一夏のくせになまいきだ   作:シシカバブP

22 / 37
第19話 GW~SRCへ行こう~

――スター・ラビット・カンパニー(SRC)地下、研究開発室

 

ーsideセシリアー

 

「やあやあ、みんなよく来たねー!」

 

GW初日、わたくしと鈴さんは翔さんと美波さんに同伴する形でSRC、いえ篠ノ之博士の元を訪れました。

 

「し、篠ノ之博士!? IS開発者の!?」

 

「そだよー」

 

目を見開いて驚く鈴さんを、博士がニヤニヤした顔で見ています。

恐らく、わたくしが初めてお会いになった時も、こんな感じだったのでしょう。

 

そして開発室の機材を借りたいと、翔さんと美波さんが少し席を外した時でした。

 

「束さんも、2人には一度会わなきゃと思ってたんだよね」

 

「へ?」

 

驚いていた鈴さんの両肩に博士の手が乗り、

 

「お前もナミママの子なんだってねぇ……?」

 

「ひぃ!」

 

「そうなると、束さんとお前は"姉妹"ってことになるんだけど……」

 

博士、目が座ってますわ……。

 

「困ったなぁ……束さんの妹は、箒ちゃんだけで十分なんだよ……」

 

「あ、あの……」

 

「あん?」

 

いえですから博士、柄が悪いですわ……。

 

「だからさぁ……ナミママの子になるの、諦めてくんないかなぁ……?」

 

「そ、その……」

 

「なんだよ」

 

 

「義姉妹ってことじゃダメですか!?」

 

 

「「は?」」

 

り、鈴さん? 何をおっしゃっていますの?

 

「あ、あたしは、ナミママから離れる気、ありません! だ、だから、それで何とか……」

 

「……」

 

博士は鈴さんを睨みながらも、腕を組んで考えておりましたが……

 

 

(´∀`)b

 

 

許された―!?

 

「つまりだ。実妹は箒ちゃんで、義妹はお前ってことでいいんだ?」

 

「は、はい……先にナミママの子になったのは、博士ですし……」

 

ああ、鈴さん緊張と恐怖で肩がビクンビクンしてますわ。

 

「……お前、名前は?」

 

「ふぁ、凰鈴音です」

 

「……よし、今から君はりっちゃんだ!」

 

言うなり、博士は鈴さんをハグして――ハグですの!?

 

「え、ええええ!?」

 

「束さんの義妹になったんだ。つまりは身内なわけだね」

 

「は、博士……?」

 

「NON!義理とはいえ姉妹なんだから、名前か『お姉ちゃん』って呼ぶの!」

 

「ええ!? ええっと……束姉?」

 

「いっくんとちーちゃんみたいだけど……まぁよし!」

 

美波さんから聞いておりましたが、身内とそれ以外の差が激しいですわね。

 

そして博士は、鈴さんをハグから解放すると、こちらに向き直りました。

 

「それで、セシリアだったっけ?」

 

「え、ええ。先日はきちんとした挨拶も出来ませんで――」

 

「ああ、そういうのはいいよ」

 

博士は手を振って、話を遮りました。

 

「束さんが知りたいのは、『君はショウママの何なのか』ってこと」

 

「翔さんの?」

 

「うん」

 

「わたくしは……」

 

色々思い浮かびましたが、どれも博士の聞きたいことではないでしょう。だから――

 

「わたくしは、翔さんの"戦友"ですわ」

 

「戦友?」

 

博士が首を傾げました。

 

「『わたくしは翔さんの恋人ですわー!』みたいなこと言い出すと思ってたよ」

 

「本当はそう言えれば良かったのですが……今のわたくしは()()なりたくて、戦ってますのよ」

 

「戦うぅ?」

 

「ええ。翔さんはおっしゃいました。『互いに切磋琢磨する相手、戦友だ』と」

 

「……」

 

「だからまだ、わたくしを異性として見ることはできない、とも」

 

「それって、振られたってことじゃん」

 

「いいえ」

 

「え?」

 

わたくしがあっさり否定したからでしょうか、今度は博士が先ほどの鈴さんのように目を見開いておりますわ。

 

「翔さんは"まだ"とおっしゃいました。ですからわたくし、諦めないことにいたしましたの」

 

「……」

 

「今わたくしは、翔さんに振り向いていただくために、真剣勝負の真っ最中ですの」

 

「……はっ」

 

 

「あはははははははっ!!」

 

 

「いやぁ、まさかこの束さんが、そんな予想の斜め上なこと言われちゃうとはねぇ!」

 

「お気に召しまして?」

 

「いいよ、最っ高! ……でもね、これだけは言っておくよ」

 

大笑いしていた博士は、唐突に真顔になると、凍えるような瞳で

 

「ショウママもナミママ同様、束さんの"理解者"で、大切な存在だ。悲しませるような真似したら……分かってるね?」

 

「あり得ませんわ。わたくしにとっても翔さんは"大切な存在"ですので」

 

それは自信をもって……あらゆるものを賭けてでも言えますわ。

 

「言い切ったよ……まぁいいや、りっちゃんともども、仲良くしようか」

 

怯まず答えたわたくしに対して、博士はわたくしに右手を差し出しました。

 

「ええ、よろしくお願いしますわ、篠ノ之博士……いいえ、束さん」

 

ーsideセシリア outー

 

 

ーside美波ー

 

「やっぱりデュノア社の状況は切迫してたねー」

 

「そうだな……」

 

ここ(SRC)の機材を借りてデュノア社の情報を探して(ハッキングして)みたけど、かなり切羽詰まってたよー。

第3世代機の開発に出遅れたせいで、EUの次世代機選定計画(イグニッション・プラン)に参加できず、フランス政府からも援助金の打ち切りを予告されてるんだよねー。

そこから社長派と副社長派の派閥争いに発展、妾の娘であるシャルロットちゃんの暗殺計画を知った社長が、彼女を逃がそうとIS学園への編入を画策。

ところが、それを知った副社長派が女権団経由でIS委員会に横やりを入れて、男装をさせてスパイを命じたとー。

成功すれば良し、失敗してもIS学園への編入を進めたのは社長だからってことにして、罪を全部被せちゃえって寸法らしいねー。ドロドロだ―。

 

「それで翔ちゃん、これからどうするの?」

 

「何も」

 

「あれ?」

 

助けないのー?

 

「とりあえずは様子見だ。あとはデュノアがどう動くか次第だな」

 

「白馬の王子様になるチャンスだよー?」

 

原作通りなら、彼女はまさしく、白馬の王子様を待つお姫様だしねー。

 

「そんなものになる気はない」

 

「セシリアちゃんの王子様になるのが先だもんねー」

 

「そういうのはいいから。それにな……」

 

 

 

 

「自分の命運がかかってるのに、助けてくれる王子様をただ待つような、自分の足で歩く(自ら戦う)ことをやめた奴に、その先を生きる資格はない」

 

 

 

 

「……そだねー」

 

私達は神様じゃないからねー。(一応神の眷属(ロキちゃんの部下)扱いだけど)

『助けて』と声を上げず、手を伸ばしもしない子は、助けられないかなー。

それでも、出来る限りは助けたいなー。

 

 

 

 

「お待たせ――って、なんぞ……?」

 

先に部屋に入った翔ちゃんが怪訝そうな顔した。私も中を覗くと

 

「りっちゃ~~ん!!」

 

「束姉~~!!」

 

束ちゃんと鈴ちゃんがハグしあってて、それを虚無顔で眺めてるセシリアちゃん。シュールだねー。

 

「それでセシリア、どうしてこうなった?」

 

「一から説明いたしますわね……」

 

虚無顔から疲れ顔にクラスチェンジしたセシリアちゃんに、私達が席を外した後のことを聞いた。

束ちゃんと鈴ちゃんで義姉妹かー。桃園の誓いかなー?

 

ーside美波 outー

 

 

ーside翔ー

 

「束さん、ホワイト・グリントの修理と一緒に、お願いしたいことがあります」

 

「ん? 何かな~?」

 

「武装です。蹂躙兵器ばっかりで対人装備が少なすぎです。おかげでクラス対抗戦は、MARVEだけで鈴とやり合う羽目になりましたよ」

 

「ええ~、いいと思ったんだけどなぁ、天使砲」

 

天使砲って……確かに両肩に展開したら、翼っぽく見えるけど……。

 

「とにかく、近接武器とライフル系が欲しいです」

 

「む~、分かったよぉ。拡張領域(バススロット)にはまだ空きがあるはずだから、出来上がったら詰めておくね」

 

「頼みます」

 

いやホント、頼みますよ……。

 

「それと、1つ気になったことがあるんですけど」

 

「なに~?」

 

「織斑のIS、あれって……」

 

「零落白夜、だね?」

 

束さんは困ったような顔をしながら、頭を掻きつつ椅子に座った。

 

「正直、束さんも分からないんだよねぇ」

 

「織斑の白式って、束さんが用意したんじゃないんですか? 紅椿のプロトタイプとして」

 

原作では、束さんが倉持技研にあったものを弄ったって聞いてたけど。

 

「束さんが? ないない! 3月まではショウママとナミママの専用機作ってたし、4月からは会社建てた後ゴー君作ってたんだもん。そんな暇ないよ」

 

あ……そう言われればそうか。

 

「そもそもあれ(零落白夜)は、ちーちゃんの単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)なはずだし」

 

「ましてや、二次移行(セカンドシフト)していない機体で使えるはずもない、ですか」

 

「そうなんだよねぇ……。ショウママ、何か推測とかある?」

 

「そうですね……突拍子もないものですが」

 

「それは?」

 

「束さん、ちょっと……」

 

「え?」

 

推測を話す前に、束さんに顔を近づける。

 

「ちょ、ちょっとショウママ? 嬉しいけどこんなところで~」

 

 

 

「プロジェクト、モザイカ」

 

 

 

「……っ!?」

 

束さんの顔が、驚愕に染まる。

 

()()()()なら、何があってもおかしくないでしょう」

 

プロジェクト・モザイカ(織斑計画)。遺伝子操作により、究極の人類を人工的に作ろうとした、狂気の計画。あの織斑姉弟はその成功体だ。

どんな遺伝子の弄り方をしたかは分からないが、もしかしたら、通常の姉弟以上の一致率の可能性だってある。ISが『同一個体』と誤認するほどの。

 

「その計画のこと、箒ちゃんには……」

 

「言うわけないでしょう。恐らく学園内で知ってるのは俺と美波、あとは当事者の織斑先生だけだと思いますよ」

 

「そっか……」

 

気が抜けたのか、束さんは座っていた椅子にもたれ掛かっていたが、

 

「あ~、束さんでも結構心が疲れたから、ナミママに癒してもらお~って、りっちゃん! ナミママの右腕にべったりだっこちゃんとかうらやまけしからん!」

 

「束姉、まだ左腕が空いてるよ?」

 

「いやっふぅぅぅぅ!」

 

すぐに立ち上がると、美波に向かって突撃していった。

やれやれ……。

 

ーside翔 outー




束さんに新しい(義)妹が出来ましたー。

当たり前ですが、一夏がIS(白式)に乗れる理由は原作とは異なります。というか原作でも明言されてないはず。(12巻時点では)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。