クラス代表決定戦当日。
3人がぞれぞれ2戦ずつ、計3試合が行われることになり、抽選の結果、対戦順は以下のようになった。
第1試合 織斑一夏 vs セシリア・オルコット
第2試合 織斑一夏 vs 北山翔
第3試合 北山翔 vs セシリア・オルコット
そして現在、翔は第3アリーナのピットで、美波の手を借りながらラファールの最終チェックをしており、翔と同じピット内に織斑も居るのだが……
ーside翔ー
「なぁ箒」
「何だ、一夏」
織斑の横には、幼なじみらしい篠ノ之がいた。
本来ピットには関係者以外立ち入り禁止だが、それを指摘する気はない。それを言ってしまえば、美波も関係者外ってことになるからな。
「俺さ、1週間前ISについて教えてくれって言ったよな?」
「ああ」
ほう、訓練機も借りずに何をしていたのかと思えば、ISの勉強をしていたわけか。
参考書を間違って捨てた、事前知識0なやつだったから、そこを先に補完するって考えは無しではない。
……昨日用事があって職員室に行った時、山田先生が「やっぱり北山さんの予想通りになっちゃいました~!!」って涙目だったが。
「俺、今日まで剣道しかやって無かった気がするんだが……」
「……」
「目・を・そ・ら・す・な」
ええー……ないわー……
確かにISは操縦者の身体能力や技術も無関係じゃないけど、そっちに全振りってどういうことだよ?
織斑に手配されるISって、どういうものかも知らされてないんだろ?それで近接装備に刀剣類が含まれてなかったらどうすんだ?というか、今気づいたけど、専用機まだ届いてないのか?マジで?
ふと視線をずらすと、美波も「まぁ織斑君だしー」って顔をしていた。ああそうか、「織斑だから」で全部片付くのか。
「織斑くーん! 来ましたよ! 織斑君の専用機!!」
そんなことを考えていると、山田先生と織斑先生がピットに入ってきた。
「織斑、大至急
「織斑君、こっちに来て下さい」
「は、はいっ!」
「それでだが……北山」
「はい」
「織斑機の準備に時間がかかる。なので予定を変更して、お前とオルコットの試合を先に始めたい」
まあ、そうなりますよね。
「美波」
「だいじょーぶ! すぐに動かせるよー」
美波からのVサインが返ってきた。
「――とのことなので、先に出ることについては了解しました」
「そうか」
「ただし」
「ん?」
「織斑機の準備が完了するまでの時間が稼げなくても、文句はなしでお願いします」
先に言質を取っとかないと、あとでグダグダ言われたくないからな。
「当たり前だ。お前は全力で戦えばそれでいい」
「分かりました――それでは」
ーside翔 outー
ーsideセシリアー
『間もなく第1試合を始めます』
(やっとですか……)
『尚、予定を変更して第1試合は北山翔対セシリア・オルコットになります』
「ふぇ!?」
て、てっきりあの織斑一夏と対戦すると思っていたせいで、く、口から変な声がでてしまいましたわ!
『両者、アリーナへ入場してください』
アナウンスに従って、ブルー・ティアーズを纏った状態でカタパルトから射出、アリーナに入場。
一瞬眩しさを感じると、反対側から北山さんも入場していました。
「あーっと、オルコット、聞こえてるか」
プライベート・チャネルから、北山さんの声が聞こえてきます。
「ええ、聞こえてますわ。まさか貴方と先に戦うことになるとは思いませんでしたが」
「織斑の専用機を用意してた連中が、なかなか時間にルーズだったようでな」
「あら、いけない方々ですわね」
軽い雑談が終わると、わたくしは改めて北山さんの機体を観察しました。
「やはり訓練機、ですか……」
「まぁな。だからって手加減いらないぞ」
「分かっておりますわ」
そうしてわたくしが
壮絶な撃ち合いが始まりました
ーsideセシリア outー
ーside千冬ー
「なんだよ、ぐるぐる回って撃ち合ってるだけじゃないか」
調整のために『白式』に乗ったままモニターを見ていた一夏が呑気なことを言っているが、私と山田君はそれどころではなかった。
ぐるぐる回って撃ち合う、何も知らなければそう見えるだろう。
だがあれは
互いに円軌道を描きながら射撃を行い、それを不定期な加速をすることで回避する、高度な機体制御が要求される代物だ。
代表候補生であるオルコットはともかく、1週間ラファールに乗っただけの北山が出来るものではない、はずなのだが……
「山田君」
「い、いいえ、入学試験の時にはまったく……それにあの時は、打鉄を使ってましたし……」
作業の手は止めていないものの、山田君の顔も気持ち青褪めている。
(あいつは一体、何者なんだ……?)
ーside千冬 outー
ーside翔ー
(やっぱり、こちらが押されてるか……)
射撃と回避を続けながら、俺は手詰まりを感じていた。
いくらラファールが機動性重視の機体とはいえ、未改修で第3世代機のブルー・ティアーズを相手にするのは荷が重い。
バイザーからの情報を見ると、ラファールの
しかも、これはまだ前哨戦だ。なぜならブルー・ティアーズには――
「流石ですわ、北山さん」
そう言って、オルコットは射撃と高速機動を止めた。
「手を抜いていたわけではありませんが、ここで奥の手を出させていただきます。お行きなさい、『ブルー・ティアーズ』!!」
オルコットから離れた4機のBT、レーザービットが俺の周りを囲む。
絶体絶命……本来なら。だがもし、事前に美波から聞いた情報が正しければ――
――バララララッ!
「そんな攻撃にあた――えっ!?」
やったことは単純。右手に
事前情報通り、オルコットは『自分が回避行動をしている間はビットを操作できない』!
「くっ! ですがまだっ!」
オルコットの方も、隠し玉だったであろう2機のミサイルポッドを展開して応戦する。
そしてビットを全て撃墜した時には、ブルー・ティアーズのSEは3割、ラファールは1割を切っていた。
「はぁ……はぁ……そろそろ、降参なさいますか?」
「降参、降参ねぇ……」
SEの残りは1撃圏内。その上、ビットを潰すために撃ちまくったから、装備のほぼ全てが弾切れ。
う~ん、これは勝ち目ないかもなぁ。けど、
「ちなみに、もしオルコットが俺の立場だったらどうする?」
その問いに、オルコットは一瞬虚を突かれたような顔をしたが、
「フフッ……SEが尽きるまで、戦うのみですわ」
「だよなぁ」
「なら、最後まで戦おうか!」
残っていた
――ドンッ!
「
ここまで使わずにとっておいた
そしてオルコットの装甲外部分を狙って
「さ、せませんわっ!」
咄嗟にライフルで庇われるが、そのライフルはオルコットの手から弾かれた。これで――
「まだ……っ! 『インターセプター』!」
オルコットの手にもショートブレードが展開される。
「うおぉぉぉぉぉ!!」
「はあぁぁぁぁぁ!!」
俺はオルコットの首を、オルコットは俺の胴体を切り裂くように得物を振り上げ、そして――
『両者、SEエンプティ。よってこの試合は引き分けとなります』
ーside翔 outー
う~む……一夏アンチものなのに、ただのバトルものになってしまった……
そして、翔がセシリアと引き分けられた理由については
・
・束のラボでの訓練
・これまで渡ってきた外史での戦闘経験
ということでひとつお願いします。