On The Road ~仮面ライダーディケイド・AFTER CHRONICLE~ 作:地水
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ」
士の変身したディケイドは手に持ったライドブッカーを銃の形・ガンモードから剣の形・ソードモードへ切り替えると、怪人達へ目掛けて走り出し、その刃を振り下ろした。
怪人達は迎え撃つが、いきなり乱入してきたディケイドに反応しきれず、斬り付けられていく。
全員斬り付けた後、ディケイドは振り向いて挑発を仕掛ける。
「どうした?それで終わりか?」
「「グルァァァァ!!」」
ディケイドの挑発に癪に障った怪人達は一斉に襲い掛かっていく。
その鋭い爪で命を断たんと迫ってきて、ディケイドはライドブッカー・ソードモードを振り上げる。
だがその前に、飛来してきた何かが怪人達に直撃し、思いっきり蹴散らした。
「「「グアッ!?」」」
「お前ら、俺を忘れてないだろうな?」
地面へ叩き落された怪人達に対して言い飛ばしたのは先程戦っていた謎の盾のライダー。
先程の飛来した何か……盾型の武器を戻ってきた所に片手で受け止めると、再び構えて近づいてくる。
ディケイドの隣へ並び立った彼へ、ディケイドが名前を訊ねる。
「お前、名前は?」
「仮面ライダーディシルド」
ディケイドの問いかけに悠然とした態度で言葉を返したイエローカラーの仮面ライダー……『仮面ライダーディシルド』は、シールド型の変身武器・ディシルドドライバーを構えて相手の出方を伺う。
どうやら今は協力体制だと思ったディケイドは、ディシルドの隣に立ってライドブッカーを改めて構える。
ディケイド・ディシルドと数多の怪人達。
暫しの静寂の中、先に動いたのは……怪人達の方であった。
「「グルァァァァ!!!」」
「来たかッ!」
怪人達はその鋭い爪をライダー達へ振り下ろすが、それをディシルドはディシルドドライバーで受け止め、攻撃を防ぐ。
勢いが止まったのを見切った瞬間、怪人達の鋭い爪を上へと思いっきり弾き飛ばした。
「オリャァ!」
「ハッ!」
そこへすかさずディケイドの振り下ろしたライドブッカーが斜めに袈裟斬りしていく。
斬撃を叩き込まれた怪人達の何人かは地面へと倒れ、残った方は逃げる勢いで後退。
そして口から火球を生み出し、ディケイド達へ目掛けて放った。
「「「ゲハァァ!」」」
【ATTACK-RIDE…BARRIER】
「させるかっ!」
怪人達が放った火球が当たる直前、ディシルドはライダーカードをディシルドドライバーの中央部に備え付けられた装填口へ装填し、前方へ思いっきり突き出した。
ドライバーから大きな光の壁が生み出され、その光の壁が火球を受け止め、そのまま粉砕するようにかき消した。
ディシルドによって攻撃を防がれた怪人達は次の一撃を放とうと再び攻撃を放とうとする。
だが、そこへ聞こえてきたのは、必殺の一撃を示す電子音声だった。
【FINAL-ATTACK-RIDE…DE・DE・DE・DECADE】
「一気に片付ける!」
ディシルドが展開するバリアの壁から飛び越えて姿を現すディケイド。
ディケイドが飛び越えたと同時にいくつものカード型の光のエフェクトが出現し、それを潜り抜けながら右足を突き出した。
「はぁぁぁ……ハァァァァァァ!」
ディケイドから放たれた必殺キック・『ディメンションキック』が怪人達へと直撃。
派手な爆発を起こしながら、怪人達は繰り出された一撃をお見舞いされて爆散した。
自分達に襲い掛かっていた怪人達は消滅したのを確認すると、ディケイドはディシルドへ声をかける。
「やったな」
「ああ。だがお前がディケイドだったのか」
「ああ、ディケイドは俺だ。それが何か?」
「ああ、いや……俺の持つディシルドドライバーの元になったディケイドが、今こうして出会えた事に不思議に思ってな」
短い会話を繰り広げたディケイドとディシルドは互いに変身を解く。
元の姿に戻った士が前をよく見ると、そこには一人の青年が立っていた。
黒いスーツ姿に加え、両目に稲妻模様が走った仮面を被ったその青年は士に視線を向けていた。
「確か、門矢士だったな。助かったぞ」
「まあな。で? お前は誰なんだ?」
「カイル、カイル=ドラシヴァ。多分アンタと同じ、仮面ライダーさ」
ディシルドだった男――『カイル=ドラシヴァ』は自身の本名を名乗った。
怪しげな風貌と冷静な口調で話す彼は自身の使っていたであろうディシルドのライダーカードを見せながら、士に感謝の言葉を手短に答えた。
「感謝するぜ。俺だけでは厳しい所だった」
「まあな。それにしてもさっきの怪人……ファンガイアにワーム、魔化魍と来たか。混合部隊にもほどがあるだろ」
「言えてるな。だがこの世界の特徴と言ってもいい」
「なんだと?」
「この世界は、世界と世界の間に存在する次元の狭間に浮かぶ小さな孤島のような世界だ。ここにはライダーたちに倒された怪人達の残留思念が形となって襲い掛かるんだよ」
士の言葉に答えるようにカイルはこの世界の状況を口にする。
その視線の先には、先ほどまで怪人が立っていた場所を見ていた。
「いわば失われた者が辿り着く最後の場所……誰が呼んだか、『ロストワールド』なんて名前がついている」
「ロストワールド……か、それがこの世界か」
カイルが口にしたこの世界――『ロストワールド』の名称を、士は感慨深そうに呟いた。
消滅してなお自分自身が未知の世界に辿り着いた事を改めて実感するのであった。