――第2アリーナ
「来月に学年別トーナメントが開催される。これは諸君の現在の実力を見るためのもので、原則全員参加だ。よって、今日から実技の授業は実戦を想定した戦闘訓練を行う。訓練機とはいえ、ISである事実は変わらない。事故を起こさぬよう気を付けろ!」
「「「「はいっ!」」」」
「まず最初に、模擬戦を見学して貰う。凰とオルコット、前に出ろ」
千冬に名指しされ、並んでいた列から鈴音とセシリアが前に出る。
「織斑先生、わたくしと鈴さんで戦えばいいんですの?」
「いいや。対戦相手は───来たぞ」
千冬が視線の先を生徒達も追う。すると、こちらに向かって来るISの姿があった。
そのISは空中で急減速すると千冬の横、鈴音とセシリアの前で着地した。
「「や、山田先生!?」」
まさかの人物に、鈴音とセシリアが声をハモらせて驚く。
「凰、オルコット、お前達の相手は山田先生だ」
「分かりました。どちらが先にやりますか?」
「ああ、勘違いするな。お前達と山田先生、2対1の模擬戦だ」
その言葉に、2人が不満そうな顔をした。
「それはちょっと……」
「先生、いくら何でもそれは……」
いくら現役の学園教師とはいえ、代表候補生2人を相手取ることが可能なのだろうか。鈴音とセシリアの顔は、そう書かれているようだった。
「安心しろ。今のお前達ならすぐに負ける」
「「ほう……」」
千冬のその言葉には、2人も黙ってはいられなかった。
「そんな風に言われちゃあ」
「ええ、引き下がる訳には行きませんわね」
お互いを見て頷くと、2人は甲龍とブルー・ティアーズを展開する。
「では……始め!」
千冬の合図で、模擬戦が始まった。
ーside翔ー
やっぱり
前衛の鈴に、後衛のセシリア。うまい具合に役割分担ができていたんだが、山田先生が一枚上手だった。
射撃で鈴をうまく誘導し、セシリアが気付いた時には、フレンドリーファイアを
それによって甲龍はSE切れ。残ったブルー・ティアーズも狩られてしまった。
それでも、山田先生にもいくつか有効打を与えていたから、惨敗にはならなくて良かった良かった。ボロ負けしてたら慰めるのが大変だった。
「これで皆もIS学園教師の実力が分かっただろう。以後は敬意を持って接するように」
そう締めくくると、織斑先生は手を叩き、
「では、実習を始める……その前に、織斑、前に出ろ」
「は、はい」
織斑が織斑先生の前に出る。
「お前にこれを返しておく」
そう言って織斑先生が懐から取り出したのは白い腕輪。
それって白式? 懲罰明けたらさっそく返すの? 大丈夫なん?
「俺の白式!」
「いいか、本来ならお前に白式を返すのはまだ先だったが、『データ取りと自衛の為にも専用機は必要』という学園の判断で今回返すことになった。前回の様なマネは許さんからな」
「分かったぜ千冬姉!」
――スパーンッ!!
「織斑先生だ」
あかん、これ全然分かってないやつだ。
織斑先生、めっちゃ苦虫嚙み潰したような顔してるし。
「さて、改めて実習を始めるが、まず最初に班を作る。専用機持ちは全員前に出ろ」
そう言われて、俺達専用機持ちが前に出た。
俺、美波、織斑、セシリア、鈴、そしてデュノアとボーデヴィッヒ。7人もいるのか……。
「実習では、お前達が班のリーダーになる。7人の班を作るので、出席番号順にリーダーの前に並べ」
織斑先生の指示に従いみんなが動き始め、班が出来上がった。
俺の班は……相川さんと鏡さん、それに布仏さんか。
他の班はというと、デュノアの班になった娘は大喜び。
鈴とセシリアの班は、先ほどの模擬戦で善戦していたためか、そこそこ賑やか。
ボーデヴィッヒ班は、班員が話しかけても「ああ」とか「そうか」みたいな反応しか返って来ず、すごく取っ付きにくそうだった。
織斑の班に至っては、ほぼお通夜状態だ。奴自体が腫れ物のような扱いで、微妙な空気が流れていた。
この後、各班に1機ISが支給され(リーダーが専用機に乗って運び)、それを使って起動から歩行、停止までの一連の動きを1人ずつやることになった。
途中、ISを立ったまま停止させて、次の人が乗れなくなるアクシデントがあったが、何とか全員が時間内に終わったようだった。
ちなみに、一番早く終わったのは織斑班だった。そりゃ、和気藹々とした会話もなく、さっさと解散したくてもくもくとやってたらそうなるわな。
ーーーーーーーーーーーーー
授業が終わり、訓練機を片付けた後、俺、美波、セシリア、鈴の4人で学食に来たわけだが……
「相席いいか?」
「おー、ラウラちゃーん」
そう、まさか銀髪の方からこっちに来るとは思わなかった。
「だからちゃん付けはやめろと……いや、もういい」
どうやら何度も言ったらしいが、残念だが諦めてくれ。
「えっと……」
「ああ、自己紹介はいらん。この学園に来る際に、専用機持ちの情報は調査済みだ」
「それでラウラ、聞いてもいいか?」
とりあえず、ラウラ(話し合った結果、お互い呼び捨てにすることに決まった)には聞いておきたいことがある。
「なんだ?」
「お前が
「知らん」
「は?」
知らんって……
「私は軍司令部から、IS学園へ行くように指令を受けただけだ。その目的までは知らされていない」
「『need to knowの原則』、というわけですか……」
「そういうことだ。私は指示に従えばいい。あとは軍の上層部が判断するだろう」
なるほどな。
「それにな……」
ラウラの視線を追うと、そこには織斑とデュノアがいた。正確には、デュノアにあれこれと話しかける織斑と、それを苦笑いで聞いているデュノアが。
「
「し、辛辣~……まぁ否定しないけど」
鈴、苦笑いはするが否定はしないのな。
「むしろ、私はお前の情報の方が有用ではないかと思っている」
「俺?」
「ああ、日本に来る前に調べた。入学して1週間で
「お、おう……ありがとう」
「そうですわ、翔さんはすごいんですのよ」
「そうだよー」
「まぁ確かに、翔のIS操縦技術は大したものよね」
褒められるのは嬉しんだが、もうちょい人のいないところでお願いできないか……? 恥ずい。
「というわけで、しばらくお前のことを観察させてもらうぞ」
そう言って、ラウラはニヤリと笑った。
う~む……なんか小さい織斑先生みたいだと感じてしまった。
ーside翔 outー
ーsideシャルルー
放課後。山田先生に寮の鍵をもらった僕は、自分の部屋となる1025号室にいた。
僕が女だってバレてないみたいで安心したよ……。
この学園では生徒は寮暮らしで、他の生徒と相部屋になるらしい。
僕のルームメイトは――
「改めてよろしくな、シャルル」
「う、うん。よろしく、織斑君」
そう、1人目の男性操縦者である織斑君だった。
ある意味、僕の目的のためには都合が良かったといえるんだけど……
「シャルル、晩飯食いに行こうぜ」
「あ、先に荷物を片付けたいから、先に行っててよ」
「そうか? 分かった」
そう言って、織斑君は部屋を出て行った。
「はぁ……」
織斑君が部屋から離れたのを確認すると、僕はため息をついた。
実家のデュノア社から言われたのは、『男性操縦者・織斑一夏と、その使用機体のデータを盗んでくること』。
そのために、僕を男と偽ってIS学園に送り込んだ。
本当は、こんなことしたくない。けど、僕にはどうすることも……。
「そういえば……」
言われたのは織斑君だけだけど、もう1人、男性操縦者がいたっけ。確か名前は……
「北山、翔……」
ーsideシャルル outー
山田先生相手に善戦:
クラスメイト→セシリアの好感度up(微小)
クラスメイト→鈴音の好感度up(微小)