一夏のくせになまいきだ   作:シシカバブP

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一夏が本来受験する予定だった藍越学園って、学費が安くて就職率の高い以外の詳細が原作で書かれていないからあれですが、たぶんそこそこ優良校だと思うんですよね。
そんな学校を受験しようとするぐらいのオツムはあるはずなのに、どうしてIS学園に入ってからはあんなにPONなのか……


第9話 代表決定戦~vs 織斑一夏~

――第3アリーナ、観客席

 

第1試合を終えて、観戦していた1組の生徒は先ほどの試合内容について盛り上がっていた。

 

「まさか、オルコットさんと引き分けるなんてねぇ」

 

クラスの下馬評ではセシリアが圧勝だった。

それが蓋を開けてみれば、善戦どころかドローにまで持ち込んでいたのだ。驚かない方がおかしい。

 

「特に最後の瞬時加速(イグニッション・ブースト)、すごかったよねぇ!」

 

「あれって、普通2,3年生になってから習うんじゃなかったっけ?」

 

「そうなのっ!?」

 

「北山君すごいなー」

 

クラスメイト達が翔を賞賛する中、美波は腕を組んでうんうんと頷いていた。

 

(翔ちゃん、ラボの壁に何度も突っ込んだ甲斐があったねー)

 

翔は入学前の間、束のラボでISの操縦訓練をすると同時に、瞬時加速(イグニッション・ブースト)の練習もしていたのである。

無論、いくつもの世界を渡り歩いてきた翔とはいえ、いきなりうまくいくはずもなく、制御をしくじりラボの壁に激突した回数は1度や2度ではない。

 

「こうなって来ると、次の試合も楽しみだねー!」

 

「私は北山君が勝つと思うなぁ」

 

「私は織斑君ー」

 

彼女達の話題は、次の試合に移っていた。

 

「ところでナミママ、北山君がアリーナで練習してるのはよく見かけてたんだけど、織斑君って見かけたことないんだよねぇ。何か知ってる?」

 

「あ~……それはねー……」

 

美波は一瞬、言っていいのかどうか悩んだが

 

「試合前のピットにいた時に聞いたんだけどー……」

 

「「「「うんうん!」」」」

 

「織斑君って、いっつも箒ちゃんと一緒だったでしょー?」

 

「箒ちゃん……ああ、篠ノ之さんのことね」

 

「「「「それでそれで!?」」」」

 

「1週間、ずっと剣道ばっかりやってたんだってー……」

 

「「「「え゛……?」」」」

 

美波の話を聞いていた全員が絶句した。

 

 

ーside千冬ー

 

北山には驚かされたが、ともあれ、あいつが時間を稼いでくれたおかげで、一夏の白式は最適化(フィッティング)が完了した。

 

「織斑、準備は出来たな?」

 

「ああ」

 

そう返事を返す一夏の目には、闘志が宿っているように感じる。

先ほどの試合を見ていた時には反応が薄くてあれだったが、やる気になったようで――

 

「あんな卑怯なマネ、俺は許さねぇ!」

 

「は?」

 

卑怯? 何を言っているんだ?

 

『間もなく第2試合を始めます。両者、アリーナへ入場してください』

 

「行ってくるぜ、千冬姉! 俺があいつの間違いを正してやるっ!」

 

「ちょっと待て一夏――!」

 

どういうことか問いただす前に、一夏はピットから飛び出して行ってしまった――

 

ーside千冬 outー

 

 

ーside翔ー

 

相打ちになった俺とオルコットは、同じピットに引き上げて機体の修理と補給を行っていた。

ちなみに修理と補給は、整備科(2年以降に作られる、ISの開発や研究、整備に特化したクラス)志望の生徒がやってくれるらしい。すごく助かる。

 

「しょーちゃ~ん、修理と補給終わったよ~」

 

「はいよー」

 

だぼだぼの袖で手を振る布仏さんに、俺も手を振って合図する。

なぜか知らんが、初対面の時に「しょーちゃんって呼ぶね~」と突然宣言されたのだ。

そして肯定も否定もする前に居なくなってしまい、そのままずっとなのである。

というか布仏さん、整備科志望だったのか。確かにISを乗り回す姿は想像出来ないが……

 

 

『間もなく第2試合を始めます。両者、アリーナへ入場してください』

 

「行くとしますか」

 

「ご武運を、と言っておきますわ」

 

ラファールに乗り込んでいると、補給待ちのオルコットが声をかけてきた。

 

「なんだ、応援してくれるのか?」

 

「ええ。共に全力を尽くした仲です、それくらいはいたしますわ」

 

「そうか。なら、ありがたく受け取っておく」

 

 

 

と、オルコットとの会話を終えてアリーナに入場したら、目の前に西洋鎧のような、真っ白い機体に乗った織斑がいた。

どうやら、初期化(フォーマット)最適化(フィッティング)の時間はきっちり稼げたようだ。

 

そして試合開始のブザーが鳴ったと同時に――

 

 

 

 

 

「翔! 俺はお前みたいな卑怯者、絶対に許さねぇ!」

 

 

 

 

 

 

いきなり織斑がよく分からんこと言い出したんですが? しかもオープン・チャネルで。

 

先程まで歓声に沸いていたアリーナが、水を打ったようになった。そりゃそうだ。オープン・チャネルってことは、俺は当然、管制室やピット、観客席にも音声が送られてんだから。

えーっと、とりあえず俺もオープン・チャネルで……

 

「北山から管制室」

 

「はい。管制室山田です」

 

山田先生、調整が終わって移動してたのか。

 

「先ほどの試合で、俺はオルコットに対して何か卑怯と呼ばれるような行為や違反行為をしましたか?」

 

「いいえ、公式レギュレーションに準拠した、クリーンな戦いでしたよ」

 

との回答が返ってきた。

 

「ありがとうございます……で、織斑。お前は何をもって俺が卑怯だと?」

 

「何をだと!? 最後のあれは何なんだよ! オルコットさんの首を狙ったあれは!」

 

いや、何だも何も、相手の弱点を攻めるのは戦いの常識だろうが。過信しすぎるのも問題だが、絶対防御だってあるんだぞ?

 

「卑怯なマネしやがって! あれが男のやる事かよ! 女相手にそんなことして!」 

 

「なら、弱点にある部分なんか狙わず、ただただ装甲を狙ってろと?」

 

「そうだ!」

 

ほう……?

 

「……つまり、互いに全力を尽くして戦っていたオルコットに対して、手を抜くべきだったと?」

 

「そうだよ! 女は守るべきものだろ! 女相手に本気出してんじゃねーよ、男として恥ずかしくないのか!」

 

なるほど、男は女と戦うなら本気を出すべきじゃない、手加減して然るべきだと。言い換えれば『女には本気で戦う価値はない』と。

ああ、なんだろうな。今までで出会った人達を思い出してきたわ……

 

――為すべきことを為せ、と後進を導き、自らも為すべきことを為して散っていったとある世界での上官(伊隅大尉)

――父祖の地と、そこに住む民を守るため、その身を毒に冒されながらも、命を賭して曹魏の軍勢と戦い退けた孫呉の英雄(雪蓮)

――愛した男の魂を守るため、不死者となって250年もの間戦い続け、最後は輪廻に還っていった鋼の聖女(リアンヌ・サンドロット)

 

皆すごい人達だった。自分の使命や信念、誇りのために最後まで戦い抜いた、尊敬できる女性達(戦士)だった。

そんな女性達(戦士)を、『本気で戦う価値はない』と言うのか……

 

 

 

 

 

戦士の誇りを……矜持を踏みにじるか……っ!!

 

 

 

 

 

「もういい……それ以上(さえず)るな」

 

――ドンッ!

 

「なっ!」

 

瞬時加速(イグニッション・ブースト)で急接近した俺に、織斑が怯む。

その間左腕に展開するのは灰色の鱗殻(パイルバンカー)、通称『盾殺し(シールド・ピアース)』。

セシリアの機動力が相手では当てられないと使わなかったそれを――

 

――ドガンッ!ドガンッ!ドガンッ!ドガンッ!ドガンッ!ドガンッ!

 

「ぐあぁぁぁぁ!?」

 

織斑に向けて、装填された6発全て叩き込む――!

 

 

 

『白式、SEエンプティ。勝者、北山翔』

 

 

 

やっと勝ち星が付いたが、ただただ不完全燃焼感だけが残った――

 

ーside翔 outー




・全力を尽くして戦う:
セシリア⇔翔の好感度up(中)

・セシリアと引き分ける:
クラス女子→翔の好感度up(微小)

・剣道の練習しかしてない:
クラス女子→織斑の好感度down(微小)

・女相手に手加減しない:
織斑→翔の好感度down(大)

・女に本気を出す必要はない:
翔→織斑の好感度down(極大) 一時的に下限カンスト
クラス女子(一部除く)→織斑の好感度down(大)
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