(∩゚д゚)アーアーきこえなーい
クラス対抗戦当日。
本来であればもっと前から発表されるはずの対戦カードが、今年は当日になって発表となった。
第1試合 1組 vs 2組
第2試合 3組 vs 4組
初戦から専用機同士の対戦となり、学園生徒達だけでなく、各国の政府やIS委員会の関係者もが、どちらが勝つかという話に花を咲かせながらアリーナの観客席(貴賓席)に集まっていた。
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――第2アリーナ、ピット内
ーside翔ー
「しっかし、すごい人の数だなぁ」
代表決定戦の観客が基本1組だけだったから、今回は単純に4倍。それに加えて各国からも人員が来てるわけか。
「クラス対抗戦は学年別個人トーナメントに次いで注目されてますからね!」
俺の独り言に山田先生が合いの手を入れてくれた。
「しかも今年は、男性操縦者の北山君が出場しますから」
「つまり、俺は客寄せパンダですか?」
「え~っと……」
言葉を濁して目を逸らすくらいなら、正直に言ってくださいよ。却って傷つきますって……。
『間もなく第1試合を始めます。両者、アリーナへ入場してください』
なんて話をしてる間に、アナウンスが入った。
「それじゃあ北山君、頑張ってくださいね!」
「はい」
山田先生の応援に頷くと、専用機の待機状態を解除した。
胸元のドッグ・タグが光り出し、俺の全身を包み込む。
しばらくして光が収まると――
「それが、北山君の専用機……」
「行くぞ、『ホワイト・グリント』」
かつての愛機に模した姿になっていた。
ーside翔 outー
ーside鈴音ー
「
IS『
真っ白な全身に脚や肩の一部に黒色が見える、まるでアニメに出てくるロボットをサイズダウンしたかのような外見。
そして、大半のISにあるはずの
「今時全身装甲なんて、えらく時代遅れなものを使うのね、翔」
「そうかもな。まぁ、ロマン以外の目的もあるから期待しとけ」
「あっそ」
プライベート・チャネルで皮肉ると、翔からも反応が返ってきた。
全身装甲は第1世代機で主流だったけど、第2世代機以降SEの技術が発達するに従い廃れていった代物だ。装甲の重さ分、SEのコンデンサーを積んだ方が効率的ってわけね。
というか、今まで翔は
「ま、時代遅れのISだろうと、手加減する気はさらさら無いんだけどね」
「それはもう聞いた」
「それもそうね」
そんな掛け合いをしながら、あたしは
出てきたのは大型拳銃、しかも銃身下部にブレードのようなものが付いている。そんなものを2丁、両手に展開しているのだ。
「機体どころか、武器までロマンの塊なわけ?」
「そう言うなって」
「まぁいいわ。とりあえず……」
――試合開始のブザーが鳴った
「いっぱつ食らっときなさい!」
――ドォン!!
甲龍の特殊兵装・
さぁ、翔がダメージを受けて怯んだ隙に――
「ダメだろ鈴、不意打ちなら御託を並べる前に撃たんと」
「っ!」
龍咆が……当たってない? 避けられた!?
「鈴の性格からして、その青龍刀で開幕切り掛かって来ると思ってたんだが、砲撃戦が好みだったか」
翔があたしに右手の銃を向けて――
「なら、俺もそれに付き合うとしようか」
――バララララッ!!
――ガンガンガンッ!!
「なっ!」
咄嗟に前面に出した肩部装甲を銃弾が叩く音に、あたしは背筋が冷えるのを感じた。あの連射速度、拳銃じゃない! アサルトライフルの類だ!
「勘がいいな。装甲外を狙ったつもりだったんだが」
「……上、等じゃない!!」
双天牙月を握る両手に力がこもる。肩部左右の龍咆を拡散衝撃砲に切り替え――
「全力で……ぶっ潰すっ!」
一斉射でぶっぱなした。
ーside鈴音 outー
――第2アリーナ、観客席
「しょーちゃん、相変わらず躱すのが上手いね~」
「ええ。わたくしとの時も、第2世代機とは思えない回避を見せておりましたから」
「専用機になって、さらに磨きがかかってるように感じるよ」
開幕の衝撃砲を躱した翔を見て、観客席は沸いていた。
「でも北山君、よく目に見えない砲撃を躱せるよね」
「ナミママ、その辺どうなの?」
「えー、私解説役じゃないんだけどなー」
そう言いながらも、美波は満更でもないようで
「翔ちゃん、ハイパーセンサーで空気の流れを見てるんじゃないかなー」
「空気?」
「あれって空気を圧縮して砲身とかを作ってると思うんだー。だから、空気の流れを見ていれば……」
「砲身の向きとかが分かる?」
「たぶんねー。砲身が見えても、それを躱せるかは別問題だけどー」
「「「「そりゃそうだ」」」」
美波の解説に、周りが一斉に頷く。
「でも、よく全身装甲であんな高速機動ができるよねぇ」
「そうだねー」
美波は相打ちを打つが、心では別のことを思っていた。
(あれで翔ちゃん、まだ全力機動してないんだけどねー)
そう、翔のホワイト・グリントは全力機動をしていないし、翔も極力しないようにしている。
なぜなら、全力機動すると
7Gと言えば、戦闘機パイロットが
しかも、PICを最大稼働させてそれである。おいそれと全力を出すわけにはいかない。
「あっ、なんか近接戦に変わったみたいだよ!」
「ホントだ!」
衝撃砲が当たらないことに業を煮やしたのか、鈴音が青龍刀で翔に切り掛かっていくところだった。
観客が試合に熱中する中、美波だけが時計の針を気にしていた。
(そろそろかなー……?)
観客席の中で唯一、"これから何が起こるのか"を知っている人間だったから――
ーーーーーーーーーーーーー
ーside翔ー
「そこぉ!」
――カァンッ! ガキィィンッ!
「くっ……やっぱ鈴は接近戦の方が強いか」
「まだまだいくわよっ!」
戦いは龍咆と
「はっ! はっ!」
息をつかせぬ連撃に、時に受け流し、時に躱して対処していく。
ホワイト・グリントのSEはまだまだ残ってるが、むしろ俺の体力の方が切れないか心配になってくる。
それに対して、甲龍のSEは被弾数の割に5割近く残ってるし、鈴自身はまだまだ体力が有り余っているようだ。このフィジカルおばけめ。
「ああもう! いい加減当たりなさいよ!」
「無茶言うな……」
「それにアンタ、まだその銃しか出してないじゃない! それしか無いわけじゃないんでしょ!?」
「そりゃあ、まあ」
MARVE以外の武器も
「……すまん、まともに使えそうなのこれだけっぽいわ」
「はぁ!?」
うん、鈴が呆れるもの分かる。でもレーザーブレード以外、こんなところで使えんよ!
束さん! なんでこんな
一昨日の俺! 束さんから返してもらった時に確認しとけよ! 04-MARVE(銃剣仕様)が入ってることに浮かれて忘れてたわチクショウめぇ!
「はぁ……いいわ。とにかく、まだ勝負は付いてないんだから――」
――バリィィィィィンッ!
「な、なにっ!?」
驚きながら轟音の発生源の方を向く鈴に倣うように、俺も上を向いた。
アリーナの周囲を覆っていたバリアに、ポッカリ穴が開いていた。
――チュィィィンッ!
「「っ!」」
咄嗟に俺と鈴が後退した正面に、赤い光が降り注ぐ。
その光に真下の地面が焼かれ、一部が高熱でガラス化する。
「ビーム兵器、ですって……?」
そしてバリアの穴を通り、こっちに向かって来たのは――
「なんだって言うのよ……!」
(とうとう来たか……!)
一昨日SRCの地下で見た、試作型無人IS『ゴーレムⅠ』、
ーside翔 outー
ホワイト・グリント:
翔がかつて搭乗していたネクスト機。
『Unknown』(=ラインアークでORCAに倒された人)とは別人。という設定。
ところで04-MARVEやAR-O700の下部に付いてるブレード、初見だと絶対銃剣と勘違いしそう。
……自分もあのOPに踊らされた1人でした。