「依頼〜?リコリスの救出が〜?」
ヘリの中で、リコリスの救出依頼が来た。
恐らく楠木さんだろう。
「誰からかはミカに聞け。それと、これを預かってきたぞ」
そう言ってクルミが渡してきたのは、非殺傷弾と実弾のマガジンだ。
「お。俺カバン落としてたから助かるわ」
「私が預かります」
「サンキュ、頼むぜたきな」
話していると、俺のスマホが鳴る。
…まあ、あんただろうな。
「もしもし、虎杖さん?」
『今どこにいる?』
「今ヘリの中。延空木に向かってる」
『ならちょうどいい。リコリスを処分しろ』
「え、やだ」
どうせそんな話だと思ったよ。
隠密部隊のリコリスがここまで露呈した以上、存在そのものを消すしかない。
そういうのは、俺たちリリベルの仕事だ。
『…貴様、逆らう気か?』
「むしろ言うこと聞くと思ってたの?」
『…まあいい。ならば貴様も処分するだけだ』
「せっかちだな〜。もうすぐ死ぬんだぜ?」
『ならばもういつでもいいだろう?せめての情けだ。立派な墓標を用意してやろう』
そう言って電話が切れる。
やれやれ、本当に機械みたいな爺さんだ。
「リリベルがリコリスを処分するって。そんで断ったら俺も処分だとよ」
「えぇ!?ちょ、お兄ちゃん!?」
「本当なんですか!?」
そんな嘘ついてどうするよ。
もちろん処分なんてさせないし、全部救ってやるよ。
「昔はよく来てたわね〜。千束を殺しに」
「なんで来なくなった?」
「おっさんと楠木の交渉、あとは一護が部隊を壊滅させてからの、交渉という名の脅迫」
「おい褒めんなよ、照れるじゃねぇか」
「褒めてねぇよ、引いてるんだよ」
などと話しながら、助ける方向で動くことに。
というかこんなことになる前に、ラジアータが動くはずだが?
「ラジアータは?」
「動作不良だと。ロボ太だな」
「それじゃあ、もうどうしようも…!」
「いや、まだだ」
そう言ってクルミが千束に、USBを投げ渡す。
「それを延空木の制御室に刺してこい。あとは何とかしてやる」
「でも偽装もどうしようも…」
「ああもう!そんなポンコツ…ウォールナットに任せろ」
頼もしい限りだぜ、マイハッカー。
よし、段取りはついた。
あとは…意思確認だ。
「千束、どうする?」
「…リコリコ、営業再開だー!」
「バッチコイ!」
俺たちは延空木まで、急いでヘリを回したのだった。
■
自分たちの生存のため、独断行動を始めたフキたち。
フキ、サクラ、エリカの3人で、制御室の奪還に動きだしたが、その直前で3人の大男に道を阻まれてしまう。
「クソ…!」
3人がそれぞれに倒され、フキがナイフで突き刺される…その直前。
「ほっ」
軽い声とともに轟く銃声。
…千束の非殺傷弾が、大男の頭に直撃した音だ。
そのまま肩に飛び乗りもう1発。
「ぃよいしょ」
飛び降りて更に腹に1発。
「ほい」
落ちてきたところを支えて、顎に1発。
「うーい」
これで完全に気を失った男。
その光景を、唖然として見ていたほかの仲間も動きだしたが、それより早くたきなが肩を撃ち抜く。
「ふぅ!」
そのまま鞄を盾に突撃して、体勢を崩した所を顎を蹴り上げて、ワイヤーガンで壁に拘束した。
「たきな!ありがとう」
「エリカ!後ろ!」
最後の一人が、後ろからエリカに掴みかかろうするのを、咄嗟にたきなが引き寄せる。
「オラァ!」
その直後、一護が壊れた机を足場に高く飛び、左足でかかと落としを放つ。
「よっ」
そのまま首を膝で挟んで固定させ、右膝を顎に捩じ込んだ。
「よっこいしょ!」
そのままバク転の要領で、全身の筋肉を使い床に叩きつけた。
「おやすみ〜」
そのまま寝っ転がる男の頭に、非殺傷弾を撃ち込んだ。
一護はたきなたちの方を見て、安否を確認した。
「無事か?」
「はい。ありがとう、一護」
「あ、ありがとうございます…」
2人の安否に微笑んでから、今度は倒れてるサクラにニヤリと笑う。
「どうした?やっぱ口だけか?」
「…うるさいっすよ。遅刻してきたくせに」
「悪ぃ悪ぃ、トラップ張ってたら遅れたわ」
サクラを起こしてやって、全員の無事を確認していると
「フキ!」
千束の怒鳴り声に振り向くと、フキが倒れたテロリストに銃を突きつけていた。
「フ〜キ〜」
「なんだ!」
「やめて」
「お前の現場じゃない!」
「リリベルが来てる」
「…なに?」
フキが一護の方を見ると、一護は黙って頷いてから、フキを止めに入る。
「もうすぐ突入してくるぞ。今その余計なことにかまけてる時間は無い」
「クソ…なんで…!?」
「そりゃお前らを消すためだよ。死にたくなければ急ぐぞ」
■
俺たちは直ぐに走り出して、制御室にたどり着く。
そこで千束たちにUSBの差し込み口を探させて、俺はその間にバリケードを用意する。
途中罠を仕掛けてきたが、恐らくあまり効果はないだろう。
『お前たち、リコリスがやばいぞ。急げ』
「千束!たきな!まだなのか!?」
「こっちはありません!」
「ないないないない!どこ!?えっ、どこぉ!?どこ、ないない!どこどこどこ!?」
「はぁ…。おいお前ら、こんなとこに本当にUSB差すところなんてあるのかよ?」
知らん、クルミに聞け。
まあネットワークを管理してる以上、サーバーはあるはず。
「ゆーえす…しー?ゆーえすびー?難しいこと言わない!」
…おい千束、マジか。
いや、お前がスマホ以外の機械に弱いのは知ってたけど、そこまでか!?
「って!?お前分からず探してるのか!?てめぇなに探してんだよ!?」
「これ突っ込む穴でしょ。それくらい分かる」
「乳くりあうな!やばいのが来てんだろ!?」
「おい!そろそろやべぇぞ!バリケードが破られる!」
俺はこれ以上は危険と判断して、制御室まで撤退する。
さてと、状況はどうなってる。
「たきな、状況は?」
「私たちは見つけられてません。恐らく2人のいる方かと…」
「…あれか」
「どれだ!?」
どうやら見つけたらしい。
千束が必死に腕を伸ばして、何とか差し込んだらしい。
しかしそこへ、リリベル隊が突入してきてしまい、俺たちは応戦せざるを得なくなる。
「チッ!たきな、エリカ、サクラ、フォロー」
俺はスタングレネードのピンを弾いて、ギリギリまで持ってから放り投げる。
その直後、爆音と閃光が炸裂する。
「たきな、効いてる?」
「効いてますね…私たちにも」
たきなの視線の先には、蹲るエリカとサクラ。
どうやら間に合ったのは、一度同じことを見てるたきなだけらしい。
「鈍いな〜」
俺は特殊警棒を片手に飛び出す。
弾が少ないので、出来るだけ使わずに終わらせたい。
落ちるように飛び降りて、一番前のやつ喉元を突く。
勢い任せの一突きで、後ろの奴らごと吹き飛ばしてから、直ぐに両隣のやつらの後頭部を叩いて、意識を刈りとる。
「クッ!錦木!」
そう言って銃を構えるのは、俺とは別のファースト·リリベル。
これはこれは、懐かしい顔だ。
「よっ、悪ぃな」
俺はすぐに非殺傷弾を数発撃って、動けなくする。
すぐに銃を向けてくるやつの銃を叩き落として、肘を打ち込み動けなくする。
蹲ってるやつは顎を蹴りあげたり、ノーガードの後頭部に非殺傷弾を撃ち込み、意識を奪ったりする。
「おっと弾切れか」
すぐにリロードしなおして、さらに削っていく。
その時、突然演歌が流れ出した。
「…何事だ?」
俺は一度みんなの元に戻り、モニターに流れる映像を確認する。
「…なんだこれ」
「「私/アタシたちが聞きたい」」
なんつーか…あいつ、変なセンスしてんな。
どうやらこの騒ぎを、映画のデモンストレーションとして、処理するらしい。
どうせラジアータが、リカバリーするだろうな。
「…おい!もうドンパチする理由は、無いんじゃないか?」
「…撤退だ!」
俺が下のリリベル隊に声をかけると、どうやら虎杖のおっさんから指示があったか、撤退して行った。
これでやっと、片付いたか…やれやれ、疲れたぜ。
■
ダラダラと延空木から帰る俺たち。
エレベーターホールの近くまで、疲れた身体を引き摺って、やっと降りてきた。
後ろで騒ぐセカンド組を見て、フキは舌打ちを打つ。
「チッ。自覚のない連中め…」
「ところでフキ?何色がいい?」
「はぁ?」
何言ってんだとでも言いたげな顔。
「今回はフキも命令違反をした訳だし、リコリコ行きだよ〜」
「だからうちは流刑地かよ。…ま、俺の服が空くし、それを仕立て直せばいいだろ?」
「っ!お前…!?」
フキは俺の事情を知ってる。
そんなフキに、俺はしっ、というジェスチャーをして、黙らせる。
こら、また舌打ちするな。
「…エレベーターが到着しま〜す♪」
そんな空気が嫌だったのか、千束がおちゃらけて強引に空気を変える。
全員で乗り込み、さて降りようかという時。
何かがエレベーターホールに投げられた。
「あ!俺のバッグ!」
「あ、おい一護!」
フキが俺を止めようとするが、流石にあれは回収しないと。
弾丸とか色々入ってるし、作らせた一点物だ。
それを拾い上げた時、ふと視界の端で何かが動いた。
それを認識した時には…エレベーターに向かって、アサルトライフルが乱射されていた。
「っ!」
「お兄ちゃん!」
それに一番最初に反応したのは、フキと千束。
駆け寄ろうとする千束を抑えながら、フキは防弾エアバックを展開する。
誰かの苦しむような声が聞こえた気がするが、銃声でほとんど聞こえない。
閉まるまでの数秒、しっかり撃ち込んだ人物…真島を睨みながら、俺は戦闘態勢を整えた。
「よォ」
「よぉ」
残り武装、特殊警棒、実弾マガジン2本、非殺傷弾マガジン3本。
さてさて、これで乗り切れるかな?