ーsideラウラー
「翔ちゃーーーーーーーーんっ!!」
美波の悲鳴が海上に響き渡った。
織斑一夏、狂っているとは思っていたが、まさかこの期に及んで――!!
『どうした!? 誰か応答しろ!』
「ボーデヴィッヒです! 翔が撃墜されました!」
『何っ!? 福音の攻撃か!』
「いえ……織斑が裏切りました」
『なん、だと……ボーデヴィッヒ、何を言って――』
「繰り返します! 翔が織斑の零落白夜を背後から受けて撃墜されました!」
『そん、な……馬鹿な……』
くそっ! 教官もあまりの出来事に気が動転している! これでは指揮系統が……!
「美波さん! 翔さんの救助をお願いします!」
そんな中、いち早くこの状況から立ち直ったセシリアが、美波に声をかける。
「でも、セシリアちゃんは?」
「わたくしは……」
そこまで言うと、セシリアは今は動きを止めている福音の方を見て
「当初の予定通り、福音を無力化します」
「ちょっと待ちなさいよ」
「なんですの鈴さん。まさか止めようだなんて――」
「馬鹿言ってんじゃないわよ。あたしも混ぜなさいっての」
鈴も青龍刀を両手に持って、福音に眼を向けていた。
「まさか僕を仲間外れになんて、しないよね?」
シャルロットもライフルを展開して、鈴の横に並ぶ。
「それでラウラさん。貴女には後方からの砲撃支援と、指揮をお願いできますか」
「……私の指揮下に入ると?」
「ええ。この中で、部隊指揮を執ったことがあるのは、現役軍人であるラウラさんだけですから」
さも当然のようにセシリアが言う。ふっ、私も買い被られたものだ。……だが、悪くない。
「いいだろう。その役、引き受けよう」
「なので美波さん、一刻も早く翔さんを」
「うん……みんな、絶対無事でいてよー!」
セシリアに背中を押される形になった美波は少し悩んでいたが、顔を上げて頷くと、翔が墜ちたと思われる海域に向かって飛んで行った。
それを見送ると、私も
「それでは……我々も始めようか!!」
「「ええっ!!」」「うんっ!!」
私の号令に、改めて福音を包囲した3人が応えた。
ーsideラウラ outー
ーside鈴音ー
「鈴、少しの間でいい。こちらの砲撃後、福音を正面から抑え込めるか?」
「誰に聞いてるのよ! やってやるわよ!」
はっ! ナミママを泣かせた罪、しっかり償わせてやるわよ!
「シャルロットは鈴の護衛、接近するまでうまく攻撃を凌いでくれ」
「了解! ガーデン・カーテンの力、見せてあげるよ!」
「セシリアは鈴が福音を抑え込んでいる間にスラスターを攻撃、まずは攻撃手段を奪うぞ」
「分かりましたわ!」
「よし……
――ドォゥゥゥゥッ!!
ラウラの両肩から砲撃が行われると同時に、あたしとシャルロットが福音に向かって突撃を開始した。
セシリアも
『敵機を認識。排除行動に移る』
福音はラウラの砲撃をエネルギー弾で迎撃してるようね。だけど――
――ガキィィィン!
「そっちばっか気にしてたら、あたしがバッサリやっちゃうわよ!」
砲撃の陰から青龍刀を振り下ろして、福音のスラスターの一部をもらっていったわ。
それと同時に、福音も砲門をあたしに向けて……ってあぶな!
――ドドドドッ!
「おおっと!」
「ガーデン・カーテンは、そのくらいじゃ落ちないよ!」
あわや直撃しそうなところで、実体シールドを持ったシャルロットが割り込んで、攻撃を防ぎ切ってくれた。
さらに福音があたし達から距離を取ろうと下がったところで……
「そこですわっ!」
セシリアのスターダスト・シューターから放たれたレーザーが、福音の左スラスターに直撃。エネルギーの誘爆で片翼を潰せた!
「よしっ!この調子で――」
もう片翼も、そうラウラが言おうとしていた時だった。
『
福音が、残った砲門をこちらに向けて一斉射を放ってきた。
「鈴、セシリア、僕の後ろに!」
――ドドドドドドドドドドドドドッ!
「ぐっ……!」
エネルギー弾の雨を何とか受け切れたけど、今のでシャルロットの実体シールド2枚とエネルギーシールドはボロボロね……。それもそうだけど……
「防御もそうだけど、エネルギーもそろそろ危なそうね……」
「確かにそうですわね……」
そう、ここまで飛行した分と、今戦闘を行っている分で、あたし達のSEは2割を切っている状態。もし次が来たら……
(それでも……!)
自分の中で覚悟を決めた、その時だった。
「なに……この光……」
あたしだけでなく、シャルロットも、そしてセシリアも……
自分達の周りに赤い光、そして金の粒子が舞っているのを、ただ眺めてた……。
ーside鈴音 outー
ーside箒ー
「何を……何をしているんだ一夏ぁ!」
一夏の暴挙に、私はあらん限りの声で怒鳴っていた。
「やっぱりだ!」
だが、一夏はそんな私が目に入らないのか、福音の方を見ている。
「やっぱりそうだ箒! 福音の狙いは翔だったんだ!」
「何を……」
私も福音に目を向けると……確かに、福音は攻撃の手を止めて、その場に佇んでいる。
まさか本当に……? だが……だからといって、味方を斬っていいことにはならんだろう……っ!
「とにかくこれで、船を助けることが出来る。箒、誘導を手伝ってくれ!」
「一夏……北山を……味方を斬って言うことが、それだけなのか……?」
「何言ってんだ? 翔と船、より多くを救える方を選んだんだ。あいつが千冬姉に選択を迫ったのと同じだよ」
「……」
そうか……つまり一夏、お前は
もう、昔のお前には……。
「織斑先生」
『織斑だ……』
先ほどのボーデヴィッヒの報告から立ち直り切っていない千冬さんだが、何とか応答はあった。
「紅椿・改はこれより……セシリア達と合流、福音との戦闘を再開します!」
『何だと!?』
「箒!? 何言ってんだよ! せっかく翔を墜として黙ってる奴を、わざわざ起こすような真似を――!」
「以上、通信終了!」
最後は怒鳴るように無理やり通信を切ると、セシリア達に合流すべく、一夏を置いて福音を目指してスラスターを全開にした。
そして私がたどり着いた時には、ボーデヴィッヒを除く全員が満身創痍だった。
そのボーデヴィッヒも、両肩のレールカノンで砲撃支援をしているが、限界が近い。
それでもみんな、諦めていない。まだ戦っているのだ。
(私も、共に戦いたい。戦う力があるのに、皆に任せて背を向けるなど、したくない――!)
強く、強く願った。
その時だった。紅椿・改の装甲から、赤い光が、そして黄金の粒子が溢れ出したのは。
「これは……!?」
――絢爛舞踏、発動――
ハイパーセンサーからの情報で、ここまでの飛行で減っていたSEが回復していくのが分かった。
正直何が何やら分からないが、どうだっていい。私も共に戦える、それだけ分かれば十分だ。
(ならば、行くぞ! 紅椿・改!)
その想いに応えるように、赤と金の帯がセシリア達を包み込んでいった――
ーside箒 outー
ーsideセシリアー
「みんな、これを受け取れ!」
「箒……?」
鈴さんの呟きに顔を上げると、箒さんのISから、赤い光と金の粒子が溢れ出ていました。これは、箒さんが……?
「これは……SEが……!」
「す、すごい……!」
そう、先ほどまで稼働限界が近かったわたくし達のエネルギーが、どんどん回復していくではないですか……!
「箒、これって……」
「説明は後だ! 今は福音を!」
「そ、そうね! まずはそれが先ね!」
鈴さんがそう言って青龍刀を構え直すと、シャルロットさんもショットガンを両手に展開して
「SEも満タンになったし、全力で行こうか!」
鈴さんと一緒に、福音に向かって再度突撃していきました。
そして、先ほどと同じく、シャルロットさんがシールドで攻撃を防ぎつつショットガンで牽制している間に、鈴さんが福音に肉薄し、
「食らいなさいっ! 崩山の零距離砲撃を!!」
――ドゴォォォォッ!!
2門から4門に増えていた衝撃砲から、炎を纏った砲弾が放たれ、福音の無事だったスラスターを焼き尽くします。
「セシリアァァァ!」
「お任せくださいまし!」
鈴さんの声に応えるように、わたくしもスターダスト・シューターを構え――
「これで、トドメですわっ!!」
――バシュゥゥゥゥゥゥッ!!
最大出力で放たれたレーザーが胴体部分を貫き、そして――
『La……』
こちらに手を伸ばそうとしていた福音が……動きを停止して、海へと墜ちていきました……。
「やった……のか……」
「やった、よね……?」
「やったわよ、ね?」
「ええ、おそらく……」
「ああ……」
「「「「「やったーーーっ!!」」」」」
ーsideセシリア outー
ーside翔ー
――ちゃ――しょ――ん――
何だ……どっかから声が聞こえる気が……
「翔ちゃん!」
「うわっ! 痛つつつ……!!」
跳び起きたものの、背中の痛みでそのままうつ伏せに倒れ込んだ。どっかの島にでも流れ着いたのか、倒れ込んだ拍子に顔が砂まみれに……。
「翔ちゃん、良かった生きてたよー!」
うつ伏せで顔は見えないが、俺の呼び方と声から、美波なのだろう。
「美波……あれからどれだけ経った?」
「20分くらいかなー」
「20分……なら、まだみんな戦ってるはずだな……」
墜ちる前の最後の推測通りなら、俺が墜ちたことで福音が役目を果たして撤退している可能性もあるが、もしそうでなければ……
「それは……あっ、もう心配しなくてもいいみたいだよー」
「何?」
福音は撤退したのか? いや、今『あっ』って……
「ほらー」
そう言って美波が指さす方に顔を向けると、そこには
海に向かって墜ちていく福音と、勝鬨を上げるセシリア達だった。
「マジかよ……」
「すごいよねー。原作じゃ織斑君の零落白夜任せだったのにー」
「ははは……マジかよ……」
もはや笑うしかなかった。
「
原作乖離も、ついにここまで来たか。
「それじゃあ、とりあえず……」
「とりあえず?」
「みんなのところに帰ろっか」
「……そうだな」
俺が頷くのと、美波が通信で
ーside翔 outー
裏切り、昔の一夏には戻らない:
箒→織斑の好感度down(特大)
ヒロイン勢だけで福音退治とか、原作崩壊ここに極まれり。(元から崩壊しているとかは言いっこなしで)
セカンドシフト? (それやると零落白夜か天使砲でしか倒せなさそうなんで)ないです。
そしてとうとう、箒も一夏から離脱です。
本当は箒だけ残すことも考えましたが、今考えてる最終話的に、全員離脱が丸く収まりそうだな―と思ってこうなりました。
というわけで皆様、これで最後になりますが、やっていきたいと思います。
「一夏に!ハーレムは!おとずれなぁい!!」