見た山岸先生は

 

「いいチームよ」

 

「でしょ!たきな、3人一緒なら安心だよ!もう少し一緒に暮らさない?」

 

そんな千束の提案に

 

「…ではじゃんけんで千束が勝ったら、同棲を続けましょう」

 

…本気か、たきな?

懲りてないのかそれとも…。

 

「お〜いいね〜!クヒヒ…!行くよ!最初は…」

 

「じゃんけん」

 

「うわわ!」

 

「ポン!」

 

…お、気づいたのかたきな。

やるじゃん。

見事に負けた千束は、愕然とした顔で膝をつくのだった。

 

「ぃよし!よしよしよしよし!よし!」

 

…うん可愛いぞ、たきな。

まさかそこまで喜ぶとは。

 

「…あんた、しっかり最初から最後まで撮ってたわね」

 

「…まあ、思い出です」

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