一夏のくせになまいきだ   作:シシカバブP

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唐突ですが、臨海学校+αで完結にしようと考えております。

このまま日刊でいけるかは怪しいですが、お付き合いいただければと思います。



臨海学校
第27話 臨海学校1日目


「海だぁっ!」

 

バスの中で、クラスの誰かが言った。

 

学年別トーナメントの事件があって数日。ラウラも回復(レーゲンも予備パーツを使って復旧が完了)した頃に、臨海学校の日となった。

バスの中では、隣同士の席で盛り上がる声が聞こえ、皆テンションが上がっているのがよく分かる。

 

「楽しみだなぁ!」

 

「いつもは北の海ばかりだったからな。私も楽しみだ」

 

フランスとドイツから来た2人(トーナメント後に部屋替えで同室になった者同士)は、その中でも特にはしゃいでいた。

 

「翔ちゃん、そろそろ起きなよー」

 

「んぁ……もう着いたのか」

 

「もうちょっとで着くよー」

 

「そうか……じゃあもうちょっと寝られるな……」

 

「あーもー、翔ちゃーん」

 

……若干名、眠気の方を優先している者もいるが、バスは順調に目的地へ向かっていった。

 

 

(どうしてだ俺がシャルを守るって言ったじゃないかなんで北山さんに助けてもらったって話になるんだ男の俺が守らなきゃならないはずじゃないか)

 

約1名、またもや自分の世界に嵌まり込んでしまったものも含めて――

 

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「ではみなさん、私に付いてきてくださいね~」

 

旅館の駐車場に到着し、バスから自分の荷物を持って降りる生徒達を、真耶が先導して旅館の玄関に向かう。

玄関まで着くと、そこには千冬と旅館の仲居達が待っていた。

 

「ここが今日から3日間お世話になる花月荘だ」

 

生徒達にそう言うと、今度は仲居の方を向いて

 

「ご迷惑になると思いますがよろしくお願いいたします」

 

 

「「「「よろしくおねがいします」」」」」

 

 

千冬に続いて、生徒達も挨拶する。

すると仲居の中から、女将と思われる和服の女性が出て来て「ようこそいらっしゃいました」と返事をする。

 

「それでは、お部屋に案内させていただきます」

 

班ごとに分かれた生徒達は、それぞれの仲居に案内された部屋へと向かっていく。

翔と美波はそのまま、同じ部屋に通された。……寮の部屋割りと全く変わらなかったわけである。

 

 

ーside翔ー

 

「「「「海だぁぁぁぁぁ!!」」」」

 

部屋で水着に着替えて海辺に出たら、同じく水着を着たクラスメイト達が海に向かって走っていった。

 

臨海学校では、1日目が自由時間、2日目が『ISの日限定空間における稼働試験』、言ってしまえばISの新型装備を学園以外で動かそうというわけだ。

 

そんなことを考えてるうちに、みんな海で泳ぎ始めたり、ビーチバレーでも始めるのか、ネットを張り始める人もいた。

 

「翔ちゃーん、私達も行こうよー」

 

後ろから手を引かれて振り向くと、そこには美波のほかに、セシリアと鈴の姿もあった。

 

美波は白のフレアビキニ。その水着で泳げるのか出発前に聞いたところ、「今回は泳ぐのは無しでいいかなー」とのことだった。

セシリアはブルーのビキニ。腰にパレオを巻いていて、ビーチパラソルを持っているところからして、こちらもあまり泳ぐ気はないのだろう。

鈴は白とオレンジのタンニキタイプ。こっちはセシリアと違い、動きやすさを優先したのか泳ぐ気満々のようだ。

 

さらに3人の後ろから、シャルロット(女に戻った後、ラウラと同じようにお互い呼び捨てにしようと決めた)とラウラがやってきた。

 

「あ、翔達もここにいたんだね」

 

「うむ。海なんて軍の訓練以来だから、今日は楽しませてもらおう」

 

シャルロットはオレンジのビキニで、ラウラが……。

 

「あ、あの……ラウラさん?」

 

「それはどうなのよ……」

 

セシリアと鈴がラウラを指さすが……

 

「別に問題なかろう。むしろ普通の水着より機能的だぞ?」

 

そう胸を張って答えるラウラの恰好は……学園指定のスクール水着だった。

いやまぁ確かに、機能面だけで言えばそうかもしれないが……。

 

「ま、まぁいいわ。とりあえずナミママ、私達も泳ぎましょう!」

 

「あ、あの、翔さん。実はわたくしにサンオイルをですね……」

 

「あ~! シャルロットちゃんとラウラちゃん! ビーチバレーの人数足りないんだけど、入ってくれないかなー!?」

 

「バレー? いいよー! ラウラはどうする?」

 

「ふむ、海に入る前の準備運動にちょうどいいかもな」

 

そんな感じで、俺はセシリアに、美波は鈴に連れていかれ、シャルロットとラウラはビーチバレー組に付いていったのだった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

サンオイルを塗った俺と塗られたセシリアが顔を真っ赤にしたり、準備運動をせずに海に飛び込もうとする鈴を美波が叱ったり、ビーチバレーでシャルロットとラウラのコンビを倒せず、最終兵器(織斑先生)が投入されたりと、あっという間に時間が過ぎて夜になった。

 

大広間をいくつか繋げた宴会場で、みんなは夕食を取っていた。

ただ、俺や美波、セシリアは別の部屋にいるのだが。

 

「すみません……お二人にはお気遣いを……」

 

「気にしなくてもいいよー」

 

「そうだぞ、無理しても飯が不味くなるだけだからな」

 

浴衣姿のセシリアを、俺と美波は慰めていた。

 

この旅館では『食事中は浴衣着用』、さらに座敷なので正座という決まりらしい。

ただ、そこは宿泊客がIS学園ということもあり、多国籍や多民族・他宗教というのを考慮して、宴会場の隣部屋にテーブル席も用意してもらっている。

で、正座が苦手なセシリアに付いていく形で、俺と美波もテーブル席にいるわけだ。

ちなみに鈴は2組なのでそもそも別部屋だし、シャルロットとラウラは「日本文化に挑戦してみよう」ということで、そのまま宴会場に残っている。

 

「それにしても、部屋も贅沢だったが、食事も贅沢だなぁ」

 

刺身に小鍋、山菜の和え物に、味噌汁と漬物。しかも刺身はカワハギ(肝付)というのだから、どれだけ金がかかっているのだろう。

 

「そういえば、セシリアは生魚は平気なのか?」

 

今でも欧米では苦手意識を持ってる人もいると思うんだが。

 

「昔は『魚を生で食べるなんて』と思っていましたが、日本に来てから考えが変わりましたわ」

 

魚のカルパッチョなどは時々食べますのよ、と付け加える。

 

 

 

「っ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!」

 

 

 

「な、何だ!?」

 

突然隣の部屋から、誰かの悲鳴というか、くぐもった大声が聞こえたんだが!?

俺達3人の他、同じく正座が出来ずにテーブル席を利用していたクラスメイト達が立ち上がると、部屋を仕切っていた襖が開いて

 

「だ、大丈夫だよー。シャルロットちゃんが誤ってワサビの山を食べちゃっただけだからー……」

 

ものすごく苦笑している相川さんがひょっこり顔を出して、そう伝えてきたのだった。

 

ーside翔 outー

 

 

ーside美波ー

 

「いやー、満腹満腹―」

 

夕食を食べた後、私は1人で部屋に戻っていた。

翔ちゃんは男の子だから、大浴場の利用時間が限られてるんだよねー。だから急いで入りに行ったんだー。

 

~~♪

 

「およ? 束ちゃんから?」

 

着うたからかけてきた相手が分かると、私はスマホをカバンから取り出して受信ボタンを押した。

 

「もしもしー?」

 

『ナミママ―、束さんだよー!』

 

「やっぱり束ちゃんかー。あ、そうそう。この前は色々手伝ってくれてありがとねー」

 

『デュノア社の事? 別に構わないよぉ。 あの後デュノアの社長って名乗る男と取引できたし』

 

「取引ー? 悪いことじゃないよねー?」

 

『全然! ちょっとした物々交換だよ』

 

「交換?」

 

なんだろう? 束ちゃんがわざわざ他の人と取引してまで欲しいものってー。

 

『束さんの要らなくなった第3世代機の情報と、あっちの倉庫に死蔵されてる機材を交換したんだよ。宇宙進出用の資材に再利用できそうだったからね』

 

「第3世代機? そんなのあげちゃっていいのー?」

 

『いいのいいの。どうせ紅椿を作り始めた時点で不要だったし、それにプラスして、将来SRCが宇宙進出した際には協賛するように密約も交わしたしね』

 

なるほどー。今回のことをきっかけに、地固めをしていったわけだー。

 

『で、今日連絡した本題なんだけど』

 

「あ、そうだったねー」

 

『実はナミママ達に、伝えておこうと思ってることがあってね』

 

「何かなー?」

 

 

 

『明日の臨海学校、束さんも行くから』

 

 

 

ーside美波 outー

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