スモークグレネードを投げた俺は、そのまま一気に突撃する。
狼狽えながら発砲する音から、大体の居場所を見つけ、一気に接近して非殺傷弾を撃ち込む。
「次」
結果を見届けず走り、次の標的を探す。
…見つけた。
俺は後ろから特殊警棒で、思いっきり殴り、失神させる。
「次」
非殺傷弾を撃ち込み、倒れる前に近くにやつに向けて蹴り飛ばし、よろめいた隙に喉元に特殊警棒を突き立てる。
「次」
「クソ!見えねぇ!」
「無闇に撃つな!グラサン外すぞ!」
…そう来るだろうな、待ってたぜ。
俺は煙幕の中、スタングレネードのピンを外し、転がした。
数秒後、爆音ととんでもない閃光が炸裂する。
だだっぴろい場所だから、音はさほど効果は無いが、煙幕の中必死に視界を確保しようとしていたこいつらに、閃光はよく刺さる。
「隙だらけ」
もがき苦しんでいる内に、非殺傷弾や特殊警棒でどんどん意識を刈り取っていく。
ただ淡々と、機械的に。
復帰してくる頃には、残り数人。
「思ったより簡単だったな」
そう呟いて、まずは近くのやつに非殺傷弾を撃ち込む。
気を失う間にリロード。
俺を狙う他のやつとの間に、棚を倒して壁にしてから、その辺の瓦礫を投げつける。
それに気を取られた隙に、背後から特殊警棒で殴りつける。
あと3人…余裕。
銃口が向けられるより早く、俺の早撃ちがテロリストたちを撃ち抜いた。
「さてと、追いかける…か?」
下の階から足音がすると思い、覗いてみると、どうやらまだいるらしい。
「やれやれ…仕方ない」
俺はリロードして、スモーク片手に突撃するのだった。
■
私はヨシさんを見つけ出したはいいが、何故か真島が待ち受けていて、一帯を真っ暗にされてしまった。
マズイ…見えないのはマズイ!
「よぉ、妹。兄貴はどうした?」
「真島!」
私が何かアクションを起こすより速く、真島が撃ってくる。
辛うじて見えた私は咄嗟に避けたが、
「ぐわぁ!?」
「っ!?ヨシさん!」
しまった…避けたらヨシさんに…!
「アハハハ!避けると大事なヨシさんに当たっちまうぜぇ!」
チッ!
仕方なく、私は鞄を盾にして防ぐが、反動で倒れてしまう。
攻撃が止んだ…。
この隙に私は、鞄からライトを取りだして、周囲を確認する。
後ろにいたはずの、ヨシさんがいないことに疑問を持つが、それは置いておく。
縄が切れてるのを見る限り、多分銃弾が縄を切ったのかな。
「あんたなんで!」
「ここにいるんだってか?ククク…」
私は棚を押しながら通路に出て、真島を探していると、突然モニターにニュースが流れ出す。
そこには、フキたちリコリスが映っていた。
「フキ…」
「あっちのリコリスは今や、全国デビュー中だ。これでお前らは終わりだ」
声は…あっちか!
私は棚から身体を乗り出すが、テレビの光にぼんやり見えた真島が、発砲してきたので、慌てて隠れる。
こいつ…さっきからどうやって私を…!?
私がライトをつけた瞬間、真島が飛びかかってきて殴りかかってきた。
「うっ!?…見えてんの!?」
「…聞こえるのさ」
今度は後ろなら殴られて、前のめりに倒れ込む。
いつ〜…!
真島は舌打ちをしてから、ゆっくりと動き出した。
足元に転がってるはずの、缶を蹴る音が聞こえない…まさか。
「相手の微細な動きで、射撃タイムと射線を判断する…すげぇ能力だな、妹。アランが興味持つわけだ。んで、その妹の能力を活かさせるために、兄貴は救われたと…。ハッ、エグい話だなァ」
「…音か」
「正解」
私は咄嗟に声の方に発砲するが、それはハズレだったらしい。
「だが…視覚が全てだ!」
真島の蹴りが、私の脇腹に飛んでくる。
ぐっ…肋が…!?
私は足を掴んで、真島に向かって撃つが、躱される。
しかも弾切れ。
「ガァ!…こんのぉ!」
私は柵に叩きつけられた状態で足を掴んで、そのまま真島を転がす。
真島が手放した銃を掴み突きつけるが
「いいのかァ?そりゃ実弾だぜ?」
ぐっ…!?
それを躊躇った瞬間、思いっきり蹴り飛ばされてしまった。
ぐぅ…いっつ〜…!
「聞いたぜぇ、ヨシさんから。兄妹共々、下らねぇ縛りで才能枯らしてんだって?でも俺は、お前らのそういうところ好きだぜ?人に生き方を強要させるのは、俺も嫌いだからな」
「っ!一緒にすんな!」
闇雲に撃っても案の定当たらない。
本当にどこにいるの…!?
「3人でアランを叩かねぇか?ヨシさんは痛めつけても、中々口を割らねぇんだ。お前たちとなら組めるかもしれねぇ」
「っ!?」
後ろから声が聞こえた気がして、発砲したがやはりハズレ。
クソ…本当にどこに…!?
その時、突然ヨシさんが落としたスマホが鳴り出した。
3コールにワン切り…まさか!?
「…っ!」
私は発砲しながらとにかく走った。
真島に追いつかれそうなった瞬間、シャッターから鈍い音が聞こえる。
そしてシャッターごとガラスを破って現れたのは…たきなだった。
…いや、そこから?
「フッ!」
たきなの足蹴り3連撃を受けながらも、真島はたきなの腕を掴んで締め上げた。
「ぐぅ…!」
「お前には用はないって言ったろ?」
「なら俺はどうだよ?」
さらに暗闇から、お兄ちゃんが音も気配もなく近づいてきて、特殊警棒を思いっきり真島に振り下ろした。
「ガァ!…テメェ!」
たきなの極めた腕に持ってる銃でお兄ちゃんを狙う前に、私がスライディングしながら真島に発砲。
「ぐぅ…!?この!」
真島が私に向かって発砲するが、それは見えてるから全部躱す。
その隙にお兄ちゃんが真島へ発砲。
「ガァ!…クソォ!」
たきなから手を離した真島は、たきなの銃を奪い、たきなを手繰り寄せていたお兄ちゃんに向かって発砲。
お兄ちゃんは鞄を盾にしながら、たきなを庇うが、その反動でお兄ちゃんの鞄が弾かれてしまった。
■
さてと、飛び込んだらいいがどうするべきか。
弾は今落としちゃったから、残りはマガジン2つ分。
「一護、マガジンが…」
「たきな、しっ。あいつは地獄耳だ」
「弾切れか?」
…本当に耳がいいらしいな、あの野郎。
このヒソヒソ話が聞こえるくらいなのか…。
そうなると、あの暗闇に紛れられるのはキツいか…?
「…フッ!」
「逃がすか!」
千束が逃げる真島を追いかけて走り出す。
俺はその音に紛れて、ポッケに忍ばせてあったスタングレネードを、いつでも投げられるように構える。
「千束!」
案の定千束が反撃にあったのを、たきなが助けようとする発砲。
今だ…!
俺はピンを抜いて真島のいると思う方に、上着に隠した状態で投げつける。
「はぁ!…あ?」
たきなを蹴り飛ばした真島は、突然飛んできた上着に不思議そうにしながら、首を捻ってそれを躱した。
別にこのスタングレネードに、強烈な閃光は求めてない。
今求めてるのは、爆音だ。
ちょうど耳元でスタングレネードが作動して、爆音が上着から漏れ出る。
「ガァァァァァァァァァァァァ!?」
服一枚でどうにかなるようなものでは無いし、それが人より何倍も耳のいい真島なら尚更だろう。
尋常じゃない苦しみ方をする真島に、俺は非殺傷弾をありったけ撃ち込んで、ワイヤーガンで拘束したのだった。