一夏のくせになまいきだ   作:シシカバブP

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気の向くままに書いていた本作ですが、予想以上のUAやお気に入り登録数に驚いております。今後ともご贔屓願えればと思います。

また、感想もいただきまして、その内容をフィードバックした結果、
「原作崩壊」「一夏ハーレム崩壊」「胸糞展開(予定)」「オリ主無双」の4タグを追加しました。
これで上記の類が嫌いな方が、誤って閲覧してしまうことが無くなると思います。
配慮と対応が足りませんでしたことを、心よりお詫び申し上げます。


第4話 専用機

ーside翔ー

 

「じゃーん! 束さんのラボ『吾輩は猫である(名前はまだ無い)』にようこそ~!」

 

 

 

あの雨の中で抱き締めあっていた俺達は、あの後どこか吹っ切れたような顔の束さんに連れられて、失踪してから今まで拠点にしているらしいラボに来ていた。

――ここに来るまでに、デフォルメされた人参のようなロケットに乗せられたりしたわけだが。

 

 

 

「おおーっ! すごいよ束ちゃん! ISのパーツがいっぱいだーって、ややっ!これって最新型ではー!?」

 

ラボに案内されてから、ずっとあちこちを見て回っていた美波が、奥に懸架されている赤いISを見つけて声を上げた。

ちなみに、美波が束さんを「ちゃん」付けで呼んでいるが、それには理由がある。

 

「さすがナミママ、相変わらず目の付け所が違うねぇ! ほらほらショウママもこっちこっち!」

 

美波の後ろを歩いていた束さんが、俺の方を向いておいでおいでした。

 

 

…そう、なぜか束さんが俺と美波のことを「ママ」と言い始めたのだ。

『2人のおかげで、束さんは生まれ変わりました! なので新しい束さんを生んでくれた2人はママなのです!』

という謎理論によって。

その関係で、美波も呼び方を「束ちゃん」に変えたというわけだ。ちなみに俺は変えんよ。

 

「これは『紅椿』って言ってね! 今世の中の凡人共が第3世代機を作ろうと躍起になっている中、この『紅椿』なんと第4世代機なのです!」

 

「えっ? もう第4世代機を?」

 

それには俺も驚いた。

ISには世代がある。

束さんが残したISコアを元に、とにかく動く機体の完成を目指した第1世代。

後付武装(イコライザ)によって、用途の多様化を求めた第2世代。

そして操縦者のイメージ・インターフェイスを用いた特殊兵装の搭載を目標としている第3世代だ。

ただし、その特殊兵装の制御が難しいらしく、第3世代機はまだ試験機がほとんどと聞いている。(情報源はIS学園志望で色々勉強している美波)

そんな中、第4世代機とは恐れ入る。

 

「まぁまだ試作段階なんだけどね」

 

そう言って、束さんはペロッと舌を出しながらおどけて見せた。

 

「ちなみに兵装は雨月(あまづき)空裂(からわれ)って言ってね、レーザーやビームの帯を発生させるんだ」

 

「つまりエネルギー兵器ってこと?」

 

「そうだよー。ちなみに、なんで実体弾系の装備じゃないかって言うとねぇ――」

 

 

「――スペースデブリの除去で使用する時、新たなデブリを作らないように、でしたよね?」

 

「……さすがショウママ、正解だよ。覚えてたんだね」

 

「あの頃の話してた中で、結構印象に残ってますからね」

 

 

 

まだ『白騎士事件』が起こる前。今のように3人で他愛なく話が出来ていた時に話題に上がった内容だった。

 

『スペースデブリかー、確かに難しい問題ですねー』

 

『ミサイルとか使っちゃうとさ、そのミサイルの残骸が新たなデブリになっちゃうんだよねぇ』

 

『新たなデブリを作らない除去方法ですか……』

 

『昔ありませんでしたー? 薬莢も含め、弾頭以外全部火薬で出来た銃ってー』

 

『あったねぇ。でも全部燃焼薬のミサイルとか、作るの大変そうだよぉ。しかもなんか美しくない』

 

『美しくないって……いっそビーム兵器でも作ります? それならデブリ(ごみ)なんて出ようがないですし……なーんて』

 

『『それだぁ!』』

 

『ファッ!?』

 

 

 

「あはははっ、懐かしいなぁ」

 

「9年も経ってますからねぇ」

 

「そっか。あれから9年も経つんだ」

 

そう言って束さんは、『紅椿』の肩部装甲を、愛おしそうに撫でた。

 

「9年、色んなものを見て来たよ。その度にうんざりしたし、失望もした。そして悟ったよ、ISは兵器になったんだって。ううん違う、束さんが兵器に『してしまった』んだって」

 

『紅椿』を撫でる手を止めて、束さんは天井を仰ぎ見るように顔を上げた。

 

「それでも……それでも、宇宙(そら)を飛びたいって想いだけは、捨てられなかったよ…」

 

「そうですか……」

 

そして何気なしに、俺も『紅椿』の肩部装甲を撫でた。

 

 

 

そう、俺は特に意識せず『紅椿』を撫でた。

撫でてしまったのだ。

俺自身、完全に油断していたとしか言いようがない。

 

『紅椿』はISであり、女性にしか起動できない。

だが例外も存在する。

世界初の男性操縦者(予定)の織斑一夏。

そして、外史介入のためにIS適正を意図的に付与された――

 

キィィィィ……!

 

俺が我に返ろうが、美波が俺のミスに気付こうがもう遅い。

気付いた時には――

 

「う……そ……」

 

『紅椿』を纏った俺と、「あーあ」みたいな顔をした美波、そして俺がISを起動させたことで唖然としている束さんがいた。

 

ーside翔 outー

 

 

ーside美波ー

 

翔ちゃんがやらかした。

よりにもよって、束ちゃんの目の前でISを動かしちゃったのだ。

あーあ、束ちゃん目が点だよー。

 

「検査……」

 

「束ちゃん?」

 

「ショウママ、今すぐ検査しよう!」

 

「えっちょっま」

 

 

そんな感じで、ラボの奥に翔ちゃんが引きずられていって30分ほど。

難しい顔をした束ちゃんと、気持ちげっそりしている翔ちゃんが戻ってきた。

 

「むむむ~、まさかショウママがIS適正Aとは……」

 

「ちなみに私もAだよー。学校で受けた簡易検査だけどー」

 

「えっそうなの? でもIS適正は遺伝するもんじゃないしなぁ…例え男女の双子でも、男はISを起動できないのは凡人共が実証済みだし……」

 

そういえば『白騎士事件』の直後は、そんな検証をしてた研究機関もあったねー。

 

 

「――よしっ! それならショウママとナミママには、束さんから専用機を贈呈しよう!」

 

「「専用機!?」」

 

「せっかく2人ともIS適正があるんだし、もらって損はないよ?」

 

「いやいや、美波はともかく、俺が専用機を持ってたらダメだろ」

 

あー…確かに危ないかなー。

 

「どうして?」

 

「専用機を持ってる=IS動かせる。で、それがバレた場合、最悪どこぞの研究所に送られて、検体扱いされた後、ホルマリン漬けの未来が待ってるんですが」

 

あり得そう。というか、『ISを動かせるのは女だけ=女は偉くて男はゴミ』なんてアンポンタン思想の女性権利団体に知られたら……うわぁ……

 

「でもでも、待機状態にしておけば問題ないと思うんだよね。それに最悪バレても、IS学園に逃げ込むって手段があるし」

 

あっ、そうか。専用機って待機状態にするとIS自体の形状が変わって、アクセサリーみたいになるんだっけ。

それにどうせ、織斑君がISを起動させたら翔ちゃんもIS学園行きが確定するんだし、今持つか後で持つかの違いなだけかも。

 

「でもなぁ…」

 

「ダメかなぁ?(上目遣い)」

 

「うっ……いやでも、分かってるんですか? 俺達にIS学園で使える専用機を渡すってことは、『兵器』を載せるってことですよ?」

 

「うん。正直ISを兵器扱いされるのは腹立たしいけど、ショウママとナミママのため、自衛の一環って考えたらまだ許容できるかなぁって。一応名目上は"競技用"とも言ってるけどね」

 

「はぁ……分かりました。有難くいただきます」

 

束ちゃんにそこまで言われて、とうとう翔ちゃんも折れたみたい。

 

「イエーイ! それじゃあ張り切って作るよー!」

 

「あっ束さん、ちなみにその専用機って形状や装備について注文付けられます?」

 

「いいよ? どんなの?」

 

「そうですねぇ……口で説明するのも難しいんで、書くものもらえます?」

 

「いいよー。ほいこれ」

 

束ちゃんから紙と鉛筆を渡された翔ちゃんは、迷う仕草もなく、さらさらの紙に何かを描いていく。

 

「こんな感じにしてほしいんですが、可能ですか?」

 

「どれどれ~……」

 

翔ちゃんから渡された紙を受け取って中身を確認する束ちゃん。

私も気になって、横から覗き込んで――って、これって!

 

「翔ちゃん、これってもしかして」

 

「俺達が乗る機体って言ったら、これがピッタリだろ」

 

ーside美波 outー

 

 

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