君影草の俺が頑張る話   作:ネコ耳パーカー

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ホットチョコパフェ!


Hot choco parfait

「へいお待ち!」

 

…なんじゃありゃ。

栗きんとん、黒蜜、小豆、ソフトクリーム、抹茶アイス、白玉…ダメだ、把握しきれん。

あのバカ、一体何作ってやがるんだ…!?

 

「お兄ちゃん!千束スペシャル3丁!」

 

「お前の頭にアチョー!」

 

「いった!?ちょ!?割とマジで痛いんだけど!?」

 

「痛くしてんだから当たり前だろ。なんじゃそりゃ!採算とれねぇだろうが!なしだなし!」

 

「いやいや!もう頼まれてるから!」

 

「そもそも作り方知らねぇよ!」

 

こんのバカ妹、なんで勝手にこんなことやるかね…。

というか…割とマジでシャレにならん。

 

「千束、ちょっとこい。割とマジでお説教」

 

「…マジで?」

 

「うん?」

 

「あ、はい」

 

俺がなぜこんなにも危機感を抱いている理由…それは、このお店の収益にある。

簡単に言うと…結構な赤字なのだ。

細かく見てないが、多分やばい。

そんな話を、コンコンと千束に話す。

その日の休み時間。

 

「「「「…うわ」」」」

 

「思ってたより酷いな…」

 

たきなが計算したグラフを見た結果、俺の思っていた以上に赤字だと判明し、苦い顔をしてしまった。

 

「これは、依頼金を含めての収益です。弾丸費とか移動費はどうなってるんですか?」

 

「DAから支援金があるのよ。一応、こいつらの活動費ってことで」

 

「…DAから独立してると言いながら、そこは頼ってたんですね?しかもこれ、完全に足出てますよね?」

 

たきなよ…そんな眼で睨まないでくれ…。

俺と千束はつい、目線を逸してしまう。

 

「…分かりました。以後私が、リコリコの経理をします!」

 

 

というわけで、たきなによりリコリコにおける倹約が始まったわけで。

 

「千束。クリーナーを使うと、膨大な費用が飛びます。できるだけ現状復帰が不要な活動を、心掛けてください」

 

「はいそこまで」

 

「千束、撃ちすぎです」

 

リコリスとしての現場では、千束の行動を制限し。

 

「ミズキさん。冷蔵庫の開けっ放しは、電気の無駄です」

 

「店長、私がやります」

 

「はっ!ほっ!とう!」

 

リコリコ店内においても、色々とやってくれているのはいいが…

 

「なぁ、たきなさんや」

 

「…なんでしょうか、一護さんや」

 

「俺、何も変更点なし?」

 

「…そうですね」

 

俺だけ何も言われていないのだ。

弾は接近戦のトドメに使っているので、あまり使わないし、バカスカ撃たないから、現場も壊れない。

実弾だって正確に狙えるから、無駄撃ちもないしものも壊れない。

お店だって意識してるわけで無いが、まあ節電や節水はそれなりに心掛けてるつもりだ。

 

「…一護、少し座ってください」

 

「ん?おう」

 

誰もいないリコリコの店内。

座敷に座らされた俺は、なんのつもりか不思議に思っていると、突然たきなが俺の膝に寝っ転がった。

 

「…たきな?」

 

「千束が言ってたんです。暖かくて落ち着くと。…なるほど、確かにそうですね」

 

「男の膝枕に、なんの需要があると…?」

 

…まあ、いいか。

これでたきなへの労いになるのなら、お易い御用だ。

俺は千束にやるように、お腹を軽く叩いてやりながら、優しく頭を撫でる。

千束曰く、このお腹を叩くリズムが、眠気を誘うのだとか。

 

「…たきなってさ、普段は凛々しい綺麗系だけど、ツインテにしてるリコリコモードの時は、一気にカワイイ系だよな」

 

「なっ…!?」

 

「…たきな、可愛いよ。よしよし、えらいえらい。いつも頑張ってるな。今はゆっくり休みなさいな」

 

「…休めません…」

 

あ…なんて言ったこいつ?

俺は不思議に思いながらも、手を動かすのをやめずに、ゆっくりとした時間を過ごす。

 

「お〜、お前ら、いた…」

 

「クルミ。しー」

 

「…だな。すまない」

 

穏やかな顔で寝るたきなは、年相応の女の子の顔だった。

 

 

本日もお仕事お仕事。

さてと、爆弾処理を進めていこうかねっと。

 

「たきな、その緑。次は白。その次黒。次は青…はいクリア」

 

さてと、報酬を貰おうかね。

 

「「サア!デテイクアル!」」

 

おいおい、そりゃナシだぜ、中国人さんよ。

というか俺らが、その程度に屈するとでも?

 

「報酬がまだですが」

 

「ほれほれ〜!」

 

「約束は守ってもらわないと…ね?」

 

俺と千束はずんずん進んで、金を要求する。

もちろん、正当な報酬だから、俺らに正義はある。

だというのに…

 

「コレノコトアルカ!」

 

全く、なんで銃を突きつけてくるかな。

1人が突きつけた銃を、千束が奪い。

慌てて抜いたもう1人の銃は、俺が叩き落として、俺の非殺傷弾を撃ち込む。

その際酒瓶が一本、たまたま発射されてしまった銃弾で割れるが、お構い無しだ。

 

「これは私たちのせいでは無いので、知りませんからね」

 

ナイス、たきな。

千束がニヤニヤしながら銃を返すと、直ぐに千束に対して発砲するが、1発も当たるわけなく。

 

「お、おい!?やめ!ヒィィィ!」

 

「エ?エ?ナンデ?」

 

「払いませんからね」

 

「フォワーチャー!」

 

お前は拳法家か。

さてとそれはともかく…そろそろネタばらししてもらおうか。

 

「皆さん!実はまだ、最後の2本を残してあります。あとはご自分でどうぞ。それでは私たちはこれで」

 

「お邪魔しました〜」

 

俺たちが出口に歩き出すと、後ろから情けはい悲鳴と共に、助けを求めてくる依頼人。

だが、俺が撃った中国人が、何処からか剣を抜いて襲いかかってきた。

 

「ヤアァァァァァァァァア!」

 

「うるせぇよ」

 

俺は特殊警棒を抜いて、いなしてから首筋に思いっきり叩きつけた。

完全に気を失ったそいつを蹴り飛ばしながら、俺は黙って手を差し出した。

…さっさと払え、という意味で。

 

「ひ、ひぃぃぃぃ!?」

 

「…さてと、こっちは終わりました」

 

「くれるよね?」

 

しっかり依頼料を受け取った俺たちは、意気揚々と退散したのだった。

 

「いや〜!私1発も撃ってない!」

 

「俺も1発だけだな」

 

「2人とも、よく出来ました」

 

 

翌日、出勤した俺たちは、座敷にいるたきなとミズキに挨拶をしようと、近づいた。

…なんかいい匂いがするな。

 

「ぐっどもー…え、なにこれ?」

 

「はよざー…す?ん?うん?」

 

…う〇こ?

とぐろを巻いて、湯気を立てた、完全無欠にう〇こだ。

なのにチョコレートのいい匂いがする。

…頭の中が宇宙になっていく。

…ダメだ、理解するのを放棄しよう。

 

「私が考案した、新作パフェです!どうですか、2人とも?」

 

「いや…これは…う」

 

「しっ!」

 

ミズキ…そこは指摘した方が…いや無理か。

あんなキラキラした眼で言われたら、流石に指摘するのは、躊躇われる。

 

「う、うん…いいんじゃない…かな?」

 

「ホットチョコレートか…これからに良さそうだな」

 

「はい!」

 

というわけで売ってみたはいいのだが…

 

「えぇっと…お兄ちゃん!これ何番さん!?」

 

「それは2番!」

 

「違います!4番さんです!一護のが2番です!」

 

「「分かるかー!」」

 

それはそれは、大層よく売れる。

こっちがびっくりするレベルで売れる。

あまりの売れ具合に、クルミまで引っ張り出して、総動員させても追いつかない。

 

「っと電話か。はい!喫茶リコリコ」

 

『山岸だけどよ。あんたら今日検診だよ!連れてくるって言ってたじゃないか!』

 

「…げぇ!?」

 

しまった…忘れてた…!

いや、というかこの状況じゃ…!?

 

「ええっと…忘れてたっていうのもあるんすけど、ちょっと今手が離せなくて…いや、マジで何故か大繁盛中…あ」

 

ミズキ…珍しくやらかしやがった…。

クルミじゃねぇのな、というかみんななんで撮ってるの?

 

『…本当に繁盛してるようね。こっちまで聞こえるわよ』

 

「あはは…すみません。割とヤバいです」

 

『まあいいわよ。あんたはまだあるしね。近日中に来ること。いいね!?』

 

「はい…」

 

マジですんません、山岸先生。

今回ばかりは、本当に緊急なんです。

その他にも

 

「みんな、今日実はね…」

 

「「トリックオアトリート!」」

 

「2人とも。こちら1人で大丈夫ですので、これを」

 

保育園でのハロウィンにかこつけた、お菓子配りの予定が、何故か外回りに。

…というか…

 

「なんで!」

 

「俺たちばかり!」

 

「外回り!」

 

「なんだよぉぉ!」

 

組長のおやっさんの所にコーヒーを配達したり、迷子を送り届けたり、たぬき捕まえたり、悪いやつら捕まえたり、射撃講座だったり。

…いや、何故日本で射撃講座?

 

「…Wow!お兄ちゃん、すごいよ!」

 

「金を配るサンタみたいだな…」

 

報酬を袋にひとまとめにしているのだが、なんというか、金を詰めたサンタみたいで、かなり見た目が悪い。

保育園に戻ると、たきなが子供たちにお菓子を配っていた。

 

「「「「「「「「「トリックオアトリート!」」」」」」」」」

 

「ハッピーハロウィン。いい子ね」

 

一人一人に優しく声をかけるたきなに、俺は何故か目が離せなかった。

来た時は生き急いでいたたきなが、今はああやって子供たちに優しく接している。

その姿が、俺にはとても魅力的に見えた。

 

「って、なんで並んでんの?あいつ」

 

よく見ると千束がこっそりと、子供たちに紛れて並んでおり、流れに乗って貰おうとしてる。

案の定見つかり、拒否られてるし…ってあいつ、お金はどうした?

 

「ねぇ!ちさとおねーちゃん!これも貰っていいの!?」

 

「いいよー!じゃんじゃん持ってけー!」

 

「…アホかお前は!いいわけないだろ!」

 

慌ててバカをやらかす千束を、何とか止める俺。

まだお金は早すぎる。

そんなたきなの金策により、リコリコはかつてない黒字に。

浮いたお金で、店長がレコードを買ったり、食器洗浄機を買ったり、配膳ロボを買ったり…配膳ロボ?

 

「安かったので…」

 

「大丈夫なのかよ、あれ」

 

「クルミよりは使える…!」

 

…否定要素がないのが残念だな。

すっかりたきな様々になった俺たち。

 

「いや〜!たきな様々だわ!」

 

「あれ?そのたきな様は?」

 

「うん?…押し入れか?」

 

開けるとクルミと何かをしていた。

よく見ると…

 

「…株?」

 

「クルミと組んで、投資してみようかと」

 

「そこまでやるか?」

 

思わずそう呟いていると、千束のスマホが鳴る。

この音は…山岸先生だな。

嫌そうな顔をしていると、たきなに強奪され、明日行くことに。

なったのだが…

 

「…よォ、お二人さん」

 

俺たちの前に、真島が立ち塞がったのだった。

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