一夏のくせになまいきだ   作:シシカバブP

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かなりかっ飛ばしましたが、トーナメント編終了でございまーす。



第26話 リヴァイヴ

ーsideラウラー

 

(ああ、これは夢だな……)

 

そう思えたのは、目の前に見えたのが、かつての私だったからだ。

 

試験体C-0037。私に『ラウラ・ボーデヴィッヒ』という名前がつく前の、識別上の記号。

そう、私は人工合成された遺伝子から作られた、いわゆる試験管ベビーだった。

思えば、生まれた時から私は、周りの目を見て育ってきたと言えるだろう。研究者共の、好奇や狂気の目を見て……。

 

そこからも、私の人生は波乱万丈だったといえるだろう。

戦うための技術や知識を体得し、好成績を収めてきた。

それが『ヴォーダン・オージェ』――疑似ハイパーセンサーとも呼ぶべき、視覚情報の伝達速度と、動体反射の強化を目的としたナノマシン移植処理――の事故により、『出来損ない』の烙印を押された。

そんな落ちぶれていった私を、教官が拾い上げてくださった。そして再び、部隊内で最強の座に返り咲いた。

 

私は教官を、織斑千冬を尊敬している。

自分を救い上げてくれた恩人として、1人の戦士として。

 

だからこそ、教官の弟・織斑一夏のことを知った時、私は奴を許せなかった。

クラス代表決定戦での暴言、クラス対抗戦での独断専行。どれも教官の顔に泥を塗る行為でしかない。

なぜ、自らの失態の責が姉、保護者である教官にも及ぶと気付かないのか。

 

だから、IS学園へ来た時、1組の教室で奴を見つけた時、1発殴らなければと思っていた。

 

「……貴様が、織斑一夏か?」

 

「そうだけど?」

 

だが、そんな考えすらも、奴の目を見た時に失せた。

 

(ああ……だから貴様は、あのような行動ばかり取ったのだな……)

 

世間一般では、笑顔の似合う好青年と言うのだろう。

だが、奴の目は、奴の目の奥には、狂気が混じっていた。奴は、現実を見ていない。

かつて研究所にいた、自分の理論を否定され、それを認められずに狂ってしまったとある研究員のような。

 

(これからあの男は、どうなるのだろうな……)

 

そんな意味もないだろうことを思いながら、私の意識は遠くなっていった――

 

ーsideラウラ outー

 

 

ーside千冬ー

 

「……報告は、以上です」

 

私は前回と同じく理事長室で、轡木理事長とIS委員会日本支部長に報告をしていた。

 

「そうですか……」

 

「VTS……アラスカ条約によって、研究・開発・運用が禁止されている技術ですが、まさかドイツが……」

 

理事長も支部長も、今回起こった事件には頭を抱えていた。

何せ、大国に数えられるドイツが国際条約破りと言える真似をしたのだ。

 

「とりあえず、ドイツ政府と研究機関に関しては、国際IS委員会が強制査察を行うよう調整中です」

 

「そちらはお願いします。それで織斑先生、VTSの詳細についてですが」

 

「はい」

 

私は頷くと、先ほど解析を終えた山田君の報告書の束をめくる。

 

「ボーデヴィッヒのシュヴァルツェア・レーゲンに密かに仕組まれていたVTSですが……とある条件によって起動する仕組みだったようです」

 

「とある条件、ですか?」

 

「はい……」

 

 

「件のVTSは……『北山翔の存在を確認した時』を条件に起動、彼の殺害まで動き続けるというものでした」

 

 

「北山……"2人目"の?」

 

「はい」

 

「なるほど……織斑君が気絶した後放置されていたのは、殺害対象ではなかったから、というわけですか」

 

「恐らくは」

 

「そういえば、織斑一夏についてですが……」

 

来たか! だが、研究所送りには絶対に……!

 

 

「今回、IS委員会からは特にありません」

 

 

特に、ない?

 

「前回と違い、今回は彼が勝手に負傷しただけ、それ以外の被害はありませんでしたからね」

 

そう言うと、支部長は理事長に向き直り

 

「とはいえ、彼が勝手をしたのも事実ですから、今回も処遇は学園側にお任せします」

 

「分かりました」

 

良かった、これで……

 

「織斑先生、安心されては困ります」

 

「え?」

 

支部長からの指摘で、私は我に返った。

 

「今回彼が勝手をしたことで、私を含めた委員の大半が懸念しているのですよ。『織斑一夏は前回の失態を全く反省していないのではないか』とね」

 

「……っ!」

 

 

 

「『次に何か問題を起こした場合、織斑一夏は専用機剥奪の上、研究所送りとする』。これは国際IS委員会、および日本政府の決定事項です」

 

 

 

「そん、な……」

 

それは、一夏に対する最後通牒だった。

 

「ですので、しっかり手綱を握っていてください」

 

それだけを言うと、支部長は理事長室を出ていった。

 

ーside千冬 outー

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

ーside美波ー

 

昨日のラウラちゃんのISが暴走した(VTSが発動した)事件で、トーナメントは中止になっちゃった。

一応、データ取りのために全員1回戦だけはやるらしいけどねー。

 

「ねぇナミママ、今日ってデュノア君とボーデヴィッヒさん、休みなのかなー?」

 

「そういえば、もう少しでSHRなのに、席にいないね」

 

「う~ん、私も分からないなー」

 

「そっか~、ナミママも知らないか~」

 

クラスのみんなに話を合わせているけど、シャルロットちゃんの理由は大体分かってる。

だって昨日の夜、束ちゃんから連絡があったんだよねー。『準備完了、明日の朝決行』ってー。

 

「み、みなさん、おはようございます……」

 

まーやんが教室に入ってきたけど、すっごいフラフラしてるー。ということは、たぶん()()なんだろうなー。

 

「連絡事項ですが……ボーデヴィッヒさんは昨日の怪我の様子見ということで、今日はお休みになります」

 

ありゃ、原作みたいに翌日復活とはならなかったかー。

 

 

「それと、今日はですね……みなさんに転校生を紹介します」

 

 

「「「「ええ~~~!?」」」」

 

 

「て、転校生ですか!?」

 

「この前、デュノア君とボーデヴィッヒさんが来たばかりですよ!?」

 

クラスのみんなも驚いてる。2人入って、翌月またとか普通ないもんねー、普通はー。

 

「転校生と言いますか、すでに転校していると言いますか……」

 

まーやん、どう説明したらいいかいろいろ悩んでたみたいだけど

 

「えっと、入ってきてください」

 

「失礼します」

 

 

「え……?」

 

 

誰かが漏らした声が、教室中に響いた気がした。それぐらい、みんな静まっちゃったよー。

昨日まで男子の恰好をしていたシャルロットちゃんが、スカート姿で出てきたら、ねぇ。

 

「シャルロット・デュノアです。改めてよろしくお願いします」

 

「『デュノア"君"はデュノア"さん"でした』ということです。はあ~、また部屋割りが~……」

 

 

「「「「ええ~~~!?」」」」

 

 

う~ん、みんな反応がいいねー。

 

「まずはみんなに謝罪します。騙していてごめんなさい。私が男としてIS学園に転校したのは、デュノア社から男の振りをするよう命令されていたからです。それも社内の派閥争いの結果そうなったもので、今朝その原因が無くなったため、女に戻る事が出来ました。

理由があったとはいえ、みんなを騙していたことに変わりはありません。それでも、私はこれからもこのクラスで学んでいきたいんです。どうかこのクラスにいさせてください。お願いします!」

 

そこまで言い切ると、シャルロットちゃんは深々と頭を下げた。

 

今頃、デュノア社副社長派の黒い秘密が暴露されて(ついでに今回の件の罪も全部被せられて)、次々に逮捕者が出ているんだろうなー。束ちゃんが国際IS委員会のサーバにハッキングして、直接情報を送ったらしいしー。

残ったデュノア社内部もいくらかは荒れちゃうだろうけど、そこまではカバーし切れないから勘弁してねー。

 

(あとは、クラスのみんながどう思うかかなー……)

 

私達は出来る限りのことはした。でも、それをクラスのみんなが認めてくれるかは別問題だからねー。

 

 

――パチパチパチ!

 

 

「私はデュノアさんが悪いとは思わないよ」

 

「そうだよ! そんな事情があったんじゃ仕方ないよ」

 

「大変だったねぇシャルロットさん」

 

「これからもよろしくね、シャルロットちゃん!」

 

シャルロットちゃんはポカンとした表情をしていたけど、しばらくすると目の端に涙を浮かべながら

 

 

「ありがとう、みんな! これからもよろしくね!」

 

 

最初に転校してきた時とは全く違う、飛び切りの笑顔をした。

 

ーside美波 outー




これで箒以外の第1期ヒロインは、一夏ハーレムから外れることとなりました。

シャルロットには(美波達のフォローがあったとはいえ)、自力でハーレムから外れてもらいました。
ちなみに、原作読んでた当時は「え? 何も問題解決してないのに男装やめんの?」と首を捻ってました。(後日11巻を読んでなんとなく自己解決したわけですが)

ラウラに関しては、『ちーちゃんへの妄執がなければ、こんな感じになっただろうなー』を書いてみたらこうなりました。う~ん、ただの優秀な軍人でしかないな。
これではクラリッサの間違った日本知識が入る隙間が無いじゃないか。(おい)


というわけで皆様、いつものを行いたいと思います。


「一夏に!ハーレムは!おとずれなぁい!!」
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