一夏のくせになまいきだ   作:シシカバブP

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この章で、本作は完結となります。(この話を含めて、たぶん2,3話ぐらい)



ENDING
第32話 爆弾発言


臨海学校から数日後、1年1組では大きな変化と小さな変化があった。

 

大きな変化は、担任である千冬が休職したこと。

名目としては病欠で、夏休み明けまで自宅療養ということになっている。

そのため、副担任であった真耶が担任になるとともに、IS実習の教官も引き継ぐこととなった。

 

小さな変化としては、織斑一夏がIS学園を去ることになったこと。

こちらについては、理由も去った後のことも発表されず、生徒達の間で様々な憶測が飛び交った。

事実を知るのは真耶と専用機持ちだけだが、機密事項である福音暴走事件にも絡むため、誰も憶測はそのままとなった。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

「ところでみんな、夏休みはどうするのー?」

 

昼休みの食堂、いつもの面子+(箒、シャルロット、ラウラ)に、美波が問いかけた。

 

「わたくしは、一度本国に戻ろうと思っていますわ」

 

「あたしは日本に残ろうかなぁ。管理官にレポート出したら、戻らないといけない用事も無いし」

 

セシリアと鈴音はすでに予定を決めていたのか、美波の問いに即答した。

 

「僕はフランスに、デュノア社に戻ろうと思ってる」

 

「親父さんに、会うのか?」

 

「うん……もう一度、ううん、今度こそ、本当のことを聞きたいんだ。お父さんの口から」

 

「そっかー……」

 

シャルロットの決意に、北山兄妹を始め、そこにいた面子は、この親子の会話が上手くいくことを祈った。

 

「私は司令部から帰投命令が出ていないのだが……」

 

「VTSのこと、ですの……?」

 

「ああ。幸い、私や本国の部下達が詰め腹を切らされることは無いようなのだがな……」

 

そこは国際IS委員会の強制査察によって、研究機関の一部が独断でレーゲンにVTSを載せたことが発覚したためであった。

もっとも、査察が入った時点でVTSを載せた実行犯は行方を晦ませており、動機については不明のままなのだが……。

 

「私は、一度父さんに会おうと思っている。姉さんと一緒にな」

 

「そうなんだー……あれから、ちゃんとお話しできてるんだねー」

 

「そうだな……正直まだぎこちないが、昔よりも話す時間が長くなったな」

 

そういう箒の顔は、苦笑ではあるものの、入学時から険の取れたものだった。

 

「昨日の夜も話をしたのだが……姉さんがとんでもない事を言っててな……」

 

そこまで言って、箒は額に手を当てた。

 

「な、何よ? 何があったのよ?」

 

鈴音の問いに、箒は食堂に設置してあるテレビを指さした。

そのテレビでは、バラエティ番組後の星座占いが流れていた。

 

と、1位と12位が発表されるかと思われた瞬間、

 

 

 

『やっほー凡人共ー! 篠ノ之束さんだよー!』

 

 

 

「「「「ぶっ!」」」」

 

指をさしていた箒以外、テレビを見ていた全員が吹き出しそうになった。

 

そう、束は何を思ったか、各国の電波をジャックしたのだ。

 

『今日は凡人共に、面白いニュースを用意してきたよー!』

 

「な、何を言うつもりよ束姉は……」

 

「分かりませんわ……わたくしも、あの方の思考は読めませんもの……」

 

セシリアと鈴音が周りに、特に箒に聞こえないよう小声で話し合う。

 

『まず1つ目ー。IS学園で起こっていた事件についてだねー』

 

そう言うと、テレビの画面が2分割され、束が左側に、そして右側に――

 

 

「あ、あれ! 学年別トーナメントの時の!」

 

食堂にいた誰かが声を上げた。

 

画面の右側には、学年別トーナメントでVTSによって操られたラウラ、ブリュンヒルデもどきが映っていた。

 

『束さんのISにこんな不細工なもの載せた奴が許せなくってねー。どこの誰がやったか調べてたんだけど……』

 

そこでセリフを切った束は、

 

 

『女性権利団体だっけ? お前ら、何してくれてんの?』

 

 

「「「「っ!」」」」

 

画面越しでも分かる殺気と突然変わった束の口調に、食堂の生徒達は一瞬、心臓が止まった気がした。

 

『しかもお前ら、これだけじゃないよな?』

 

さらに画面が切り替わり――

 

「た、束さん……それは……」

 

翔も顔を引きつらせた。

切り替わった画面には、先日戦った銀の福音が――アメリカとイスラエルがアラスカ条約(ISを軍事利用しない約束)の裏で開発していた軍用IS――が映っていた。

 

『束さんは別に、アメ公達を責める気はないよ。意図してなかったとはいえ、白騎士事件でISの軍事的価値を仄めかしちゃった束さんにも非はあったし、アラスカ条約なんてこっちには関係ないし』

 

けどね、と束は先ほどよりも殺意を込めて

 

 

『てめぇら、これを使って束さんの"理解者"を殺すつもりだったな!?』

 

 

あまりの殺意と怒声に、何人かは立っていられなくなって床に座り込む。

 

『お前らがこれらをやった証拠、あらゆる機関に流したからな。他人の作ったもの(IS)の、ありもしない威光に乗っかる……いや、()()()()()()()()のに威張り散らすお前らなんか消えちゃえよ』

 

そこまで言うと、

 

『さて! 次は2つ目の話だったね!』

 

さっきまでの殺意はなんだったのかというぐらいに、コロッと笑顔に変わる。

 

「ま、まだあるの……?」

 

シャルロットが口にしたセリフに、そこにいた全員が頷きそうになる。

 

『今まで女性しか扱えなかったISなんだけど……』

 

 

『なんと! 男も使えるようになりましたー! パチパチー』

 

 

「「「「はぁっ!?」」」」

 

 

これには皆の声がハモった。おそらく、世界中でこの放送を見ている人全員とハモったであろう。

なにせ、今まで開発者すら解明していなかったISの謎が、当の開発者によって解決してしまったのだから。

 

『いやー、まさか白騎士のコアが、男性を乗せないようにしてたなんて思わなかったよ。ま、束さんがコアネットワークに入って説得したらあっさり解除してくれたけど』

 

((((ええ~……))))

 

『嘘だと思うなら、実際に試してみればいいよ。 この世の男性全員とはいかないけど、数打てば当たると思うしー』

 

当の本人はあっけらかんと言っているが、今この瞬間、IS委員会を始めとした、実際にISコアを持っている機関や企業はてんてこ舞いになっているだろう。

 

『そして面白いニュース、ラスト3つ目ー』

 

「こ、これで最後か……」

 

聞いているだけのはずだが、翔を筆頭に皆くたくたになっていた。

 

『束さん、前々から会社を興してたんだけど、今日から本格始動しようと思ってまーす!』

 

「篠ノ之博士が、会社?」

 

「そんな話、一度も聞いたことが……」

 

動揺した声が辺りから聞こえてくるが、それは当然である。

確かに束は会社(SRC)を興しているが、それを知っているのは北山兄妹とセシリア、鈴音に、協賛を約束したデュノア社の社長(シャルパパ)だけだからだ。

 

『というわけで、スター・ラビット・カンパニーは、宇宙開発事業に参入します!』

 

それは束が、かつての夢に向かって再び歩き出したことを意味していた。

 

『あ、それとこれは業務連絡ね』

 

不意に何かを思いついた束は、ニヤリを笑うと

 

 

 

『ショウママとナミママ。宇宙開発を手伝ってほしいから、夏休みになったらSRCに顔出してねー!』

 

 

 

最後にとんでもない爆弾を落として、電波ジャックは終了した。

 

「た、束さん……」

 

「い、言っちゃったねー……」

 

この爆弾には翔はもちろん、美波も顔を引きつらせるしかなかった。

 

「今、ショウママとナミママって……」

 

「2人とも、篠ノ之博士と面識が!?」

 

「そうだよ! だってSRCって、2人の専用機を作った会社じゃん!」

 

どんどん騒動が食堂中に伝播していき、気付けば北山兄妹は生徒達に囲まれていた。

 

「北山君! 北山さん! 今の放送はどういうことですか~~!?」

 

終いには、先ほどの放送を見た真耶も突撃してきた。

 

「「だ、誰か助けて~!」」

 

兄妹揃って助けを求めるが、セシリアと鈴音は顔を逸らし、シャルロットとラウラは( ゚д゚)ポカーン()

残った箒は

 

「ふ、二人とも、姉さんとどういう関係なんだ!? なぜ最初に知り合った時に教えてくれなかった!?」

 

他の生徒達と同じだった(ブルータス、お前もか)

 

 

 

その後、北山兄妹は篠ノ之束と知り合ったきっかけから、これまでの経緯を(クラス対抗戦のこと以外)洗いざらい吐かされた。その結果、

 

「「「「ええ話や~……」」」」

 

生徒達+真耶は感動に涙し、

 

「ありがとう……姉さんが変われたのは、お前達のおかげだったんだな……」

 

箒から感謝されることとなった。

 




オール地の文、最終回直前にして初挑戦というね。
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