一夏のくせになまいきだ   作:シシカバブP

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第21話 金と銀

――第2アリーナ

 

「来月に学年別トーナメントが開催される。これは諸君の現在の実力を見るためのもので、原則全員参加だ。よって、今日から実技の授業は実戦を想定した戦闘訓練を行う。訓練機とはいえ、ISである事実は変わらない。事故を起こさぬよう気を付けろ!」

 

「「「「はいっ!」」」」

 

「まず最初に、模擬戦を見学して貰う。凰とオルコット、前に出ろ」

 

千冬に名指しされ、並んでいた列から鈴音とセシリアが前に出る。

 

「織斑先生、わたくしと鈴さんで戦えばいいんですの?」

 

「いいや。対戦相手は───来たぞ」

 

千冬が視線の先を生徒達も追う。すると、こちらに向かって来るISの姿があった。

そのISは空中で急減速すると千冬の横、鈴音とセシリアの前で着地した。

 

「「や、山田先生!?」」

 

まさかの人物に、鈴音とセシリアが声をハモらせて驚く。

 

「凰、オルコット、お前達の相手は山田先生だ」

 

「分かりました。どちらが先にやりますか?」

 

「ああ、勘違いするな。お前達と山田先生、2対1の模擬戦だ」

 

その言葉に、2人が不満そうな顔をした。

 

「それはちょっと……」

 

「先生、いくら何でもそれは……」

 

いくら現役の学園教師とはいえ、代表候補生2人を相手取ることが可能なのだろうか。鈴音とセシリアの顔は、そう書かれているようだった。

 

「安心しろ。今のお前達ならすぐに負ける」

 

「「ほう……」」

 

千冬のその言葉には、2人も黙ってはいられなかった。

 

「そんな風に言われちゃあ」

 

「ええ、引き下がる訳には行きませんわね」

 

お互いを見て頷くと、2人は甲龍とブルー・ティアーズを展開する。

 

「では……始め!」

 

千冬の合図で、模擬戦が始まった。

 

 

ーside翔ー

 

やっぱりまーやん(山田先生)には勝てなかったよ……。

 

前衛の鈴に、後衛のセシリア。うまい具合に役割分担ができていたんだが、山田先生が一枚上手だった。

射撃で鈴をうまく誘導し、セシリアが気付いた時には、フレンドリーファイアを()()()()()()()

それによって甲龍はSE切れ。残ったブルー・ティアーズも狩られてしまった。

それでも、山田先生にもいくつか有効打を与えていたから、惨敗にはならなくて良かった良かった。ボロ負けしてたら慰めるのが大変だった。

 

「これで皆もIS学園教師の実力が分かっただろう。以後は敬意を持って接するように」

 

そう締めくくると、織斑先生は手を叩き、

 

「では、実習を始める……その前に、織斑、前に出ろ」

 

「は、はい」

 

織斑が織斑先生の前に出る。

 

「お前にこれを返しておく」

 

そう言って織斑先生が懐から取り出したのは白い腕輪。

それって白式? 懲罰明けたらさっそく返すの? 大丈夫なん?

 

「俺の白式!」

 

「いいか、本来ならお前に白式を返すのはまだ先だったが、『データ取りと自衛の為にも専用機は必要』という学園の判断で今回返すことになった。前回の様なマネは許さんからな」

 

「分かったぜ千冬姉!」

 

――スパーンッ!!

 

「織斑先生だ」

 

あかん、これ全然分かってないやつだ。

織斑先生、めっちゃ苦虫嚙み潰したような顔してるし。

 

「さて、改めて実習を始めるが、まず最初に班を作る。専用機持ちは全員前に出ろ」

 

そう言われて、俺達専用機持ちが前に出た。

俺、美波、織斑、セシリア、鈴、そしてデュノアとボーデヴィッヒ。7人もいるのか……。

 

「実習では、お前達が班のリーダーになる。7人の班を作るので、出席番号順にリーダーの前に並べ」

 

織斑先生の指示に従いみんなが動き始め、班が出来上がった。

俺の班は……相川さんと鏡さん、それに布仏さんか。

他の班はというと、デュノアの班になった娘は大喜び。

鈴とセシリアの班は、先ほどの模擬戦で善戦していたためか、そこそこ賑やか。

ボーデヴィッヒ班は、班員が話しかけても「ああ」とか「そうか」みたいな反応しか返って来ず、すごく取っ付きにくそうだった。

織斑の班に至っては、ほぼお通夜状態だ。奴自体が腫れ物のような扱いで、微妙な空気が流れていた。

 

この後、各班に1機ISが支給され(リーダーが専用機に乗って運び)、それを使って起動から歩行、停止までの一連の動きを1人ずつやることになった。

途中、ISを立ったまま停止させて、次の人が乗れなくなるアクシデントがあったが、何とか全員が時間内に終わったようだった。

ちなみに、一番早く終わったのは織斑班だった。そりゃ、和気藹々とした会話もなく、さっさと解散したくてもくもくとやってたらそうなるわな。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

授業が終わり、訓練機を片付けた後、俺、美波、セシリア、鈴の4人で学食に来たわけだが……

 

「相席いいか?」

 

「おー、ラウラちゃーん」

 

そう、まさか銀髪の方からこっちに来るとは思わなかった。

 

「だからちゃん付けはやめろと……いや、もういい」

 

どうやら何度も言ったらしいが、残念だが諦めてくれ。

 

「えっと……」

 

「ああ、自己紹介はいらん。この学園に来る際に、専用機持ちの情報は調査済みだ」

 

 

 

「それでラウラ、聞いてもいいか?」

 

とりあえず、ラウラ(話し合った結果、お互い呼び捨てにすることに決まった)には聞いておきたいことがある。

 

「なんだ?」

 

「お前がここ(IS学園)に来た理由、織斑の情報収集が目的じゃないのか?」

 

「知らん」

 

「は?」

 

知らんって……

 

「私は軍司令部から、IS学園へ行くように指令を受けただけだ。その目的までは知らされていない」

 

「『need to knowの原則』、というわけですか……」

 

「そういうことだ。私は指示に従えばいい。あとは軍の上層部が判断するだろう」

 

なるほどな。

 

「それにな……」

 

ラウラの視線を追うと、そこには織斑とデュノアがいた。正確には、デュノアにあれこれと話しかける織斑と、それを苦笑いで聞いているデュノアが。

 

()()の情報を持って帰っても、何の価値もないと思うがな」

 

「し、辛辣~……まぁ否定しないけど」

 

鈴、苦笑いはするが否定はしないのな。

 

「むしろ、私はお前の情報の方が有用ではないかと思っている」

 

「俺?」

 

「ああ、日本に来る前に調べた。入学して1週間でイギリスの代表候補生(セシリア)と引き分けたのは、賞賛に値する」

 

「お、おう……ありがとう」

 

「そうですわ、翔さんはすごいんですのよ」

 

「そうだよー」

 

「まぁ確かに、翔のIS操縦技術は大したものよね」

 

褒められるのは嬉しんだが、もうちょい人のいないところでお願いできないか……? 恥ずい。

 

「というわけで、しばらくお前のことを観察させてもらうぞ」

 

そう言って、ラウラはニヤリと笑った。

 

う~む……なんか小さい織斑先生みたいだと感じてしまった。

 

ーside翔 outー

 

ーsideシャルルー

 

放課後。山田先生に寮の鍵をもらった僕は、自分の部屋となる1025号室にいた。

僕が女だってバレてないみたいで安心したよ……。

 

この学園では生徒は寮暮らしで、他の生徒と相部屋になるらしい。

僕のルームメイトは――

 

「改めてよろしくな、シャルル」

 

「う、うん。よろしく、織斑君」

 

そう、1人目の男性操縦者である織斑君だった。

ある意味、僕の目的のためには都合が良かったといえるんだけど……

 

「シャルル、晩飯食いに行こうぜ」

 

「あ、先に荷物を片付けたいから、先に行っててよ」

 

「そうか? 分かった」

 

そう言って、織斑君は部屋を出て行った。

 

「はぁ……」

 

織斑君が部屋から離れたのを確認すると、僕はため息をついた。

 

実家のデュノア社から言われたのは、『男性操縦者・織斑一夏と、その使用機体のデータを盗んでくること』。

そのために、僕を男と偽ってIS学園に送り込んだ。

本当は、こんなことしたくない。けど、僕にはどうすることも……。

 

「そういえば……」

 

言われたのは織斑君だけだけど、もう1人、男性操縦者がいたっけ。確か名前は……

 

「北山、翔……」

 

ーsideシャルル outー




山田先生相手に善戦:
クラスメイト→セシリアの好感度up(微小)
クラスメイト→鈴音の好感度up(微小)
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