一夏のくせになまいきだ   作:シシカバブP

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一夏やらかしポイント



第15話 招かれざる咎人~帳尻合わせの対価~

突然現れた正体不明のISに、観客席は騒然となっていた。

そしてそれは、管制室も同様であった。

 

――第2アリーナ、管制室

 

ーside千冬ー

 

「どうなっている!? 状況の報告を!!」

 

「アリーナ上空のバリア消失!」

 

「レーダーには何の反応がありませんでした! 恐らくステルスかと!」

 

学園の警戒網を突破するほどのステルス性能だと……!?

いや、それよりも生徒と来客の安全確保が先だ!

 

「アリーナ全域に避難警報! それと教師部隊に緊急出動(スクランブル)を掛けろ!!」

 

「了解! 第2アリーナ全域に避難けいほ……っ! 警報が鳴りません!」

 

「なんだと!?」

 

「それだけではありません! 観客席の扉がロックされた上、格納庫の隔壁も閉鎖! こちらのアクセスを受け付けません!」

 

(学生の避難も、教師部隊の出撃も封じられたのか……!)

 

「こちら管制室織斑だ。北山、凰、応答しろ」

 

私はアリーナ内にいる北山と凰をコールした。

 

『凰です。聞こえてます』

 

『北山です。こちらは現在謎のISと睨み合ってる状態です。そちらの状況は?』

 

「……正直芳しくない。現在何者かのハッキングを受けていて、教師部隊によるそちらの救援はおろか、観客席にいる生徒の避難すら出来ない状態だ」

 

『最悪な状態なのは分かりました。しばらくは俺と凰だけでどうにかしろってことですね?』

 

「すまない……。こちらでも、他の教師陣や3年生達にハッキングの解除を急がせて『Unknowmが動き出しました!』っ!」

 

くそっ!最悪だ!

 

「北山!凰!交戦を許可する! 生き残ることを最優先に、教師部隊の到着まで持ちこたえてくれ!」

 

『『了解!』』

 

通信が切れ、私はマイクを置いた。

 

「織斑先生……」

 

「山田君、手を止めている暇はない。一刻も早くハッキングを解除するんだ」

 

「はい!」

 

学園のセキュリティを抜くほどのハッキング……お前なのか、束……

 

ーside千冬 outー

 

 

ーside翔ー

 

「というわけだ。悪いが、襲撃された時にアリーナにいた自分の不幸を呪ってくれ」

 

「何言ってんのよ。それはお互い様でしょ」

 

そうこう言ってるうちに、3機のうち2機が俺達に向かって突っ込んでくる。

 

「1機は任せて構わないな?」

 

「当たり前でしょ? 先に倒して助けに行ってあげるわよ!」

 

「そりゃどうも!」

 

俺と鈴が左右に分かれると、それを追いかけるように向こうも2手に分かれた。

 

「さて、頑張って(盛大なマッチポンプの)相手しますか」

 

謎のIS(ゴーレム)と向かい合ったところで、俺は展開済みのMARVEの下部ブレードで切り掛かった。

 

――カキィィンッ!

 

固った! 首部分に当たったはずなのに、めちゃくちゃいい音したんですけど!?

 

「まぁそれならそれで、やりようはあるんだけどな」

 

右手をMARVEから02-DRAGONSLAYER(レーザーブレード)切り替え(ラピッドスイッチ)。形成したレーザー刃で再度切り掛かる!

 

――ズバンッ!

 

袈裟懸けに切られた敵の右腕部と頭部が宙を舞った。

然しものゴーレムも、高出力のレーザー刃は防ぎ切れないようだ。

 

「翔!? アンタ――!」

 

「鈴、こいつら無人機だ」

 

「無人機!? 噓でしょ!?」

 

「嘘じゃない」

 

そう言って、左手のMARVEで地面に落ちた部位を指した。

 

「……ホントだ、血が出てない」

 

こういう時に、ハイパーセンサーって便利だな。ここからでも地表に落ちたものがよく見える。

 

さて、鈴の方を援護するか。

 

俺は再度レーザー刃を作ると、鈴と対峙していたゴーレムを背後から切り捨てる。これで2機目か。

 

「誰も助けてなんて言ってないんだけど?」

 

「そんなこと言ってないで、さっさと最後を倒すぞ」

 

「分かってる――って、翔、アンタ――」

 

鈴が指さす方を見ると、レーザー刃がどんどん短くなっていって――消えた。

 

「エネルギー切れ!?」

 

「ちょっと! まだ1機残ってるのよ!?」

 

くそっ! てっきりSE依存の武器だと思い込んでたけど、武器固有のエネルギー使うのか! 装備の確認を怠ったツケが、こんなところで回ってくるなんて……!

 

と思ってたら、最後の1機がおもむろに腕を上げた。見えたのは、真っ黒い腕から生えている、砲口――

 

「まっず!」

 

――チュィィィンッ!

 

次の瞬間、高出力ビームがホワイト・グリントの右肩装甲を掠めた。

さらに、いくらかのSEを削ったビームはほぼ減衰なしで、観客席のシールドバリアに直撃する。

 

――パシィィィンッ!

 

バリアは……良かった、突破されてない。だけど……

 

「翔! 結構まずい状態かも!」

 

「ああ……今のビームがバリアに当たったことで、生徒達がパニックを起こし始めた」

 

眼前には、我先にと出入り口に殺到し、開かない扉を叩く生徒達が見えていた……

 

ーside翔 outー

 

 

ーside箒ー

 

「一夏! おい聞こえないのか、一夏!」

 

周りがパニックを起こしている中、席に座ったままの一夏を揺するが反応が無い。

 

「分かったよ、箒。分かったんだ……」

 

「一夏?」

 

「白式が、どうして千冬姉と同じ零落白夜を使えるのか……」

 

そう呟くと一夏は立ち上がり、出入口に殺到するクラスメイト達とは反対の、最前列の方に歩いて行く。

 

「そうさ……こんな時のためにあったんだ……」

 

「一夏……何を言っている……?」

 

「鈴や翔じゃあ、今戦ってるアイツを倒せない。アイツを倒すには、一撃必殺の強い力が必要なんだ……」

 

「いち、か……?」

 

「そうだ……!零落白夜を持った俺が!」

 

最前列まで来た一夏は、右腕をかざすと

 

「来い、白式!」

 

白式を纏い、雪片弍型を抜いて――

 

「っ! 止せ一夏! 止すん――!」

 

気付いて声を上げた時には、すでに手遅れだった。

 

バキィィィィィンッ!!

 

零落白夜で観客席のシールドバリアを、()()()()()()()()()()を斬り裂いていた――

 

「俺がアイツを倒す!そうだ!俺が倒して、みんなを守るんだ!」

 

そのまま一夏は上空へ、謎のISに向かって舞い上がっていった。

 

「なぜだ……なぜなんだ、一夏……」

 

残されたのは、自分達を守っていたものを失い、パニックが頂点に達したクラスメイト達。

そして、唖然とした顔で立ち尽くすしかない私だけだった……

 

ーside箒 outー

 

 

ーside セシリアー

 

(なんて事をしてくれましたの……っ!!)

 

美波さんと一緒に、パニックの中で怪我をした人の手当てをしていたわたくしは、心の中で思わず舌打ちしてしまいました。

敵の攻撃で破られたのならまだしも、自分からバリアを切り裂くなんて!

しかもここには、自衛できない方々が大勢いるんですのよ!?

 

「セシリアちゃんー。最悪、出入り口の扉を破壊してでもみんなを逃がすべきだと思うな―」

 

「ええ、確かにそうですわね……」

 

器物損壊だとか、もはやそんなことを言ってられる場合じゃないですわ。

 

「分かりました。ブルー・ティアーズの武装を一点集中すれば、扉を破れると思いますわ」

 

そう言って、ブルー・ティアーズを展開しようとした時、

 

 

「きゃあぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 

クラスメイト達の悲鳴に顔を上げて見えたのは、

 

ただ闇雲に突撃をかける白いIS(白式)に対して攻撃を加える謎のISと、

 

()()()()()()()()()()()()()回避しようとして失敗し、攻撃が掠って墜落していくお馬鹿さん(織斑一夏)と、

 

 

迫りくる、ビームの赤い光――

 

 

「……っ!」

 

その瞬間、思わず目をつぶってしまいました。

ですが、待てどもビームの衝撃来ず、ゆっくり目を開けると

 

「あ……ああ……」

 

見えたのです。

謎のISとは違う、先ほどの白とも違う、白い閃光(ホワイト・グリント)の背部が――

 

ーside セシリア outー

 

 

ーside 翔ー

 

観客席にビームが迫った時、俺は半ば無意識にホワイト・グリントを全力機動で動かしていた。

 

「ぐッ……!」

 

全身装甲を耐Gスーツ代わりにしても、7Gもの圧力がかかる全力加速。

だがそのおかげで、何とかビームと観客席の間に割り込むことが出来た。

 

(盾になりそうな装備はない……これで何とかするしか……!)

 

展開したのはEC-O307AB(レーザーキャノン)。だがチャージするような時間はない。

だから、両肩3門ずつ6本の砲身を無理やり前面に展開して――!

 

「持ちこたえろぉぉぉぉ!」

 

 

ミシミシミシッ!!

ジジジジジジジ――ッ!!

 

 

ビームと接触し、砲身が圧壊する音と、高熱で溶解する異臭が立ち込めてくる――!

 

そして6本の砲身が砕け、咄嗟に胴体を隠すように構えたMARVEも破壊され――

 

 

SEを残り2割まで削ったところで止まった。

 

 

「はぁ……はぁ……」

 

 

「翔ちゃん!?」「翔さんっ!」

 

後ろから美波とセシリアの声が聞こえる。良かった、無事だったか……。

 

何とか防いだ……けど、次が来たら無理だな……。

MARVEを始め、装備のほとんどが全損やエネルギー切れで使えない状態だ。

 

……出来れば最後まで使いたくなかったが、そうも言ってられなくなったか。

 

(特攻紛いのマネだしなぁ……あとで絶対2人に泣かれそう……けど、こうなったら――!)

 

「覚悟を決めてやってやるよぉ!」

 

――ドンッ!

 

次弾を撃たれるより先に、瞬時加速(イグニッション・ブースト)でゴーレムに張り付く! そして羽交い絞めにした状態で上空のバリアの穴まで上昇して――

 

(残存SEを圧縮――)

 

同時に脚部、胸部、および肩部の整波装置を展開。頭部カメラアイの防護シャッターを閉鎖。

 

(圧縮エネルギー、臨界に到達――)

 

 

 

 

 

「――ぶちかませぇぇぇぇぇぇ!!」

 

 

 

 

 

防御用のSEを圧縮・解放することで、周囲の全てを閃光と衝撃で薙ぎ払う、AA(アサルト・アーマー)

最後のゴーレムが、その光と轟音の中に消えていくのを、ハイパーセンサーで確認して

 

 

 

 

 

 

 

俺の意識は落ちた。

 

ーside 翔 outー




バリアを破壊してみんなを危険に晒す:
女子生徒達→織斑の好感度down(特大)
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